顧客ニーズを把握することは、ビジネスにおいて非常に重要なことですよね。
そこで今回は、顧客ニーズの掘り起こし方について解説していきたいと思います。
目次
顧客ニーズを把握するメリット
営業職にとって、顧客ニーズを把握することは仕事を進める上で重要なステップだと思います。
なぜかといえば、顧客のニーズを把握すれば、様々なメリットが期待できるからです。
例えば、効率的なアプローチ方法を選んで、セールスができるようになることは大きなメリットですよね。
顧客ニーズを十分につかめていない場合、見当違いのセールスをしてしまう可能性があるので、それが原因で失注するリスクも出てきます。
「一生懸命に営業をしても、なかなか結果が出ない…」という人は、もしかしたら顧客ニーズを十分にヒアリングできていないのかもしれません。
顧客が抱えている真のニーズには、大きく2つの種類あると言われています。
- 顕在的ニーズ
- 潜在的ニーズ
この2種類のニーズをそれぞれ把握することで、営業戦術も変わってくるので、営業のスタート地点すら違ってきます。
顧客ニーズを知るためには、この2つの違いについて知る必要があるので、まずはこの辺りについて解説したいと思います。
顕在的ニーズとは?
顕在的ニーズとは、すでに表面化しているニーズのことをいいます。
例えば以下のようなものが顕在的ニーズに該当します。
- がん保険を契約したいが、どの保険が良いのか?
- ウォーターサーバーを買いたいが、どのメーカーの製品が良いのか?
- 軽自動車が欲しいが、性能が良くて安いのはどれか?
このように買いたいモノは明確になっているのですが、まだ決め切れていない状態が「ニーズの顕在化」と言われています。
このような顕在的ニーズがある見込顧客を集客することは比較的簡単です。
そのやり方とは、広告宣伝(PR)すれば良いだけです。
費用対効果(CPA)が合うような広告媒体を探して、そこに広告出稿する…
これだけでビジネスが成立するので、さほど難しい話ではありません。
潜在的ニーズとは?
潜在的ニーズとは、まだ表面化していないニーズのことをいいます。
つまり、漠然とした不安や課題感はあるのに、その解決方法がわかっていない状態を指します。
例えば以下のようなものが潜在的ニーズに該当します。
- 病気になったらどうしよう…
- 水を買いに行くなさいのが面倒だなぁ…
- 今の車よりも燃費が良くて維持費を安くできないかなぁ…
このような課題感があるにもかかわらず、「どうすれば解決できるのか?」と悩んでいる状態はニーズが潜在的になっている状況です。
例えば「病気になったらどうしよう…」という課題を持っているお客様の場合、それを解決する手段はいくつかあります。
- 食事に気をつける
- かかりつけの病院を見つけておく
- フィットネスジムに通う(=運動する)
このように選択肢がまだ絞り込まれていない状態を「潜在ニーズがある」と呼んでいるのです。
顕在ニーズのあるお客様と比べて、潜在的ニーズがある見込顧客を見つけるのはとても難しいと言われていて、何らかの変化球を駆使しなければリード獲得することができません。
つまり、相手は自分自身のニーズにすら気付いていないので、掘り起こし営業が必要になるのです。
これらの特徴をそれぞれ掴んでおけば、的確な営業活動が実現するはずです。
顧客ニーズの掘り起こし方
顧客ニーズに応えることは営業マンにとって必須要件だと言えます。
質問の返答から見えてくる顧客ニーズは、新規開拓する際にも役立ちますし、営業活動のヒントにもなり得ます。
営業職は既存顧客を維持するだけでなく、常に新規顧客を増やし続けなければいけない仕事です。
そのような観点からも、顧客ニーズを掘り起こすことは絶対的に求められるスキルなのです。
もちろん相手のニーズを把握した営業は一般的に成約率が高いですし、効率的なセールスが実現します。
なので、ここでは顧客ニーズの掘り起こし方について学んでいきましょう。
顕在的ニーズと潜在的ニーズで違う
顧客ニーズの掘り起こし方は、相手が「顕在ニーズなのか? or 潜在ニーズなのか?」で多少異なってきます。
あくまでも 一般論ですが、表面に現れている顕在的なニーズを探るときは、顧客からの問い合わせ内容などを参考にするのが一つの方法です。
質問された内容や疑問点などを丁寧にヒアリングして、顧客から寄せられた要望を分析すれば、顕在ニーズはだいたい把握できます。
見つけ方を少し工夫しなければいけないのが、「お客様の本音」とも言える潜在ニーズです。
潜在的ニーズは、顧客自身も気づいていないケースが多いので、このような隠れたニーズを把握するには、営業マンがニーズの掘り起こし作業をしていくしかありません。
この時に重要な役割を担うのがヒアリング能力です。
潜在的ニーズを探る上では、顧客に質問を投げかけなければいけないので、まずは質問内容を考えていきましょう。
その質問方法も「限定質問」から始まり、「拡大質問」へと移行させることが必要となります。
この辺りの知識がない人は下の記事をご覧ください。
他にも、潜在ニーズを探るときのやり方には「アンケート調査する」という方法があります。
アンケートを実施すれば、詳細な回答が得られると思いますが、人間は信頼していない人に自分(個人情報を含む)をさらけ出さないので、この辺りは顧客との”信頼度”が重要となります。
しかしそれが実施できれば、年齢や性別、職業などの細かい顧客属性まで把握できるのでおすすめです。
ただ、「一体どんな質問をすれば潜在ニーズが聞けるのか?」と悩んでしまう人の為にコツをお教えしたいと思います。
そのコツとは「ゴールから逆算的に考える」ことです。
つまり自動車を販売しているディーラーなのであれば、“自動車を買ってもらう”ことがセールスのゴールになるはずです。
ここから逆算していくと、以下のような質問が思い浮かびます。
- 車種は何がいいのか?
