営業マンは日々の数字(ノルマ)に追われているので、本来やるべき営業職としての役割を忘れている人が多いと思います。
そこで今回は、
- 営業の意味や定義とは?
- 営業の本質とは何なのか?
- 営業パーソンの役割とは何か?
という難解な問いについて解説していきたいと思います。
トップセールスを目指している人はぜひ参考にしてください。
目次
営業の法律定義とは?
法律的な解釈では、営利性があって継続性がある事業のことを「営業」と定義しています。
また、事業とは「営利性を目的にした経営」をしている組織のことを指します。
一般的に「業とする」という言葉の基本的解釈ですが、まず「業とする」は以下の通りに定められています。
反復継続性と事業的規模の両方を満たすものを対象とする。
このうち、「反復継続性」というのは、ある行為が何回も継続的に行われることを表していますが、「業」に該当させるためには、実際に反復や継続での遂行をしていなくても、そのような意思があれば問題ないと決められています。
一応、「どの程度までを反復継続の意思と見なすのか?」という判断基準は存在しているものの、はっきりと判断できないケースも多くあるようです。
ちなみに、イベント開催時に行われるものや、地方自治体の「要請」などがあったものなどに関しては「業」に該当しないと規定されているので、この辺りは少し複雑ですね。
また事業的規模は、社会通念上「事業の遂行とみることができる規模」と定められていますが、その基準は曖昧みたいです。
ちなみに、「業」と「営業」の違いについては、以下のように分けられています。
- 「業」は営利性が必要ないもの
- 「営業」は営利性が必要あるもの
なお、個別の商品サービスや、それを提供する仕組みによっては、判断が分かれるケースもあるようなので、あくまでも目安として覚えておきましょう。
営業目的とは?
法律では”営業目的”を以下のように定義しています。
- 利益を得ることを目的にした活動のこと
- 営利事業を目的にした活動のこと
ちなみに、その事業を営む人は「個人」でも「法人」でも関係ありません。
ノルマ達成や売り上げアップを営業目的に掲げている企業は多くありますが、どのようなカタチにしろ、商品サービスを販売して、利益を得ていることには変わりないからです。
基本的には、これが営業の目的となります。
会社の営業目的を一致させる
営業目的は、経営理念と同じベクトルでなくては意味がありません。
なぜかと言うと、そもそも営業活動とは「企業目的を達成するために行われる」からです。
これはつまり、企業として存在する意味を満たすことにも繋がっていきます。
企業目的と営業目的が同じ方向性なのであれば、営業目的を達成することで、同時に企業目的に近づくこともできるはずです。
また、営業目的は社員のモチベーションを上げる為に不可欠なものだと言えるでしょう。
営業目的や営利目的があることによって、営業マンは自分の会社での存在意義や、営業という仕事の意味を感じることができます。
つまり、営業目的を達成することで「自分は会社に貢献しているんだ!」という実感を持つことができるのです。
このように考えた場合、営業目的とは「企業理念」に近い概念なのかもしれません。
自分の活動に存在意義を感じることができたり、お客様&社会の役に立っていることを実感すれば、営業という仕事をもっと好きになるはずです。
営業という仕事を好きになることで、モチベーションがさらに高まって、良い結果を生み出す好循環にも繋がっていくことでしょう。
営業活動の本質とは?
結論から言ってしまうと、営業の本質とは「お客様の課題を解決すること」です。
顧客の課題を解決するためには、「お客様が困っている現状と、それを改善するためにはどうすればいいのか?」を分析することから始めていきます。
そして、その問題を解決する方法を提示し、相手に納得してもらうことで取引が成立します。
このようにお客様の困っている問題を解決する役割を担うことで、営業職は報酬(売上)を得ているのです。
このような営業の本質を理解しないままセールスし続けていくと、単なる”押し売り”になってしまうので徐々にお客様が離れていってしまいます。
そのような状態では、お客様から支持されず、売上も減少することになるでしょう。
顧客ニーズを満たすことが重要
営業の本質が「お客様の問題を解決すること」と聞くと、なんとなく綺麗事のように感じるかもしれません。
もちろん企業は利益を追求して、永続的な経営を目指していますが、その利益を出すためにもお客様の課題を解決することが重要なのです。
なぜかというと、お客様は課題を解決してくれるからこそ、その対価(料金)を支払うからです。
これを逆説的に言ってしまうと、「お客様は製品サービスを買っているわけではない」ということです。
これはとても重要なポイントなので、もう少し詳しく解説したいと思います。
例えば、あなたは自動車ディーラーの営業マンで、そこに来店したお客様が自動車を購入したとします。
果たしてこのお客様は、本当に自動車が欲しくて購入したのでしょうか?
その答えはNOです。
そのお客様は「本質的に自動車が欲しくて購入した」のではありません。
もちろん自動車を購入したのは事実だと思いますが、本質的には違うということです。
このお客様の課題は、想像ですがおそらく以下のようなものだと思います。
- 休日に子供と一緒に出掛けたい
- 保育園が遠くて送迎が大変
- 荷物が多くてスーパーの買い出しが大変
- 遠方の両親が心配
- 会社の節税対策をしたい
このようなお客様の課題を見てみると、どれも「自動車が欲しい」わけではないことが理解できます。
つまり、自分の課題を解決するために自動車を購入しただけで、「自動車を購入する」ということは一つの選択肢であり、あくまでも結果論に過ぎないのです。
おそらく他にもお客様の課題を解決する方法はたくさんあったはずです。
その中の選択肢として「自動車を購入した」だけに過ぎないのです。
営業パーソンの中には「営業=売り込むこと」と誤解している人は多いはずです。
しかし実際には「営業=顧客ニーズを満たすこと」なのです。
営業職の心得とは?
