社会人であれば、少なからず”人前で話す機会”がありますよね。
そんな時、緊張してしまうと上手く話せなかったり、声が震えたり、大事なプレゼンを失敗したりします。
せっかくのチャンスを潰してしまうのは勿体ないので、ビジネスパーソンであれば「あがり症を克服するコツ」について知っておくべきだと思います。
そこで今回は、あがり症を治すコツや緊張をコントロールするテクニックをご紹介したいと思います。
会議、プレゼン、商談、スピーチ、クレーム対応、面談など、様々な場面で使えるノウハウなので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
あがり症の”診断テスト”をしてみよう!
あがり症を治したい場合、まずは「自分がどの程度のあがり症なのか?」を把握する必要があります。
ここではあがり症を3段階(軽度、中度、重度)に分けたので、過去にプレゼンや会議など、人前で話した時のことを思い出してみてください。
- ソワソワして落ち着かない
- 笑う余裕があまりない
- 手が震える
- 貧乏ゆすりをする
- 手いたずらをしたくなる
- 声が震えてしまう
- やたらと喉が渇く
- 話す内容を度々忘れる
- 顔が赤く(熱く)なる
- 何を話してるのかわからなくなる
- 時計を見る余裕がなくなる
- 人の話を聞く余裕がない
- 聴衆の視線が恐く感じる
- 早口になってしまう
- 頭の中が真っ白になってしまう
- 声が出なくなる
- 支えてもらえないと立てない
- 動けなくなる
- 自分の声が聞こえなくなる
- すぐにトイレへ行きたくなる
- 呼吸困難や過呼吸になる
これで自分のあがり症度合いが把握できましたよね。
人は多少なりとも緊張する生き物なので、「軽度のあがり症」であれば全然問題ないと思います。
しかし中度、重度は仕事に影響するレベルなので、ビジネスパーソンであれば早急に改善するべきでしょう。
ここからあがり症の改善方法について解説していきます。
なぜあがり症になるのか?
あがり症の原因は様々ですが、慢性的なあがりや緊張は日頃のストレスからくると言われています。
例えば異業種交流会での自己紹介、結婚披露宴でのスピーチなど、自分の順番が近づくにつれてドキドキしますよね。
このようなストレスが積み重なっていくと、人間は徐々に緊張してくるので、それが原因となってうまく喋れなかったり、頭が真っ白になってしまうのです。
これを回避するためには「他人と関わらない」という方法しかありませんが、ビジネスパーソンにとってそれは現実的ではありません。
なのでストレスと上手に付き合っていき、適度なストレス状態(ユーストレス)を保つ必要があります。
逆に過度なストレス状態(ディストレス)は避けなければいけません。
意識しすぎることが問題
あがり症になる原因は、意識しすぎることが問題だとも言われています。
例えば、友人から「○○(異性)がお前のこと好きみたいだよ」と言われた場合、その異性のことをどうしても意識してしまいますよね。
これは無意識というよりも、「意識的に気になる」という状態なので、気にしないというのは不可能に近い状態だと思います。
実は”緊張(あがる)”もこれと同じだと言われています。
「私は緊張しやすい」とか「もうすぐ出番だ…、緊張するなぁ」と思えば思うほど、緊張してしまうのが人間なのです。
なので「緊張しない自分を作る」というのが、あがり症を克服する最短ルートだと言われています。
そして自分が緊張することで、実は聴衆も緊張してしまうという側面もあります。
これは「緊張の連鎖(又は伝達)」と呼ばれており、実際に起こっている現象です。
つまり自分が緊張すると、聴衆も緊張してしまうので、スパイラル的に状況が悪化していくことになるのです。
あがり症を治すテクニックをご紹介!
ここからあがり症を治すテクニックをご紹介していきたいと思います。
どれも実践的なやり方なので、明日からすぐに試してみましょう!
