ビジネスマンであれば、一度くらい「アウトバウンド営業」という言葉を聞いたことがあると思います。
営業職やマーケティング担当者であれば、毎日のように実践していますよね。
ただ「アウトバウンド営業は意外と難しい…」と言われることが多いので、苦手意識のある人も多いことでしょう。
そこで今回は、アウトバウンド営業のコツ&メリットや、使えるテクニックなどをわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
アウトバウンド営業とは?
アウトバウンド営業とは、電話やメールなどを駆使して外部にセールスしていく営業手法全般のことを指します。
アウトバウンド営業の「アウトバウンド」とは、英語のout bound(アウトバウンド)を由来にしていますが、その意味は「外国行きの」や「外に向かう」などになります。
なので、ビジネスの現場で「アウトバウンド」と言うと「輸出業」みたいなイメージで捉えられるケースがありますが、「アウトバウンド営業」という言葉になると「外部に対してセールスをしていく」という意味になります。
アウトバウンド営業は、テレマーケティングが最もポピュラーな営業スタイルですが、それ以外にも様々な営業スタイルがあります。
- 飛び込み営業
- ローラー営業
- パラシュート営業
- テレアポ営業
- 電話営業
- メール営業
- フォーム営業
- 代理店営業
上記はあくまでもアウトバウンド営業の一部なので、他にも様々なやり方があると思います。
ただ、どのやり方を選択するにしても「自分から積極的にセールスしていく」という部分は変わりありません。
つまりこの部分が「アウトバウンド営業」の定義になっているのです。
アウトバウンド営業の種類については、ひとつずつ詳しく解説していきたいところですが、長くなってしまうので、詳細についてはそれぞれのまとめ記事をご覧ください。
飛び込み営業について詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。
電話営業について詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。
メール営業について詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。
代理店営業について詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。
アウトバウンドとインバウンドの違い
アウトバウンド営業とよく比較されるのが、インバウンド営業です。
この2つは全く異なる営業スタイルですが、アウトバウンド営業を語る上では外せないのでココで解説しておきたいと思います。
アウトバウンド営業とインバウンド営業は、対極に位置する営業スタイルになります。
アウトバウンド営業は先ほどから解説している通りですが、インバウンド営業とは見込み顧客から問い合わせや資料請求してもらうことを起点にした営業スタイルとなります。
見込客からの問い合わせに対してセールスを行い、最終的に契約までもってきます。
このようなセールス手法は「プル型営業」とも呼ばれています。
チラシをポストに入れたりテレビCMを流して見込顧客を集客し、最終的にコールセンターや販売員がクロージングするビジネスモデルもインバウンド営業の一例に挙げられるでしょう。
他にも、身近なところでは下記のようなビジネスモデルがインバウンド営業に該当します。
- トイレの詰まり修理
- 貴金属の買い取り
- デリバリーピザ
- クリーニング店
- 墓石の販売
- 分譲マンションの販売
インバウンド営業のメリット
現代では、アウトバウンド営業よりもインバウンド営業でのマーケティングが主流になっています。
たとえば、インターネットを活用して製品サービスの情報を発信し、見込み顧客を集める方法が代表的だと思います。
そのやり方は様々ですが、総じて低コストでwebマーケティングが実施できるので、中小ベンチャー企業でも気軽に取り組むことができます。
旧時代的なテレビCMや新聞の折り込み広告みたいな莫大なマーケティング予算は必要ないので、低リスクなのが特徴的です。
ただし、インバウンド営業を成功させるためには、出来る限り多くの人に商品サービスに関する情報を届ける必要があります。
むしろ、この仕組みを構築することが必須条件だと思います。
このようにインバウンド営業を仕組み化することで、結果的にコスト削減も実現できるのです。
なぜそのようになるのかと言うと、アウトバウンド営業のような「人海戦術」ではないので、インバウンド営業では人的リソース(人件費)が必要なくなるからです。
このような点にメリットを感じて、多くの企業がインバウンド営業に取り組んでいます。
テレアポ営業とは?
