営業を強化したいセールスマネージャーであれば、一度くらいは”営業アウトソーシング”を検討したことがあるはずです。
しかし営業アウトソーシングには様々な種類があるので、比較検討するだけでも大変ですよね。
そこで今回は、営業アウトソーシングの意味や種類、報酬体系などを解説していきたいと思います。
これから営業アウトソーシングする場合には、ぜひご活用ください。
目次
営業アウトソーシングとは?
営業アウトソーシングはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の一種になります。
ちなみにBPOとは、企業が自社業務の一部を外部の専門事業者に委託することをいいます。
委託者(ユーザー)のメリットには以下のようなものが挙げられます。
● 固定費の変動化
● 業務コストの削減
● 人手不足の解消
● 業務品質の向上
● コア業務に専念できる
BPOは様々な企業で活用されており、その市場規模は年々微増しています。
全体の市場規模は2015年で1兆6,000億円を突破し、その中でも営業アウトソーシングの市場規模は約688億円になります。(参照元:経済産業省作成の資料)
営業アウトソーシングとは”営業”に関する業務の一部を、外部の専門業者に委託することを言いますが、営業代行などのサービスが代表的で、代理店展開もある意味では「営業アウトソーシング」と言えるでしょう。
営業アウトソーシングを請け負っている企業は世の中にたくさんあるので、ここで一部をご紹介しておきたいと思います。
それぞれ特徴がある会社ばかりですが、業界を代表するような会社なので、お問い合わせしてみても良いと思います。
営業アウトソーシング会社の代表例
- 総合的な営業代行会社:株式会社セレブリックス
- アポイント代行会社:アズ株式会社
- インサイドセールスの代行会社:SALES ROBOTICS株式会社
- 営業フリーランスの活用:ウェブエックス株式会社
個人向け&法人向け商材はどっちが良い?
営業アウトソーシングでは、「どんな商材を、誰に売り込みたいのか?」という基本的な質問から始まっていきます。
「どんな商材」については企業によって千差万別ですが、「誰に売り込みたい?」は大きく「個人 or 法人」の2択になるはずです。
果たして、営業アウトソーシングで受けやすいのは
- 個人向け商材
- 法人向け商材
のどちらなのでしょうか?
もちろん答えはありませんが、一般的には「法人向け商材の方が売りやすい」というアウトソーシング業者が多いみたいです。
これは個人よりも法人の方がクセが少ない為だと思われます。
個人は全ての人が合理的に考えて行動している訳ではなく、感情的に動くケースが散見されるので、とても対応しづらいのです。
例えば、「頑張っているので応援したい!」「面倒だから契約しない…」などは、その代表例だと思います。
それと比較して、法人は合理的に物事を判断していきます。
つまり自社にとってのメリット(利益が上がる or コストが下がるなど)が確実なのであれば、必ず取り入れようとするのが法人なのですが、個人は感情論なので、ロジカルな会話が成立しないケースが多いのです。
このような理由から、営業代行会社には法人向け営業商材が好まれているのかも知れません。
営業アウトソーシングの料金(費用)とは?
営業アウトソーシングを依頼すれば必ず費用(コスト)が掛かります。
それでは、営業アウトソーシングの料金体系は一体どのような仕組みになっているのでしょうか?
