ビジネスにおける「電話対応」と言えば、基本中の基本ですよね。
仕事をする上で使う連絡手段は
- 面談
- 電話
- Eメール
- チャット
など様々ですが、その中でも一番重要な役割を果たしているのが電話だと思います。
そこで今回は、社会人の必須スキルともいえる電話応対のやり方やビジネスマナーについて解説していきたいと思います。
就職活動を控えている新卒の人や、新入社員、新人営業マンなどはぜひご覧ください。
目次
電話対応は新人の登竜門
電話は面談とメール(チャット含む)の中間に位置しているので、
- 重要な話だが会って話すほどではない
- スピーディーに話して解決したい
などの課題にピッタリな連絡手段です。
なので、現場レベルの話をしてしまうと、最も重要な連絡手段とも言えます。
しかし、こちらからお客様に電話するときや、顧客からの電話を受ける時など、電話応対には様々なルールがあります。
大手企業であれば新入社員研修で教えてくれるかもしれませんが、中小ベンチャー企業の場合には自分で学ぶことになるはずです。
この道は一人前の社会人になるために、絶対通らなければいけないので、ある意味では「登竜門」とも言えるでしょう。
例えば、入社した後の新人を待ち構えているのが「入電対応」です。
入電対応とは、会社にかかってきた電話に対応することをいいます。
会社にかかってくる電話なので、もちろんお客様がメインですが、それ以外にもパートナー企業や役所、営業電話、クレーム電話、就職希望者など様々な人が連絡してきます。
その内容を的確に把握して、宛先である担当者に電話を繋げなければいけません。
それこそが、新入社員が入社してすぐやる業務なのです。
なぜ苦手意識を持つの?
これは現実的な話として、若手社員の多くは電話対応に対して苦手意識を持っているはずです。
それでは、なぜ電話応対に苦手意識を持ってしまうのでしょうか?
その理由は、電話というツールでは相手の表情が見えないからです。
つまり、声100%という状況で話を進めていくので、相手とのコミュニケーションが取りづらいのです。
他にも、電話応対の場合には準備ができないということも挙げられます。
基本的に電話は先方の都合でかかってくるので、こちらは準備して待ち構えることができません。
そしてその電話に出た時には「●●株式会社の××です。」と名乗るので、会社の代表者として対応するプレッシャーを感じることになります。
このような背景があり、ほとんどの新入社員が電話対応に苦手意識を感じてしまうのです。
電話対応が上手い人の特徴
ここから電話応対が苦手な人に対して、ノウハウやコツをお伝えしていきたいと思います。
まず電話対応が上手な人と下手な人には、どのような違いがあるのでしょうか?
その違いから確認していきたいと思います。
声の出し方や話し方が違う
電話対応が上手な人は、「電話とは声100%のツールである」ということを良く理解しています。
なので明るく元気に話すことを心掛けています。
具体的には、少し高めな声で話しているのです。
明るく高い声は、聞き取りやすいだけでなく、印象アップにも繋がります。
特に最初の一言(第一声)は、意識して明るい声にしたほうがいいと思います。
そして、話すスピードにも注意しましょう。
これは一般論ですが、早口で話す場合には、相手にせっかちな印象を与えたり、捲し立てるような威圧感を与えてしまいます。
しかし、あまりにゆっくり話してしまうと、相手もイライラしてしまいます。
なので、いつもの話し言葉より7割~8割ほどのスピードで話すのがベストだと思います。
特にクレーム対応など相手が怒っている場合、こちらもつられて早口になってしまいますが、そんな時こそ冷静に自分のペースで話した方が良いと思います。
正しい敬語を使う
電話応対に対して苦手意識を持っている人は、少なからず敬語に対しても苦手意識を持っているはずです。
日本語はとても難しい言語だと言われているので、社会人であっても正しい敬語が使えていない人は多いのです。
なので、新入社員が正しい敬語を使えなくてもある意味当たり前だと言えますが、電話口のお客様はあなたが新入社員かどうかなんて知りません。
電話口(代表番号)に出たからには、イチ社会人としての対応を求められます。
なので、新卒社員といえども、正しい敬語が使えなければいけないのです。
ちなみに、電話応対の言葉遣いについては後々解説するので、最後までご覧ください。
ビジネス枕詞を活用する
ビジネス現場においては、特別な言い回しがいくつか存在しています。
それらはビジネス枕詞と呼ばれたりしますが、とても便利な言葉なので覚えておいた方が良いと思います。
例えば以下のような言葉が「ビジネス枕詞」と呼ばれています。
- 差し支えなければ
- お手数ですが
- ご多忙とは存じますが
- 早速ではございますが
- 誠に恐縮ですが
- 恐れ入りますが
- ご存知のことと思いますが
- ご面倒をおかけしますが
