- 営業代行はどんなサービスなの?
- 営業代行を上手に活用する方法なんてあるの?
- 営業代行業者ってどんな会社なの?
このような疑問がある人は、ぜひご覧ください。
営業代行だけでなく、セールスアウトソーシング全般に詳しい「営業シーク さの編集長」が解説したいと思います。
目次
営業代行サービスとは?
営業代行サービスとは、営業活動のアウトソーシングサービス(BPO)に該当しており、その市場規模は年間700億円程度と言われています。
比較的認知されているサービスなので「営業代行とは○○である!」という定義があると思われがちですが、実は明確な定義がありません。
その役割は多岐に渡っており、営業活動における”アポイント獲得(商談セッティング)”だけを担うケースもあれば、営業人員を集めたり、営業活動全般を丸投げされるようなケースまであります。
これだけを聞くと、営業代行サービスは柔軟な対応をしてくれるように感じますが、実はそんなことありません。
営業代行と一括りにしても、各社ごと得意不得意があるので、「あまり苦手な領域の営業を請け負いたくない…」というのが、営業代行会社の本音なのです。
セールスを安請負した結果、クレームになるようでは元も子もありませんからね。
なので、各営業代行会社は「当社は●●が得意な営業代行会社です!」というアピール(PR)をして、ある程度ミスマッチが起きないようにしているのです。
それは同時に、いざという時の口実となり得る防衛線にもなります。
このように伝えるとネガティブに聞こえるかもしれませんが、裏を返せば「得意分野なら結果が出せます!」ということなので、「この営業代行会社はどの分野に強いのか?」という事を、きちんと発注者側も理解しなければいけません。
営業代行サービスの種類
営業代行サービスを利用する前に、その種類について押さえておくべきだと思います。
主な営業代行サービスは「常駐型」や「アポイント代行」などですが、それ以外にもたくさんの種類が存在しています。
そもそも営業代行サービスはコンサルティング要素が含まれるため、なかなか画一的なパッケージ商品にすることができません。
しかし「営業代行の中でもアポイント代行に特化する」と決めてしまえば、その中身をパッケージ型にするのは容易いはずです。
そのような理由から、営業代行サービスを提供する企業は「ある特定分野に特化している」というケースが多くなっているのです。
営業代行サービスの種類については下の記事にまとめたので、詳しく知りたい人はご覧下さい。
気になる料金(費用)はいくら?
営業代行サービスの中身によって費用(コスト)はかなりブレます。
例えば「営業活動を仕組み化して欲しい」という要望があったとしても、新規開拓をやったことがない場合には、アプローチ対象を選定し、営業リストを作成し、トークスクリプトを用意して、販促資料も用意しなければいけません。
実際の営業活動では、見込客探し~クロージングまで行い、フォローアップ営業までやるので、とんでもない金額が請求されることでしょう。
それと比較して「トークスクリプトとリストはあるから、そこにテレコールしてアポイント獲得して欲しい」というニーズであれば、アルバイトでも対応できますし、アポイント代行の提供だけで済むので安くできるはずです。
ちなみに、テレアポ代行の場合には「商談一件当たり2万円~5万円」か「リスト一件当たり500円~800円」が一般的なので、成果報酬だけで済むと思います。
そして常駐型の営業代行をお願いした場合、一人あたり月100万円前後の固定報酬が一般的です。
ここまでをまとめると、以下のようになります。
- 1名フルコミットで固定報酬100万円前後
- スポットで依頼する場合には成果報酬
このような相場観になっているので、ある程度の予算がなければ、そもそも営業代行サービスは利用できないと思った方が良いでしょう。
営業代理店とは違うの?
営業代行サービスを提供していると、必ずと言っていいほど「成功報酬型でお願いできないか?」という依頼が舞い込んできます。
先ほど料金に触れたとおり、営業代行サービスは固定報酬が前提となっており、成果報酬や成功報酬で受けるケースはほとんどありません。
しかし、クライアントからすれば完全成功報酬型で請け負ってくれればノーリスクになるので、自分達にとって都合の良い提示をしてくるのです。
売り手にとって都合の良い仕組みは、ほとんどの場合、買い手にとって都合の悪い仕組みである。
これはビジネスの格言といえますが、もちろんこの逆も然りです。
つまり買い手(営業代行サービスを発注するクライアント)にとって都合の良い仕組みであれば、売り手(営業代行サービスを提供する会社)にとっては都合の悪い仕組みになるのです。
よって、営業代行会社が成功報酬体系で請け負ってくれることはほぼありませんが、世の中には成功報酬型でも請け負ってくれる営業代理店という仕組みがあります。
それでは一体、なぜ営業代理店は”都合の悪い”成功報酬型でも請け負ってくれるのでしょうか?