ここで詳しく解説していくので、ぜひチェックしてください。
3種類の報酬形態がある
営業アウトソーシングの料金体系は大きく分けて3種類です。
それは、「固定報酬」と「成果報酬」、そして「成功報酬」になります。
また、この3つをミックスしたハイブリッド型も存在していますが、まずはこの3つを詳しく解説していきたいと思います。
- 固定報酬:成果に関わらず発生する報酬
- 成果報酬:一定の成果に対して発生する報酬
- 成功報酬:所定の条件に達した場合に発生する報酬
固定報酬は”定額報酬”なのでわかりやすいですが、成果報酬と成功報酬の違いはわかりにくいですよね。
成果報酬とは、アポイント獲得や商談成立など受注(契約)に至る過程で発生する報酬のことを指します。
それと比較して、成功報酬は一般的な「受注(契約)」に至った場合に支払われる報酬のことをいいます。
なので成功報酬は「完全成功報酬」と言われたりもします。
一般的には固定報酬で営業アウトソーシングを受ける契約形態が多いのですが、商材によっては成功報酬のみで受けるケースもあります。
そのようなケースとは、
- 唯一無二の商材
- ものすごく簡単に売れる商材
- 報酬額が超高額の商材
など様々です。
簡単に言うと、「これは売れる!」「儲りそう!」と判断できれば、営業アウトソーシング業者は完全成功報酬でも引き受けるということです。
格安な業者を避けるべき理由
色々な営業アウトソーシング業者を調べていると、相場から逸脱した格安業者が見つかことがあります。
しかし、そのような業者には十分注意しましょう。
営業アウトソーシングとは、基本的に”人”が動くビジネスモデルなので、相場を逸脱した格安料金にできることは原則的にあり得ません。
つまり格安で受託(営業アウトソーシングを受ける)することは、業者側にとってリスクしかないのです。
それではなぜ格安料金で営業代行を受託しているのでしょうか?
そのような業者が格安で受ける理由には以下のようなものが考えられます。
- ただ受注実績が欲しいだけ
- 安い固定報酬を受け取るが、実際にはほとんど稼働しない
- 目標値や納期、期限をコミットメントしない
- 詐欺的な業者
他にも弊社が実際に体験した業者の中には、返金規定(戻入)を設けているケースがありました。
それは、最初に30万円をデポジット(預り金)として支払うのですが、成果が出なければ返金するというやり方です。
当社にはリスクがないと判断したので、営業アウトソーシングをお願いしましたが、結果的にとても悲惨な結果になりました。
というのも、支払ったデポジット分は全く消化されず、しかも契約通りの返金に応じてくれないという最悪の結果になったのです。
最終的に契約違反による裁判をちらつかせたら返金に応じて貰えましたが、周りの知り合いからも同じような話を聞くほど”悪質な業者”でした。
このような悪質な業者とは付き合うこと自体がデメリットになり得るので、格安業者にはその料金で事業が成り立つ理由や、コミットできる内容などを、きちんと確認するようにしましょう。
営業アウトソーシングの種類
営業アウトソーシングと一言にいっても、様々な業務形態が存在しています。
こちらでは代表的な営業アウトソーシングの種類について解説したいと思います。
営業代行の種類①:常駐型
営業代行は代表的な営業アウトソーシングですが、その中でも常駐型の営業代行というビジネススキームがあります。
これはクライアントの会社内に常駐して、その会社の名刺を持って、まるで社員のように営業活動するスキームのことをいいます。
業者が常駐しているので、細かな依頼内容が修正ができたり、MTGに参加して方向修正をするなど、柔軟に対応してもらえることが特徴的です。
そういった意味では、人材派遣に似ていると思います。
そして気になる費用ですが、常駐型になるので営業スタッフを自社で雇用するより、どうしても月間コストは高くなります。
おおよそ1人常駐させるのに『月100万円前後』の予算だと思いましょう。
営業代行の種類②:非常駐型
常駐型の営業代行とは逆に、外部で営業を実行してくれるスキームが非常駐型(リモートワーク、在宅ワーク)になります。
非常駐型の場合、たいていは営業した結果を月1回ほどレポートしてくれます。
非常駐型では常駐型ほどのメリットを受けることはできませんが、デスクを用意したりビジネスフォンを用意する受け入れ作業の手間やコストが省けます。
