代理店展開を考える場合には、事前に”代理店手数料”を決めなければいけません。
しかし、
- 代理店手数料をいくらにすればいいのか?
- 代理店手数料の相場はいくらなのか?
- 代理店手数料はモチベーションに影響するのか?
など疑問は尽きないと思います。
そこで今回は、代理店手数料の仕組みや計算方法などについて解説していきたいと思います。
目次
代理店手数料の呼び方
代理店手数料には様々な呼び方があります。
例えば、「手数料」や「報酬」という日本語に始まり、「コミッション」や「マージン」などの横文字で呼ばれるケースもあります。
しかしどれも言いたいことは同じで、全て「代理店手数料」を意味しているのです。
どの呼称でも販売代理店には伝わると思いますが、ビジネスに慣れていない方には「代理店手数料」とシンプルに伝えた方が無難かもしれません。
その方が気取っていない感じも出せますし、結果的に好印象になるケースが多いと思います。
代理店手数料の仕組み
代理店手数料は”売上”から捻出するので、あくまで一例ですが下記のようなイメージになります。
売値100=原価50+本部利益10+代理店手数料40
これは当たり前の話しですが、メーカー(代理店本部)の利益より、販売してくれた代理店手数料を多くした方が無難なのですが、もちろんそれにはちゃんとした理由があります。
まず意識すべきなのは、営業現場で稼働するのは【販売代理店】であるということです。
つまり実稼働する代理店が儲からなければそもそも意味がありませんし、長続きしない仕組みになってしまいます。
代理店展開の基本的な考え方とは「販売代理店が儲かるから、本部であるメーカーも儲かる」という構図であることをきちんと認識しましょう。
このように「本部が儲かる為に代理店が売る」のではなく、「代理店が儲かるから売ってくれて、結果的に本部も儲かる」という仕組みが理想的なのです。
代表的な例が、光回線や携帯電話などの通信商材や、保険などの金融商材になります。
どれも専業代理店で十分儲かるほどの仕組みが構築できた好例になるので、代理店展開する場合にはぜひ参考にしてください。
代理店の手数料体系(一時収入&継続収入)
代理店手数料には大きく分けて2種類が存在すると言われています。
- 一時収入(ショット、スポット)
- 継続収入(ストックビジネス)
これはビジネスモデルによって異なりますが、IT商材では月額制が多いので継続収入が多くて、売り切り型の商材では一時収入が多い傾向にあります。
この2種類について詳しく解説していきたいと思います。
一時収入(ショット、スポット)
一時収入とは「ショット」や「スポット」とも言われる代理店手数料の体系になります。
他にも「フロー収入」と呼ばれるケースもありますが、どれも同じ意味となります。
どのような呼び方でも、名前の通り一回きりの報酬支払いを意味しているので、そのように理解しておきましょう。
フロー収入は物販に多い仕組みなのですが、販売したタイミングだけ代理店手数料を支払えば良いので、手数料管理が容易になるというメリットがあります。
また販売代理店にとっても、ショットにした方が一回の報酬額が多くなる傾向があるので、営業キャッシュフローを重視する経営の場合には最適だと思います。
継続収入(ストックビジネス)
継続収入とは「ストック収入」とも呼ばれる代理店手数料の体系になります。
ストック型マージンになる商材は、
- IT商材(SaaSなど)
- ウォーターサーバー
- レンタルサーバー
などの月額課金サービスが代表的です。
このような商材は、たった一度の販売しただけでも代理店マージンが永続的に入ってくる仕組みになるので、この仕組みを好む販売代理店はたくさんいます。
営業コストが一回きりなのに、手数料だけ継続的に入ってくる仕組みは、経営が安定するとても魅力的な報酬形態だからです。
しかし一時収入と比較した場合、一回あたりの報酬金額が極端に少なくなるので、継続収入だけで事業化することはなかなか難しいと言えるでしょう。
代理店手数料の相場
「代理店手数料をいくらにするか?」と検討する際の目安になるのが、代理店手数料の相場になります。
世の中には代理店展開している企業がたくさんあるので、競合他社や類似商材の手数料を調べれば、おのずと相場が導き出せるはずです。
例えば相場と比較して、あまりに低い手数料を提示した場合、代理店は「全然魅力を感じない…」と思うでしょう。
また相場と比較してあまり高い手数料を提示したら、代理店本部としての事業継続が難しくなります。
よって、相場に見合った適切な手数料率を探る必要が出てくるのです。
これはあくまで一般論なのですが、代理店手数料は売値の40%、紹介代理店(取次店)の手数料は売値の10%~20%ほどが相場だと言われています。
- 販売代理店の手数料:売値の40%~50%
- 紹介店(取次店)手数料:売値の10%~20%
ただこの相場は製品サービスによっても異なりますので、あくまでも目安値になります。
例えば、不動産のフルコミ営業の場合には仲介手数料の90%を代理店マージンとして支払っているケースもあります。
このようなケースでは仲介手数料100万円⇒90万円が代理店手数料ということになります。
さらに、「フローで支払うのか?」「ストックで支払うのか?」ということによっても代理店手数料の金額は大きく変わってきます。
なので代理店手数料の相場は、あくまでも目安でしかないのです。
よって、代理店手数料を決める時のポイントとしては「きちんと利益が出る範囲内で最大限支払う」ということが正解になってきます。
代理店手数料の戻入(れいにゅう)とは?