- 排気量はどれくらいを希望しているか?
- ボディカラーは何色がいいのか?
- 燃費性能は重視しているのか?
- ハイブリッド自動車を希望しているのか?
しかし、潜在的ニーズのお客様は「今よりもかっこいい車が欲しい」「今よりも自動車の経費を抑えたい」など漠然とした課題を抱えているので、上記のような質問をするよりもっと前の段階にいます。
そうすると、まずは「新しい自動車を購入することは選択肢の一つになり得る」という認知をしてもらうことがスタート地点になるはずです。
ここまで理解できれば、あとはお客様に合わせた質問を投げかけるだけです。
お客様の状況は千差万別なので、色々な方法を試してみてください。
顧客ニーズは変化するのが当たり前
営業職の人は「顧客ニーズとは常に変わるものである」と日頃から認識しておく必要があります。
現代のような情報社会では朝令暮改が当たり前で、顧客ニーズが昨日と180度違うなんてことは日常茶飯事です。
実際、1年前とまったく同じ考え方の人なんていませんよね。
考え方は常にアップデートされていくので、多少の違いは出てくるはずです。
なので「以前断られたお客様だから…」とセールスを躊躇するのはダメ営業マンの考え方です。
営業という仕事は前進あるのみなので、どんどん突き進むしかありません。
まずは「顧客ニーズは常に変化する」というイメージを頭の中に叩き込みましょう!
時期によって変わる顧客ニーズに合わせるには、マーケティングでも広く取り入れられているPDCAのアプローチなどを取り入れて、コンスタントに営業方法を見直していく必要もあります。
「Plan」「Do」「Check」「Action」を繰り返すPDCAのアプローチは計画、実行、検証、改善といった4つのプロセスを順に行って目標をクリアしていく手法になります。
PDCAサイクルの回し方がわからない人は、下の記事もご覧ください。
顧客ニーズに応えるのが営業職である
ここまで顧客ニーズを把握する方法や、顧客ニーズの掘り起こし方を解説してきました。
しかし、営業という仕事をする上で一番大切な考え方が抜け落ちてしまっているので、ここで改めて確認しておきたいと思います。
営業職の仕事といえば、「製品サービスを販売すること」と理解している人は多いですが、実際には違います。
確かに営業職は顧客ニーズに応えて、相手が必要としている商品サービスを提供するのが仕事ですが、決してそれが本質なのではありません。
つまり、商品サービスを提供することは結果論でしかなくて、自動車を購入したお客様が本当に欲しかったのは“自動車”ではないということなのです。
それでは、自動車を購入したお客様が本当に欲しかったものとは何なのでしょうか?
それは以下のようなものです。
- 家族とドライブに行くこと
- 恋人と楽しい旅行に行くこと
- 子供の送迎をラクにすること etc.
この課題を解決する為の手段が「自動車の購入だった」というだけなのです。
そのような観点から営業職を考察すると「お客様の課題を解決すること」が、営業職にとっての本質的な仕事になるのだと思います。
この課題解決する為に必要な作業が顧客ニーズの把握なのです。
顧客ニーズに応えるノウハウやコツを心得ている営業マンは、顧客満足度なども高くなる傾向があります。
そうすると、たとえ要求しなくても必要な情報をお客様が提供してくれたり、好印象を持ってくれることに繋がっていきます。
このようなきめ細やかな対応ができる営業マンは、顧客から信頼される存在になるので、結果的に営業成績もアップしていきます。
つまり顧客からの信頼度と、社内での評価は、基本的に比例するのです。
なので、営業職として活躍する為には、まずお客様から頼られる存在になることを目指すのが良いでしょう。
そして、誠実な対応を心掛けることも営業職に欠かせない要素のひとつです。
こまめにメールを送ったり、お客様の状況を気にかければ、知らず知らずのうちに相手からの信頼が得られることでしょう。
顧客ニーズに対応すれば売上アップする
営業職にとって「売上」は常に気になるトピックだといえます。
売上が上がれば自分の評価も高くなるので、「何でもいいから成果を上げよう」と熱心にセールスする若手営業マンをよく見かけますが、ここは一旦冷静になった方がいいと思います。
先ほどもお伝えした通りですが、顧客ニーズに対応した結果、商材は売れるのです。
つまり商材を売って、顧客ニーズを満たそうとすると、それはやり方が真逆になってしまうのです。
これは同じに見えて全く逆のアプローチなので、最悪のケースでは顧客からの反感すら買いかねません。
あくまでも売上を上げるコツとは、顧客ニーズに対応した商品サービスを提供することなのです。
このような考え方が身についていれば、売上は自然に増えていくはずです。
顧客が何を求めているのかを知り、欲しがっているものを提供する心構えを持つことが、営業職で成功するためのポイントになります。
逆に営業職の失敗パターンで多いのが、熱心にセールスしすぎて、単なる売り込み(=押し売り)になってしまうことです。
あなた独自のソリューションを提供して、お客様に喜んでもらう…
相手の立場に立った営業スタイルを身につければ、大きな失敗はなくなるはずです。
ぜひ、あなたなりの営業スタイルを確立してみてください。