しかし、非常駐型という特性上、「本当に営業しているのか?」が不透明になりがちです。
この部分が解決できるのであれば、非常駐型という選択肢もアリでしょう。
営業代行の種類③:テレアポ型
営業プロセスの中の「アポイント獲得」のみに特化した営業代行サービスのことをいいます。
テレアポ型の場合は、コールセンターを有していることが多いので、新規見込みのアポ取りが業務内容となります。
テレアポ代行は商談セッティングだけに特化するスキームなので、獲得したアポにはクライアント自らが提案営業して、クロージングしていきます。
テレアポ型の営業代行では成果報酬が採用されており、1アポイントにつき15,000円~50,000円ほどが従量課金されていきます。
ほとんどのケースでは『商談成立』を課金定義にしているので、商談不成立の場合には課金されないのが一般的です。
営業代行の種類④:オートコールシステム
システムが特定のリストに対して自動架電を行った結果、見込顧客リストを作成&納品するサービスです。
自動音声がアンケートを回収して、その中から見込み度合いが高い顧客を判断していくのです。
オートコールは見込顧客を探し出すことまでしかしないので、その後のアポ取り~提案営業をクライアント側で実施することになります。
ただ、オートコールシステムという特性上、どうしても見込み顧客の精度が下がってしまうという特徴があります。
この辺りは大きなデメリットだといえます。
営業代行の種類⑤:販売代理店
販売代理店も営業アウトソーシングの一種になります。
代理店とは自社の製品・サービスを販売してくれる、個人・法人の外部パートナーになりますが、代理店には、販売した実績に応じてマージン(=代理店コミッション)を支払うのが一般的なので、そういった意味では成功報酬型と言えるでしょう。
しかし、代理店展開をする為には、
- 代理店制度を構築
- 報酬条件を設定
- サポート体制を用意
- 代理店営業する営業マンを雇用
- 代理店募集する
などの準備が必要になります。
よって、莫大な労力と時間、費用が掛かります。
なので本格的な代理店展開を中小企業が行うのにはハードルが高く、NTTやソフトバンク、光通信、リクルートなどの大手企業が行っている営業施策となります。
営業代行の種類⑥:リファラル営業
リファラル営業とは「紹介営業」を意味する言葉です。
営業マンであれば馴染みのあるフレーズですが、この紹介営業を副業にしようという試みが出てきています。
そのような営業フリーランスを支援しているサイトがリファラル営業プラットフォームですが、各営業パーソンが持っている人脈・販路を他企業にシェアするという新しい試みにチャレンジしています。
営業代行を依頼したい企業は無料で始められるので、まずは試してみる感覚でも良いと思います。
営業アウトソーシングを検討しているのであれば、一度リファラル営業サイトにお問い合わせしてみてください。
営業代行の種類➆:フォーム営業
フォーム営業とは、企業のホームページに必ずある「問い合わせフォーム」を活用するやり方です。
1件1件フォームから営業メールを送信するのは大変な労力が掛かりますが、これを自動的にやってくれる営業代行サービスです。
ただ、フォーム営業はあくまでも相手が求めていないスパムメールを送信することになるので、発注する場合にはそのようなリスクについての理解が必要だと思います。
例えばイメージしてみて欲しいのですが、1日1件(1社)のスパムメールならまだ我慢できますが、1日100件(100社)、1000件(1000社)のスパムメールが送られてきたら、さすがに頭にきますよね。
つまり、基本的にフォーム営業を仕掛けられた企業の印象は悪くなるので、かなりリスクのある営業手法だといえます。
なので1年に1回くらい使うくらいなら構いませんが、頻繁に使うのは控えましょう。
まとめ
ここまで、営業アウトソーシングを検討している人にとって参考となる情報をご紹介してきました。
営業アウトソーシングには様々なスキームがありますが、自社ニーズに合った業者の選定が重要になります。
その為には「どこまでの営業活動をアウトソーシングしたいのか?」ということを事前に社内でまとめる必要があります。
これには自社の課題を洗い出す必要があります。
なので、営業アウトソーシングを検討する為には、まず自社の現状分析から始めてみてください。