営業職として働く場合には、様々な営業手法を経験すると思います。
その中でも「ソリューション営業」は難しい営業スタイルとして知られています。
そこで今回は、ソリューション営業の仕事内容について解説していきたいと思います。
目次
ソリューション営業とは?
ソリューション営業は、「提案型営業」や「ソリューションセールス」とも呼ばれています。
ちなみにソリューションは英語の「Solution」が語源なので、「解決・解答・解明」という意味が含まれています。
つまりソリューションセールスとは「お客様が抱えている問題・課題やニーズに合わせて、最適な解決策を提案する」という営業活動なのです。
ソリューション営業では、表面的に見えている課題だけでなく、顧客自体も気づいていない問題点(=潜在ニーズ)を探り当てるため、ヒアリングに大量の時間を割きます。
それを起点として、クライアントが成長する過程で、長期にわたって、様々なサービスや解決策の提供をしていくのです。
一方的な押し売り型セールス(=売り込み)ではなく、顧客との信頼関係を築きながら、顧客が納得した上でサービス導入するので、顧客満足度の向上につながって契約数も最大化すると言われています。
顧客ニーズによって提案が変化する
それでは、ソリューション営業は具体的にどのような業種・業界に多い職種なのでしょうか?
例えばIT業界の営業職は、ソリューション営業として活躍することが多いことで有名です。
なぜかと言うと、クライアント側にITリテラシーの高い人が少ないからです。
「業務改善できる社内ツールを開発したい!」
クライアントはこのような要望を出してきますが、それを実現する具体案や要件定義などは提出してくれません。
おぼろげにやりたいことをイメージしているだけなので、それを具体化する役目がソリューション営業なのです。
実際の営業現場では、まず営業マンが見込客と打ち合わせをして、相手の課題を把握します。
とはいえ、決して御用聞き営業みたいなスタイルではなく、顧客ニーズに合わせた解決策も提示するのです。
IT系のエンタープライズ商材であれば、開発担当者であるシステムエンジニアを商談に同席させながら提案するケースもあります。
金融商材であれば、証券アナリストを同席させたり、会計士と一緒に専門的な提案を行う場合もあります。
ソリューション営業は、決められたパッケージ製品やサービスを売るだけではなく、お客様に合わせたフルカスタマイズの価値を提供するのです。
ソリューション営業の仕事内容
ソリューション営業では、顧客ニーズに柔軟な対応をしていきますが、顧客ニーズは潜在的なので、見込み顧客の掘り起こしがとても難しいと言われています。
かといって、法人事務所へ飛び込み営業をするような営業スタイルはまずありません。
新規案件獲得のため、導入実績のある類似企業にテレアポして訪問営業することはありますが、単純に物を売るだけのセールス(販売)ではないため、飛び込み営業では効率が悪いのです。
ソリューション営業の場合には潜在ニーズの掘り起こしが必要になるので、セミナーを開催したり、異業種交流会や名刺交換会などに参加して、とにかく接点を最大化させる必要があります。
もし営業セミナーを開催したい場合には下の記事をご覧ください。
そのようなアプローチからインバウンド営業につなげていくのです。
インバウンド営業とは、見込み顧客から問い合わせをもらって、その新規見込みに対して提案をしていく営業スタイルのことをいいます。
主なやり方はインターネットを使った集客ですが、営業顧問を使ったり、リファラル営業サイトを活用するケースもあります。
とにかく見込み顧客に対して認知を広げなければいけないので、そのために使える手段であれば何でも使った方が良いと思います。
むしろそれを考えることも、ソリューションセールスの仕事内容だと言えるでしょう。
ソリューション営業はきついの?
