キックバックという言葉は、ビジネスの現場で一般的に認知されているフレーズだと思います。
販促活動や新規開拓の際にも有効的だと言われており、社内制度として設けるケースもあれば、個別に提示するケースもあります。
そこで今回は、「キックバック」という言葉の意味や、利用方法、シチュエーション、法律的な問題点まで幅広く解説していきたいと思います。
キックバックを営業や販促に使いたい人は、ぜひご覧ください。
目次
キックバックの意味とは?
キックバックをわかりやすく言い直すと、「謝礼や販促金などを取引先やビジネスパートナーに渡す行為」ということになります。
ビジネスの現場では当たり前に使われている「キックバック」ですが、基本的な目的は販売促進を強化することにあります。
キックバックを渡す相手は取引先やパートナーになりますが、あくまでも販売に協力してくれた”謝礼”として渡します。
このキックバックが貰えることをメリットに感じて、相手は取引に応じてくれたり、販売支援をしてくれるのです。
キックバックの他にも、
- バックマージン
- インセンティブ
- 賄賂(わいろ)
- リベート
などの言い方がありますが、それぞれ特徴があるので詳しくチェックしていきましょう。
バックマージンとは?
キックバックとバックマージンの違いはほぼありません。
どちらもパートナーに対して支払う報酬なので、使い方が似ているのはそのせいでしょう。
ただ、若干ニュアンスが違っているので、ここで押さえておきましょう。
バックマージンの「バック」とは、「戻すこと」を意味しているので、何らかの方法でお金を戻す時に使われたりします。
この「戻す」という言葉の印象から「裏金」を連想させるので、キックバックよりも悪い印象を与えてしまう可能性があります。
インセンティブとは?
インセンティブとは、何らかの営業活動や貢献に対して支払う報酬のことを指します。
その内容は様々で、
- 皆勤賞
- 勤続10周年
- 月間賞
- 社長賞
- キャンペーン金
など企業や仕組みによって大きく異なります。
つまりインセンティブを支払う定義は、営業活動に限らないのです。
なので社内・社外を問わず、柔軟性の高い報酬支払いができると思います。
賄賂(わいろ)とは?
「賄賂(わいろ)」という言葉を一度くらいは耳にしたことがあると思います。
テレビドラマのニュースなどを見ていると、たまに出てくるフレーズですよね。
ただ実際に「賄賂を受け取ったことがある」という人はいないはずです。
なぜかと言うと、賄賂を受け取ることは違法行為だからです。
「贈収賄(ぞうしゅうわい)」という言葉をご存じでしょうか?
政治家が逮捕される時などに「贈収賄罪」という罪に問われるケースがありますが、これがまさに賄賂のことです。
賄賂とは、職業柄キックバックを受け取ってはいけない政治家や公務員などが、金銭などの謝礼を受け取ったり要求すること指す言葉です。
このような犯罪行為は「収賄罪(しゅうわいざい)」と呼ばれ、謝礼を送った方は「贈賄罪(ぞうわいざい)」として逮捕、裁かれることになります。
リベートとは?
キックバックとリベートの意味はほとんど同じで、謝礼や販促金などを金銭で渡す行為になります。
しかし、リベートという言葉には少し悪い印象があって、「リベート=賄賂(わいろ)」というイメージを持っている人も多いと思います。
賄賂を受け取った政治家や公務員が逮捕される事件も起きており、その辺りから連鎖的にリベートのイメージダウンが起こっていると考えられます。
しかし、リベート自体が悪いものではないので、ぜひ販促活動に使ってみてください。
サラリーマンは貰って大丈夫なの?
サラリーマンや正社員で働いていると、営業担当者(商談相手)から個人的なキックバックを提示されるケースが稀にあります。
独立開業している自営業者であれば何の躊躇もないと思いますが、会社員の場合は悩ましいところです。
このようなキックバックは会社の備品やツールの仕入れ、システム導入を比較検討している時に提示されるケースが多く、「個人的にこれを受け取ったら、会社で問題になるのでは?」と気にしてしまう購買担当者も多いはずです。
実際、年収や所得があまり高くない人にとっては、個人的なキックバックが貰えるのは魅力的ですよね。
果たして、このようなキックバックは受け取っても良いのでしょうか?
