事務職など他の職種と比較すると「営業職の給料は高い!」と言われています。
営業にはインセンティブと言われる歩合給が出ることが多いので、その分が基本給に上乗せされる為です。
それでは営業職の給与は一体いくらなのか?
ここでは気になる営業給与とインセンティブについて解説していきたいと思います。
目次
営業職の平均年収はいくら?
営業職は一般的に「会社の登竜門」とも言われる職種なので、多くの会社でキャリアのスタート地点になっています。
そのため、営業職の給与は会社の基準といえるような金額になっていて、基本給はその会社のほぼ平均値に近い水準となっています。
ちなみに、営業職の平均年収は400万円ほどですが、年齢が上がるほどに給料が高くなる点は他の職種となんら変わりません。
例えば、20代の営業職の平均年収は約420万円ですが、30代では約530万円、40代では約720万円となり、平均年収は20代よりも大幅にアップしていきます。
ただ、営業職で年収600万円以上を稼いでいるのは、全体の約20パーセントくらいと言われているので、全員が稼げている訳ではありません。
ちなみにこの「20%」という数字は、所属する会社のトップセールスであることを意味しています。
これはあくまでも一般論ですが、企業はパレートの法則に基づいて経営されることになります。
パレートの法則とは「2対8の法則」とも呼ばれますが、組織の中で優秀な人は2割しか出てこないという法則のことを言います。
この法則に営業職を当てはめた場合、営業職の内訳は自然と以下のような割合に分かれていきます。
- 優秀なトップセールス:20%
- 普通のセールスパーソン:60%
- 無能なセールスパーソン:20%
もし営業職として成功したいのであれば、優秀なトップセールス(20%)に入るように努力しなければいけません。
この上位層に入れば、将来のキャリアは約束されますし、貰える給料も高くなるはずです。
とはいえ、平均年収は業種業態によって若干変化します。
例えば、平均年収が高いと言われているのは、金融機関の営業職や、不動産関連の営業職、大手製薬会社のMRなどです。
この他にも、通信商材を販売している営業会社では、基本給のほかに歩合給やインセンティブなどがたっぷりつくので、高給取りになる傾向があります。
このようなインセンティブが充実していると、個人業績によって給与額にも大きな差が出てきます。
たとえ同じ会社に勤めていても、営業成績が良い人と、そうでない人では年収に大きな開きが出てくるので、1,000万円以上の年収になる人もいるのです。
営業インセンティブの金額はいくら?
営業職の基本給は他の職種と比べても平均的なレベルですが、先ほども触れたとおりインセンティブの金額が高いことが特徴的です。
インセンティブは「歩合」とも呼ばれており、営業職の給与ではかなりの割合を占めます。
インセンティブがどのような仕組みで発生するかを決めるのは会社(=経営者)になりますが、トップセールスなど業績が高い人は、インセンティブだけで固定給以上の金額を稼ぐケースもあるのです。
なので、営業職の場合はインセンティブの条件次第で、年収が大きく変わるケースが少なくありません。
その条件は様々ですが、一般的に営業インセンティブや歩合には、大きくわけて2つのスタイルがあります。
- 一定の目標を達成したときにインセンティブが発生する
- 売上の上昇率や契約の数に応じてインセンティブが発生する
目標達成型のインセンティブの場合、本人やチームの努力が評価されるため、目標を達成していれば売上や契約数が少ないときでも報酬が得られます。
一方、売上や契約数がそのままインセンティブに反映されるスタイルでは、実績を上げないと報酬は得られません。
ノルマを達成できないと、歩合なしといったこともあり得るのがこのようなスタイルです。
どちらも一長一短なので、どちらのスタイルが良いという訳ではありませんが、理想的なのは両方とも取り入れるスタイルだと思います。
例えば毎月のノルマは売上金額で設定し、その金額を上回った場合はインセンティブを支払う条件を基本とします。
毎月のキャッシュフローを稼ぐのはとても重要ですが、ノルマを上回った分は「純粋な貢献分」になるのでインセンティブで還元するのが良いでしょう。
それとは別軸で、「重点商品」「今月の注力商品」など将来に向けてやるべき仕事もあります。
例えば以下のようなものが挙げられます。
- 新規顧客の開拓
- ストック収益の商材販売
新規開拓営業は新しいお客様を増やす行為なので、永続的な企業経営ではとても重要なポイントになってきます。
そしてストック収益の商材販売も、将来的な経営を安定させるという意味では外すことができません。
なので、これらは毎月のノルマと別軸でインセンティブ設定し、「月間賞」や「MVP」などの名目で達成者を表彰するのが良いと思います。
この月間賞などに報奨金を付けるのもオススメです。
営業インセンティブが設定される理由
ここまで読み進めた人は、なんとなく営業インセンティブが設定されている理由も理解できたと思います。
営業インセンティブが設定されている理由をまとめると、大きく2点に分けられます。
- ノルマ達成した後の利益分配をするため
- 思い描いた通りに企業経営をするため
先ほどご説明したとおり、インセンティブを設定するのは経営者です。
つまり「なぜ営業インセンティブが設定されているのか?」ということを考える場合には、経営者目線に立って考えなければいけません。
ノルマ達成した後の利益分配をするため
営業職の仕事とは一体何なのでしょうか?
