
代理店といっても様々な形態があり、その全てを把握している人は少ないです。色々な代理店スキームが存在する理由はビジネス自体が千差万別だからです。代理店を活用するのはビジネス上での話なので、そのビジネスの仕組みやスキームに合わせて適切な代理店の仕組みを選択しなければいけません。
そこで今回は代理店制度の仕組みやスキームを一覧にしてまとめてみました。ぜひビジネスの参考にしてみてください。
概要
代理店についての基礎知識
まずは基本となる情報「代理店とは?」を押さえておきましょう。
そもそも代理店とは、自社に代わって販売を代理してくれる個人や法人を意味しますので、ビジネスパートナーに該当します。
世の中には営業職と言われるセールスマンが存在するのに、なぜ代理店が必要なのでしょうか?
代理店を活用するメリット
代理店を活用するメリットはいくつかあります。
最も大きいメリットは販路を拡大できることでしょう。つまり、代理店の既存顧客や販路を活用できるということになります。
自社の顧客や販路などを超越した可能性を手に入れることができるので、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、固定費が掛からないことも大きなメリットです。
自社で営業マンを抱えてセールスを行うと人件費が増えてしまいます。
しかし、代理店に販売を任せることで、固定費を上げずに販路の拡大が実現します。
このように、メーカーにとって都合が良い仕組みが代理店と言えるでしょう。
関連記事:代理店の意味や活用するメリット|代理店制度の内容&違いを徹底解説
代理店展開のデメリット
代理店を活用するメリットがあれば、その反対にデメリットも存在します。
最も注意したいデメリットは「代理店の販売力に依存すること」です。
例えば、直販10:代理店90の会社があったとします。
9割が代理店経由の販売なので、固定費を抑えた代理店展開の成功例とも言えますが、ここで注意が必要です。
この9割を売っている代理店から「やっぱり売るのをやめる」と言われてしまうとメーカーとしては死刑宣告と同様で、事業の存続自体が危ぶまれます。
このような事が起こるケースとしては、代理店が自社製品として開発・販売に乗り出したい場合や、競合他社でもっと儲かる同様の商材が出てきた時などがあり得ます。
どちらにしてもメーカーからすると裏切りに見えてしまいますが、ビジネスである限り仕方がないと思われます。
このような事態は事前に想定することができるので、極力回避できるような施策を行っておくことが大切です。
関連記事:代理店のメリット&デメリット!代理店の仕組みも徹底解説
代理店制度の種類一覧
代理店についての基礎知識がおさらいできたところで、ここでは代理店一覧を14種類ご紹介していきたいと思います。
代理店には本当に様々な種類やスキームが存在していますので、あくまでも一例として参考程度にご確認ください。
1.販売代理店
最も一般的な代理店のスキームです。
あまりに一般的なので詳しい説明はいらないと思いますが、販売から顧客フォローまでを一手に引き受ける代理店スキームになります。
代理店側の業務工数が多いスキームになりますので、比較的規模の大きい販社に向いています。
関連記事:販売代理店の契約書はどうする?手数料や募集方法などの仕組みを解説
2.紹介店
紹介店は名前の通りですが、見込案件を紹介するまでを業務内容にした代理店スキームです。
紹介店は表に出していなことが多いですが、ほとんどの会社が仕組み化して保有しています。
業界によっては「紹介営業」という言い方をしたりもしています。
ただ見込顧客を紹介するだけの簡単な業務なので、代理店からしても手離れが良く、ライトに取り組むことができます。
そのような性質上、副業のように個人が取り組みこともできます。
最近ではリファラル営業(紹介営業)という副業も人気が出てきています。
3.取次店
代理店の中でも比較的有名なスキームです。
しかし、取次店は人によって解釈が異なっていることが多く、実態は販売代理店と同じだったり、紹介店と同じだったりしています。
本来の取次店とは、取次をするまでが業務内容の代理店スキームで、宅配業者などが活用している仕組みになります。
例えば、酒屋の窓口で配達物を受け付けてもらうなどのビジネススキームになります。
このケースでは、酒屋が申込みの受付をし、宅配業者の回収員に荷物を引き継ぐだけで業務終了になります。
例えばこの後、「荷物が破損した」「荷物が遅延した」などの顧客クレームやフォローを酒屋が受けることはなく、宅配業者が行います。
このように「販売代理店>取次店>紹介店」という具合で業務内容が軽くなっていきます。
関連記事:取次店の意味とは?代理店との違いや募集方法まで徹底解説
4.フルコミッション
フルコミとも言われる代理店のスキームで、不動産業界などで多く活用されている仕組みになります。
フルコミッションとは完全歩合制を意味する言葉で、出来高(実績)に応じて報酬を受け取るという契約形態を言います。
これだけ聞くと代理店と変わりが無いようにも聞こえますが、実態としては専属代理店といったニュアンスの方が近いでしょう。
5.業務委託
業務委託と代理店を同一と認識している人は多いと思いますが、正確には異なります。
業務委託はある特定の業務を委託する時に利用する契約形態なので、期間と納品物が指定されていることが一般的です。
これが明確に定まっていないのが代理店と覚えると理解しやすいと思います。
関連記事:完全出来高制の給与はどう決まる?フルコミ業務委託として働く決意
6.販売店
販売店は代理店の中でもメジャーな仕組みです。
販売代理店とほぼ同義で使われていますが、ニュアンスの違いでしかありません。
一般的に、販売店は小売業者を指すことが多く、コンビニ、エステ、サロンなど店舗系がそれに当たります。
しかし、そうでなければいけないという訳ではありませんので、あくまでニュアンス的な使い分けになります。
関連記事:代理店と販売店の違いとは?気になる代理店の種類や募集方法まで解説!