- 大変申し訳ございませんが
これらはお客様に対して何かを言う時、その先頭につけるような言葉たちです。
このビジネス枕詞をつけるだけで、相手に伝わる印象がグッと良くなるのです。
例えば、お客様が営業担当者宛てに電話をしてきたとします。
しかしその担当者はあいにく外出中だった場合、「●●は外出しております。」と伝えることになります。
しかしそうではなくて、「大変申し訳ございませんが、●●は外出しております。」と伝えた方が好印象に思えるはずです。
たった一つの言葉をつけるだけで、これだけ丁寧な印象に変わるのです。
無礼な言い回しは、無用なトラブルを発生させます。
そのリスクを一つでも少なくする為には、ビジネス枕詞がおすすめです。
連絡メモを用意する
電話応対する場合、必ず用意しておくべきものがメモ用紙です。
このアイテムがなければ「電話対応などできない!」と言っても過言ではありません。
入電対応した場合、その宛先である担当者が不在にしているケースは往々にしてあります。
そんな時にはお客様から伝言を預かったり、誰から電話があったのかを宛先である担当者に伝えなければいけません。
それをメールでやり取りするケースもありますが、それはそれとしてメモは必ず用意しましょう。
このメモに記載すべき情報は5W2Hです。
- why:なぜ
- what:なに
- where:どこ
- when:いつ
- who:だれ
- how to:どのように
- how many:いくつ
これらの情報を、相手がわかりやすいように簡潔にまとめるのです。
例えば、メモは下画像のようにまとめましょう。
特にフォーマットは決まってませんが、ここに記載してあるような情報が伝わればOKだと思います。
電話対応をラクにしてくれる伝言メモやスタンプも販売されているので、もしよければ事前に購入しておきましょう。
電話の受け方を解説!
新卒社員の頃には、自分の担当するお客様はゼロなので、ほとんどのケースで取次中心の入電対応をすることになります。
なので、まずは入電対応の流れについて確認しておいた方が良いと思います。
①会社名と氏名を名乗る:「お電話ありがとうございます。営業商事の佐野でございます。」
↓
➁相手の所属と氏名を確認する:「東京商事の田中様ですね。」
↓
➂挨拶をする:「いつもお世話になっております。」
↓
④名指し人名を聞く:「営業部の●●ですね。」
↓
➄名指し人に取り次ぐ:「ただいまお繋ぎするので、少々お待ちください。」
↓
⑥名指し人が不在の場合、要件を聞く:「申し訳ございませんが、あいにく●●は不在にしております。失礼ですがご用件お伺いしてもよろしいでしょうか?」
↓
➆ネクストアクションを決める:「こちらから折り返しいたしましょうか?」
↓
⑧終わりの挨拶をする:「お電話ありがとうございました。」
実際には上記のような流れで入電対応は行われていきます。
そんなに難しくないと思いますが、入電対応は3コール以内で出ることが基本になります。
もし3コール以内に電話へ出られない場合は、「お待たせして大変申し訳ございません、営業商事の佐野でございます。」という始まりになってしまいます。
そして、「➄名指し人に取り次ぐ」では一旦お客様を待たせることになりますが、その待ち時間は30秒以内(どんなに長くても1分以内)にしましょう。
電話での待ち時間はとても長く感じてしまうので、たった30秒であっても相手は「すごく待たされた」と感じるはずです。
どうしても長く待たせるようであれば、一度電話をつないで「お調べするのに時間がかかっておりますので、もう少々お待ちいただけますか?」という許可を求めておくと、トラブルになりにくいと思います。
電話対応の言葉遣いマニュアル
電話応対は会社の顔として対応するため、きちんとした言葉遣いが求められます。
なので、ここで言葉遣いについても確認しておきましょう。
まず身につけるべきものは敬語だと思いますが、敬語には大きく分けて3種類があります。
- 尊敬語:相手に対して直接敬意を示す言葉遣い
- 謙譲語:自分や身内がへりくだり、謙虚さを表すことで相手を敬う言葉遣い
- 丁寧語:物事を丁寧に表現し、相手に敬意を表す言葉遣い
まずは、この三つの意味を正確に理解しておきましょう。
これらが具体的にどのような表現になるのかは、下の表で確認をしてください。
そしてビジネスシーンでは、一般的な言い回しをビジネス用語に変換しなければいけません。
例えば以下のような変換例があります。
- ありません ⇒ ございません
- いいですか? ⇒ よろしいですか?
- 言っておきます ⇒ 伝えておきます
- 聞きます ⇒ 承ります
- 知りません ⇒ 存じません
- すみません ⇒ 申し訳ございません
- 席にいません ⇒ 席を外しております
- そうですか ⇒ 左様でございますか
- できません ⇒ できかねます
- どうですか? ⇒ いかがでしょうか?
