
ビジネスパーソンであれば、「カスタマーサクセス」という言葉を聞いたことがあるはずです。
なんとなく仕事内容が理解できるかもしれませんが、「営業や販売との違いは?」と聞かれると悩みますよね。
そこで今回は、カスタマーサクセスという働き方について解説していきたいと思います。
現場で活躍しているセールスパーソン、これからカスタマーサクセス部を新設したい人などは、ぜひご覧ください。
カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスは、英語の「Customer+Success」を組み合わせた言葉です。
これを直訳すると「顧客の成功」を意味するので、つまり”顧客の成功事例を作る人”がカスタマーサクセスなのです。
もう少し具体的な仕事内容に触れていきたいのですが、カスタマーサクセスが活躍しているのはIT業界が多いと言われています。
なぜIT業界でカスタマーサクセスが必要なのかと言うと、インターネットサービスは月額課金制のサービスが多いからです。
月額課金制のソフトウェアは「クラウド型ソフト」と呼ばれており、最新バージョンへのアップデートを担保しつつ、業務に必要なソフトウェアを安価に提供しているのです。
しかしソフトウェアは操作が難しいので、慣れていないと次第に使わなくなってしまいますよね。
ソフトウェアを使わなくなると、お客様はサービスを解約してしまうので、それを防ぐ役割がカスタマーサクセスにはあるのです。
つまり、元々お客様は何かしら課題感があって、クラウド型のソフトウェアを契約したはずです。
きちんとサービスを使いこなせば、自分たちの課題が解決できるにも関わらず、使い方がわからずサービス解約に至ってしまうと、結局誰にもメリットが残らないのです。
このような状態を防ぐため、カスタマーサクセスが顧客ニーズをヒアリングし、それに合わせた使い方をレクチャーするのです。
そうすることによって、お客様はソフトウェアを使いこなし、自分たちの課題が解決できることになります。
それがつまり、顧客の成功(=カスタマーサクセス)を支援することに繋がっていくのです。
そのような支援をした結果、サービスの提供元(メーカー)は継続的な利用につながるので、自分たちの売り上げが減ることもありません。
このような泥臭いフォローアップ営業を、現場でしているのがカスタマーサクセスなのです。

営業(セールス)との違い
カスタマーサクセスを営業職とくくっている場合もありますが、基本的にはカスタマーサクセスとセールス職は別物だと思います。
セールスの役割は、会社に売り上げをもたらすことなので、どちらかと言えば新規開拓営業をしたり、既存顧客へのクロスセルをするのが重要になってくるはずです。
なので営業マンがKPIにしているのは「テレアポ件数」「商談数」「見込客数」などになります。
それに比べて、カスタマーサクセスは基本的に売上を追っていません。
カスタマーサクセスがKPIにしているのは、「ソフトウェアに入っているデータボリューム」「ソフトウェアを使っているユーザー数」など、継続利用に伴う指標ばかりです。
カスタマーサクセスと営業職にはそのような違いがあるのです。
カスタマーサクセスは辛い仕事?
一部では「カスタマーサクセスなんてやめとけ」という意見も聞かれますが、カスタマーサクセスは本当につらい仕事なのでしょうか?
カスタマーサクセスが辛いと言われるのには理由があります。
- 自分の努力だけでは目標達成できない
- 仕事の成果が定量的に測りにくい
- 同じことばかり説明するので飽きる
- 裏方の仕事なので地味
- 顧客対応でストレスが溜まる
まず最初にお伝えしたいのは「自分の努力だけで目標達成できない」ことです。
営業職であれば、自分の実力次第で売上はついてきますが、カスタマーサクセスはそう簡単にいきません。
いくら一生懸命に説明しても、お客様がきちんと動いてくれなければ、目的が達成されないのです。
なので「仕事の成果が定量的に測りにくい」職種だと思います。
セールスであれば”売上”や”粗利”という、目に見える数字が出てくるので、仕事の成果が分かりやすいですよね。
それに比べて、カスタマーサクセスの場合には”継続率”という指標になると思いますが、果たして「自分の努力によってお客様が継続したのか?」というのは定かでありません。
なので、仕事に対するモチベーションが上がりにくいのです。
それは「同じことばかり説明するので飽きる」というのにも繋がっていきます。
お客様に操作説明をすることが仕事なので、どうしても同じような説明ばかりを繰り返すことになるのです。
しかもお客様が理解してくれるまで、何度でも同じ説明をする羽目になるのです。
そのような働き方は、花形職と呼ばれる営業職に比べて「裏方の仕事なので地味」と感じる人も多いようです。
そして、ダントツNo.1なのが「顧客対応でストレスが溜まる」ということです。
再三お伝えしている通り、カスタマーサクセスはお客様に対して操作方法や使い方を説明するのが役割になります。
そのような対応をしていると、お客様から「使いづらい」とか「機能が不十分」と言われるのは当たり前で、「●●の機能を付けて欲しい」というエンタープライズ要望まで出てくるのです。
もちろん出来る出来ないはありますが、「顧客の成功」を目指すカスタマーサクセスとしては、極力お客様の要望を実現したいと思うはずです。
しかし実際には、そのような要望をエンジニアチームが受け付けてくれなかったり、上司からは「今ある機能の範囲内で改善提案をするように」と言われたりするのです。
そうすると、顧客と会社の板挟みにあって、一人孤独に苦しむことになります。
このように辛い立場にあるカスタマーサクセスですが、それを助けてくれる人は誰もいないので、自分のできる範囲に限界を感じてしまうのです。
カスタマーサクセスに向いてる人
ここまでカスタマーサクセスの仕事内容について触れてきましたが、カスタマーサクセスに向いてる人とは果たしてどんな人なのでしょうか?
カスタマーサクセスはある意味「地味な仕事」なので、それなりに”やる意義”を見い出さなければいけません。
最も一般的な動機付けとしては、顧客対応に集中できることでしょう。
やはりセールスの仕事では営業ノルマを追わなければいけないので、誠実な顧客対応ができなかったり、フォローアップをないがしろにしがちですよね。
しかしカスタマーサクセスであれば、丁寧できめ細かい顧客対応が求められるので、むしろそれだけに集中できるという側面があります。
なので、良い意味でおせっかいな人や、気配りができる人はカスタマーサクセスに向いていると思います。
そのような特徴を持っているのは、一般的に「女性」だと言われているので、結果的にカスタマーサクセスには女性営業が多くなっているようです。
確かに営業ウーマンの方が気軽に相談しやすかったり、柔らかい印象があるので、提案を受け入れやすいという特徴があるような気がします。
もしこれからカスタマーサクセス部署を新設する場合には、顧客へのフォローアップ営業に定評があるメンバーを選出しましょう。
