社会人になれば、ほとんどの人がスーツを着ると思いますが、特にスーツに関する知識を学ぶことはなく、なんとなく惰性でスーツを選んでいるはずです。
というのも、ビジネスマナーや業務スキルは会社で教えてくれますが、スーツの着こなし方や選び方まで教えてくれるような会社は無いからです。
もちろん新入社員研修で教わる機会もないので、特に意識する事なく今まで過ごしている人が多いはずです。
そこで今回は、なかなか知る機会のないビジネススーツの選び方や着こなし方について解説していきたいと思います。
この記事では「メンズスーツ」に限った情報をお伝えするので、ビジネスマンや営業マンの人は是非ご覧ください。
目次
ビジネススーツにはマナーがある
新社会人として入社するタイミングには、何着かビジネススーツを買い込みますよね。
そのようなタイミングでは、あまり深く考えず量販店に行ってスーツを買ったり、百貨店でスーツを買う人がほとんどだと思います。
しかしよく考えてみると、スーツはビジネスパーソンにとっての「戦闘服」と言えるので、適当に選ぶことは絶対良くないことに気付くはずです。
実際にはその通りで、ビジネススーツの着こなしにはルールがあるので、それを知っておかなければマナー違反になったり、自分の格を下げることに繋がってしまうのです。
例えば、パンツのポケットにスマートフォンを入れていたり、タバコを入れている人を良く見かけますが、それはスーツを着こなす上でのNG行為です。
スーツのパンツにはポケットがついているので、なんとなく物を入れてしまうかもしれませんが、本来は飾りの役割なので物を入れてはいけないのです。
なぜかと言うと、スーツのシルエットが崩れてしまうからです。
上着のポケットも同じく物を入れてはいけません。
唯一、小物を入れて良い部分は内ポケットぐらいですが、それも名刺入れや手帳など薄めのものだけです。
この常識を知らずに営業していると、年配のお客様や博識のお客様から「マナーを知らないダメ営業マンだなぁ…」と思われてしまいます。
もちろん一般的な冠婚葬祭時の着こなしマナーも知らなければいけません。
特に若手社員は、徐々に結婚式へ出る機会が増えるはずなので、それを知らないままだと恥をかいてしまいます。
そのようなマナーをしっかり身につけた上で、お洒落に着こなすのが正しいスーツスタイルなのです。
買い揃えるべきスーツセットとは?
これからスーツを購入する人は、ぜひ参考にしてほしいですが、新社会人として必要なスーツは3着程度だと思います。
そうすると次は、「どのようなスーツを買えばいいのか?」という疑問にぶち当たりますが、その答えは「濃紺のスーツ一択」だと言えます。
世の中の流れや、社内の流行りなどに乗って、ブルー系やグレー系スーツなどを着ている人がいますが、それは極力避けた方が無難です。
なぜかと言うと、色々なデメリットを被るハメになるからです。
具体的に言うと、ビジネススーツを濃紺色に統一すれば、あなたのワードローブは合理化され、コストメリットまで出てくるのです。
例えば、あなたは濃紺のビジネススーツを3着購入したとします。
すると、濃紺スーツに合うワイシャツやネクタイ、革靴、バックなども購入しますよね。
当たり前の話ですが、それらは全て濃紺スーツに合うアイテムばかりです。
しかし、グレー系のスーツをワードローブに1着混ぜた場合、そのスーツに合う茶系の革靴を購入したり、普段つけないような茶系のネクタイを購入する羽目になるのです。
そうすると、ワードローブがどんどん大きくなっていって、なかなか着ないアイテムで溢れてしまうのです。
そのような無駄な買い物をしていくと、結果的に出費が大きくなってしまい、コスト面でもデメリットを被る羽目になります。
なので、もしスーツを買う場合には、原則的に「濃紺のスーツ一択」なのだと理解しておきましょう。
スーツの買い方&選び方
ここから、ビジネススーツの選び方について解説していきたいと思います。
ビジネススーツの買い方や選び方は社内研修で教えてくれないので、しっかり押さえておきましょう。
そのような微妙な差が、ビジネスの現場では競合他社やライバルとの違いになったりします。
なので「優秀なビジネスパーソン」が演出できるようなスーツを選ぶようにしましょう。
激安スーツでもOK?
紳士服店や量販店などで「激安スーツ」がたくさん販売されています。
激安スーツの定義はありませんが、おおよその目安として上下合わせて1万円ぐらいが激安に当たると思います。
一昔前はスーツ一着5万円ぐらいが普通でしたが、それが3万円になり、今ではたった1万円でスーツが買えるのです。
しかし、安いスーツには安いなりの理由があります。
それは既製品であることです。
既製品のスーツは肩幅やウエストなどがある程度決まっていて、そのシルエットに自分の体型を当てはめるようなイメージで選ぶことになります。
なので、どうしても「ジャストフィット」と言えるようなサイズ感のスーツが見つかりにくいのです。
そういった意味では、ある程度妥協したスーツ選びになってしまうはずです。
とはいえ、「全員が高級スーツを買うべき!」と主張するつもりはないので、資金的に余裕がない人は激安スーツでも問題ないと思います。
スーツを着る目的は自己演出です。
「デキるビジネスパーソン」を演出するために問題がないのであれば、激安スーツを買うことも選択肢の一つだと思います。
ストライプ柄はあり?
