営業職であれば、一度くらいは「フルコミッションセールスとして働いた方が稼げるのでは?」と思ったことがあるでしょう。
しかし実際に独立開業したり、フルコミ営業マンになる人は非常に少なく、フルコミッションセールスの契約内容も理解できてないケースも多いようです。
そこで今回は、フルコミッションセールスとして働いた場合を想定しながら、様々な疑問を解決していきたいと思います。
これからフルコミ営業として独立起業を検討している方や、フルコミの活用を検討している経営者まで、幅広くご覧ください。
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フルコミッション営業とは?
フルコミッションセールスとは、「仕事の成果に応じて給料が支払われる契約形態」のことを指します。
日本語では「完全歩合制」とも呼ばれていて、たくさん実績を上げれば上げるほど給料が多くなる働き方なのですが、業績が上がらなければその分だけ給料は下がってしまいます。
一般的な歩合制と異なるのは「基本給が設定されない」ことですが、給料の額に天井が存在しない代わり「収入ゼロ」になる可能性もあり得る、非常にハイリスク&ハイリターンな働き方だと言われています。
普通のサラリーマンは一つの企業に勤めて、正社員や契約社員などの形で所属して働くのですが、フリーランスの場合には企業と相対契約を交わして業務にあたります。
つまり”業務委託”となる為、フルコミッションセールスの場合、営業代行業者として自分自身を売り込みながらクライアントを探さなければいけないことになります。
しかし、自分と条件のあるクライアントが見つかりさえすれば、好きな時間帯で業務を行うことができるので、会社員のようなストレスから解放されることでしょう。
そのような自由さがあるので、会社に拘束されたくない人たちを中心に、フルコミッションセールスという働き方に注目が集まっています。
フルコミッション営業は働く意欲と情熱、実力さえあればいくらでも稼げるため、自分のスキルを活かしてさらに上のレベルを目指したいという意欲のある人や、大きく稼ぎたいと考えている人にとっては大きなチャンスになるかもしれません。
新しいことに挑戦するのは勇気がいりますが、成功してビジネスが軌道に乗れば、自分の世界観が変わるくらい大きな変化をもたらしてくれるはずです。
そのような”夢”を与えてくれるのがフルコミッション営業という働き方だと思います。
フルコミッションの雇用形態
日本では個人事業主が業務委託契約を結ぶ場合に限って、フルコミッション契約を結ぶことが許可されていますが、その一方、労働基準法では雇用主が労働者と雇用契約を結ぶ場合、最低賃金を含めて一定額の給料を保証しなければいけないと定められています。
例えば正社員や契約社員、アルバイト等の場合、その人達は法律上、企業という「使用者」が専属的に雇用する「労働者」という扱いになります。
そのため、このような雇用形態の場合は労働基準法によって一定額の給料を保証しなければ、企業側は「法令違反」となってしまうため、社員とフルコミッション契約をすることができません。
一方で、個人が企業から「営業代行などの業務を委託する」という形で業務委託契約を結ぶケースでは、その個人と企業は雇用契約を直接結んでいるわけではない為、このような場合は企業と対等な立場である「個人事業主」という扱いになります。
その結果、労働基準法が適用されず、フルコミッションで契約する事が可能となります。
ただし、業務委託契約であっても専属的な契約や拘束時間が長いなど、その業務の実態が「労働者」であるとみなされた場合は「雇用逃れ」と判断されて、労働基準法が適用されるケースがあります。
この辺りは常識的に考えればわかるレベルなので、会社を経営している人は十分注意しましょう!
