
戦場で使われる言葉に「人海戦術」というフレーズがあります。
人海戦術は「飽和攻撃」とも呼ばれる有名な戦術ですが、これをビジネスに活用すると、一体どうなるのでしょうか?
そこで今回は、人海戦術を営業やセールスに活用する方法について解説していきたいと思います。
目次
人海戦術(飽和攻撃)とは?
人海戦術とは、もともと大人数を使って物事にあたる戦術的なやり方のことをいいます。
つまり、「質」よりも「量」を重視するのです。
やっぱり少人数よりも大勢いた方が戦で勝てる可能性は高くなりますし、相手よりも多くの人員がいた方が、物事は有利に進みがちですよね。
このような人海戦術は、相手の人数を上回る物量で攻めることから”飽和攻撃”と呼ばれることもあります。
人海戦術はビジネスでも活用されている
人海戦術は、ビジネスにおいて頻繁に使用されている手段の一つですが、その代表例が営業現場です。
実績やノルマが求められる営業現場で良く用いられている理由とは、人数をかければ想定通りの結果になる可能性が高くなるからです。
やはり動かせる営業人員が多ければ、その人数の多さを武器に、競合他社を打ち負かすような大胆な作戦が実行できるようになります。
一人当たりの生産性から逆算して、「どれほどの成果が求められるのか?」を計算することも簡単なので、大人数で圧倒することは勝利を得たり、目的を果たす為には有効的と言われているのです。
その反面、多くの営業スタッフを抱えることで固定費(人件費)が増えてしまうというデメリットもあるので、そういった意味では一長一短と言えるでしょう。
「質」より「量」が重要
人海戦術で重要視されるのは、あくまでも「総量(数)」なので、人員それぞれの「質(能力やスキル)」はあまり高くなくても問題ありません。
数で押し切る、やや力技のような方法ですが、それでも営業現場では十分効果を発揮します。
例えば、どんなに強い格闘家だったとしても、屈強な男性5人を相手にすれば苦戦しますし、10人を相手にすればおそらく勝てないでしょう。
それと同じことが人海戦術だと言えるのです。
ちなみに、人海戦術の対義語は「少数精鋭」になります。
少数精鋭とは、人数が少なくても、高い能力を持った人員で仕事や物事に当たることを指しています。
少数精鋭もビジネスではよく使用される方法なのですが、人海戦術とは反対にスタッフの質やクオリティの高さが求められるので、重視すべきポイントは真逆と言えるでしょう。
営業やセールスの手法としては、
- 人海戦術
- 少数精鋭
どちらも有効的なので、コストや採用活動、ビジネスモデルなどを総合的に考えながら判断していきましょう。
人海戦術の場合には、業務に必要な頭数を揃えるために、新たにスタッフを採用しなければいけませんし、少数精鋭の場合には人件費が高い人材を採用しなければいけないので、どちらも一長一短があります。
どちらにしても「人を活用する」という点では多額のコストが掛かるので、できるだけ費用対効果が高い方法で営業スタッフを集めることが重要だと思います。
人海戦術は営業活動に必須!
営業活動は、人と人の関係性によって成り立っています。
これは「個人営業」でも「法人営業」でもそれほど変わりありません。
そのようなセールスの現場では”マンパワー”が重要視されるため、人海戦術が度々採用されています。
人海戦術はAIなど機械的な話ではなく、人が動く営業活動なので、アナログですが決してニーズが無くなることはありません。
特に押し売り&売り込み型のセールスをしている商材では、「営業パーソンの頭数=売り上げ」という方程式になっているので、どうしても人海戦術せざる負えないのです。
しかし営業スタッフの数に頼る人海戦術は、
- テクニックや理論よりもパワー
- 力で押し切る強引な手法
といったイメージがあり、「古臭い営業手段だ…」と敬遠されることもあるので注意してください。
代理店を活用した人海戦術がオススメ
人海戦術は、大勢のスタッフが動くことによって成果を求める営業戦術といえますが、それにはお伝えしている通り「たくさんの人員」が必要となります。
その人員を全て雇用してしまうと、とんでもない金額の人件費が発生してしまうので、中小企業にとってはあまり現実味がありません。
そんな時に都合良いのが「代理店展開」です!
代理店とは”販売代理店”を意味する言葉で、外部のビジネスパートナーを意味しています。
この代理店の特徴とは、頭数に比例した人件費(固定費)が掛からないことです。
これはあくまで一般論ですが、販売代理店と交わす報酬条件は「成功報酬型(フルコミッション)」が多いので、代理店が販売した分しかマージンを支払わなくて済みます。
なので、一気に何千人、何万人という営業組織を構築しても、コスト倒れすることが無いのです。
リファラル営業(紹介店)も人気
スタッフの育成にコスト&時間をかけるよりも、人海戦術を用いた大人数で一気に販路拡大させたい場合には「リファラル営業(紹介営業)」がおすすめです。
リファラル営業とは代理店システムの一種で、一般的には「紹介店」や「取次店」といわれるビジネススキームになります。
このやり方も多くのビジネスパートナーを活用する営業手法なので、基本的には「人海戦術の一部」とみなされています。

リファーラルは人からの紹介を上手く活用したやり方なので、いわゆる”口コミ営業”になりますが、リファラル営業プラットフォームが出てきた関係で注目されるようになりました。
確かに新規開拓では、いきなり飛び込み営業するよりも、誰かに見込客を紹介をしてもらった方が商談までスムーズに進むケースが多いと思います。
直販営業の部隊がアウトバウンド営業をするのではなく、事業に賛同&共感した人が、自分の知人・友人に製品サービスを口コミしてくれることで営業実績に繋げていくやり方なので、とにかく営業活動が楽になります。
商材を周りに紹介して、無事契約に至れば、その紹介者は報酬(紹介フィー)を受け取ることもできるので「営業職の副業」としても注目されています。
人海戦術に最適な人数とは?
