フルコミッションという仕組みはビジネスの現場で古くから利用されていますが、働き方改革の影響で徐々に注目が集まってきています。
しかし、まだフルコミッションという仕組みをちゃんと理解していない人も多いので、「実態が不透明」とも言われています。
そこで今回は、フルコミッション営業の活用事例が多い外資系保険業界にフォーカスしていきたいと思います。
生命保険の業界に興味がある新卒社員や、生保営業として転職を検討している方、保険代理店として独立起業したい方などは、ぜひご覧ください。
目次
フルコミッションは保険業界に多い
フルコミッションセールスでは、自分の販売成績が報酬に直結するので、優秀な営業マンほど「フルコミで働きたい!」というニーズが出てきます。
確かに、雇用契約を結ぶより業務委託契約(フルコミッションの契約)を結んだほうが、より多くの報酬を得られるので、自分に自信がある人はフルコミッションを選んでみるのも良いと思います。
フルコミが特に多いと言われているのは保険業界になります。
一言に「保険ビジネス」といっても、医療保険や生命保険、損害保険など様々な種類がありますが、フルコミ営業に報酬を還元しやすい仕組みができているのです。
その仕組みのポイントとは、
- キャッシュリッチであること
- ストックビジネスであること
の2点に集約されていきます。
まず「キャッシュリッチ(=現金を多く持っている)」についてですが、保険会社は保険業法で資本金額やソルベンシーマージン比率などが厳格に決められている為、キャッシュリッチな会社が多いことが特徴的です。
そのような背景があるので、コミッションを一時払い(フロー支払い)で還元することができるのです。
次に「ストックビジネス」ですが、これは継続収入を意味する言葉になります。
基本的に保険商品は一度顧客が保険契約してくれれば、解約されない限り永続的に収入が入ってきます。
これは「将来収益」とか「不労所得」と言い換えることもできますが、企業経営が安定化するので、ストックビジネスであることも儲かるビジネスの特徴と言えます。
この二つの特徴が合い絡まって、フルコミ営業への報酬が支払われるのです。
つまり、ストックビジネスで将来収益を回収できる見込みがあるので、キャッシュリッチな原資からフルコミ営業の報酬を一括支払いできるのです。
保険業界の中でも特に外資系保険会社では、正社員に紛れて業務委託がたくさん在籍しているので、フルコミで働くことは決して珍しくありません。
とはいっても、外資系保険会社で働くことは楽でなく、完全実力主義の世界なので実績が出せないと生き残ることができません。
逆に、求められる成果を出していれば年収1,000万円以上が当たり前の世界なので、フルコミで働くメリットは十分あると思います。
ただ、フルコミッションという働き方では「成果ゼロ=収入ゼロ」になるリスクがあるので、自分の実力などをよく鑑みて、慎重な選択をしましょう。
外資系保険営業マンとは?
外資系保険会社はたくさんありますが、その中でも代表的な会社は以下の企業だと思います。
- プルデンシャル
- ジブラルタ
- メットライフ
- アクサ
- アフラック
- チューリッヒ
- マニュライフ
- マスミューチュアル
外資系保険会社は成果に応じて報酬体系が決められることが多いため、年齢に関係なく稼ぐことができますが、日本市場で上手くフルコミッション営業を使っている会社といえばプルデンシャル生命でしょう。
業種交流会に参加すると必ず出くわすのがプルデンシャル生命の営業マンです。
彼らはとても優秀な営業パーソンばかりですが、それもそのはずです。
というのも、プルデンシャル生命は様々な業界のトップセールスをヘッドハンティングしているので、必然的に優秀なセールスパーソンが集まってくるのです。
それだけ優秀なセールスパーソンの中でも、一握りのトップセールスしか生き残ることができない熾烈な職場なので、必然的に生き残った人の年収は高くなる傾向があります。
プルデンシャル生命で働く日本人のトップセールスは、年収1億円を軽く超えると言うから驚きですよね。
もちろんそれだけ多くの利益を会社にもたらしているので自分にも還元される訳ですが、それだけの利益を上げることは容易でないことが想像できます。
しかし、業務委託として働き始めた最初の頃は「研修期間」のような位置づけになるので、まずは「月額数十万円の固定給+インセンティブ」になるケースが多いと思います。
所属する会社にもよりますが、早い段階でフルコミッション制度に移行する会社が多いため、年齢に応じて収入が増えたり、役職が与えられる年功序列の日本企業とは大きな違いがあります。
なので、外資系企業の保険営業マンとして働くのであれば、フルコミッション制度への理解が欠かせません。
フルコミッションは完全成果主義になるので、売れた年と売れない年の差が激しく、前年と今年の収入に数百万円の差が出ることもあります。
ただ精神的にきつい仕事なので、外資系保険営業マンとして働き続けるためには強い忍耐力が必要だと思います。
年齢や学歴に関係なく業績が評価される世界なので、保険営業に対する情熱と努力さえ続けていれば、高学歴のキャリア社員より多くの報酬をもらうことができるでしょう。
- 自分の実力を正当に評価して欲しい!
- 自分の実力を試してみたい!
- 営業職として頂点を極めたい!