営業職として働いている人は即答できると思いますが、それは「ノルマを達成すること」です。
経理部や商品開発部などでは全く別軸で仕事が進んでいきますが、営業部だけは「ノルマ」という数字が出てきます。
ノルマが設定される理由については下の記事を見てもらいたいですが、このノルマを達成することだけが営業職の存在価値になってきます。
つまり、仮にノルマ未達成となった場合、その営業パーソンは仕事をしてないとみなされるので、サービス残業をしてでも挽回しなければいけません。
逆説的に言ってしまえば、ノルマ達成している人は仕事を完全達成したと見なされます。
例えば今月のノルマが営業粗利で100万円だったとして、このノルマを超過した120万円で今月着地したとします。
先程お伝えした通り「ノルマ達成すること=仕事をしたこと」になるので、経営者から見た場合、超過した20万円は余計に働いてくれたことになります。
なので、その超過した分はインセンティブとして還元することが経営者の感覚としては普通なのです。
この辺りの感覚が理解できていない営業マネージャーなどは、インセンティブを支払う理由を聞かれた場合「ノルマ達成させるため」とか「モチベーション上げるため」と答えるのですが、それだけでは重要な要素が足りていません。
経営者目線で見た場合、インセンティブを支払う理由とは「ノルマ達成した後の利益分配をするため」と答えるのが正解になります。
思い描いた通りに企業経営をするため
先ほどインセンティブを支払う理由は「ノルマ達成した後の利益分配をするため」とお伝えしました。
その他にも重要な要素があるのですが、それは「思い通りに従業員を動かす」ためです。
経営者目線で見た場合、今は儲からなくても長期的に販売強化したい商材サービスがあると思います。
また、それ以外にも営業職にやってもらいたい仕事は沢山あるはずです。
しかしいちいち指示するのは面倒ですし、現場の営業パーソンは毎月のノルマに必死なので、余計な仕事まで考える余裕なんてありません。
そんな時に便利なのがインセンティブ設定なのです。
- 今月は商品Aの販売強化月間です。
- 今月は新規開拓営業の強化月間です。
上記のような演出をして、会社の方針通りに動いてくれた人にインセンティブを渡す仕組みを用意すれば、現場の営業職にも経営側の意図が伝わりやすいですし、想定通りに動いてくれる確率が高まります。
このような施策をしないで営業現場を放置してしまうと、経営者の思惑通りに現場は動いてくれないので、うまく経営の舵取りができなくなっていきます。
このように営業インセンティブを上手く活用していけば、結果的に組織力の強化に繋がっていくことが理解できたと思います。
経営者や営業部長が理解するのは当たり前ですが、現場の営業スタッフも「なぜインセンティブが設定されているのか?」という意図を正しく汲み取るようにしましょう。
営業の給料が高い理由
インセンティブなどをプラスして会社が社員に高い給料を払うのは、「仕事に対しての対価」という側面は当たり前ですが、それ以外にも「やる気をだしてもらいたいから」ということがあります。
会社としてはできるだけ多く商品を売ってもらったり、たくさんの人から契約を取り付けたいのですが、そのようなセールス活動は社員が頑張らなければ実現しません。
新規営業では初対面の人や取引がまったくない企業と交渉する機会が多いため、営業スタッフのストレスも大きくなりがちです。
ストレスに負けずにポジティブに営業してもらうためには、社員のモチベーションを上げるのが1つの課題になってくるのです。
なので、会社としては営業スタッフのモチベーションを上げるために、できる限り高めの給料を設定したいというのが本音なのです。
社員は営業成績や実績の社内評価が良ければ、「もっと頑張ろう!」という意欲が湧いてきます。
そういった意味では、会社が行っているモチベーションを上げるアプローチは、必ずしもインセンティブ(お金)だけではありません。
表彰制度や社内公募制度などを取り入れて、モチベーションを上げる努力をする企業も増えています。
しかし、特に大きな効果が期待できるのはやはりインセンティブ(=現金)だと思います。
年収が上がることは目に見える結果なので、一番わかりやすいですし、モチベーションを上げる効果も高いと言えます。
営業給料が高い業種
一般的に営業給料が高いと言われているのは、
- 不動産
- 情報通信
- 保険
- 証券
などの業種です。
このような業種の企業ではインセンティブを導入しているケースが多く、トップ営業マンの社員は年収が数千万円になる傾向があります。
不動産業界などは、1件の受注で動くお金の額が大きいので、社員に支払われるインセンティブ報酬額も高くなるのが一般的です。
また、ノルマがある保険や証券業界は、達成したノルマに応じて支払われる報酬が増えていくケースが少なくありません。
より多くのノルマを達成した社員は、営業の平均年収を超えるような高い報酬を得るケースもあるわけです。
一番稼げるのはフルコミッション
ここまで営業インセンティブを含めた営業職の給料について解説してきました。
この記事をご覧になっている人は、恐らく「たくさん稼ぎたい人」だと思います。
結論から申し上げると、営業系の仕事をする場合、一番稼げる働き方はフルコミッションになります。
フルコミッションとは「完全歩合給」や「完全成果報酬」と呼ばれる働き方です。
フルコミ制度の詳細については下の記事をご覧ください。
フルコミッションで働く人は「セールス自信がある人」なので、ほとんどの人が月収100万円以上を稼いでいます。
でもフルコミッションの場合には、たとえ営業未経験者でも「月100万円以上を稼ぐケースもある」ので、もし稼げる仕事を探しているというのであれば営業系の業務委託を検討するのもおすすめです。
とはいえ、ハイリスクハイリターンの働きにはそれなりのリスクもあるので、必ず事前に確認するようにしましょう。