スーツにはストライプ柄がありますよね。
ある程度会社に慣れてきた中堅社員に代人気のストライプ柄ですが、その種類は大きく分けて2種類あります。
- シャドーストライプ:生地の織り方でストライプ柄を作る
- ピンストライプ:生地と違う色の糸でストライプ柄を作る
どちらも一般的な柄なので、ビジネスで使用することは全く問題ありません。
しかし、ストライプの幅には注意するようにしましょう。
ストライプの幅が広くなりすぎるとカジュアル感が出てしまうので、広くても1.5cm以内のストライプ幅にした方が無難だと思います。
ピンストライプの場合にも、生地の色の差が大きすぎると目立ってしまうので、差は小さい方が良いでしょう。
ストライプ柄の考え方というのは、目立ち過ぎず&主張しないことが前提だと覚えておきましょう。
スリーピースでもいいの?
スーツを買いに行くと、スリーピースのスーツが売っていますよね?
スリーピースを着たことがない人にはハードルが高いように感じますが、一般的にはツーピースのスーツよりスリーピースの方がフォーマルな装いとされています。
元々、スーツといえばスリーピースを指していたので、スリーピーススーツをビジネスで着ることは全く問題ありません。
むしろ、その方がルールに乗っ取ったフォーマルな服装だと言えますが、ベストの料金がスーツ代に上乗せされるので、無理してスリーピースにする必要まではないと思います。
しかし、お金に余裕がある場合は、ぜひスリーピースのスーツに挑戦してみましょう。
シルエットはどう選ぶ?
スーツスタイルをカッコ良く見せるためには、サイズ感が重要ですよね。
自分に一番似合うサイズのスーツを買わなければ、せっかくの高級スーツも台無しになります。
なのでまず押さえておくべきは、スーツには3種類のシルエットがあるということです。
- ブリティッシュ
- イタリアンクラシコ
- アメリカントラッド
この3種類のうちどれが良いとか悪いという話ではなく、自分の体型に最も合うシルエットを選ぶべきなのです。
実は、ほとんどのスーツ売り場が、この3つのどれかをテーマにした販売がなされています。
ということは、「ブリティッシュが似合う人」がアメリカントラッドのスーツ売り場に行っても、そもそも自分に似合うシルエットのスーツが見つかりにくいのです。
なので、まずはそれぞれの特徴を理解して、「どのシルエットのスーツが自分に一番似合うのか?」を探すことから始めてみましょう。
長身&細身の人にオススメなシルエットです。
スーツの原点とも言われており、人間の身体に沿った流れるようなシルエットが特徴的です。
胸には厚みを持たせて、ウエストは絞ってあるスタイルなので、そのような体格の人にはピッタリでしょう。
中肉中背体型の人におすすめのシルエットです。
ブリティッシュよりも少しゆったりめのラインですが、ウエストは絞ってあるので自然なスタイルに仕上がります。
やや長めの着丈になっていることが特徴的です。
大柄でがっちりした体型の人におすすめのシルエットです。
アメリカントラッドでは、肩パッドが入っていないケースもあるので、体育会系出身のガッチリした体格の人におすすめしたいスーツです。
スーツは生地感が重要
スーツを選ぶとき、最もこだわって欲しいのが生地選びです。
スーツといっても服飾なので、その素材感が最も重要になります。
濃紺のスーツと光沢がある生地は相性抜群です。
これは一般論ですが、高級なスーツほど生地に光沢感が出てきます。
そして高級な生地は、肩周りがとても動かしやすいことも特徴的です。
生地選びまでこだわると、オーダーメイドスーツに行き当たりますが、料金が高額になってしまうので、新人の頃は量販店の既製品でも良いと思います。
サイズ感はどうする?