そこにはクロスセルやアップセル、フック商材というキーワードが出てきます。
このあたりを解説すると長くなるので、もしこれらのキーワードを知らない人は下の記事をご覧ください。
フック商材についてはコチラ↓↓↓
クロスセルやアップセル、フック商材を理解している前提で話を進めていきますが、基本的には「新規開拓の優位性」や「既存顧客の活性化」を目的としているので、そのようなケースの場合には営業代理店も成功報酬型で請け負ってくれます。
このような前提があるため、営業代理店であればクライアントにとってメリットの大きい「成功報酬型でもOK」となるのです。
販売依頼できる製品サービス
営業代行会社に販売を依頼できる商材サービスは、基本的にBtoB(法人向け)商材だと考えましょう。
BtoC(個人宅向け)の商材を請け負ってくれる会社もありますが、個人のお客様というのは、どうしても感情論で動く部分があるので、ロジカルな法人営業とは一線を画します。
そう考えた場合、セールスを請け負う代行会社としても、成果をコントロールしづらくなるのです。
なので、基本的には法人向けプロダクトだけが営業代行できる製品サービスということになるでしょう。
有形商材でないと無理なの?
「有形商材でないと無理なの?」というのはよく聞かれる質問です。
まず結論から言ってしまうと、有形でも無形でも問題ありません。
しかもどちらかといえば無形商材の方が多い傾向にあります。
無形商材の代表例と言えばIT商材ですが、その他にもコンサルティング商材、コスト削減商材などが該当します。
これらはお客様へ訴求するのが難しい商材なので、プッシュ型の営業代行サービスと相性が良いのです。
もちろん有形商材を営業代行することもできるので、商材の種類は関係なく相談してOKです。
ただし金融商材(暗号資産や海外投資など)や不動産投資、情報商材は取り扱いNGというケースがある為、もしそのような商材であれば事前に確認しておきましょう。
営業代行会社を選ぶポイント
営業代行サービスをお願いする場合、たくさんある会社の中から業者を選定しなければいけません。
一括見積もりサイトで探すのも一つの選択肢ですが、どちらにしてもその中から選ぶ必要がありますよね。
その時の選定ポイントは以下の通りです。
- 成果予測を示しているか?
- 実績や経験がどれだけ豊富か?
- サービス説明や資料は分かりやすいか?
- 営業代行サービスするメンバーは誰か?
- 料金はいくらか?
成果予測を示しているか?
まずは当たり前の話ですが、営業代行サービスを使うと「どれぐらいの売上、粗利、利益が出るのか?」というポイントを見定める必要があります。
営業代行会社にお願いする場合、「営業の仕組み化」を依頼したり、一部分だけをアウトソーシングして業務が回るかを試す「マーケティング目的」の場合もあるので、その目的は決して売り上げや粗利の増加だけでないはずです。
なので一概に「売り上げアップだけを目指しましょう!」という話にはなりませんが、それでも成果を求めた方がいいでしょう。
そう考えた場合、成果を定量的に予測できる会社の方が信頼できますよね。
逆にこの部分をぼやかすようでは、営業代行サービスの外注先として不誠実だと思うので、そのような業者は避けた方が無難だと思います。
実績や経験がどれだけ豊富か?
営業代行サービスが提供するのは、「営業コンサルティング」や「営業リソースの提供」なので無形商材に当たります。
そのような無形商材の場合、実績や経験がとても重要となりますよね。
なので、営業代行会社は「過去実績を教えてください。」と聞けば、色々と出してくれるはずです。
しかし設立間もない営業代行会社の場合、もちろん”実績ゼロ”なので、その時にはセールスロジックを聞くようにしましょう。
- なぜ売れるのか?
- どうやって売るつもりなのか?
などのロジックを言語化できれば、たとえ実績がなくても安心だと思います。
サービス説明や資料は分かりやすいか?
営業代行会社は「セールスのプロフェッショナル」なので、自分たちの商材(営業代行サービス)の説明ができていなかったり、資料が分かりにくいのは問題外です。
見せ方が下手くそなのは、営業代行会社としてあるまじき行為なので、もしそのような業者なら避けるのが無難だと思います。
営業代行サービスするメンバーは誰か?
営業代行してくれるメンバーは非常に重要な要素です。
- 新入社員が営業代行をするのか?
- ベテラン営業マンが販売代行してくれるのか?
- 営業フリーランスを活用するのか?
このような部分で成果に開きが出てくるはずです。
その中でも一番重要な要素は「誰がディレクションしてくれるのか?」という部分になります。
たとえ新卒社員ばかりの営業代行サービスだったとしても、プロジェクトマネージャー(PM)が優秀であれば何も問題ありません。
この辺りは聞けば教えてくれるはずなので、必ずプロジェクトメンバーについては聞いておきましょう。
料金(費用)はいくらか?
