営業職として結果を残すためには、やはりビジネスマナーを理解しておかなければいけませんよね。
せっかくアポイントが取れても、相手に不快感を与えてしまっては商談がまとまりません。
また、普段から良い印象を与えて、「何かあったらこの人に頼もう!」と思わせることも大切です。
そこで今回は、営業マナーの基本から身だしなみ、名刺交換、敬語や言葉遣い、電話応対まで、じっくり解説していきたいと思います。
目次
営業のビジネスマナーとは?
人間の第一印象はズバリ”見た目”で決まります。
たとえどんなに人柄&頭脳が素晴らしくても、ヨレヨレのワイシャツに泥のついた革靴では「ダメ営業マンだなぁ…」と思われてしまいます。
すると、どんなに用意周到な営業トークを繰り広げても、「この人に任せて大丈夫だろうか?」と疑われかねません。
なので、営業職として活躍したいのであれば、まずは身だしなみをしっかり整えましょう!
営業職は”身だしなみ(見た目)”が大切!
営業にとって見た目の印象は「とても重要」だと言われており、それはメラビアンの法則でも証明されています。
当たり前の話ですが、不衛生な格好で、まるで寝起きのような髪型では門前払いされてしまいますよね。
なので清潔感があって、「いかにも仕事ができそう」なスタイルにすることがポイントです。
中でも、髪型や顔は真っ先に目に入るところなので一切手抜きができません。
茶髪や長髪は印象が悪くなるので、適度にトレンドを取り入れた短めの髪型で清潔感を出すといいでしょう。
営業職の髪型については別の記事でまとめているので、もし良ければご覧ください。
また髭(ひげ)は不潔に見えることがあるので、基本的に営業職は伸ばさない方が無難ですし、メイクをしない男性でも眉毛くらいはナチュラルに整える気遣いをするべきだと思います。
その一方で、女性の場合は多少明るい髪色でも印象が悪くならないので、派手すぎない髪色にするのはOKです。
化粧も派手にならないナチュラルメイクにして、明るい顔の印象に仕上げると、取引先から好印象を得られるはずです。
スーツや服装にも気を遣う
次に、服装についてです。
男女共通の事項として社内ルールがある場合はそちらを優先した方が無難ですが、スーツはオーソドックスなネイビーカラーをチョイスしましょう。
グレーやブラウンのスーツでも良いのですが、それだとワードローブが膨れるだけです。
なので、一般的なネイビーカラーのスーツにまとめてしまい、そのスーツの色に合う小物(シャツやネクタイなど)を集めた方がコスパも良いと思います。
スーツの着こなしや選び方について悩んでいる場合には下の記事を参考にしてください。
そして何よりも清潔感があって、品がよく、誰からも好感が持たれる服装であることが大切です。
ワイシャツやブラウスには必ずアイロンをかけて、ネクタイはシンプルで派手じゃないものにします。
夏にはクールビズを取り入れている企業や社内全体が服装を自由にしている場合もありますが、その場合は多少カジュアルになっても良いでしょう。
男性ならポロシャツやジャケットにノータイ、女性ならスカートまたは、パンツスタイルにブラウスやカーディガン、ジャケットなどがビジネスで許される範囲です。
営業職のスーツ事情については別の記事でまとめているので、もし良ければご覧ください。
その他、目立つ大きめなアクセサリーは印象が良くないので、小ぶりで控えめにするのがマナーです。
さらに、手の爪は意外に目立つ部分なので伸ばしすぎないよう注意しましょう。
営業職は敬語をマスターする!
人に会うことが多い営業職にとって、敬語をマスターするのは必要不可欠だと思います。
言葉遣い1つで商談がまとまらないこともあり得るので、これから営業の仕事をしようと考えている人は、正しい言葉遣いを常に意識しましょう。
例えば、「すみません」は日常的によく聞く言葉ですが、目上には使わない言葉なのでビジネスの場ではNGです。
謝罪したいときには「すみません」ではなく「申し訳ございません」と言います。
×:すみません
○:申し訳ございません
人に声をかけるときに「ちょっとすみません…」と言いたくなりますが、これもNGキーワードです。
正しくは「恐れ入りますが…」と声をかけます。
×:ちょっとすみません…
○:恐れ入りますが…
また、相手の名前を知りたいときに「お名前を頂戴できますか?」と言っている人を見かけますが、これもNGです。
正確には「お名前を伺ってもよろしいですか?」と言うのが正解になります。
名刺を貰いたいときは「お名刺を頂戴できますか?」と言うのが正しいのですが、名前を聞くときに「お名前を頂戴できますか?」とは言いません。
×:お名前を頂戴できますか?
