実は「社内営業を実践しているサラリーマンは意外に少ない」と言われているのですが、その理由は「やり方を教えてくれる人が少ない」という部分にあるでしょう。
つまり社内営業をやりたくても、そのやり方がわからず、誰に聞けばいいかもわからないのです。
しかし、サラリーマンや営業職であれば、絶対に”社内営業”を実践するべきだと考えているので、今回は社内調整する意味&メリット、そのやり方&コツについて解説していきたいと思います。
目次
そもそも”社内営業”とは?
企業で働く会社員にとって、とても重要だと言われているのが「社内営業」です。
ちなみに社内営業とは、上司や他部署などに自分の存在や主張を知ってもらうことなのですが、ただアピールすることだけが目的ではありません。
社内営業をする真の目的とは「仕事を円滑に行う」ことです。
社内営業の良し悪しによってサラリーマン人生が変わってしまうほど、その影響は大きいと言われているので、会社員にとっては無視できない行為ですよね。
特に大企業で顕著なのですが、社内営業が上手い人ほど出世する傾向があると言われています。
なので、社内営業はサラリーマンにとって決して軽視できない『キャリアアップする為の根回し』なのです。
営業マンは社内営業をするべき!
社内営業はサラリーマンが出世するための手段として広く活用されていますが、実はそれ以外にも大切な活用方法があります。
それは、営業職が仕事で実績を出すために活用するということです。
営業の仕事とは「お客様にセールスすること」だと理解している人は多いと思います。
それ自体は決して間違いではありませんが、実は営業マン一人の力でお客様にセールスすることはできません。
なぜかと言えば、営業フローを見直してみれば理解できるはずです。
- 商品サービスを設計・開発する
- 価格(料金)を決める
- パンフレットなどの販促資料を制作する
- マーケティングして見込客を探す
- お客様に提案する
- 契約手続きをする
- 請求書を発行する
- お客様をフォローアップする
このような業務フローだった場合、営業職が関わるのは太字になっている5~6というのが一般的だと思います。
つまり一口に「営業活動」と言っても、その中身は細分化されていて、決して一人の営業パーソンが全ての仕事を担っているわけではないのです。
実際に5~6の部分以外は他部署が関わっているというケースが多いので、営業職がしている仕事というのは案外少ないことが理解できるはずです。
つまり社内営業を疎かにすると、5~6以外で「自分にとって不利な決定や振る舞いをされる可能性が高くなる」ので、「せっかくの見込み案件が受注できない…」なんてことも十分あり得るのです。
どれだけたくさん営業活動している人であっても、もし社内営業が下手であれば、結果的に受注まで繋がらないケースは往々にしてあります。
なのでトップセールスほど自分の為に社内営業を行っているのです。
社内営業はめんどくさい…
営業職にとって社内営業が必要不可欠なことは理解できたと思いますが、実際やるのはとても面倒に思えますよね。
そのようになってしまう理由は、社内営業が「あくまでも将来への投資」だからです。
つまり、社内営業を積極的に行ったとしても、それが「実際に役に立っているのかわからない…」ということが常態化しているのです。
- 実際にその局面にならないとわからない
- 長い時間が経過しないとわからない
このように社内営業の成果はすぐに表面化しないので、「やるだけ無駄…」と考えている人は結構多いはずです。
キーマンや偉い人が探せない
数名~数十名くらいの会社であれば全然問題ありませんが、従業員数で数千人、数万人の規模になってくると、社内営業はとても大変な話になってきます。
大企業で働いている営業マンにとって、社内営業は社外営業よりも複雑になる可能性すらあるのです。
大企業には学閥などの社内派閥がいくつもありますし、大きな会社であればあるほど部署間の距離も遠くなるのが一般的です。
何をしているのかわからないような部署や子会社もたくさん存在しているので、正直な話「社内営業した方が良いのor否か?」の判断すらつきずらいのが実態だと思います。
そんな時に役立つのが、優秀なセールスパーソンからのアドバイスです。
トップセールスとまでいかなくても、社内で実績を出している人に社内営業についてアドバイスを求めてみましょう!
実績を出している人は、総じて社内営業も上手い傾向があります。
営業マンによって、
- 計算で行っているのか?
- 自然体でやっているのか?
