企業には、
- 新規顧客
- 既存顧客
の2種類が存在しています。
その中でも「既存顧客はとても重要」と言われていて、その対応方法は常に研究され、注目されてきました。
そこで今回は、トップセールスなら知っておくべき「既存顧客の囲い込み」と「掘り起こしのコツ&ノウハウ」について解説していきたいと思います。
目次
既存顧客を大切にした方が良い理由
「会社の売上を増やしたい!」と思っても、そう簡単に実現することは難しいですよね?
そんな時に営業パーソンは「新規開拓を強化しよう!」と単純に考えてしまうと思いますが、その仕事のやり方はちょっと冷静になった方が良いかもしれません。
売上拡大の戦略として単純に考えがちなのは「新規顧客の獲得」ですが、既存のお客様を大切にすることも重要なのです。
新規顧客を獲得するためには、
- 新商品を開発したり
- テレビやネットで広告宣伝したり
- テレアポ営業したり
- 何回も訪問して提案したり
莫大なコストが掛かると言われていますが、一般的に既存顧客を維持する費用と比較した場合、新規開拓には約5倍から10倍のコストが掛かると言われています。
既存顧客はすでにあなたの商品サービスを一度購入(契約)しているため、広告宣伝する費用も、アポイント獲得までの時間もそんなに掛かりません。
なので、既存顧客への販売は「とても営業効率が良い」と言われているのです。
既存顧客は”あなたのファン”になる
既存顧客はちゃんとフォローアップしないと他社に乗り換えてしまう可能性があります。
しかし、購入した商品が古くなったり新しい商品を発売すれば、繋がりの薄い新規見込みよりは購入してくれる確率が高いと思います。
一度購入した商品サービスを気に入ってもらえれば、その後リピーターになってくれる確率も高まるはずです。
例えば、同じメーカーの車を乗り継いだり、同じメーカーの鞄、洋服、スマートフォンに買い替える人は決して珍しくありません。
あなたも経験したことがあると思いますが、気に入ってるブランド品を購入し続ける人は、とても多いですよね。
お客様は企業のファンになってくれると継続的に商品を購入してくれて、より高額な商材を購入してくれる可能性も高まります。
このようなファンを獲得することで、企業は安定的な利益を確保できるようになっていくのです。
さらに既存顧客は、新規顧客を呼び込んでくれることもあります。
自分の気に入っているものは友人や知人に話をしますし、購入を勧めることは良くあることです。
このような口コミ営業(紹介営業)は、どのような営業手法よりも効果的と言われています。
既存顧客の維持は大変…
既存顧客が大切なことは間違いない事実ですが、それを維持するとなると、とても大変な作業になります。
基本的に商品サービスの契約を決めるのは、あくまでも顧客(お客様)です。
企業や営業マンがどんなに努力して顧客を繋ぎ止めようとしても、お客様が気に入られなければ、結局は契約解除されてしまいます。
そして、その予算はあなたの競合他社に流れていくことでしょう。
継続率を高めることがコツ
企業は様々なアプローチを行って、契約率(継続率)を下げないように努力しています。
顧客満足度を上げるために、営業マンが定期的にフォローアップしたり、既存顧客に手土産を持って表敬訪問したりもしますよね。
そうやって、自社製品の効果的な使い方をレクチャーしたり、新しい商品やサービスの案内をしているのです。
しかし、営業活動ではこのような泥臭い作業がとても重要なのです。
売上拡大余地がある既存顧客を訪ねて、大切なお客様であることをアピールすれば、より良い関係性が築けて、継続率のアップにも繋がっていきます。
これはECサイトや、通販サービスの事業でも同じです。
商品サービスを消費者に届ける場合、よりスムーズに商品購入できる体制を整えたり、年齢や趣向など個々人に合ったアプローチを行うことで、顧客流出を防いで、売上を維持することができます。
簡単に住所登録できるようにしておいたり、返品無料にするなど、お客様にとって柔軟で使い勝手の良い仕組みを整えましょう。
既存顧客の囲い込み方法
新規顧客ではなく、既存の顧客を囲い込むためには、どのようなマーケティング戦略を取ればいいのでしょうか。
結論から言ってしまえば、「支払うお金以上の価値を提供し続ける」ことがカギになります。
そもそも良い商品・サービスを提供しているなら、既存顧客が離れるというケースはほぼありません。
例えば、企業によって製品サービスの特徴はあると思いますが、
- お客様の売り上げアップに貢献する
- お客様の業務改善に貢献する
- お客様のコスト削減に貢献する
など金銭的なメリットを提供することが、囲い込み施策としては一番有効的だと思います。
他にも「お客様からの問い合わせに素早く対応する」というのは大きなポイントです。
たとえ良い製品を作っていても、対応が悪い会社にはうんざりしてしまいますよね。
営業マンの対応が悪いと、リピート顧客や既存顧客は決して増えません。
さらに、お客様に不満が蓄積してしまうと、クレームに発展する可能性すらありますが、迅速に解決された場合、逆にその会社を見直してくれることもあります。
つまり、ビジネスの現場では「ピンチはチャンス」になり得るということです。
ステータスとして認知させる
他にも「社会的メリットを与える」という方法が挙げられます。
この方法は中小企業だと現実的でないかも知れませんが、”ファンを増やす”という観点ではとても効果的です。