○:お名前を伺ってもよろしいですか?
「とんでもございません」もよく使われるビジネス言葉ですが、これも正しくありません。
「ない」を「ございません」にして正しく伝えたつもりですが、そもそも「とんでもない」で一つの言葉です。
目上の人にも「とんでもないです」と言うのが正解です。
×:とんでもございません
○:とんでもないです
その他に、上司や取引先などへの返事として、「了解しました」と言う人もいますが、これも目上の人に使う言葉ではありません。
「了解」というのは上の人間が、下の人間に許可を与える言葉です。
ビジネスの現場では、「承知致しました」「かしこまりました」と言うようにしましょう。
×:了解しました
○:承知致しました
このような敬語は慣れていないと難しく感じますが、覚えてしまえばさほど難解ではありません。
もし苦手意識がある場合には、毎日のように敬語を目にして、頭にインプットするのが良いと思います。
その時には「敬語に関する本」を持ち歩くというのもおすすめです。
「本を持ち歩くのはめんどくさい」と感じるのであれば、敬語に関するweb記事をブックマークしておいて、移動中に眺めるだけでも効果的でしょう。
スマートな名刺交換術を身につける!
営業活動では名刺交換が欠かせません。
1日に何十人と名刺交換することもあるので、きっと大量のストックを持ち歩いていることでしょう。
名刺を交換するというのは「初対面」を意味するので、この時に好印象を与えることができれば、その後の円滑な商談につながります。
なので、ここでは基本的な名刺交換の手順について解説しておきたいと思います。
名刺交換の流れ
まず名刺交換をする場合には、挨拶する時にあらかじめ名刺入れを用意しておきましょう。
この「名刺入れ」を軽んじているセールスパーソンをたまに見かけますが、絶対にちゃんとした名刺入れを持ち歩くようにしましょう。
その理由は下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
名刺入れは内ポケットや鞄の外ポケットなど取り出しやすい場所に入れておきます。
そして、名刺交換する時には両手で行いましょう。
この際、「▲▲株式会社の●●と申します」という具合に、会社名、部署名、肩書き、フルネームなどを伝えます。
すると大抵、相手も同時に名刺を出してくるので、右手で自分の名刺を渡し、左手で相手の名刺を受け取ります。
名刺は両手で受け取るのが基本なので、片手で受け取ったらすぐに右手を添えるようにし、さらに、「頂戴致します」と述べるのがビジネスマナーです。
また名刺交換の相手が複数人いる場合は、「役職が上の人から交換をする」というルールがあります。
なので、慌てて上司より先に名刺交換してしまわないように気を付けましょう。
さらに名刺交換が終わって、そのまま商談や打ち合わせに入る場合は、自分の左側に相手の名刺を置くのがマナーです。
この時、自分の名刺入れを座布団にして相手の名刺を置くようにします。
数名で着席する場合は、座る順番と名刺の並べ順を一緒にすることがマナーなので、その順番を照合させれば「この人の名前は…」みたいなシチュエーションが起こらないのでリスクヘッジにもなります。
訪問営業のマナー
営業マンが会社訪問する時にも、ビジネスマナーは存在しています。
代表的な例が、相手の会社に入る時にはコートを脱ぐことです。
玄関先で上着を脱ぐことは訪問営業のマナーであり、上着を着たまま相手の会社に入ることは失礼な事に当たります。
他にも受付対応があります。
受付では自分の所属と目的をはっきりと告げて、商談相手を呼び出してもらいますが、待っている間は席に座って待つことになります。
しかしこの時にボーっと待たないで、会社内をよく観察するようにしましょう。
一般的な会社では、来客の待ち合わせ場所に賞状や、会社製品、パンフレットなどを置いています。
ここに置かれている情報は『その会社が一番伝えたい情報』だと考えられるので、それが商談時のネタにもなり得るのです。
商談ルーム(会議室など)へ案内された場合には、自分から上座に座るようにして、相手に恥をかかせないように気を遣いましょう。
そして出されたお茶は、相手から勧められるまで基本的には口にしてはいけません。
もし勧められたとしても全て飲み干すことはNG行為です。
全て飲み干してしまった場合、「お茶の量が少なかった…」と相手に暗示することになるので、相手に恥をかかすことになります。