7.特約店
特約店はメーカーと特別な条件で契約している代理店スキームになります。
有名なものでは町の電気屋さんがそれに当たります。
例えば、パナソニックのお店や、日立のお店など町の電気屋があると思います。
あのようなお店は看板にメーカーのブランドを掲示することができるなど特別な条件を受けています。
その代りにノルマを課せられるなど個別条件を提示されることもあるようです。
関連記事:特約店契約をわかりやすく解説|代理店と業務委託との違い
8.総代理店
総代理店とは代理店の取りまとめ役を意味します。
代理店構造はピラミッド型になることが一般的で、その頂点にいるのがメーカー(代理店本部)になります。
しかし、メーカーが製品開発に専念したいという理由から、特定の会社を総代理店に指名することがあります。
このようなケースでは総代理店が代理店本部の位置になるので、代理店募集する権利も含めて全ての営業権を取得することになります。
その代償として権利金などを収めることが一般的です。
関連記事:総代理店とは独占代理店|総代理店のメリット&儲かる仕組み
9.一次代理店
ピラミッド構造の代理店制度でメーカー(代理店本部)の一つ下に位置する代理店を意味します。
比較的規模の大きい会社が一次代理店として活躍しています。
10.二次代理店
ピラミッド構造の代理店制度で一次店の一つ下に位置する代理店を意味します。
中規模~小規模の会社が二次代理店として活躍しています。
11.三次代理店
ピラミッド構造の代理店制度で二次店の一つ下に位置する代理店を意味します。
小規模~個人事業主の会社が三次代理店として活躍しています。
四次代理店はあまり一般的ではないので、三次代理店が最低ラインの目安になります。
12.広告代理店
広告代理店は聞いたことがあると思います。
最も有名な会社では、電通や博報堂があります。
主に広告宣伝やプロモーション、ブランディングまでを一手に引き受けている代理店を一般的に広告代理店と言います。
クライアントに代わって広告戦略までを考えるので、その会社のマーケティング部門的な役割を担っています。
関連記事:広告営業マンの仕事内容|デジタル&web広告代理店に必要なスキル
13.認定代理店(正規代理店)
メーカーから認定(指定)された代理店を言います。
本来は代理店でも良いのですが、偽物が出回り易い商材を扱っている場合や、信頼感が必要な商材などで活用される代理店スキームになります。
高額な商材や信頼が重要な美容・健康系の商材でよく使われている代理店スキームになります。
関連記事:代理店の種類には何がある?代表的な代理店ビジネス5つを紹介
14.パートナー
代理店という言葉ではないですが、代理店展開でパートナーという言葉を好んで使うケースもあります。
このパートナーという言葉自体に特別な意味は無いですが、代理店という言葉を避ける場合に活用されます。
代理店という言葉は人によっては、ややネガティブな印象で受け取られるケースもあり、このような状況を避ける為に、あえてパートナーを使う場合があります。
関連記事:代理店と直販はどっちが有利?代理店を活用するメリットとは?
まとめ
ここまでメジャーな代理店制度から、聞いたことも無い代理店制度まで様々な仕組みをご紹介してきました。
一概にどれが良いと言う話ではありませんが、自社の商材やビジネスモデルに合った代理店制度を選択する必要があります。
代理店一覧は、代理店展開する上で知っておくべき知識で、知っておいて損が無い知識になります。
経営者の方や代理店担当者の方は必ず押さえるようにしたいものです。