料金については先ほども触れましたが、営業代行サービスの場合には基本的に”固定報酬”が前提となります。
しかし、営業代行会社の負担は少ない場合には、「成果報酬でもOK」となるケースもあります。
どちらにしても注意して欲しいのが、「営業代行サービスは無形商材」なので、料金相場が曖昧になっていることです。
なので「適正料金はいくらなのか?」というのを知っておかなければいけません。
先ほども少し触れましたが、テレアポ代行の場合には「商談一件当たり2万円~5万円」、リスト課金の場合には「一件当たり500円~800円」が一般的ですが、アタックリストがなくてトークスクリプトもない場合、初期費用として30万円を提示されるようなケースもあるでしょう。
そして固定報酬の場合には、営業代行会社の人件費に利益を乗せるため、どんなに安くても月60万円以下にはなりません。
おおよそ、一人あたり月100万円前後の固定報酬が一般的ですが、「営業の仕組み作り」まで依頼した場合には、一人あたり月200万円以上の提示をされても不思議ではありません。
この料金相場を見て理解できるのは、「直販営業よりも確実にコストが高くなる」ということです。
冒頭でも説明しましたが、営業代行は人が動くアウトソーシングサービス(BPO)なので、時給換算した場合には直販社員の2倍以上になることは不可避だと思います。
なので「人件費を削減しよう!」という考え方で営業代行サービスを使うのは間違っていることになります。
営業代行サービスの活用事例
営業代行サービスは活用の仕方によって成否が分かれます。
- どのように使えば成功するのか?
- どのような考え方をすると失敗するのか?
というのは非常に重要な要素なので、ここで解説しておきたいと思います。
成功事例となる要素
営業代行サービスを上手く活用したい場合には、いくつかのポイントがあるのでここでご紹介しておきます。
これから営業代行サービスを利用する場合には、必ずチェックしておきましょう。
中長期的な視野で取り組む
まず一つ目は、中長期的な視野で取り組むということです。
営業代行と聞くと「セールスのプロフェッショナル」という印象がありますよね。
確かにその通りなのですが、「どんな商材だったとしてもいきなり売れる」ということはあり得ません。
やはりそれなりに助走期間が必要なので、いきなり成果を求めるのではなく、少なくとも半年~1年、長ければ2~3年のスパンで取り組むべきだと思います。
営業活動の見込客が積み上がっていくにつれて、自然発生的に受注数も増えていきます。
「見込み客の数」と「受注数」は比例関係にあるため、必ずそのような方程式になっていくのです。
特に法人営業の場合には「今期の予算」という枠組みがあるため、たとえ良い提案だったとしても「今年は無理なので、来年発注したい」という着地も十分あり得ます。
情報やナレッジの提供をする
営業代行会社は”セールスのプロフェッショナル”なので、「自分たちで一番良いやり方を見つけてくれるはず」と思われがちですが、それは大きな誤解です。
そもそもゼロベースでやり方を模索するのはお互い”時間の無駄”なので、出来る限り自分たちが持っている営業ノウハウを共有した方が良いでしょう。
- ○○の業界に提案すると受注が取れやすい
- ▲▲はリード期間が長いので後回しにするべき
- ■■というセールストークが刺さる
このような営業ノウハウは、経験しなければ身につきません。
あくまでも「営業代行会社はアウトソーシング先である」という認識を持って、丁寧に情報共有することが必要だと思います。
失敗事例となり得る要素
せっかく営業代行サービスを利用したのに、失敗してしまう企業が後を絶ちません。
そのような失敗に陥るケースには、ある程度の法則があるので、ここで失敗事例となり得る要素をご紹介しておきたいと思います。
確実な結果だけを求める
これはあるある話になりますが、営業代行サービスを初めて利用する場合、ほとんどのクライアントは「営業のプロに頼んだのだから必ず成果が出るはず」と思い込んでいます。
しかし実際にはそんなことありません。
営業のプロフェッショナルと言っても、これまで取り扱ったことがない商材のことは知りませんし、もちろん苦手とする分野もあるでしょう。
そのようなケースでは、すぐに結果が出ないどころか、「セールスしたが全く結果が出なかった…」という着地も十分ありえます。
そのような場合には軌道修正が必要なのですが、往々にしてクライアント側が改善に協力してくれないのです。
「営業のプロなんだから自分で考えてよ!」というスタンスのクライアントが多く、お互いの利益を求めるような動き方をしてくれないので、このようなケースではせっかく準備した営業施策が失敗するハメになります。
トップセールスをアサインしない
これはテレアポ代行を依頼するときの話です。
テレアポ代行とは、商談セッティングの部分だけをアウトソーシングするやり方になります。