もちろん答えは「YES」です。
キックバックとは、あくまでも健全な商行為なので、貰うこと自体は全然問題ありません。
ただし、場合によっては違法になるケースもあるので、その内容を十分理解してから貰うようにしましょう。
詳しくは後述する事例で解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。
おすすめのキックバック活用例
キックバックには様々な活用例があり、アイデア次第では売上増加の起爆剤にもなり得ます。
ここではおすすめのビジネス活用例を、わかりやすくご紹介していきたいと思います。
ぜひポイントを押さえて参考にしてみてください。
ビジネスでの活用例
キックバックを活用する目的は、ズバリ「販売促進」になります。
つまり売上として計上された一部の収益をシェアするイメージになります。
そうすると、キックバックを渡す主な相手は、以下の2種類に絞られてきます。
- 購入先(=お客様)
- 代理店(=販売パートナー)
※社員へのインセンティブ(キックバック)は一旦置いておきます。
購入先とは、あなたの製品サービスを買ってくれる、つまりエンドユーザーになります。
この相手と商談を進めていくことになりますが、営業現場では最後の決定打を欠いてしまうケースが稀にあります。
そんな時、
- 契約を決めてもらう為
- 購入を促す為
- たくさん購入してもらう為
などを目的にリベートを提示したりします。
購入側にとっては”お小遣い”になりますし、販売する側は受注が獲れるので、双方にとってメリットがあるのです。
また、代理店のケースも同様です。
販売代理店には営業支援してくれたお礼として、代理店マージンをキックバックします。
これは予め定められた代理店マージンの場合ですが、それ以外も「インセンティブ」や「キャンペーン金」などの名目でキックバックするケースもありえます。
どちらのケースも販売促進効果があるので、売上アップが期待できると思います。
このようにキックバックは上手く活用することで、全体的な販売量を増やすことができるのです。
営業職へのキックバックもある
先ほども少し触れましたが、キックバックは社内向け制度としても活用することができます。
社内向けのキックバックは、一般的に「インセンティブ」と言われますが、実績に応じて支払われる販売奨励金になります。
営業部がある企業では、ほとんどのケースで導入されてるのがインセンティブ制度なので、「インセンティブが欲しいから営業職に転職する!」という人もいるほどです。
実際に営業職のインセンティブは高額で、毎月数十万円のインセンティブが支給されている例も珍しくありません。
営業職はインセンティブで稼ぐ!
インセンティブが高額な証券や保険(金融)、不動産などの業界では「月の固定給よりもインセンティブの方が高い」という逆転現象も起きています。
しかし、売れない営業職はインセンティブを受け取ることができません。
その結果、「全然稼げないダメ営業マン」というレッテルを貼られることになります。
さらに追い打ちをかけるように、月の基本給がとても安いという実態があります。
そもそも営業職の給与はインセンティブを受け取る前提(売ることが前提)で設定されているので、売れなければ極端に低い給料になってしまうのです。
そういう意味では、営業職はハイリスクハイリターンな給与体系とも言えます。
副業で稼げる仕組みがある
副業解禁や働き方改革が推進されている関係で、会社員の副業を支援してくれるサービスが増えてきました。
その中でも高額なキックバックが貰える「営業系の副業支援サービス」が注目されています。
そのようなサービスは「リファラル営業サイト」と呼ばれていて、掲載企業の新規開拓営業を支援するとキックバックが貰える仕組みになります。
営業リソースをシェアリングするようなサービスなので、副業感覚で気軽に稼げることが特徴的です。
とはいえ稼げる金額は決して馬鹿にできなくて、「たった1時間で約10万円以上を稼ぐ」ような人もいます。
時給10万円はとても高いと思うので、営業職の人はぜひチェックしてみてください。
キックバックは違法なの!?
「キックバックを貰うことは違法行為」と勘違している人がいますが、キックバック(リベート)自体に違法性はなく、健全な商行為になります。
しかし、「キックバックは使い方次第で違法行為になり得る」ということは理解しておく必要があると思います。
ここでは違法行為になってしまう事例を、わかりやすく解説していきたいと思います。
違法になる例①
購買担当者が、取引先から商品を仕入れる際にキックバックを貰ったとします。
このキックバック金額を、両者が共謀して仕入れ代金に上乗せするような行為は詐欺罪や背任罪に当たる可能性があります。
このようなケースでは、本来支払う必要のない金額を会社に支払わせ、会社に損害を与えたとみなされるからです。
具体的には以下のようなケースです。
本来100万円で購入できる製品に対して、キックバック金額を上乗せし110万円で請求するように共謀した。
そして上乗せ分の10万円を個人的なキックバックとして受け取った。
違法になる例2
購買担当者が、取引先から商品を仕入れる際に複数回の高額接待を受けたとします。
この飲食代を自分で支払っていれば問題ないですが、取引先が全額負担するケースもあります。
その後、正式発注に至った場合には要注意です。
その際に2人が共謀して、取引先が本来の代金のように見せかけて、接待代を上乗せした請求をした場合、それは違法行為になる可能性があります。
これも本来会社が支払うべきではない接待代が含まれた請求金額になるので、会社に損害を与えた(=実質的に会社のお金で飲食した)ことになるので、詐欺罪や背任罪に当たる可能性があります。
違法になる例3
メーカーが下請け会社に対してキックバックを設定する際にも要注意です。
メーカーが競合退社に負けないようにキックバックを活用すること自体は問題ありませんが、取引を強制する目的でキックバックを利用すると、「正常な市場競争が阻害される」とみなされる場合があります。
そのようなケースでは”独占禁止法違反”に抵触する可能性があるので、事前に弁護士に確認しておきましょう。
まとめ
キックバックは、ビジネスの現場で当たり前のように使われている一般的な商行為です。
しかし使い方を間違えてしまうと「法令違反」になる可能性もあるので、十分注意が必要です。
その一方で、正しい使い方をすればキックバックは販売促進の起爆剤となり、業績に大きなインパクトをもたらします。
よって、あくまでも将来への投資&マーケティングコストとして割り切って活用していきましょう。
ぜひ正しい使い方を押さえた上で、キックバックを営業活動にご活用ください。