という違いはあるかも知れませんが、きっと参考になる話が聞けるはずです。
もしこの辺りを隠されるようであれば、「ウチの社内では誰と仲がいいんですか?」と遠回しに聞くのが良いと思います。
トップセールスから「○○部の××さんとは良く飲みに行くなぁ」という話が聞ければ、その人が会社内のキーパーソンなのかもしれません。
派閥争いが大変
大企業になればなるほど、社内派閥が存在してきます。
これをクリアしていくことはサラリーマン人生においてもの凄く重要なポイントなのですが、新入社員研修で攻略法を教えてくれることはないので、これだけは自ら学びにいくしかありません。
ある意味では、社内営業を理解している人ほど出世していき、社内営業を怠る人ほど窓際族になる傾向があるので十分注意しましょう。
働いている人の数が多い大企業の場合には、より複雑な社内派閥が存在しますので、一つの課だけでも複数の派閥が存在しているなんてことも珍しくありません。
そして、最大派閥と呼ばれているグループのトップが将来の社長候補になったり、派閥争いに敗れた人が、子会社へ出向したりするのです。
まるでドラマみたいな話に感じますが、大企業では実際に良くある話です。
ある意味では運の要素が強い派閥争いですが、最初のうちはできるだけ多くの人に社内営業しておくことをオススメします。
できるだけ多くの有力者と知り合いになっておけば、派閥争いが起こったとき社内調整役に任命されることもあるので、そうすればチャンスが増えることになるからです。
これはあくまでも参考程度の話ですが、「サラリーマンの星」と言われている島耕作は、しばらく無派閥で通していました。
どこかの派閥に所属してしまうと”色”が付くので、どうやらそれを恐れていたようです。
島耕作の名言集は下の記事をご覧ください。
社内営業が下手な人は多い
多くの営業マンが重要に感じている社内営業ですが、その一方で下手な人が多いことも事実だと思います。
やっぱり対人関係は得意&不得意が出てしまいますし、「どうしても苦手…」という人もいるはずです。
社内営業をするためには独自のテクニックが必要になりますが、その一つが根回しになります。
近年では「根回し禁止」という企業も出てきているようですが、それはまだまだ少数派なので、基本的には根回しのスキルを身につけておくべきだと思います。
その辺りについて詳しく知りたい人は下の記事をご覧ください。
社内アピールでは「顔を売る」ことが大切
社内営業とは、要約すると「社内でアピールすること」とも言い換えられます。
このアピールとは自分自身の存在を認知してもらうことから始めていきます。
やっぱり知っている人のお願いは断りにくいですし、お願いする側も気軽に相談しやすくなりますよね。
特に、何か新しいことを社内で始めるためには事前の根回しが必要不可欠になるので、関係者に対して情報の周知を徹底していく必要があります。
これが上手くできないと、その相手は抵抗勢力になってしまう可能性があるので、後々厄介な話にもなり得ます。
この時のポイントは、「誰が会社の中で権力を持っているか?」を正しく判断することです。
大きな権力を持っていない人に対して、一生懸命に社内営業しても、単なる時間の無駄になってしまいます。
できるだけ自分の出世に役立つような相手に社内営業をするのが基本的なやり方なのですが、「誰に社内営業をするのが自分の出世に役立つのか?」という判断が難しい場合も多いです。
社内の力関係が変化して、派閥の関係も大きく変わることがあるので、この辺りは慎重に見極めましょう。
社内営業のコツを大公開!
ビジネスパーソンが社内営業をする場合には、知っておくと役立つコツがあるので、ここで解説しておきたいと思います。
- 社内組織を理解する
- 社内調整のやり方を学ぶ
- 社内人脈を広げる
- キーマンを見極める
- 部署のエースを狙う
- 飲み会で仲良くなる
社内営業のコツ①:社内組織を理解する
社内営業を成功させる為には、まず自分が属している社内組織を理解することから始めましょう。
そもそも、どんな部署があって、どんな力関係が働いているのかを理解しておかないと、社内営業する為の戦略が決まりません。
大企業になると部署数が多くなるので大変ですが、さらに子会社や関係会社なども出てくるので、その辺りの情報を整理整頓しなければ話がまとまらないのです。
なので、まずは情報収集に徹して、「どこにアプローチすべきなのか?」という戦略を決めていきましょう。
社内営業のコツ②:社内調整のやり方を学ぶ
社内営業の戦略が決まったら、次にやるべきことは「社内調整のやり方を学ぶ」ことです。
これは座学的な話になりますが、本を読んだり、先輩から情報収集して、社内営業のやり方を学びましょう。
会社毎に独特な文化や習慣があるケースは多いので、書籍で学んだ知識をそのまま活用することはできません。
例えば、上司にはお歳暮を贈ることが文化になっていたり、年賀状を出すのが礼儀になっている会社もあります。
得た知識をオリジナルに組み直して、実践できる仕組みを自分なりに構築しましょう!
