
代理店展開をする上で重要なポイントはマージン設定になります。代理店マージンによって代理店の販売量が変化することはもちろんですが、営業戦略全体にも影響してきます。もちろん代理店営業にとっても重要な営業ツールになり得ます。
そこで今回は代理店制度の構築前に知っておきたい”代理店マージン”について取り上げていきます。これから代理店展開をしようと検討している方や、代理店登録を検討している方、既に代理店展開を始めている方まで幅広くご覧ください。
概要
代理店マージンを設定する理由
代理店マージンとは、代理店の販売実績に対して支払う報酬を意味しています。
この報酬額自体に決まりはありませんので、メーカー(代理店本部)が自由に設定できます。
その自由さ故に難しさがあるのです。
「どれくらいの代理店マージンを設定すれば代理店は売ってくれるのか?」を手探りで検討しなければなりません。
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代理店マージンは高ければ良いという訳ではない
「代理店マージンが高ければ、販売代理店は売ってくれるはず!」と安易に考える人がいますが、代理店が売る理由はそれだけじゃありません。
もちろん代理店が商材を販売するために「儲かるから」という理由は大きな動機になります。
しかし、もう一つ大きな要素があります。
それは「人脈や販路(顧客)が合うから」という理由です。
それでは、販路が合うことが何故そんなに重要なのでしょうか?
世の中には専属代理店というスキームも存在しますが、本来の代理店とは名前の通り販売を代理してくれるパートナーを意味しています。
その代理店にはそれぞれ本業があります。
「その本業のついでに商材を代理販売する」というスキームが本来の販売代理店になります。
という事は「販路が合っているので販売する」という動機は、お客様の満足度を上げることに繋がっていき、結果的に”自社のメイン商材が売れる”というサイクルが作り出せるのです。
このようなケースでは「儲かる」という要素より、「販路が合う」「お客様が喜んでくれる」という要素の方が重要視される傾向にあります。
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代理店マージンの種類や呼び方
代理店マージンには様々な呼び方があります。
どのような呼び方でも良いですが、それぞれの意味を知っておくと代理店制度の構築時に役立つと思いますので、ここでは代理店マージンの種類を一覧でご紹介していきたいと思います。
1.マージン
代理店マージンはビジネスの現場で良く聞かれる言葉です。
マージンの意味は、売買によって生じる差額利益や売買差益のことをいいます。
商売上では利ざや・粗利なんて言われたりもします。
しかし、販売や委託に対する手数料をマージンとも言いますので、代理店マージンという言葉自体は幅広く利用できると思います。
関連記事:代理店戦略で全てが決まる|代理店販売を成功させるノウハウ
2.手数料
代理店手数料という言葉は一般的に使われている言葉です。
本来の手数料の意味は、手続き・仲介などの行為の代償として受け取る金を意味しています。
よって、代理店手数料という言葉でマージン設定をしても問題ありません。
関連記事:代理店手数料はいくらが相場?気になる「戻入」についても解説
3.報酬
代理店報酬という言葉も一般的に使われています。
本来報酬の意味とは、労務または物の使用の対価として給付される”金銭や物品”などを意味しています。
よって、代理店報酬という言葉でマージン設定をしても問題ありません。
関連記事:セールスレップと営業代行、代理店の違いは?気になる報酬を解説
4.インセンティブ
代理店インセンティブという言葉を使う方も多いです。
インセンティブには、
- 目標を達成するための刺激や誘因
- 販売目標を達成した代理店への報酬
- 営業ノルマを達成した社員などに支給する報奨金
などの意味が含まれています。
よって、代理店マージンというよりは、一時的なインセンティブという意味合いが強い言葉なので、本来の目的とは若干意味が異なっています。
関連記事:営業インセンティブが多い業界は?支給するメリット&活用方法
5.フィー
フィーとは、
- 手数料
- 料金
- 費用
などを意味する言葉です。
幅広く”お金”を意味する言葉として使われますので、使い勝手は良いかも知れません。
代理店フィーという言葉をよく聞きますが、この言葉を使っても全く問題ないと思われます。
6.コミッション
代理店コミッションという言葉も良く聞かれますが、この言葉は意味が広く少し複雑です。
本来のコミッションとは、口銭や手数料、歩合のことで、インセンティブと類似した意味になります。
また、ある事業や生産行動の成果に対する報酬、報奨金という意味でも用いられています。
しかし、フルコミッション(フルコミ)という言葉で使われる場合には”歩合”という意味になります。
なので、使い方自体は間違っていないですが、インセンティブに近い意味合いがあると考えて良いでしょう。
関連記事:フルコミッションの意味は理解できてる?意外と知らないフルコミの実態
7.グロス&ネット
代理店の中でも広告代理店の業界でよく聞かれる言葉に”グロス”と”ネット”があります。
代理店展開をするのであればぜひ知っておきたい言葉なので、ぜひ押さえておきましょう。
グロスとは”総数”や”全体”を意味する言葉です。
売価:100万円、粗利:30万円の広告を販売する際の100万円がグロスに当たります。
それと比較してネットとは、利益などを意する言葉になります。
よって先程の例では30万円がネットになります。
8.フロー&ストック
フローとストックも一般的なビジネス用語になります。
フローは、ショットやスポットなどと言われたりもしますが、一時収入を意味しています。
つまり代理店マージンで例えると、1回きりしか支払われない代理店マージンを意味します。
それと比較してストックは継続収入を意味します。
フローは1回きりの代理店マージンですが、ストックは一定報酬が継続的に支払われるマージン体系になります。
権利収入や永続収入なんて言われるケースもありますが、貰えるならストック収入の方が魅力的ですね。
関連記事:ストック型ビジネスの副業は個人事業主に最適|ストック収入の作り方
やる気や販売計画に影響する
代理店マージンは代理店制度を構築する上で非常に重要な要素になります。
その理由は、代理店マージンを魅力的に感じて販売してくれる代理店もいるからです。
しかし、代理店マージンを高額に設定し過ぎると本部が儲からないので、ビジネスが継続できません。
だからと言って代理店マージンを低くし過ぎると代理店は売ってくれません。
この辺のバランス感覚は難しいので、やりながらPDCAを回してみるのが良いでしょう。
関連記事:営業アウトソーシングの種類6選と営業代行の料金&成果報酬
代理店マージンの報酬相場
「代理店マージンをいくらにすれば良いのか?」という疑問は尽きることがありません。
しかし、ある程度の目安はありますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
あくまでも一般論ですが、代理店マージンの目安は「販売代理店の場合は売上の40%」「紹介店の場合は売上の20%」と言われています。
これは商材や仕組みによって大きく異なりますので、あくまでも参考程度にご確認ください。
例えば、10万円の商材があった際、販売と顧客フォローをしてもらえる販売代理店には4万円を支払い、見込顧客の紹介までしかしない紹介店には2万円を支払うという具合になります。
このあたりの数字を参考に代理店制度を構築して頂けると良いと思います。
まとめ
代理店マージンは一概に「●円にすれば成功する!」という簡単なものではありません。
なので、代理店側の要望やビジネスモデルによって柔軟に対応できることが重要です。
あくまでも代理店マージンは手段(ツール)であって、その目的は受注を増やすことです。
この目的を見失わないように代理店と交渉していけば、きっと良い結果に繋がっていくことでしょう。
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