テレアポ営業とは、ターゲットをリスト選定し、その相手に対して電話でアポイントを取るやり方になります。
もちろん営業活動ではアポイントを取ることだけが目的ではなく、その後の訪問営業に繋げたり、受注することがゴールになっています。
しかし、テレアポ営業ではアポイントを獲得することが目的になっているので、その部分だけにスキル特化した人が重宝される傾向にあります。
そのような人員を集めたのが「コールセンター」と呼ばれたりします。
このコールセンターで働く人たちは様々な役目を持っていますが、共通していることは「電話を掛けること」が仕事になっています。
つまりアポイントを取得する人は、極論すると「テレアポ営業ができれば誰でも良い」ので、「誰がテレアポ営業するか?」ということはあまり重要ではないのです。
なので、会社によっては「テレアポ営業の部隊」と「訪問営業する部隊」が分かれているケースもあります。
テレアポ営業のチームはアルバイト人員で安く済ませ、「訪問営業するチームだけ正社員を採用する」という営業戦略をとっている会社もあります。
そのようなやり方を選択したとしても、テレアポスタッフの人件費は重くのしかかります。
その為、テレアポする業務自体を外部にアウトソーシングするケースもあるのです。
テレアポ営業は外注できる?
実際、テレアポ業務を受託しているアウトソーシング会社はたくさんあって、大規模なコールセンターを運営していることもあります。
それらの業務を受託しているのはアポイント代行会社と呼ばれています。
アポイント代行は営業代行の一形態になりますが、営業フローの中でもアポイント獲得だけに特化したサービスを提供しています。
そこで働いている人は、ほとんどアルバイト採用の人で、テレコールやトーク力に自信がある人達です。
例えば、話術が得意なキャバ嬢や、役者や俳優の卵、自由な生き方を求めるフリーターなどが活躍しています。
このような人達が黒子(クロコ)となって、アポイント代行サービスは提供されているのです。
アウトバウンド営業は辛い
テレアポを始めとするアウトバウンド営業は「辛い仕事の代表例」と言われることがあります。
実際に、電話営業などではオペレーターや営業マンが、精神的なトラウマを抱えてしまうケースが多々あります。
電話をかけるやいなや相手からガチャ切りされたり、電話口で罵声を浴びせられたりすることは、アウトバウンド営業には半ばつきものだと言えるでしょう。
これは飛び込み営業でも同じで、「インターホンを鳴らしたら罵声を浴びせられた…」なんてことは日常茶飯時です。
このような結果になってしまうのには、それなりの理由があります。
それは「押し売り的なセールス」が行われているからです。
これはあくまでも一般論になりますが、アウトバウンド営業のセールスは圧迫的な押し売りセールスが横行しており、顧客側もそれを良く理解しています。
なので、営業電話が掛かってくると、お客様は反射的に拒否反応を示してしまうのです。
このような状況では本来アウトバウンド営業を推進すべきではありませんが、他にやりようがないので「仕方なく継続している…」というのが営業現場の実態になります。
営業ノルマはどうやって達成する?
アウトバウンド営業は営業職なので、営業ノルマが設定されています。
お客様から嫌われているアウトバウンド営業が、毎月ノルマ達成することはとても難しいことだと思います。
ノルマを達成しようと焦ってしまい、「お客様から余計に反感を買ってしまう」ということはアウトバウンド営業のあるあるネタだと思います。
もしノルマが達成できないと、仕事が楽しくないばかりか、ストレスでうつ病になる可能性すらあります。
それではどうやって営業ノルマを達成すればいいのでしょうか?
まずやるべきことは、目標達成までのシナリオを描くことです。
つまり、「何件アプローチすれば、何件商談できて、そこから何件受注に至る」という計算式のことです。
このシナリオが出来ていなければ、その場しのぎの営業活動になってしまうので、全くロジカルじゃありませんし、成果も見込めません。
その上で「どうやって効率的に見込み客を管理するのか?」ということを考えていきましょう。
この辺りを考える場合には「潜在顧客」と「顕在顧客」の2種類の概念を理解しなければいけません。
この概念理解に関しては、下の記事をご覧ください。
見込み顧客が出てきたら、後はクロージングするだけです。
このクロージングをするにも、効率的なやり方があります。
それは即決営業と言います。
「たった一回の商談で契約締結する」ことを即決営業と言いますが、この営業スタイルはとても難易度が高いと言われています。
ここまで一連のプロセスが出来上がってしまえば、後はルーティンをこなすだけです。
続きは下の記事をご覧ください。
アウトバウンドのテクニック
訪問営業家テレアポなど様々なスタイルがあるアウトバウンド営業ですが、そのやり方を知っているかどうかで成果は全く変わってきます。
実際に、営業シークのさの編集長が現場のセールス職として働いていた時、一般的なテレアポからのアポイント率は2%~4%だったのに対し、さの編集長のアポイント率は一人だけ10%を超えていました。
実に2倍~5倍ほどの生産性だったのです。
同じ作業をしているのに、どうしてこれほどの差がつくのか…?