社内営業のコツ③:社内人脈を広げる
社内人脈はサラリーマン人生の資産になります。
営業マンの場合には出世のためだけでなく、社外営業する上でもその人脈が役立つでしょう。
つまり社内営業を積極的に行うことで、社内の人脈を充実させることができ、結果的に全ての仕事が上手くいくケースが多いのです。
社内営業で知り合った有力者から見込み顧客を紹介してもらえるケースもあるので、そのようなキーマンを捕まえることができれば、社内営業をした効果もさらにアップしていきます。
実際に、ある部署の部長と仲良くしていた営業マンが、その人から大口案件を紹介してもらって、年間MVPを獲得したのを見たことがあります。
これは「上司から可愛がられる」ことにもなりますが、サラリーマンにとっては非常に重要なスキルだと思います。
社内営業のコツ④:キーマンを見極める
社内の部署や派閥などを見回した時、その組織に対して大きな影響力を持っている人が必ずいるはずです。
それは必ずしも組織のトップという訳ではないので、ケースバイケースだと思います。
なので注意深く会社内を見まわして、色々と情報収集しなければいけません。
実はこのキーマンさえ押さえることができれば、その部署や組織は落としたも同然になります。
なぜかと言えば、影響力がある人は所属している組織を良く理解しているケースが多いので、その人から組織の内情をヒアリングできるようになるからです。
ただここで注意して欲しいのは、「次のキーマン候補者」ともコミュニケーションを取っておくことです。
現在はチーム内のキーマンだった人だとしても、来年、再来年はわかりません。
サラリーマンは転勤や配置転換、つまり人事異動があるのです。
なので、次にキーマンになりそうな人に目星をつけて、常にアプローチしておくことを欠かさないようにしましょう。
社内営業のコツ➄:部署のエースを狙う
各部署には「エース」と呼ばれる人が必ずいます。
この人は将来の部長候補であり、キーマンになっているケースも多いはずです。
なので、まずはエースを探すという作業で、社内営業の多くの部分は網羅できる可能性があります。
ただ、エースと呼ばれる人は自分と同じような優秀な人を好むので、あなた自身も結果を出していないと、全く相手にされない可能性があります。
なので、社内営業を成功させる最大のコツとは、「まずは自分の社内実績をきちんと作る!」ということに集約されていくのです。
そう考えた場合、まずは自分で実績を作ることが第1ステップ、そして社内営業で人脈作りすることが第2ステップ、という具合に出世するための階段であることが理解できるでしょう。
社内営業のコツ⑥:飲み会で仲良くなる
人と人が仲良くなるには、やっぱりプライベートな飲み会を開くことが一番手っ取り早いと思います。
お酒が入ればお互いフランクに話せますし、多少なりとも無礼講な部分が出てきます。
職場で話すよりも込み入った話ができれば、自分の知らない情報をたくさん聞けることでしょう。
「人間は秘密を共有した相手と仲良くなる」という心理法則もあるので、積極的に他部署の人と交流しましょう。
飲み会という形式でも、会食という形式でも構いません。
とにかく目的は交流することなので、ゆっくり落ち着いて話せればOKだと思います。
社内調整も仕事の一環
サラリーマンにとって、社内営業が大切なことはこれまでお伝えしてきた通りです。
これは出世する為に必要不可欠だと思いますが、ある意味では”任意行為”ともいえます。
出世意欲が無い若手の中には、「しんどくて面倒な社内営業なんてしなくてもOK」という考え方も一定数あるのが事実です。
しかし営業職にとっては、社内調整も仕事の一環として捉えた方が無難だと思います。
対立調整で仕事が捗る
特に人が多く働いている大企業の場合には、社内調整の成否によって営業の成果にも大きな違いが出てきます。
部署間の対立が激しい企業の場合には、特に社内調整が必要な場合も多く、営業職にはそのような調整役としてのスキルも求められるのです。
利害調整や意見対立をまとめることは決して簡単ではないので、営業マンは日頃からできるだけ多くの社員と接しておくことが求められるでしょう。
そうすれば、実際に調整が必要になった時でも、スムーズに実行できるようになるからです。
実際、この社内調整が上手い人ほどトップセールスとして活躍しているはずです。
実は「社内営業が上手くいくと、社外営業も上手くいく」という好循環にはまっていくのです。
まとめ
ここまで社内営業について詳しく解説してきました。
営業職はもちろんですが、ビジネスパーソンであれば絶対に社内営業をしておいた方が良いと思います。
その活動実績は必ずあなたのキャリアに跳ね返ってきます。
特に大企業に属しているのであれば、若手のうちから積極的に社内交流していきましょう。
地道にコツコツと積み上げた人脈は、きっとあなたのビジネスを成功へと導いてくれるはずです。