これらはビジネスマナーというよりも『一般的なマナー』だと思うので、そこまで難しくないと思います。
メール&電話は営業の基本ツール
営業ではアポイント獲得、提案営業、フォローアップ営業、お礼メールなど、様々なシチュエーションがあるのですが、それらはメール&電話で行う機会が多いと思います。
なので、セールスパーソンはメール&電話を使いこなす必要があるということです。
しかし電話&メールは相手の顔が見えないだけに、失礼がないようビジネスマナーをきちんと押さえなければいけません。
メール営業の基本マナー
まずはEメールの件名ですが、件名はメールの内容が一目で分かるものにします。
受け取る側の相手がたくさんのメールを受信している場合、内容が分かりにくい件名の場合は「重要度が低い」と思われてしまうことも少なくありません。
なので「どんな用件のメールなのか?」を件名で伝えることも、営業マンの腕の見せ所です。
本文の宛名には、会社名、部署名、役職名、フルネームに敬称もきちんと入れて、メールの最後に入れる署名は、会社名、部署名、フルネームを上から順に入れ、その下に住所、電話番号、メールアドレスなどを入れて、いざという時すぐに連絡できるようにしておきます。
もしSNSアカウントを持っているのであれば、FacebookなどのURLを記載するのもおすすめです。
メール署名の例を記載しておくので、ぜひ参考にしてください。
●●●株式会社
代表取締役
▲▲▲
東京都■■■1-1-1 営業ビル3階
TEL:03-1234-××××
E-mail:info@××××.co.jp
電話営業の基本マナー
もし自分から営業電話をかけるときは、時間帯に注意しましょう。
朝や夜間、昼食の時間帯などは失礼に当たるので、できる限り避けることが好ましいのですが、逆にその時間を狙うというやり方もあるので、この辺りは肌感覚で調整してください。
そして電話がつながったら、社名や名前をはっきりと伝えましょう。
目的の相手が電話口に出たら、再び社名と名前を伝えるのですが、以前に会ったことがある人なら「先日はありがとうございました!」などの一言を添えると印象が良くなるでしょう。
さらに、相手から電話をもらっていて折り返した場合には、その旨を伝えると分かりやすいので、「10時に■■様からお電話を頂いた××です。その折り返しをさせて頂きました…」などと伝えます。
この他にも、相手から電話が掛かってきた場合には、3コール以内に出るのが基本的な電話マナーとなります。
これは社内の電話でも社外からの入電でも変わりありません。
大手企業ではたくさんの支店や子会社がありますが、その社内電話には業務効率化を図る為に3コール以内(理想的には1コール以内)で受電することが求められます。
そして、かけてきた相手が名乗ったら、自分の社名と名前を復唱しましょう。
もし相手が名乗らない場合は、こちらから聞いても失礼には当たりません。
その場合、「××株式会社の●●と申しますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と自分の身元を明かしてから穏やかな口調で伝えましょう。
オンライン商談(web商談)のビジネスマナー
先程も少し触れましたが、コロナパンデミックの影響でリアルな商談機会や、名刺交換会が減り、その反面「オンライン商談会」が多くなったのは記憶に新しいはずです。
これまでオンライン商談をしていなかった人でも強制的にせざるを得ない状態になったので、大きなパラダイムシフトが起こったと言えるでしょう。
それに伴い、「オンライン商談のビジネスマナーはどうすれば良いの?」という疑問が出てきています。
オンライン商談のビジネスマナーはリアル商談と違うので、ぜひここで押さえておきましょう。
実はオンライン商談のビジネスマナーはまだ明確に確立されていませんが、それでもいくつかマナーが存在するので、まずは一覧にしてご紹介していきます。
- 身だしなみをチェックする
- アポイントの時間を守る
- きちんと自己紹介する
- 背景を設定する
- 連絡先を交換する
- 相手より後に退出する
これらを一つづつ解説していきたいと思います。
1:身だしなみをチェックする
web商談は在宅OKなので、「服装はどうすればいいのか?」という疑問が出てくると思います。
まず前提として、web商談でもリアルの商談でもビジネスには変わりありません。
なので、勿論きちんとした服装をしなければいけません。