- わかりました ⇒ かしこまりました
これらは全て「電話対応するときの基本」とも言えるような言葉遣いです。
ビジネスパーソンであれば絶対に押さえるべき知識なので、ここで確実に覚えておきましょう。
不快感を与える言葉遣いもある
ビジネスの現場で使った方がいい言葉遣いもあれば、使わない方が良い言葉遣いもあります。
それらはある意味で「NGワード」とも言い換えられますが、社会人であれば必ず理解しておくべき言葉遣いだと思います。
代表的なのは「一応」とか「多分」という曖昧な表現です。
仕事をするということは「責任感」と表裏一体なので、そう考えた場合、責任を回避するような曖昧な表現はビジネスシーンで好ましくありません。
他にも、接客業でよく使われている「よろしかったでしょうか?」という表現もNGワードです。
これは相手に不快感を与える間違った表現なので「よろしいでしょうか?」と言いましょう。
電話対応の注意点とは?
電話対応する時のコツやポイントなどを解説してきましたが、その他にも注意すべき点がいくつかあります。
電話対応の注意点について触れていきますが、ここで紹介したものは全て覚えておきましょう。
自分から電話を切らない
お客様や外部の取引先と電話をした際、自分から切るのは極力避けるようにしましょう。
ビジネスシーンにおいては、相手が切ってから電話を切るのが基本的な礼儀になります。
それだけではお互い電話が切れなくなってしまうので、原則的に目上の人が先に切電し、目下の人が後で切電するという感覚で良いと思います。
相手に何度も名前を聞かない
相手の声が小さかったり、周りの雑音がうるさい場合、上手く名前を聞き取れないケースがあります。
そのような場合には「恐れ入りますが、お名前をもう一度伺ってもよろしいでしょうか?」と聞き直すことになりますが、それでも聞き取れない場合はどうすれば良いのでしょうか?
何度も同じような事を聞かれると、相手はイライラしてしまうので、何回も聞く場合には聞き方に注意しなければいけません。
例えば「申し訳ございません、お電話が遠いようなので、もう一度お名前をお伺いできますか?」という聞き方が良いでしょう。
このような言い方をすれば、相手も気を遣ってくれるので、声が聞き取りやすくなるはずです。
クレーム対応のやり方を理解する
何らかの製品サービスを提供していれば、必ずと言っていいほどクレームは起こると思います。
クレームが発生することが良い悪いという話ではなくて、企業経営をしていれば、当たり前のようにクレームは起こるものなのです。
なので、クレーム対応のやり方についても理解しておかなければいけません。
クレームと聞くと、なんとなく「クレーム=苦情」というように考えてしまいますが、実際にはそうではありません
お客様はわざわざクレームを言うために電話してきてるのではなく、改善を求めているのです。
つまり、今後も取引を続けたいので「●●を改善してほしい!」という要望を出しているのです。
そう考えた場合、クレーム対応に対する姿勢が変わってくると思います。
クレーム対応に怖がるのではなく、まずはお客様の意見を真摯に聞いて、それを改善策として社内検討すれば良いだけなのです。
もしクレーム対応について不安感がある人は、下の記事をご覧ください。
営業妨害の対処法
入電対応をしていると、必ずと言っていいほど出くわすのが営業電話です。
セールスパーソンが社長宛や人事部宛、経理部宛などにセールスを仕掛けてきますが、その数があまりに多いため、企業によってはそれを営業妨害とみなしているケースすらあるのです。
そのような営業電話を、なんでもかんでも社長に繋いでいたらキリがありません。
その為、「どのような電話を断って、どのような電話を取り次ぐべきなのか?」ということを上司に確認しておきましょう。
その上で、「営業電話は極力断るように!」という指示が上司から出た場合、電話を取り次ぐ前に「本当に取り次ぐべき電話なのか?」という判断をしなければいけません。
しかし、どれが営業電話なのか見分けるのはなかなか難しいですよね。
なので「この電話はちょっと怪しいな…」と思った時には、「このお電話は営業電話ですか?」と直接相手に聞いてしまいましょう。
セールスパーソンは嘘をつくことができないので、もし営業電話だった場合には「はい、そうです…」としか言えません。
そのように言われた場合、下記のように伝えてはっきりと断りましょう。
例①)せっかくですが、今のところ間に合っておりますので、お断りするように言われております。
例➁)ご案内ありがとうございます。必要があればこちらからお電話いたしますので、今は結構です。
まとめ
ここまで、電話対応のビジネスマナーについて解説してきました。
新入社員は電話応対のスキルが無いので、不安になるかもしれませんが、毎日実践することなので必ず慣れるはずです。
しかし、最初のうちは「新人なので…」という言い訳が使えるので、たくさん失敗することをオススメします。
その失敗があなたの血となり骨となります。
どんなに怒られても腐らず頑張れば、その努力は必ず報われるでしょう。
社会人生活は辛いことが多いかもしれませんが、肩に力を入れすぎず、自分なりに頑張ってください。