営業の基本は「お客様の役に立つ」ことです。
そして営業職としての使命は「売上を稼ぐ」ことです。
これは当たり前のことですが、それを実現する為には、「営業職としての心得」をマスターしておかなければいけません。
そうすることで、結果につながる行動や思考を生み出すことができると思います。
営業の心得としてまず大切なことは、「お客様をワクワクさせる」ということです。
これはシンプルな話ですが、意外と理解できていない人が多いポイントだと思います。
お客様がワクワクする理由は、「自分の課題を解決できるかもしれない」と思うからです。
逆に言えば、お客様がワクワクしない提案は「良い提案ではない」ので、まだまだヒアリングが足りないのかもしれません。
もしかしたら営業トークを考え直す必要があるかも知れません。
どちらにしても、お客様とのコミュニケーションをもっと密にしたり、本を読んでプレゼンスキルを磨く必要があると思います。
ステークホルダーに貢献する
他にも、ステークホルダー(利害関係者)にメリットをもたらすということがあります。
ステークホルダーとは、お客様、会社、社員(従業員)、株主、銀行などの関係者や取引先だけではなくて、社会全体まで含みます。
名経営者と呼ばれたパナソニック創業者である松下幸之助は「企業は社会の公器である」という名言を残しました。
社会で暮らす全ての人々に対してメリットを享受することが会社経営であり、それこそが事業だと言ったのです。
ステークホルダーの利害や思惑は様々だと思いますが、例えば以下のようなイメージだと思います。
お客様)良い製品サービスを提供してほしい
会社)もっと事業を拡大させる投資がしたい
社員)もっと給料を上げて、福利厚生を充実させてほしい
株主)もっと配当金を出して株価を上げてほしい
銀行)もっと預金したり、借り入れしてほしい
このようにバラバラな思惑だったとしても、「利益を上げる」ことで、それら全ての人々に恩恵をもたらすことができます。
なので、結局は営業マンが売上&利益を増やすことで会社経営に関わる全ての問題を解決することができるということになります。
そう考えた場合、営業職の役割はとても大きなものに思えてくるはずです。
顧客第一主義を貫こう!
営業職なのであれば、いつでも「お客様第一主義」という心構えでいましょう。
このような思考回路を持つことで、営業としての考え方や話し方が変わってくるので、自然とお客様から選ばれるようになります。
そうすると、会社の利益が増えていき、自分自身の喜びや成果報酬(インセンティブ)も変化していきます。
また、顧客目線に立って物事を考えることも重要です。
- お客様にはどのようなニーズがあるのか?
- 顧客が求めていることは何なのか?
このような思考回路になれば、先回りして物事を準備することもできます。
お客様への深い理解と共感を持つことが、トップセールスになるための基本行動なのです。
身だしなみもチェックする
営業職なのであれば、出来る限り第一印象を良くするように努めましょう。
お客様から選ばれる為には、そのような些細なことでも気遣うことが大切なのですが、それは科学的にも証明されていて「メラビアンの法則」と呼ばれています。
身だしなみをチェックして、清潔感のある服装や靴、鞄などにも気配りすることをお勧めしますが、もし「服装についてはよくわからない…」という人は下の記事をご覧ください。
自分自身を俯瞰的に見て、年齢に合った服装をしているか、小物や髪型なども含めて再確認することが必要だと思います。
そのような細かい話ですが、「お客様が不快に思わない」ことが優先されるので、営業職である以上はそのような心構えで仕事に取り組みましょう。
営業とセールスの違いとは?
「営業」という言葉と、「セールス」という言葉があります。
この2つはどちらもほぼ同じ意味なので、「営業」という言葉を英訳すると「sales(セールス)」になります。
しかし、それはあくまでも直訳でしかなくて、日本的な解釈をした場合、若干ニュアンスが違ってくるので注意が必要です。
その違いとは、以下のようなものになります。
- 営業はお客様の課題解決に重点を置いている=顧客主体である
- セールスは販売することに重点を置いている=営業主体である
この二つの違いは、ビジネスパーソンであれば押さえておくべきポイントなので、最後に詳しく解説しておきたいと思います。
営業の意味とは?
先ほども解説しましたが、営業の意味とは「お客様の課題解決をすること」だと言えます。
営業職の仕事とは、ただ商材を売り込むことではありません。
営業パーソンは、お客様の悩みや困っていること、求めているものなどを聞き出して、そのニーズに合った製品サービスを提案していくのです。
そして、お客様の課題を解決するための支援をしていきます。
セールスの意味とは?
セールスは英語の「sales」を語源にしているので、意味的には営業と一緒に扱われることが多いですが、「セールスという言葉に含まれる意味」という観点では、少しニュアンスが違ってきます。
セールスとは「販売することに重点を置いている言葉」として使われているので、お客様に対して商品サービスを売り込んだり、売上を作ることを目的にした言葉になります。
なので、顧客ニーズに応じた提案をおこなう「営業」とは若干ニュアンスが異なるのです。
少し極端な例を出すと、以下のようになります。
- 売上が増えるなら、お客様に必要ない製品でも積極的に売り込む
- 売上が増えるなら、多少強引な押し売りでも構わない
- 売上が増えるなら、お客様が多少不利益を被っても仕方がない
これくらいのスタンスで接するのが”セールス”ということになります。
前述したのはあくまでも極端な例ですが、「お客様の課題解決を目指すソリューション営業」とは違うことが理解できたはずです。
かといって、セールス色の強い営業活動がダメだと言っているわけではありません。
その時々に最適な営業スタイルが存在するので、この二つの意味を理解して使い分けることが重要なのです。
これは営業職としての心得だと理解しておきましょう。