
提案営業は、最も難しい営業スタイルの1つだと言われています。
そのようなソリューション営業を成功させる為には、セールスのコツ&ノウハウを身に付けることが必須だといえます。
そこで今回は、提案営業にフォーカスしつつ、御用聞き営業との違いについても解説していきたいと思います。
目次
提案営業は難しい…
商品サービスを拡販する場合には、どうしても営業やセールスが必要になってくると思います。
特に無形商材であれば姿カタチが見えないので、積極的に提案することが求められます。
そのやり方は様々だと思いますが、営業スタイルの中でも「提案営業(ソリューション営業)」は最も難しい営業手法の一つだと言われています。
提案営業とは、お客様の「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」を把握して、そのニーズに合った提案をする営業スタイルのことをいいます。
もし「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」についての知識がないのであれば、下の記事をご覧ください。
提案営業をする場合、まずはお客様のニーズを把握する必要があるので、ヒアリングから始めていきますが、このヒヤリングがとても難しいのです。
お客様の心理には、「見ず知らずの営業マンに自分の事をベラベラ喋りたくない…」という抵抗感があります。
なので、なかなか本音を語ってくれませんし、稀にお客様は嘘をついたりもします。
そのようなヒアリングを繰り返しながら、お客様の本音を探る作業は至難の技と言えるでしょう。
提案営業に必要なスキル
一般的に、
- 優秀な営業マン
- 出来る営業マン
- 一流の営業マン
と言われている人には、「相手のニーズ汲み取るヒアリング能力がある」と言われています。
これは先ほども触れたとおりですが、ソリューション営業には絶対必要なスキルだと言われています。
顧客ニーズを正確に聞き出すことは、とても高度な営業スキルになりますが、逆に言ってしまうと、もしこれが出来なければソリューション営業は決して成功しません。
お客様が最初から本音を話すことは稀なので、隠されたニーズや本音を聞き出す努力が必要になってきます。
その為には日常会話(雑談や世間話)の中からヒントを喋って、本当の顧客ニーズがイメージできる想像力も求められます。
例えば相手が個人のお客様だった場合、以下のような顧客情報を知っておくと良いソリューションに繋がるはずです。
- お客様の職業
- お客様の家族構成
- お客様の趣味、趣向
- 将来に対する不安や課題
- 生活スタイル(起床時間、就労時間など)
これらはごく一部の顧客情報ですが、プライベート情報になるので、きっと本音を探るヒントになるはずです。
良く言えば「気が利く」、悪く言えば「お節介」ということがセールスパーソンには求められるのです。
プレゼンテーション能力も必要
顧客ニーズが把握できたら、それをお客様に提案していくことになります。
しかし潜在ニーズの場合には、お客様自身が自分のニーズに気づいていないことが多く、ただ提案しただけではなかなか相手に刺さりません。
なので、お客様に「欲しい!」「利用したい!」と思わせるプレゼンテーション能力も必要になってくるのです。
もし提案資料で説明する場合には、商品サービスのおすすめポイントや、重要箇所を端的にまとめられるデザイン力や、文章力も必要になります。
そのようなスキルが人よりも秀でている場合には、世間で言われているような「優秀な営業マン」になれるはずなので、もしプレゼンのコツを知りたい場合には下の記事をご覧ください。
コミュニケーション能力が大切
理想的な営業とは、最初のアプローチでお客様と親密になることですが、実際の営業がそんなにスムーズにいくはずがありません。
なので、提案営業を成功させる為には、お客様との距離を縮められる「高度なコミュニケーション能力」が求められます。
その為には、
- 雑談力や会話力
- 課題や問題を発見する能力
- ニーズを深掘りする能力
などは必要不可欠だと思います。
さらに「メラビアンの法則」などの心理テクニックを理解していると、営業活動に活かすことができるでしょう。
相手の記憶に残るインパクトや、言葉のチョイスも大切なことですし、ストレスを感じさせないコミュニケーション方法なども、一流営業マンになる為には必要なスキルだと思います。
この辺りについては下の記事にまとめているので、後でご覧ください。
”提案営業”と”御用聞き営業”の違い
提案営業とは、お客様が求めている商材サービスを提案して、販売する営業スタイルのことをいいます。
提案営業では、顧客がまだ気づいていないニーズを喚起することになるので、これまで買う気がなかった相手にもセールスすることができます。
これはつまり「潜在ニーズ」を刺激するということです。
ソリューション営業では、「顕在ニーズ」だけでなく「潜在ニーズ」にもアプローチできるので、売上や販売数を最大化させる場合には、とても効果的だと思います。
ただし、現状満足している取引先や、提案を受けるのに慣れていない人にしつこく営業すると、煙たがれる可能性があるので注意が必要です。
御用聞き営業とは?