1.呼吸を整える
シンプルですが「呼吸を整える」というやり方は、緊張をほぐせると言われています。
具体的なやり方ですが、呼吸する時には鼻から息を吸って、口(又は鼻)から息を吐く、というのを10回繰り返します。
これはインドで古くから実践されてきた精神統一の方法で「数息観(すそくかん)」と呼ばれています。
数息観は、出入の息を数えて、心の散乱を停止する観法。 正しい禅定にはいるために行なわれるもの。
鼻から息を吸って、口から息を吐く、という作業を10回繰り返すのですが、その時に頭の中で「ひとつ」「ふたつ」「みっつ」…、と数えながら、最後は「とう(とー)」までいくのですが、もし途中で別のこと(雑念)を考えてしまったら、またもう一度「ひとつ」から数え直します。
意外と「とう」まで数えるのが難しいので、慣れるまでは時間がかかると思いますが、この作業は「息をカウントすることだけに意識が集中する」ので、自然と力が抜けて、緊張状態がほぐれると言われています。
2.身体の重心を下げる
これは物理的な話ですが、緊張している時には、体の重心が上がってくると言われます。
なので、もし緊張をほぐしたい場合には、体の中心を下げればOKということになります。
これがつまり「身体の力を抜く」ことに繋がっていきます。
重心を下げるには、単純に腰を下げれば良いので、四股を踏んだり、スクワットをして、緊張した時には体の重心を下げてみましょう。
3.手のひらを指圧する
古典的ですが「とても効く」と言われているのが、手のひらを指圧するやり方です。
昔かある「手のひらに人という字を書いて飲む」というのは有名な緊張緩和法ですよね。
これはジンクス的な話だと思われていますが、実は科学的な話なのです。
先ほどもお伝えしたように、緊張をほぐすには、他に意識を集中させる必要があります。
つまり「私は緊張している」と考えないようにする必要があるので、そのやり方として、手のひらに意識を集中させるというのはとても有効的なのです。
そう考えた場合、「手のひらを指圧する」だけでも良いことに気づきますよね。
つまり「私は緊張している」と考えないようにするには、なにか別のところに意識を持っていけば良いということです。
手のひらにはツボが集中しているので、反対の手で適当に押してみてください。
この時のポイントは、5秒間息を吐き続けながら、その間手のひらを押して、そして今度は5秒間息を吸って、また同じく5秒間息を吐きながら手のひらを押すという作業を”3回繰り返す”ことです。
これを3回繰り返せば、おおよそ30秒ほどになるので、極端な緊張状態は緩和されるはずです。
4.話しながら歩く
このやり方はプレゼンテーションやセミナー、講演会などで使えるテクニックです。
「プレゼンの達人」と呼ばれていたスティーブ・ジョブズは、話しながら歩いていましたよね。
実はあのように話しながら歩くと、じっと立って話すよりも緊張が緩和されるのです。
なので、もし人前で立って話す場合には、少し歩きながらジェスチャーを交えた方が緊張しづらくなるのでオススメです。
5.表現を肯定的にする
物事を前向きに捉えることを「肯定的」と表現しますが、実は否定的に考えるよりも、肯定的に考えた方が「緊張しづらい」と言われています。
私は病気にならない ⇒ 私は健康体である
私は緊張しづらい ⇒ 私は堂々と話せる
私はあがり症ではない ⇒ 私は人前で話すのが大好きだ
このように”否定的”な表現は、極力肯定的な表現に変換させることをおすすめします。
6.鉄板ネタやギャグを用意する
先ほど「緊張は連鎖する」ことをお伝えしましたが、その逆も然りです。
つまり聴衆が緊張していなければ、自分も緊張しないということです。
なので聴衆を和ませる鉄板ネタやギャグを用意しておくというのもオススメのやり方です。
聴衆が自分のことを真顔で見つめてくると、誰だって緊張しますが、聴衆から少しでも笑い声が聞こえれば、ずいぶん気持ちが楽になりますよね。
そのために必要なのが鉄板ネタや持ちネタです。
ちょっとした小話でも良いので、聴衆がクスッと笑うような話題を仕込んでおきましょう。
7.緊張状態をカミングアウトする
これは時々見かけるテクニックですが、自分から緊張をカミングアウトするという方法があります。
緊張するというのは、「他人にあがり症であることを悟られたくない」という側面があるため、むしろそれを自分からカミングアウトして肩の荷を下ろしてしまう裏技です。