ビジネススーツというものは「サイズ感こそが全てだ!」と言っても過言ではありません。
なので、ここではどんなサイズのスーツを買えばいいのかお伝えしていきたいと思います。
まずジャケットの肩幅ですが、自分の肩幅と同じか、少し狭いくらいのサイズ感がベストです。
そしてジャケットのボタンを閉めた時、前面のウエストが皺にならないこと、背中や脇にも皺が入らないようにしましょう。
ジャケットの長さは、お尻がギリギリ隠れるぐらいの長さにして、お尻が出てしまう短い着丈のジャケットは原則NGです。
そして袖丈ですが、シャツの袖が1.5センチほど見える長さがベストになります。
これはシャツ袖の長さとも関係してくるので、スーツを選ぶ場合には普段着ているワイシャツを持参した方が良いと思います。
そしてパンツの裾に関しては、多くの人が悩むポイントだと思います。
パンツの裾には「シングル」と「ダブル」があるので、よく分からずに悩んでしまいますよね。
なんとなくその時の気分で「シングル」にしたり、「ダブル」にしている人が多いことでしょう。
しかし基本的にパンツの裾は「シングル」を選ぶようにしましょう。
もちろん「ダブル」がルール違反ということではありませんが、全体シルエットに合わせて折り返しの長さを調節したり、靴との相性も考えないといけないので、面倒が増えてしまいます。
なのでパンツの裾はシングルにした方が無難だと思います。
それと同時に、パンツ裾丈についても考えなければいけません。
これも多くの人を悩ます問題ですが、パンツの裾は「ワンクッション」「ハーフクッション」「ノークッション」などを種類があるので、困ってしまいますよね。
どれもフォーマルな装いなので問題ありませんが、もし迷うようであれば「ワンクッション」にしておきましょう。
個人的にはノークッションのスタイルが好みですが、ノークッションは靴下とのバランスを考えたり、革靴のシルエットにも制限が出てきてしまいます。
これらを考えるだけでも大変な作業なので、もし自分で判断できない場合は「ベーシックなサイズでお願いします。」と店員に伝えればOKだと思います。
スーツの販売員はみんなプロフェッショナルなので、お任せにしても大丈夫なのです。
ワイシャツはどうする?
ワイシャツはスーツの次に目立つアイテムなので、絶対に気を抜くことができません。
まずそもそも、ワイシャツは何枚持っているのがベストなのでしょうか?
その答えは人によると思いますが、もし週一回クリーニングしているのであれば、10着以上持っておくのが無難でしょう。
その10着の構成は以下をお勧めします。
- 白無地のワイシャツ:5枚
- 淡い色味(ブルーやピンクなど)のワイシャツ:2枚
- ストライプのワイシャツ:1枚
- クレリックのワイシシャツ:1枚
- ブランド物の勝負シャツ:1枚
ワイシャツ一枚@4,000円だと思えば、合計で4万円ぐらいになると思います。
Yシャツはとにかく種類が豊富なので、何も考えずに買い始めてしまうと、ワードローブが滅茶苦茶なことになります。
しかも「持っているほとんどのワイシャツは使っていない…」という状態になるのです。
なので、思い切って絞り込むことも必要だと思います。
とりあえずビジネスシーンで万能な「白無地のワイシャツ」を半分持っておき、後はその時々のTPOに合わせて変えられるようなワードローブ構成にしておきましょう。
ここぞという時の勝負服として、ブランド物のワイシャツを一着持っておくこともお勧めします。
もしワイシャツについてもっと知りたい場合には下の記事をご覧ください。
ネクタイはどうする?
スーツスタイルを完成させるための必須アイテムがネクタイです。
最近はクールビズが流行っているのでネクタイを巻く機会が減っていますが、ネクタイは多種多様な柄や素材が出回っているので、選ぶのが大変だと思います。
その中でも絶対に持っておくべき色は、
- ブルー系のネクタイ
- レッド系のネクタイ
- シルバー系のネクタイ
だと思います。
ブルー系のネクタイは「誠実さ」が伝わる色味なので、商談時や謝罪の時に使うことができます。
そしてレッド系のネクタイは「情熱」を伝えることができるので、大事なプレゼンテーションで締めるのが良いでしょう。
シルバー系のネクタイは汎用的なので、普段使いにも最適です。
この三つがあればとりあえず問題ありませんが、冠婚葬祭用に白色のネクタイと黒色のネクタイも準備しておいた方が良いでしょう。
ネクタイについてもっと詳しく知りたい場合は下の記事をご覧ください。
まとめ
ここまでビジネススーツの選び方や買い方について解説しましたが、再三お伝えした通り、このような情報は社内研修で教えてくれません。
先輩社員も知らない知識なので、自分で学ぶしかないのです。
そのようなちょっとした差が、あなたの実績に繋がるはずです。
世の中の成功者と言われている人達は、自分の価値観と合うような人を求めています。
もちろん「スーツの着こなしがきちんとできているビジネスパーソン」を求めているのです。
「たかがスーツのことでしょ?」と思うのは勝手ですが、きちんとスーツを着こなすデメリットなど無いはずです。
むしろかっこよくスーツを着こなして、優秀なビジネスパーソンを印象づけるメリットの方が大きいはずです。
それは「メラビアンの法則」とも結びついてきます。
適当にワードローブを拡大するのではなく、合理的な戦略を持ちつつ、お洒落も楽しみましょう。