一般的な営業手法に”カウンターセールス”と呼ばれるやり方がありますが、それはカウンター越しにセールスする方法なので、「独特な営業テクニックやコツがある」と言われています。
そこで今回は、カウンターセールスのノウハウや概要についてわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
そもそも”カウンターセールス”の意味とは?
カウンターセールスとは、店舗に来店した見込み顧客に対して、商品サービスをセールスするやり方のことを言います。
例えば携帯ショップや保険相談店舗などでは、販売員がカウンター越しにお客様を接客したり、テーブル越しに商談を進めたりする光景が良く見られますよね。
この仕切りになっているカウンター越しにセールスを様子から「カウンターセールス」と呼ばれるようになりました。
カウンターセールスは基本的に”内勤営業”なので、店舗に訪れた顧客の興味関心をヒアリングして、適切な商品・サービスを提案するのが仕事になります。
つまり、お客様のアドバイザー的な役割を担っていることになります。
カウンターセールスの仕事内容とは?
カウンターセールスでは、正社員として入社した新卒社員が配属されているケースが多いと聞きます。
その理由は大きく2点挙げられます。
- 店舗や会社で扱っている商材について詳しくなれること
- どんなお客様がいるのかを実践的に理解できること
カウンターセールスの場合、ほとんどのケースでは反響営業で来店した新規顧客になるので、お客様の状況を詳しくヒアリングして適切な提案をしなければいけません。
しかし「とりあえず話を聞きたい」というスタンスで訪れる顧客もいるので、「時間がかかった割に売り上げへつながらない…」ということもしばしばあるのです。
なので、カウンターセールスはノルマを達成するのが大変な仕事だと言われています。
また、基礎知識のない人が来店することも多く、懇切丁寧な説明が求められるので、一般的な営業職種の中でもストレスが多く、きつい仕事だと言われることもあります。
そんなカウンターセールスは、新卒営業マンが乗り越えなければいけない”壁”として知られています。
カウンターセールスの職種には何がある?
カウンターセールスをしている業種は多岐に渡りますが、どのような現場であっても、業務内容に大きな違いはありません。
基本的にやるべきことは来店したお客様に対する反響営業となるので、一般的な営業現場で行われている「会社案内」は省かれるケースが多いです。
そして特徴的なのが、カウンターセールスは販売代理店としての活動が多いことです。
例えば旅行代理店の場合、ホテルや航空会社などから仕入れをして、店舗に訪れた顧客に対して仕入れた商材を提案していきます。
よって、複数の会社と代理店契約を交わして、多様なホテルや航空券などを手配できるようにするのです。
そうすれば顧客ニーズに合ったものを、いつでも即提案できるようになります。
不動産営業や金融業もカウンターセールスが多い
賃貸仲介をメインとする不動産業者はカウンター越しに接客するので、いわゆるカウンターセールスが日常的に行われています。
他にも銀行や証券会社などのように、窓口や受付がある業種ではカウンターセールスがよく実践されています。
そのような企業において、カウンターセールスは売り上げを伸ばすために欠かせない役割を果たしているのですが、営業事務を兼任する場合もあるので、見積書などの作成を自分でやることも珍しくありません。
一方で大型店舗の場合、営業事務の専任者が別にいて、顧客対応だけに集中できるケースもあります。
また、休日については店舗の営業日に準ずることが多く、土日休みになることはほとんどありません。
少なくとも「土日のどちらかは出勤になる」というのがサービス業では一般的なのです。
カウンターセールスに必要なスキル&テクニック
ここからカウンターセールスに必要なスキルやテクニックを解説していきますが、カウンターセールスのプロフェッショナルになるためには、果たしてどのようなスキルが必要なのでしょうか。
もしカウンターセールスを極めたいと考えているのであれば、何よりも『高いレベルのコミュニケーション能力』が欠かせないことを覚えておきましょう。
カウンターセールスでは、カウンター越しに会話をしながらセールスへ繋げなければいけないため、トークスキルだけでなく雑談力なども求められるのです。
来店した顧客が自分の要望をうまく説明できるとは限らないので、店舗で提供できる商品サービスが有効なソリューションかどうか分かりません。
そんな時、適切な質問を投げかけていくセールステクニックや、的確にニーズを把握するヒアリングスキルがあると、カウンターセールスのプロとして重宝されるでしょう。
カウンターセールスでは英語力も求められる
受付窓口がある店舗では、ほとんど初来店のお客様となるため、人見知りをせずに明朗快活に話せることは必要不可欠なスキルだと思います。
それができないと、カウンターセールスは辛くてしんどい仕事になることでしょう。
そして接客業の場合、応対の良し悪しが売り上げに影響してしまうので、暗い人はあまりカウンターセールスに向きませんし、「絶対に土日は休みたい!」という人にも不向きなだと言えます。
先ほども解説した通り、カウンターセールスはあくまでも接客業(サービス産業)なので、土日休みではない現場が多い傾向にあります。
また店舗運営なので、訪れる客層が幅広くなっています。
業種や店舗の立地によっては、外国人が来店するケースもあるはずです。
近年はインバウンド(日本へ来る外国人旅行者)が活況なので、外国人を接客する機会が増えており、その裾野は広がる一方です。
その為、英語力が求められる現場も多く、場合によっては中国語や韓国語など多言語スキルを要求されるケースもあるのです。
なので、語学力を身につけておくと、カウンターセールスとして活躍できる場面が広がるはずです。
カウンターセールスのコツとは?
外回りをする外勤営業と違って、カウンターセールスでは初見のお客様対応がほとんどになります。
なので、外回り営業とは違ったコツが必要になるはずです。
カウンターセールスで成果を出すためには、まず適切なビジネスマナーを身につけることが必要です。
例えば以下のようなものがあります。
- 敬語や丁寧語などが使い分けられる
- 名刺交換のやり方を知っている
- お辞儀の角度の意味を知っている etc.