とはいえTPOに合わせた服装で構いませんので、「必ずジャケットを着用する」みたいな制約はないと思います。
相手に応じてポロシャツにしたり、YシャツだけにするのもOKです。
営業職の服装については下の記事にまとめているので、ぜひご覧ください。
2:アポイントの時間を守る
これは当たり前の話ですが、アポイントの時間を守ることはビジネスにおいてとても重要なことです。
会社訪問やリアルの商談であれば”遅刻する営業マン”は少ないと思いますが、オンライン商談になると遅刻する人や失念する人が増加する傾向にあります。
その理由は明確で、移動時間や準備時間を加味しなくなるからです。
もし仮に訪問するのであれば、会社を出る時間や、移動手段などを決める必要があるので、スケジュールとしてインプットされるのですが、web商談の場合は『移動時間ゼロ』なので、準備時間が一切加味されません。
そして移動する前提なのであれば、その時間を加味して15:00アポイントなら10分前の14:50頃に到着しようと心掛けますよね。
しかしオンライン商談の場合には、15時ちょうどにログインすれば良い為、約束を失念してしまうケースが出てしまうのです。
もちろん15:00アポイントで、14:50からパソコン前で相手を待っていれば大丈夫なのですが、ほとんどのビジネスパーソンは15:00アポイントの場合、15:00きっかりにログインしようとします。
なので、直前にバタバタしていたり、作業に没頭しているとアポイントの時間をすっかり忘れてしまうのです。
結果的に「遅刻する」という羽目になり得るので、必ず5分前にはPC前で待機するようにしましょう。
3:きちんと自己紹介する
いざzoomへログインして、web商談を始める時には、まず始めにきちんと自己紹介しましょう。
オンライン商談では名刺交換する機会がないので、自分の会社名や氏名をきちんと伝えないと、相手は誰なのかインプットしてくれません。
なので、最初はお互いの役職や氏名などを話題にすると、スムーズにアイスブレイクできるはずです。
もし営業トークに課題を感じている場合には、ぜひ下の記事もご覧ください。
4:背景を設定する
zoomやGoogle meetsなどでは、自由に背景を変更することができます。
会社事務所であれば背景を設定する必要はありませんが、リモートワークなのであれば、背景を設定する気遣いが必要でしょう。
というのも、在宅ワークの人が背景を設定しないと、部屋の様子がわかってしまうので、商談に集中することができず、お互いにとってメリットがありません。
なので背景を設定するべきですが、せっかくなら単なる単色背景ではなく、少しこだわった背景を設定するのがおすすめです。
例えば、
- 名刺の画像
- 製品サービスロゴ
- 自分の趣味に関連する画像
などをチョイスするのが良いでしょう。
web商談では名刺交換できないので、自分の名刺画像を背景にするとアピールしやすいですし、製品サービスのロゴを背景に設定すれば、ブランディングにも役立ちます。
また「自分の趣味に関連する画像」を背景画像にすると、会話ネタにもなるのでオススメです。
5:連絡先を交換する
オンライン商談では、「ネクストアクションの設定が難しい」と言われています。
ネクストアクションとは「次回どのようにセールスするか?」というマイルストーン的な意味合いがあるので、それをきちんと決めなければ、失注するハメになるでしょう。
その為には、メールアドレスはもちろん、facebook、LINEなどのSNSを積極的に交換するようにしましょう。
6:相手より後に退出する
これは自分がセールスする側という前提ですが、相手より後に退出するという気遣いが必要だと思います。
web商談では退出するタイミングを自分で決めるので、できる限り相手を立てた方が無難です。
いきなり退出されてしまうと、意外と印象が悪くなるので十分注意しましょう。
マナーは基本から覚えていこう
ここまで読み進めた人は、「営業活動ではビジネスマナーが非常に大切」ということが理解できたはずです。
1件でも多く受注する為には、なるべく相手に好印象を持ってもらい、丁寧なビジネス応対をする必要があります。
ビジネスマナーはシーンに合わせて様々ありますが、まずは基本から覚えておくことが大切でしょう。
迷った時は先輩や上司からアドバイスをもらいながら、きちんと基本を押さえつつ、売上アップを目指していきましょう!