人海戦術を実行する場合には、どのくらいの人数(営業スタッフ)を投入するかが重要になってきます。
投入する人数が少なすぎると十分な成果を得ることができませんし、逆に多すぎれば人海戦術にかかる経費が重すぎます。
なので、人海戦術を成功させるためには、作戦に必要なメンバーの数を見極めることが重要になるということです。
必要人数の計算方法
おおよその目安は、簡単な仕事算で計算することができます。
仕事算とは「何人で仕事を行えば何日で仕事が完了するか?」という問題を解くための計算方法です。
人海戦術に必要な人数は、この仕事算を使って、会社の立てた営業目標から逆算していくことをオススメします。
例えば、営業目標が商品の受注10件だったとします。
もし受注率が20%だった場合、その時に必要となる提案数は50件になるはずです。
その提案数50件を獲得する為に必要なアプローチの数を1,000件と仮定します。
つまり1,000件のアプローチが必要な場合、「何人のスタッフメンバーを用意すればいいのか?」ということが、おぼろげに見えてくるはずです。
ただ闇雲に営業人員を増やしたとしても目標達成できるとは限らないので、このように逆算して、それぞれ必要な人数を導いていくのがベストな方法だと思います。
その一方で、営業活動するスタッフの数が多くなればなるほど、管理・統率するのが難しくなるので、あらかじめ自分が管理できる人員規模を把握しておきましょう。
現代でも人海戦術は通用するの?
人海戦術は、古来より世界中の戦争など、多くの争い事に利用されてきました。
日本でも戦国時代などの合戦では兵の数が重要であり、どれだけ多くの兵力を集めることができるかが勝敗を分けるポイントになっていました。
人海戦術は古くから使用されてきた歴史ある作戦ですが、現代ビジネスでも十分通用します。
機械化や合理化が進む現代ですが、やはりマンパワーの効果は時代が変わっても絶大です。
例えば、メールや広告でどれだけ商品をアピールされてもイマイチ魅力を感じられず、商品を購入することがない人でも、営業マンが直接商品の説明したことで購買につながることがあります。
やはり、アプローチ数を伸ばしたり、売込みをしたりする時にはセールスマンからの後押しも必要ということでしょう。
しかし十分な営業を行うためには、それに見合うスタッフの数を準備することが求められます。
もちろんスタッフの能力が高ければ、少数精鋭で営業することもできます。
その場合には、スタッフ一人一人にかかる負担が大きくなるという点に注意しなくてはいけません。
人海戦術を採用するメリットの一つは、「個々人の負担を軽減(分散)できる」ということなので、ワークライフバランスが注目される現代では大人数で仕事をこなす人海戦術は「スタッフの負担を減らして、モチベーションをアップさせる効果」も期待されているのです。
営業&ビジネスでの活用方法
人海戦術を営業職やビジネスで活用する場合、様々な選択が挙げられますが、今抱えている人員をフル活用するので、いわゆる人員が豊富な”大企業”ほど優位性があると言えるでしょう。
そうすると、そんなに多くのスタッフを有していない中小企業は困ってしまうかも知れませんが、そんな時には外注(アウトソーシング)も検討してみましょう。
営業業務を外注してしまえば、
- 大量のチラシを配布したり
- 営業エリアにくまなくテレアポしたり
- 飛び込み営業をしたり
することもできます。
このような依頼を受けてくれる外注先としては「営業代行」が挙げられますが、様々な営業支援サービスが立ち上がっているので、もう少し知りたい場合には下の記事をご覧ください。
インターネット(web)も活用しよう!
ここまでの解説で”人海戦術の効果”は理解できたと思いますが、決して「それだけで十分です!」という訳ではありません。
ビジネスを仕組み化するという意味では、インターネットを活用した集客も同時に行っていくべきだと思います。
なるべく早く営業成果を出したい場合には、「人海戦術+インターネット」を併用する営業がおすすめです。
人海戦術は人の手によるアナログかつシンプルで属人的なやり方ですが、それをリスク分散する、又は補完するという意味でWebを活用したハイテクな手法はぴったりだと思います。
しかし、webマーケティングは効果が出るまでに時間が掛かるので、長期施策が前提となります。
なのでいざ「人海戦術が通用しない」という局面からwebマーケティングを始めても、効果が出るまで1年間くらい待たなければいけないのです。
しかし、そんな悠長なことは言ってられないので、人海戦術の効果が出ているうちにwebマーケティングも同時に進めておくのが良いでしょう。
人海戦術とインターネットの活用…
この二つを上手に組み合わせていくと、時間やコストを大幅カットできるはずです。
このように、ただ人数にモノを言わせて人海戦術を実施するのではなく、リアルとネットを融合させて取り組むのが、現代営業における”最適解”なのだと思います。