と考えている人にはピッタリの働き方だと思います。
そのような人は、国内の保険会社で働くよりも、外資系保険営業マンとして働いたほうが達成感を感じやすいでしょう。
生保営業に向いている人
生命保険の営業として活躍するには、保険に対して情熱があることはもちろんですが、人と話すことが好きなことも重要です。
これは金融系全般に言えることですが、金融商品の営業ではお客様のセンシティブ情報をもとにした提案を行っていきます。
例えば「金融資産」「家族構成」「遺産相続」など、あまり人に話さないし、知られたくないような情報をもとに提案していくのです。
なので、保険営業マンにはお客様との密接なコミュニケーションが求められます。
そのような背景があるので、人と話すことが苦手な場合には向いていないのです。
しかし、色々な世代のお客様と接する機会に恵まれるので、人と関わっていくことが好きな人には天職と言える仕事だと思います。
他にも、おせっかいで人当たりが良い人も、生命保険の営業に向いていると思います。
営業職は常に新規開拓が求められる仕事なので、ガシガシと相手の懐に入り込んでいく姿勢が求められるのです。
これは良く言えば「おせっかい」ですが、悪く言えば「図々しい」ということになります。
良くも悪くも「気遣いができる人」というイメージだと思いますが、そのようなイメージがあるのは男性というよりも女性だと思います。
そのため、生保営業は女性に向いている仕事と言われているのです。
生保営業をする際は、センシティブ情報を教えてもらう必要があるので、相手との信頼関係が必要不可欠です。
信頼できる営業パーソンであれば、顧客も心を開いてくれます。
顧客に信頼されるためには、礼儀正しい態度や清潔感のある見た目など、細かな配慮が必要だと思います。
顧客の立場に立って、いろんなことを考えながら動ける人であれば、生保営業で成果を出すことができるでしょう。
フルコミッションと代理店の違いは?
ここまでフルコミッション制度について解説してきましたが、この仕組みとよく似ていると言われるのが代理店制度になります。
この二つを混同して理解している人は多いと思いますが、フルコミッションの業務委託として働くのであれば、代理店との違いを明確に理解しておくべきだと思います。
フルコミッションは企業と業務委託契約を結び、フリーランスや個人事業主として働く雇用形態のことをいいます。
企業が業務を外部委託(アウトソーシング)するという側面では代理店と似ていますが、実際には大きな違いがあるのです。
例えば、販売代理店の仕組みでは、代理店本部から商材を仕入れますが、売り方までは強制されません。
また、自分の名刺を持って営業するので、決して代理店本部の名称(名刺)で売らなければいけないという制約もないのです。
さらにフルコミセールスでは、営業リストや事務所が自由に使えたり、電話の支給があったりと営業ツールの提供を受けることもできます。
ここまでをおさらいすると以下のような違いになります。
- 契約形態は業務委託契約
- 業務委託先の名刺を持って営業する
- 営業ルールは業務委託先から指示される
- 営業ツールは原則的に支給される
- 契約形態は代理店契約
- 自分の名刺を持って営業する
- 営業ルールは自分独自のもので営業する
- 営業ツールは原則的に自分で用意する
このような違いは、フルコミ営業として働く前に理解しておいた方が良いと思います。
フルコミッションという働き方はそれなりにリスクがあるので、生半可な気持ちで仕事を始めると痛い目に合ってしまいます。
なので、くれぐれも注意しましょう。
保険代理店で独立開業する
自分の実力に自信があるのであれば、保険代理店として独立起業することもできます。
例えば、外資系保険会社のアフラックでは、保険代理店を幅広く募集しているので、独立開業に興味のある人は一度チェックしておくといいでしょう。
アフラックの代理店募集ページ:https://www.aflac-as.com/
ただし、専属代理店になってしまうと、その会社の商品しか売れなくなってしまうので、この辺りは十分注意が必要です。
本来、代理店の魅力と言われているのは「様々な商材を横軸で提案できること」ですよね。
つまり、アフラックの保険商品も、メットライフの保険商品も、少額短期保険も提案できるような乗合代理店が理想的な代理店像なのです。
一社専属の保険代理店になってしまうと「縦軸の提案」しかできなくなるので、お客様にとって魅力が薄れてしまうかもしれません。
営業未経験&低リスクでも開業できる
アフラックの代理店制度では、事前に独自の教育・研修を行うことになっているので、未経験者でもチャレンジできます。
加盟金や店舗なしでも開業できるため、多額の資本金を用意する必要もありません。
実際に保険代理店を開業する際は、アフラックと業務委託契約を締結することになるので、個人事業主としてマイペースに働けるというメリットもあります。
ちなみに、個人事業主と法人ではどちらでも登録できるので、順調に成果を出していけば、将来法人を設立して「社長に就任」というのも夢ではありません。
もちろん兼業でもOKなので、本業の空いた時間を利用して、週末起業してみることもおすすめです。
保険代理店として独立開業すれば、定年退職せずに一生涯仕事できるので、「生涯現役」と言われる時代には適した働き方なのかもしれません。
保険代理店で独立起業することには様々なメリットがあるので、もし営業職が転職を考える際には選択肢の一つに入れることをお勧めします。