「提案営業」と「御用聞き営業」は似たイメージがありますが、全く違う営業スタイルなので、ここで押さえておきたいと思います。
御用聞き営業とは、お客様の注文を聞いて回って、相手が欲しがっているモノを提供する営業スタイルになります。
お客様と定期的にコミュニケーションを取りながら、相手から求められた時に販売や提案をしていくので、ルート営業という職種で活動しているケースが多いのです。
御用聞き営業では、お客様からの指示に従って商品サービスを提供するため、セールス機会を最大化させることはできませんが、営業現場にノルマを強いることもないので、採用活動では人気になりやすいです。
そのような側面を理解していくと、御用聞き営業を成功させるポイントとは、お客様との信頼関係に尽きることがわかります。
つまり、ひたすらお客様と仲良くなれば良いのです。
御用聞き営業のデメリット
御用聞き営業は既存顧客へのフォローアップ営業としては優秀ですが、デメリットもあるのでここで理解しておきましょう。
もし競合他社が現れた場合には、御用聞き営業がマイナスに働いてしまうので注意が必要です。
なぜかと言うと、御用聞き営業では顧客ニーズを常に把握している訳では無いので、いきなり競合他社に勝てるソリューションを提供することができないからです。
これを簡単に要約すると以下のようなイメージになります。
御用聞き営業 ⇒ 指示なければ何もしてくれない営業スタイル
提案営業 ⇒ 何も指示しなくても全部やってくれる営業スタイル
もし、あなたが顧客側だった場合、どちらの営業スタイルが便利だと思うでしょうか?
そして次に挙げられるデメリットが、お客様の事業パートナーになりづらいということです。
御用聞き営業は、ある意味「作業員」でしかないので、お客様にとっての価値が相対的に低くなってしまいます。
そういった観点で言うと、何か重要な相談事があった場合、御用聞き営業に相談するということはまずないでしょう。
どちらかと言うと、自分のニーズを理解してくれて、状況に応じたソリューションを提供してくれる「頼れる営業パーソン」に相談するはずです。
ここから理解できることは、御用聞き営業だけでは「大きなビジネスチャンスを逃す可能性がある」ということです。
せっかくお客様と一緒に伴走する営業職なので、お客様が成長していくに伴って、自分達も一緒に成長していければ理想的だと思います。
その方がお客様との信頼関係を築きやすいので、長期的なパートナー関係になれると思います。
提案営業が活躍している業界
提案営業が活躍している業界は、ベンチャー企業や大手企業などたくさんあります。
その中でも代表的な業界としては以下の通りになります。
- 無形商材を提案している金融業界
- カウンセリングやコンサルティング業界
- SaaSサービスなどのIT業界
- 広告メディアやプラットフォーム業界
金融業界は提案営業が当たり前
金融業界で取り扱っている商品は「無形商材」です。
無形商材は目に見えないモノや価値を提案する仕事なので、その良さをアピールするためには「提案力」や「コミュニケーション能力」が必要不可欠になります。
例えば、株式や債券、保険商品などが代表的な無形商材に当たります。
金融商品の特徴としては、どの会社で買っても商品内容がほぼ一緒なので、製品サービスで差別化をするのはなかなか難しいということです。
なのでどちらかというと、まずは営業マン自身、つまり「自分自身を売り込むセールス」といった感覚の方が正しいかも知れません。
コンサルティング業界が代表的
他にも法人営業や海外営業でも、提案営業が活躍しています。
特にコンサルティングファームといわれる会社では、アグレッシブに営業できる人が活躍する傾向があります。
コンサルティングファームは主に外資系企業になりますが、ベンチャー企業では年齢や学歴に関係なく、結果を残した人が昇任&昇給する仕組みになっています。
コンサルティングファームや急成長しているベンチャー企業で海外営業や法人営業の経験を積んでおくと、今後のキャリアアップにも繋がっていくと思います。
SaaSサービスはソリューション力が必要
SaaSとは、「Software as a Service」を略した言葉です
つまりはクラウド型のソフトウェアを意味しています。
