営業現場では、稀に個人的なキックバックを提示されることがあります。
この時に疑問になるのが、「果たしてこのキックバックは受け取っても大丈夫なのか?」ということです。
そこで今回は、キックバックを受け取る際に注意したいことや、違法になるキックバックの受け取り方について解説していきたいと思います。
キックバックの意味とは?
ビジネスでは納品や契約手続きする機会に立ち会うことがありますが、その時にキックバックを得られることがあります。
キックバックとはリベートや割戻し、バックマージンとも呼ばれますが、利益に応じて得られる販促金や謝礼を指します
これは、企業や個人が受け取るものですが、類語に「賄賂」という言葉が存在しているため、キックバックを良くないイメージで捉えている人も少なくありません。
しかし、キックバックは法的に問題が無い仕組みなのです。
他にも、取引をする過程で「値引き」や「割引き」を受けられることがありますが、会計上は割引とキックバックには大きな違いがあります。
割引は事前に値引きしてくれるものですが、キックバックは成果に応じて利益を得られる方法なので、会計上では処理が大きく変わってくるのです。
つまり、商品を購入する時に、「●●以上を購入した場合」「××までに契約した場合」など所定の条件をクリアすることで支払われるのがキックバックなのです。
キックバックは取引量に応じて、その金額が変化します。
企業取引ではキックバックは良く使われていて、金品をもらうなどの形で利益を得ている方も多いです。
また金品ではなく高級料亭での接待なども、キックバックに近い意味合いを持っています。
沢山の取引をして、相手側に大きな利益をもたらした場合、その一部を還元する行為がキックバックと呼ばれているのです。
この辺りをもっと詳しく知りたい場合には、下の記事をご覧ください。
個人的なキックバックはあり?
企業間の取引は担当者同士で行いますが、そこでキックバックを提案されることがあります。
本来取引で得られた利益は、自分が働いている企業に入るべきですが、実際の現場では取引担当者がキックバックを受け取っているケースが多いのです。
しかし、そのようなカタチになった場合は十分注意しなければいけません。
個人的にキックバックを受けること自体は問題ないのですが、やり方によっては問題になるケースもあるのです。
個人的なキックバックを受け取って法的な責任を問われるケースは、自分の働いている会社に損害を与えた場合になります。
例えば、請求金額にキックバック分を上乗せした時などがそれに該当します。
具体例としては、10万円の商品を会社で購入した時、個人的に1万円のキックバックを受け取ることになっていたとします。
この時点では何の問題もありませんが、相手の営業担当者がキックバック分の1万円をプラスして11万円で会社に請求してしまうと違法行為になってしまうのです。
この上乗せ分の1万円は、本来会社が支払うべき金額ではないので、会社としては損害とみなされます。
つまり概念的には「横領」と同等に扱われるのです。
キックバックは商品券などの形でもらえる時も多いので、周囲に分からずに収入を得られる場合も少なくありません。
しかし自分の働いている会社に損失を与える形でキックバックを得ていると、会計処理した時にばれる可能性があります。
会社に被害を与えない形でキックバックを得るのは問題ありませんので、個人的にキックバックを受け取る時は注意しましょう。
キックバックはバレない?
キックバックを提示される時には、ギフト券や商品券などの形が多いので、周囲に分かりづらく安心です。
またギフト券でキックバックを渡された場合は、金券ショップなどに行けば現金に換金できるので、そういった側面でも便利だと思います。
通常は収入を得た時に税務署から指摘を受けないか心配になりますが、取引で得たギフト券などを役所が確認するのは難しいと思います。
キックバックを銀行振込などではなく、その場で手渡ししてくれるケースでは、周りの人にも分からないので、安心して受け取れるでしょう。
会社は自分の収入に対する、税金の手続きを代わりにしてくれます。
これを源泉徴収制度といいます。
この仕組みがあるおかげで確定申告についての知識がなくてもサラリーマンとして働けますが、収入額を会社側が税務署に提供してしまいます。
会社側が手続きをするので月給などの収入は税務署に分かってしまいますが、キックバックは会社を通さないので税務署は把握できません。
ただ、得られた利益が大きければ税金の手続きが必要なので、自分で確定申告などの対応をする必要が出てきます。
キックバックと賄賂の違い
政治家や公務員は公的な職務をこなす性質上、独占的な権力や特権を持っていると言えるでしょう。
このような職業の人には、その恩恵にあやかりたいと思う人が寄ってくる可能性があります。
しかし、公的な職業の人が、自分のために便宜を図ってもらうと賄賂として処罰されます。
キックバックを個人的に受け取ることは原則的に問題ありませんが、職業によっては「賄賂」と認識される場合があるのです。
特に、政治家や公務員を相手にしてしまうと贈賄罪や収賄罪の罪に問われる可能性があります。
企業間の取引であればキックバックすることは問題になりませんが、役所との取引で利用すると賄賂とみなされる可能性があります。
贈賄罪や収賄罪は直接金品を渡さなくても、接待をしただけで罪に問われます。
近年では上場企業の東北新社が総務省職員を接待した事件が記憶に新しいと思います。
ニュース記事:総務省接待54件、全て東北新社が負担 調査報告書発表
キックバックと賄賂には明確な違いがありますが、良く考えて使わないと、大変な事件に発展することがあります。
そのため役所や政治家にビジネスへの協力を頼む場合は、賄賂にならないように注意しなければいけません。
他にも、政治家などが建設業者から接待を受けて、その見返りに公共事業の斡旋をするケースがあります。
その場合は国民の資産である税金を、勝手に流用したとみなされ、政治家も建設業者も同等に厳しく処罰されます。
キックバックは会社の取引を円滑に行い、大きな利益を得た見返りとして支払う販促金になります。
そのため社会に悪影響を与えるような活用方法は違法になるのです。
キックバックの処理はどうする?
キックバックを得た時は、必要な手続きをとらなければいけません。
実はキックバックは税制上どの扱いにするかが明確になっていないため、会計処理が難しいという現実があります。
適切な会計処理をしておかないと税務署から指摘されてしまうので、事前に税理士に相談するべきでしょう。
キックバックによって得られた利益は、雑所得として処理されるケースがあります。
副業で得た利益と同じ手続きをするので、その特徴を理解しておくべきだと思います。
もし仕事で得たキックバックの場合は、金額によっても対応を変える必要があります。
例えば、年間で20万円以上の所得になるのであれば、税金を納める為の確定申告が必要になりますが、それ未満の場合は原則的に確定申告が必要ありません。
ただ日頃から確定申告の手続きをしていない人は、どうすれば良いか分からない場合もあるので、そんな時は税務署で相談したり、税理士に聞くのが良いでしょう。
キックバックも収入の一部なので、大きな金額を得た時は、適切な税金を納める必要があるのです。