「あまりこういう場に慣れていないので、今日はめちゃくちゃ緊張してます!」とハッキリ言うことで、ある意味では開き直れるでしょう。
この時に「今日は朝から緊張しすぎて、左右別々の靴下を履いてきてしまいましたwww」とか、「息子が普段使っている仮面ライダーのハンカチを間違えて持ってきちゃいましたwww」など、リスクの少ない小ネタも用意しておくと、聴衆が和むはずです。
8.質疑応答を上手に活用する
緊張しやすい人は、質疑応答を上手に活用しましょう。
自分ばかり話していると緊張は高まっていくので、そんな時には所々で質疑応答を入れてみましょう。
質疑応答の時には”聴衆が話してくれる”ので、その間あなたは休むことができます。
他の聴衆の目線も”質問者”へ向くので、ほんのひと時でも緊張がほどけるでしょう。
常に緊張しっぱなしでは疲れてしまいますし、ストレスも右肩上がりになってしまいます。
しかし所々でストレスを放出していけば、少しぐらいはリセットできるので、極度の緊張状態が続くということはないでしょう。
9.イメージングする
イメージングというのは、頭の中でシミュレーションすることです。
不測の事態はストレスになってしまうので、あらかじめどんな内容を話すかイメージしておけば、そこから安心感が生まれるので、それが自信に繋がっていきます。
しかしこの時に注意して欲しいのは、全ての一挙手一投足をイメージするのではなく、”つかみの部分だけ”など始まりの一部分だけ、もしくは”終わりの部分だけ”をイメージするということです。
全てイメージ通りにこなそうとすると、「失敗したらどうしよう…」という風に考えるため、逆にガチガチになってしまいます。
なので導入部分の鉄板ネタを考えたり、終わりの部分で”大成功を収めてニコニコしている自分”をイメージしたり、部分的なところだけをイメージしましょう。
10.リスクを受け入れる
緊張してしまう原因はストレスなのですが、そのストレスには「失敗」というリスクが考えられます。
例えば大事な商談で緊張してしまう理由は「プレゼンを失敗したら失注してしまうから」ですよね。
つまりそれはリスクなので、そこをストレスと感じて人間は緊張してしまうのです。
しかしそのリスクを受け入れたらどうでしょうか?
例えば「失注してもOK」という考え方に至れば、その商談で緊張する理由はなくなりますよね。
失注してもOKなので、普段通りにプレゼンすれば良いだけです。
このようにストレスの原因を受け入れることで、緊張はほぐれるはずです。
11.ファシリテーションスキルを身につける
ファシリテーションとは英語の「facilitate」を語源にしていて、物事や仕事がスムーズに進む、楽になるという意味や、促進する、円滑に進める、手助けする、などの意味が含まれています。
複数のメンバーが参加する会議や討論会などで、その場を回す”司会進行役”のようなイメージがファシリテーターですが、この役割をこなすためには様々なスキルが必要だと言われています。
実はそのノウハウが”あがり症”を克服するのにも使えるので、緊張しやすい人はファシリテーションスキルを身に付けるのがいいでしょう。
先ほどから解説している通り”緊張はストレスが原因”なので、「どんなことを、どんな順番で話せば良いか?」という部分が明確になっているだけで、ストレスは軽減されるはずです。
そう考えた場合、ファシリテーションスキルが役立ちそうなのは理解できますよね。
ファシリテーションスキルについて知りたい人は下の記事をご覧ください。
12.明日死ぬと考える
Apple創業者のスティーブ・ジョブズは、毎朝鏡に映る自分に向かって「明日死ぬとしたら、今日これから行うことを果たして行うだろうか?」と自問自答していたそうです。
このエピソードはジョブズの名言集にまとめてあるので、気になる人は下の記事をご覧ください。
- もし明日死ぬとしたら、いつも通り仕事へ行くでしょうか?
- もし明日死ぬとしたら、お昼過ぎまで寝ているでしょうか?
- もし明日死ぬとしたら、ダラダラとテレビを見るでしょうか?
このような仮説を立てると、人間の行動は変わっていくはずです。
そう考えた場合、「もし明日死ぬとしたら…」とすれば、緊張もほぐれますよね。
もし失敗したり恥ずかしい思いをしたとしても、どうせ明日死ぬので関係ないはずです。
これくらい吹っ切れた方が、あがり症は克服しやすいと思います。