フルコミ営業の報酬相場
フルコミッションセールスの報酬相場について、不動産仲介業を例に挙げて具体的な数字を見てみましょう。
例えば、Aさんが不動産仲介会社とフルコミッションセールスの業務委託契約を結び、2,000万円の物件を受注し契約成立させたとします。
この時、不動産仲介会社には、仲介手数料として物件販売額の3%にあたる60万円が入ります。
仮に歩合率50%で業務委託契約を結んでいたとすると、仲介手数料60万円の50%にあたる30万円がAさんの取り分となりますが、もちろん諸条件によって異なります。
しかしこれがざっくりとした1契約当たりの報酬計算となります。
もし毎月1件のペースで同額の契約を成立させていくとすれば、1年で360万円(30万円×12ヶ月)の収入になりますよね。
フルコミッション営業のやり方は人それぞれですが、基本的なフルコミ営業は成果の分だけ収入が増えていく仕組みなので、月の成立件数が2件、3件と増えれば、月収も60万円、90万円と増えていくことになります。
その一方で1件も契約成立させられなければ、その月の収入はゼロとなります。
また、雇用契約ではないので賞与や福利厚生などはありません。
このようにフルコミッションでは、従業員としての恩恵が受けられない一方で、成果を上げた分だけ収入も増えていくので、その部分は大きなメリットだと言えます。
フルコミ営業(=業務委託契約)なので副業でもOKですが、やる気と実力次第では月一千万円以上の収入をたたき出すことも不可能ではありません。
それがフルコミッションの魅力であり、フルコミ営業というビジネスの可能性だと言えます。
また、フルコミは個人事業主になりますので、経費を計上することができるというメリットがあります。
フルコミの給与からこの経費を差し引くことができる為、税制メリットを享受することができることも魅力の1つだと思います。
この辺りについて詳しく知りたい人は、下の本をご覧ください。
フルコミッションの業務内容&働き方
フルコミッション営業の職種には、どのような種類があるのでしょうか?
例えば、不動産の仲介業や保険営業、インターネットなどの通信回線、ネット上の広告営業など、様々なフルコミ営業が存在しています。
気になる業務内容ですが、見込み顧客の開拓や、商材説明、契約業務、商品の引き渡しなど契約に関する業務を全て一貫で委託される場合もあれば、アタックリストが提供されたり、アポイント獲得やインサイドセールスのみを委託される場合もあります。
このことからわかる通り、一言に「フルコミッションセールス」と言っても、その契約内容や業務内容は様々だということです。
また、契約内容によっては定期的に委託先の会社に出社したり、定例ミーティングで報告したり、レポーティングしなければいけない場合もあります。
この辺りはクライアントとの話し合いで決まるのですが、フルコミッションの場合には、極力拘束力を小さくした方がいいと思います。
なぜかといえば、フルコミッション営業の雇用形態はあくまで業務委託なので、業務を行う時間帯や日数、就業時間などの制約が本来はありません。
業務委託契約とは本来、自分の好きな時間帯に、好きな分だけ働くやり方のことを指すのですが、現実的な話としてはクライアントの力が強いので、どうしてもフルコミ営業は不利な条件で働きがちです。
そのため、まずはフルコミッションでの委託業務をメインの仕事にするのではなく、正社員として働きながら、空いた時間に副業フルコミッションとして働くことをおすすめします。
このような働き方であれば交渉力が強くなるだけでなく、リスクも最小化できます。
自分のライフスタイルに合わせて自由に働くことができるという「フルコミッション制のメリット」を最大限活用しましょう!
フルコミッションは違法なの?
ここまでフルコミッションという働き方について解説してきましたが、実はフルコミッションという仕組みが違法となるケースもあるので、ここで理解しておきましょう。
もしもあなたが正社員やアルバイトとして働いているにもかかわらず、フルコミッションセールスとして契約させられているなら、それは恐らく違法行為になります。
日本では労働基準法があるため、労働者に対する最低賃金の保証が企業に義務付けられている為です。
つまり雇用契約上でフルコミッション制を採用する事は法律違反となるのです。
しかし、業務委託契約という形で個人と企業が契約を結ぶ場合は、雇用契約には当たらないため労働基準法の適用範囲には含まれず、合法的にフルコミッション制を選択することができます。
よってその”境目”を理解しておくことが重要だと思います。
これはあくまでも一般論となりますが、正社員と同じような扱いを業務委託(フルコミッション営業)に求めるのは違法行為になる可能性が高いです。
例えば正社員と同じような勤務時間(午前9時~18時まで)を強制したり、営業ノルマを強要することは「雇用逃れ」と言われても仕方ありません。
このように企業(委託者)が業務委託者に対して、自社にとって都合の良い無理難題を、一方的に押し付けないようにコントロールしているのが労働基準法であり、下請法などの法律です。
そのルールに則って正しく運用する限り、フルコミッションは大きな可能性を生み出すことができるでしょう。
つまり、フルコミッション制度という仕組み&ルールを正しく理解して、「どうすればこの制度を上手に利用できるのか?」を考えることがお互いに大切だと思います。
フルコミッション制度にはプラス&マイナスの側面が内在しているので、両方を考えながら、上手な活用方法を検討してみましょう!