アポイント獲得のみ営業代行会社に行ってもらうため、その後のクロージング業務は自社で巻き取ることになりますが、そのクロージング業務には必ずトップセールスをアサインしましょう。
まだ業務に慣れていない営業代行会社のアポイントなので、やはりどうしても最初の頃はミスマッチが起こります。
それを現場で修正しなければいけないので、多少のミスマッチが起こっても自分で軌道修正できるトップセールスをアサインしなければ、失注ばかりが増えることになります。
このようなケースで新人営業マンをアサインするのは避けるようにしましょう。
販売経験のない商材で依頼する
これもよくある話なのですが、新サービスをリリースする場合、その販路拡大手法の一つとして営業代行を検討するケースが多くなっています。
それ自体は悪い話ではないのですが、まったく販売経験のない商材をアウトソーシングする場合には注意が必要です。
「どのようなセールストークが刺さるのか?」「どのようなお客様に提案するべきか?」というペルソナ設定すら出来ていなければ、そもそも売れる製品サービスなのかすら分かりません。
そのような状態で依頼された営業代行会社は、「果たしてこの製品サービスは売れるのか?」という疑問から入るため、かなり遠回りをする羽目になります。
これは代理店展開する時も同じなのですが、作り手であるメーカーが売ったこともない商材を「外部の販売パートナーなら売れる!」という発想をすること自体がおかしいのです。
営業活動で重要なのは”再現性”なので、それがない状態でセールスアウトソーシングすること自体がナンセンスだと思います。
もしこれから販路拡大をしようとしているなら、絶対に自分が販売したことある商材のみアウトソーシングすることを考えましょう。
営業派遣やフリーランスを活用する方法もある
営業派遣は「派遣ビジネス」なので、人材紹介会社や営業代行会社が抱えているセールス人材を斡旋してもらう仕組みとなります。
一般的な派遣ビジネスだと思ってもらえれば良いですが、このビジネスモデルの場合には準委任契約が基本となります。
なので、指揮命令系統は派遣会社にありますが、実際に現場レベルの話で言えば、派遣された営業人員に研修をしたり、製品サービスの概要を伝えるのはクライアント側の役目になると思います。
このような役割分担になっているので、「人員不足だから営業代行をお願いしたい」や「営業が苦手だからアウトソーシングしたい」というニーズとはミスマッチすることが理解できますよね。
営業派遣の場合には”マネジメント”を求められるので、「直販営業が売れまくっているので、それをさらに拡大させたい!」というケースにぴったりだと思います。
それ以外の場合には、営業フリーランスを活用した方が良いでしょう。
営業フリーランスは「セールスのプロフェッショナル」であることが多く、即戦力人材として期待できます。
なので、ある程度自分で動き方をコントロールしてくれたり、工夫や改善してくれることも期待できるのです。
もう少し規模を拡大させて、複数人のフリーランスをチームで動かすことも可能です。
現在は副業解禁の流れもあり、個人の営業フリーランスが増えてきています。
そのような環境の変化があるので、直販営業採用するだけでなく、「営業フリーランスを採用する」という考え方も持つべきでしょう。
もし営業フリーランスを活用したい場合には、side bizz(サイドビズ)のような「営業フリーランスを束ねているプラットフォーマー」に相談してみましょう。
この辺りはニーズに応じて使い分けが必要だと思います。
成功が約束されているわけではない
ここまで読み進めた人は、「営業代行を利用すれば確実に成功できる」というロジックが存在しないことに気づいてはずです。
確かに営業のプロフェッショナル集団が「営業代行会社」なのですが、そこには不確実性が多く、必ず成功するというロジックも存在しません。
そもそも営業活動自体が不確実性の塊なので、それは仕方ないことだと思います。
それゆえに、再三触れている”再現性”を求める必要があります。
営業代行会社に依頼したら、セールスの再現性が手に入るのか?
あくまでも個人的な意見ですが、営業代行を活用するときのポイントはこの一点だけに絞られると思います。
もしその答えが「No」であれば、営業代行サービスを利用するべきではないでしょう。
ちなみに、この質問を営業代行会社にぶつけると、ほぼ全て「Yes」と答えてくれます。
しかしその答えを鵜呑みにしてはいけません。
営業代行会社のビジネスモデルは自転車操業(ストックビジネスになっていない)なので、常に新規のお客様を求めているからです。
よって、最終的にはクライアントである自分が、営業代行会社の実力やサービス内容を見極める必要があるのです。
このあたりの判断は非常に難しいので、じっくりと比較検討することをオススメします。