あなたは戻入(れいにゅう)という言葉をご存知でしょうか?
あまり聞きなれない言葉かも知れませんが、これは代理店ビジネスをする前に絶対知っておくべき言葉になります。
戻入とは、一度受け取った代理店手数料を返金することを言います。
「代理店手数料って返金する可能性があるの!?」とびっくりした人もいると思いますが、代理店が戻入することは結構一般的な話です。
例えば、代理店が新規顧客に光回線を販売したとします。
その契約内容では、最低契約期間(1年間)があったとします。
しかし、お客様が最低契約期間内に解約となってしまった場合、代理店手数料の戻入が発生するのです。
このように戻入が発生してしまうのには、それなりの理由があるので次で解説していきたいと思います。
戻入が発生する理由を徹底解説
先程の例で取り上げた「光回線」の商材が月額5,000円だったとします。
この売値の50%が代理店マージンだったとすると、1件あたり2,500円になりますよね。
しかし、たった2,500円を貰っても代理店は全然儲かりませんし、積極的に売る気にはなりません。
なので、この2,500円をストック報酬にする案が出てくるかも知れません。
そうなった場合はそれを管理する仕組みが必要になってきますし、毎月支払う手間やコスト(振込手数料)も掛かってしまいます。
ストック報酬を支払う側(代理店本部)としては支払い先を管理する手間が発生しますし、永続的に支払うことは利益を圧迫するのでできれば避けたいところです。
そんな時に出てくる次のアイデアが、1年分をまとめてスポットで前払いするというやり方なのです。
このアイデアでは、「2,500円×12ヶ月=30,000円」を代理店マージンとして1回きり支払って精算するというやり方になります。
ストック報酬のように毎月手数料を管理する必要ありませんし、大きな金額をキックバックできるので代理店側のモチベーションアップにもなるでしょう。
つまりこのような例では、代理店手数料を1年分先払いしたという概念になるので、契約期間未満で解約された場合には「代理店手数料を払い過ぎた」という考え方が適用されるのです。
このようなケースでは払い過ぎた代理店報酬の戻入が発生するのですが、それは結局本部側が儲かっていないからです。
代理店マージンは”本部の利益”から捻出するので、本部が儲からないと手数料支払うこともできません。
そのような考えで、代理店手数料の戻入が商習慣として残っているのです。
代理店手数料には様々なパターンがある
ここまで読み進めた人は、代理店手数料には様々なパターンがあることを確認できたと思います。
代理店手数料の基本構造は、
- ショット
- ストック
- ショット+ストック
の3種類になります。
しかし、その中身はシンプルではなく、意外と複雑なものが多いのです。
よって、代理店展開の知識が無い状態で代理店制度を構築してしまうと、取り返しのつかない失敗をしてしまう可能性があります。
代理店展開は一度走り出したら止めることができません。
なぜならば、自社だけの話ではなく、代理店という複数のパートナーが関わる話になるからです。
走り出した代理店展開の選択肢は、
- 走り続けるか?
- 撤退するか?
という2択になることが多いです。
途中で代理店制度を改定するような事態にならないように、事前に情報収集してしっかりと代理店制度を構築するようにしましょう。
代理店制度の構築コンサルティングを提供することもできますので、もし代理店制度にお悩みがあれば、ぜひ弊社(WEBX Inc.)にご相談下さい。
※お問い合わせフォームには「代理店制度について」とご記載ください。
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