社会的メリットを与えるという方法は、優越感を感じる商品やサービスを提供することで、顧客を囲い込む施策になります。
顧客はステータスを感じると、商品やサービスを継続して購入してくれることが多いです。
例えば、ブランド品や高級なレストランなどがわかりやすいと思います。
このようなブランディングをするには、時間的&金銭的なコストが必要ですが、社会的メリットを与えるということは有効な方法だと言えます。
既存顧客の掘り起こし方
お客様は自社商品・サービスのファンだと思っていたのに、突然離れていってしまうことがあります。
その理由は様々なケースが考えられますが、
- 競合他社の商品サービスの乗り換える
- もっと安い代替品が見つかった
- 商品サービスに不満がある
などが挙げられます。
しかし、いずれの場合も、恐らくお客様は何も理由を言わずに去っていったはずです。
このようなお客様は「既存顧客」とも言いますが、「休眠顧客」とも呼ばれています。
もしお客様が「休眠顧客」になってしまった場合、この人を掘り起こすには、お客様とコミュニケーションを図ることが必要です。
コミュニケーションを取ることが重要
継続的なコミュニケーションを取ることで、既存顧客の掘り起しができるようになります。
お客様が離れていくということは、まだ自社のファンになっていない状態なので、取引再開してもらえる施策を考える必要があります。
まずはタイミングよくアプローチを行って、現在の状況をヒアリングしてみましょう。
お客様の不満や課題が解決できれば、契約再開の可能性も出てきます。
それでは既存顧客の掘り起こし方にはどのような方法があるのかと言うと、DM営業や電話営業、メール営業などが挙げられます。
DMやメールでは
- メール特典
- セールの告知
- メルマガ会員特典
などのメリットを訴求して、興味をもってもらいます。
サービス内容に不満があって解約したお客様なら、商品の改善点を訴求したり、商品のメリットを訴求したメッセージを送るのが良いでしょう。
例えば以下のようなメッセージを送ってみましょう。
ご無沙汰しております。
●株式会社の×と申します。
以前は弊社サービス■をご利用いただきまして、誠にありがとうございました。
この度、■のサービスリニューアルを行いましたので、本メールにてご案内いたします。
【サービスリニューアルの内容】
・○○の機能が拡充
・○○の料金を引き下げ
・○○の新機能を実装
これまでよりも格段に使いやすくなりましたので、もし良ければ一度お試しください。
※無料トライアルプランをご用意しております。
トライアルプランのご利用については私までご連絡ください。
引き続きよろしくお願いいたします。
このようなメッセージ送っておけば、一定数は「無料トライアルをしてみたい!」と問い合わせをくれるはずです。
ビジネスモデルによって「無料トライアルができる or できない」はあると思いますが、考え方としてはこのようなイメージになります。
要するに、過去に一度でも利用したことあるお客様は、今でもその部分に課題感を持っている可能性が高いのです。
もしその課題感が解決できそうなのであれば、お客様は改めて使っていただけることでしょう。
この効果を最大化させるためには、休眠顧客をリストアップして、アプローチ対象をきちんと選定しましょう。
電話営業する方法もありますが、最近はメールでの案内を希望するお客様が増えているので、電話でフォローアップする場合には慎重に対応することをおすすめします。
既存顧客で売上拡大させるコツ
既存顧客を維持しながら、同時に新規開拓を行えば、売上は右肩上がりに増えていくと思います。
しかし、新規顧客への売り込みは理解できると思いますが、「どうやって既存顧客の売上をアップさせるのか?」という疑問を持つ人はいると思います。
既存顧客で売上を拡大させる為に有効的な営業スタイルには、「アップセル」や「クロスセル」というやり方があります。
アップセルとは?
アップセルとは、既存の商品よりもグレードを上げた商品を提案する営業手法をいいます。
例えば、8万円のパソコンを購入しようとしているお客様に対して、使われているCPUの性能が高くて、SSD容量が大きい12万円の製品をオススメして、この商品を買ってもらいます。
このアップセルが成功すると、8万円の売り上げだったところが、12万円になるので、+4万円の売り上げ増に繋がります。
これは既存顧客が買おうとしているパソコンのスペックを理解していたり、細かなヒアリングができる関係性があってこそ成り立つ営業活動だと言えます。
クロスセルとは?
クロスセルとは、購入している商品と相性の良い、別商品を提案する営業手法をいいます。
クロスセルの例をご紹介すると、例えばスマートフォンを購入する際に、
- 液晶保護フィルム
- SDカード
- スマホリング
- スマホカバー
などの購入を提案して、スマホと一緒に購入してもらいます。
スマートフォンの価格が4万円、液晶保護フィルムが1,000円、SDカードが1,500円、スマホリングが500円、スマホカバーが2,000円だった場合、4万円の売り上げが4万5千円に増えます。
これもアップセルと同様で、「既存顧客が何を持っているのか?」という情報があるほど成約しやすい営業スタイルになります。
しかしアップセルとクロスセルは共に、顧客にとって「押し売り営業」と受け取られる可能性があるため、十分注意が必要です。
経営者や営業マネージャーであれば、このような営業手法を理解しておくようにしましょう!