営業系のSaaSサービスといえば、セールスフォースやsansanなどがそれに当たりますよね。
このようなwebツールはSFAやCRMと呼ばれていますが、そのシステム内容が複雑なため、顧客が一人で使える代物ではありません。
よって、使い方をレクチャーしたり、お客様の組織に合わせてカスタマイズ(エンタープライズ)する必要が出てくるのです。
そのような提案はまさにソリューション力を求められるので、代表的な提案営業と言えるでしょう。
広告メディアは企画力が大事
弊社(WEBX Inc.)も広告メディアを運営している会社ですが、この業界の営業では企画力がとても大切になります。
広告出稿するお客様のニーズはざっくり言えば、
- 売上をアップさせたい
- 販路を拡大したい
という部分に集約されていきます。
つまり手法論はどうでも良くて、目標達成されることが重要なのです。
そのような顧客ニーズに対しては、自分たちの媒体力を駆使して、一番最適な企画を提案していきます。
これはまさにソリューション力といえる部分なので、広告営業も提案営業に当たると思います。
提案力アップのコツ
提案力を強化するためのやり方は色々ありますが、
- 社内研修の実施
- ロープレの実施
- 外部と異業種交流
の3つが代表的だと思います。
この3つにはそれぞれ意味があって、以下のような役割があります。
- 社内研修の実施=知識の習得
- ロープレの実施=提案力の強化
- 外部との異業種交流=ヒアリング能力の強化
ここで1つづつ解説していきたいと思います。
社内研修の実施
社員研修は様々な企業で実施されていると思いますが、その目的が曖昧になってるケースは多いと思います。
しかし、「提案力の強化」という側面でいうと、社内研修の目的はあくまでも知識の習得で大丈夫です。
つまり、
- 提案営業とは何なのか?
- 顧客ニーズとは何なのか?
- ヒアリングとは何なのか?
というような知識の習得(=座学研修)でいいのです。
この研修の講師は外部に依頼してもいいと思います。
目的はあくまでも知識を蓄えることなので、外部講師でもその役目を十分果たせるのです。
そのような社内研修を提供している会社はたくさんあるので、外部にアウトソーシングすることは簡単だと思います。
また、社内研修に対する助成金や補助金なども用意されているので、まずはその辺りを確認してみましょう。
ロールプレイングの実施
ロールプレイングを実施する目的は、提案力を高めるためです。
いわゆるロープレをすることで、”相手に伝える力を磨くトレーニング”ができるので、ソリューション能力の底上げにつながるはずです。
このロールプレイングを実施する上で重要なことは、とにかく真剣に取り組むことです。
営業マン側もお客様役も真剣にロープレすることで、色々な課題感が出てくるはずです。
とにかくロールプレイングでは失敗を恐れずにチャレンジしてみましょう。
ここで失敗したり学んだ教訓を実践に活かしていくのです。
普段自分では気づかない提案時の仕草や、変な言い回しなど、他人に見られることで指摘してもらえるケースはたくさんあります。
また、社内でロールプレイングを実施すれば、営業ノウハウの共有もできるので、一石二鳥だと思います。
外部との異業種交流
外部と交流することは、ヒアリング能力の強化につながります。
何の目的も無く交流会に参加するだけでは全く意味がありません。
例えば「相手のニーズを最低でも一つ聞き出す」という目的を設定して、異業種交流会に参加してみてください。
交流会で出会う人は、あなたにとって初対面の人だと思いますが、これは営業現場のシチュエーションにとても似ているのです。
交流会で出会った人は初対面のあなたに対して警戒心をもって接してくるので、いきなり本音で語ってくれることはないでしょう。
たった数分間、当たり障りのない会話をしながら、相手の懐に入って本音を引き出す…
これこそまさに「営業現場のヒアリング」そのものだと思います。
さまざまな異業種交流会に参加する中で、このようなヒアリングが日常的にできるのであれば、あなたのスキルは間違いなくアップするはずです。
コロナ禍で異業種交流会や名刺交換会の数は減ってしまいましたが、その反動でオンライン交流会が積極的に開催されています。
オンライン交流会でも内容は一緒なので、ぜひチャレンジしてみてください。