パッケージ商品をセールスする場合は、商品パンフレットが用意されていたり、プレゼン内容がマニュアル化されているので、お客様に提案するやり方は毎回同じだと思います。
もし本筋からズレた見込み案件だったとしても、FAQで対応できるレベルの話しでしょう。
しかし、ソリューション営業はお客様によって製品サービスの内容が大きく変わり、提案時のプレゼンテーションも異なってきます。
つまり、コンサルタントとしての要素が大きくなるので、受け身の営業スタイルでは受注につながりません。
潜在的な顧客ニーズをヒアリングして、痒いところに手が届くようなソリューションを提供しなければいけないのです。
そのためには、顧客の業界動向やトレンド、ニーズの変化などについても情報収集しなければいけません。
なので一般的なセールス職よりも、高い能力やスキルが求められるはずです。
ソリューション営業は残業が多い…
ソリューション営業に従事している営業パーソンは、セールス業務だけをしている訳ではありません。
営業活動の他に、顧客の課題を解決するための仕組みや方法について議論する「社内会議」にも出席します。
そこで決定した内容に基づいた提案資料を準備して、そのプレゼンすら自分で行うのです。
特に納期があるシステム関連のソリューション営業は、納期に合わせて複数回の打ち合わせや提案を行うと同時に、他の企業への新規提案も同時に行わなければいけません。
なので、どうしても仕事量が膨大になってしまうことが特徴的です。
大手企業であればこの辺りを分業しているかもしれませんが、中小企業ではそんな贅沢なこと言ってられません。
営業マン一人でその全ての業務をこなさなくてはいけないので、おのずと長時間労働になり、残業(サービス残業含む)が当たり前になってしまうのです。
そんな仕事が続くと、「仕事が辛い」とか「もう転職したい」と感じてしまいます。
なので、自分なりのやりがいを見つけた方が良いと思います。
一番おすすめなのは、将来の目標を持つことだと思います。
現在の仕事は通過点と考えれば、多少仕事が辛くても耐えられるはずです。
仕事はやりがいあるの?
ソリューション営業においては、お客様のニーズが把握できただけで満足してはいけません。
製品サービスの販売やコンサルティング契約につなげてこそ、売上&利益をあげることができるのです。
その結果、お客様の課題が解決できれば、顧客満足度も上がっていきます。
そのような経緯があって、一旦信頼関係ができてしまうと、「今度社内で新しい企画があるんだけれど、どうすればいいかな?」というような相談を受けることが増えてくるのです。
営業担当者として信頼してもらうことは、何にも代えがたい充実感があると思います。
それはきっと仕事のやりがいにも繋がるはずです。
ソリューション営業はもう古い?
営業現場では時代錯誤ともいえるような旧態依然の営業スタイルが未だに蔓延しており、「あまり進化していない」と言われています。
そのような昔からある営業方法の他にも、少しずつではありますがハイテクを駆使した営業手法も出てきました。
SFAやCRMなどのクラウドツールを活用したり、Zoomなどのオンライン商談システムを利用したインサイドセールスはもはや当たり前ですよね。
インサイドセールスの場合には移動時間が必要ないので、たとえ受注見込みが低いクライアントだったとしても、効率的にアプローチできるのです。
また、顧客との対話を重視するインサイト営業もニーズが高まっています。
「ソリューション営業なんてもう古い!」と言われることもあるので、気になる人は下の記事をご覧ください。
ソリューション営業が無くならない理由
直接客先に訪問し顧客ニーズを引き出すソリューション営業は、昔ながらのやり方なので、もしかしたらもう古いのかもしれません。
それでも、お客様の潜在ニーズをコミュニケーションから導き出し、社内の複雑な関係性を把握して、その解決策を提案できるのは、人と人が膝を突き合わせている対面営業だからこそといえます。
しかも社内の複雑な対立関係によっては、合理性だけを追求すれば上手くいくというケースばかりではありません。
なので、今後もソリューション営業が無くなることは決してないでしょう。
これはどんなにAIが進化しても、人間独自の「感情」という感覚がある限り代替が効かないはずです。
その為には顧客と密なコミュニケーションを図って、信頼関係を構築していきましょう。
本物のヒアリングとは、お客様の懐に入り込んでこそできるものです。
自分の人柄をアピールすることで、商材を選ぶのではなく、「あなたから購入したい!」と思ってもらえるようになります。
この領域こそが本当の「営業活動」なのです。
トップセールスを目指すのであれば、この「営業の本質」とも言える部分をきちんと理解するようにしましょう。