実はやり方やテクニックなど、ごく僅かな違いによって生産性は大きく変わってくるのです。
営業のテクニックは、一朝一夕で身に付くものではありません。
もちろん努力が必要なので市販されている営業ノウハウ本を読んだり、多くの失敗を経験する中で身に付いていくものです。
ここからはアウトバウンド営業の中でも「テレアポ営業のテクニック」にフォーカスして解説していきますので、営業パーソンの人はぜひ押さえておきましょう。
アウトバウンドは話し方が重要
テレアポ営業の代表的なテクニックとして挙げられるのは、「やや高めのトーンでゆっくり話す」ことです。
当たり前のように感じるかも知れませんが、意外とできてない人が多いので注意が必要です。
テレコールの場合、声色や話し方で相手に与える印象は180度変化します。
やや高めのトーンでゆっくり話すと、相手は聞き取りやすくなるだけでなく、威圧感を感じないので、安心して話すことができるのです。
もし話し方に自信がない場合には、テレアポノウハウが詰まった書籍を読むこともおすすめです。
また「要点を押さえて簡潔に説明する」ことも営業テクニックの一つと言えるでしょう。
テレコールの場合は、相手の表情やしぐさが確認できない「耳100%」の営業スタイルになるので、相手の声に全集中することになります。
なので、相手の話の着地が見えないと、大きなストレスを感じてしまうのです。
たとえば「選択肢を2つ提示して相手に選んでもらう」ことなどは、代表的なテクニックだと思います。
アポイント日時を決める時に、漠然と「ご都合の良い日時を教えてください。」と伝えると、相手は考えることが面倒になって「今の時期は忙しいので、また今度で」と断られてしまうケースがあります。
しかし、「1/10の15:00か、1/12の11:00ではいかがでしょうか?」と具体的に提示してあげると、相手はYesかNoだけで考えられます。
Yesと言われれば、それで決まりですが、Noと言われた時には、「それでは来週前半でご都合の良い日時はありませんか?」と聞いてみます。
すると、相手は一度断った負い目から、都合の良い日時をすんなり提示してくれるのです。
法人向けのテレアポテクニック
企業などに電話営業をする場合は、「あらかじめ手紙を郵送しておく」ことも営業テクニックの1つです。
これは相手の所属や氏名が明らかになっている場合に限りますが、とても効果的な手法だと思います。
手紙を活用した営業スタイルについては、下の記事に詳しくまとめてあります。
法人に営業する場合、受付窓口で拒否されてしまう可能性が高いので、まずは受付突破を試みなければけません。
この対策として手紙を郵送するのです。
「先日、重要な封書を郵送したので、その件でお電話しました…」と受付に伝えれば、受付の人は「こちらから依頼した資料かな?」と勝手に勘違いして取り次いでくれる可能性があります。
法人にアプローチする場合には、受付で長々と説明しても仕方がないので、いかに早い段階で担当者に電話をつないでもらうかが重要だと思います。
そして、法人営業では必ず決裁権者と話をするようにしましょう。
アウトバウンド営業をするメリット
ここまで読んだ人は、「そんなに辛いならアウトバウンド営業なんてしなければいいのに…」と思ったはずです。
しかし、アウトバウンド営業をするのには、それなりの理由があるのです。
例えば、多くの潜在顧客にアプローチできるアウトバウンド営業は、全く予期しない受注に繋がるケースがあります。
このような新規受注は、アウトバウンド営業ならではの結果だと言えるでしょう。
また、積極的な営業を仕掛けていくアウトバウンド営業では、狙ったターゲット層に対して、確実にアプローチすることができます。
見込客が引っかかるのを待つだけのインバウンドマーケティングではスピード感が無いですが、アウトバウンド営業であれば即効性が期待できます。
待っていても新規開拓が上手くいかない時は、アウトバウンド営業を活用してPRしていくことも1つの方法だと思います。
このような攻めの営業ができる点も、アウトバウンド営業のメリットだと言えるでしょう。
効果的なトークスクリプトを用意すれば、ある程度の成果が期待できるので、そのまま組織を拡大することもできるはずです。
ぜひアウトバウンド営業を上手く活用して、売上アップを目指してください。