これらはほんの一部のビジネスマナーですが、店頭でお客様を接客するということは「会社を代表して対応する」ことを意味しています。
なので絶対に失礼があってはいけませんし、人一倍の気遣いが求められるはずです。
そして何よりも自社商材について詳しくなければいけません。
外回り営業では「一度持ち帰って調べてみます…」という”宿題”にしてその場から逃げられますが、内勤営業であるカウンターセールスではそのような逃げ道がありません。
もし知識がなくて答えられなかった場合、時間をかけて調べることになりますが、その間にお客様の熱は冷めてしまうので、結果的に失注する可能性が高くなってしまうのです。
これは完全にセールスパーソンのミスだと言えるので、そのようなケースは絶対に避けるべきだと思います。
なので、提案する可能性のある製品サービスは全て理解しておくことが理想的ですが、もし商品数が多すぎるのであれば、せめてそれぞれの特徴ぐらいは完璧に把握しておきましょう。
それだけ用意周到に準備できれば、あとは心配ありません。
なんとなくカウンターセールスには「高いレベルの営業スキルが求められるのではないか?」と考えてしまいがちですが、実は新卒営業マンが配属されるくらいの現場なので、基本的な営業研修を受けるだけで一人前の仕事がこなせるはずです。
自分なりの営業トークを固める
営業現場では様々なお客様を対応するので、一見すると臨機応変に対応してるように見えますが、多くの現場では基本的な流れが決まっているので、その通りに進めているだけです。
つまりある程度の軸(セールストーク)があって、その軸に少しずつアレンジを加えているだけなのです。
大まかには、ヒアリングから始めて製品ラインナップを紹介し、適切なものを提案し、契約手続きを進める、という流れになります。
これらの流れはマニュアル化されていることが多いので、実践的な技術の習得に関して不安を抱える必要はないでしょう。
ただ、このマニュアル通りにやれば100%受注できるというわけではないので、先ほどもお伝えした通りある程度アレンジすることが求められます。
例えば、通常であれば製品説明の後に行う料金説明を最初に行ったり、普段伝えないデメリットをあえて強調して伝えたり、競合他社と比較して伝えてみたりすることは全てアレンジに該当すると思います。
このようなアレンジをするか否かという判断は、全て現場の営業パーソンに委ねられています。
その時の判断基準というのは、「顧客ニーズ」に基づくということです。
ご存知の通り、顧客ニーズはお客様の状況によっても大きく変化していきます。
- 初めて購入するので不安感が大きい
- あまり予算がないので、低予算のものが良い
- 知り合いに勧められたものを購入したい
上に記載した1~3は全て違った顧客ニーズですが、1の人は不安感が大きいので、丁寧に対応する必要があるでしょう。
なので、デメリットを強調したり、解約の仕方、「どんな人がこの商品を買うのか?」などを丁寧に説明しましょう。
2の人は、買う気はあるが資金がないので、予算感をヒアリングする必要があります。
なので、予算の範囲内に絞った商品を提案する必要があります。
3の人は、すでに買うものが決まっているので、欲しい商品をヒアリングするだけでOKです。
商品のデメリットを強調する必要はなく、特定の商品だけに絞って、むしろメリットを強調して承認欲求を満たす提案が良いはずです。
カウンターセールスを成功させるためには、このような適切なソリューション営業ができなければいけません。
ニーズを的確に把握できれば、それに見合った提案ができるので、まずはヒアリングを重視することが『カウンターセールスのコツ』ということです。
カウンターセールスの求人情報ではどこに注目すべき?
カウンターセールスに興味をもった人が「転職したい!」と考えた時に重要なのが、「いかにして魅力的な求人を探し出すか?」ということです。
カウンターセールスの求人掲載では「未経験者歓迎」という文言を良く見かけるので、「求人情報で見るべきポイントはどこなのか?」を大まかに把握しておきましょう。
- 年収(賞与含む)はいくらなのか?
- インセンティブは出るのか?
- 福利厚生はあるのか?
- 資格(免許など)は必要なのか?
- 学歴に縛りはあるか?
- 応募は不問なのか?
- 勤務エリア(東京都内など)はどこなのか?
これらのポイントは一般的な求職活動でも確認する情報だと思いますが、入社してから後悔しないように必ず事前確認しておきましょう。
営業職の募集情報は全職種の中でも多いと言われていますが、カウンターセールスだけに絞り込むことそんなに多くありません。
そんな時には「内勤営業」や「インサイドセールス」というキーワードでも併せて検索するようにしましょう。
これらはカウンターセールスと違いますが、「会社内で営業する」という部分では似ています。
なので「可能性を最大化させる」という意味では選択肢に入るでしょう。
仕事内容や条件面も確認しよう!
カウンターセールスは、外回り営業に比べると月給(給与)が低めに設定されていますが、残業手当が固定(みなし残業)ではなく、実際に働いた時間に合わせて支給されるのが通例です。
気になる仕事内容は、一般的な内勤の仕事と同じで、勤怠管理の厳しい現場が多いはずです。
なので、一番重視すべきは「自分の興味がある商材を扱えるところを選ぶ」ということだと思います。
勤務時間や勤務地についてもかなり大きな違いがあり、転勤の有無も企業によって異なります。
また、土日休みにしたいという場合には、土日は休みの店舗を選んだ方が無難だと思います。
マイナビ転職などの求人サイトや、人材紹介サービスを使うと無数の候補先を見つけ出すことができるため、まずは選択基準を決めておくことが肝心です。
給与や福利厚生の最低ラインを決めておき、その中から仕事内容が自分の興味に合っているものを選びましょう。