訪問販売にはコツがあると言われています。
個人宅や法人事務所など飛び込み営業する先はたくさんありますが、事前に知っておくべき法律知識や注意事項もあります。
そこで今回は、訪問営業を上達させるコツやテクニック、知識について解説していきたいと思います。
目次
訪問販売の種類
訪問販売といっても、すべての商品・サービスで実施されている訳ではありません。
しかし、訪問販売という形態を採用している業種・業態には、ある一定の傾向が見られます。
それは多くの場合、実際に商品を持ち歩いて提供する物販ではなく、無形商材に多い傾向が見受けられます。
無形商材とは、有形商材の反対語で、目に見えない商品サービスなどのことを言います。
例えば、以下のようなものが無形商材に挙げられます。
- インターネットの光回線
- 電気やガス
- NHKの受信契約
- 保険販売
- 証券営業
無形商材は、契約する時に商品の引き渡しが必要ないので、訪問営業と相性が良いのです。
ここで挙げた無形商材は一部でしかありません。
無形商材以外にも有形商材でも訪問販売は実施されています。
例えば「学習教材」や「投資用不動産」などが代表例だと思います。
これらは有形商材ではありますが、訪問時にモノを持っていく必要がないため、訪問営業との相性が良いのです。
他にも百貨店の外商営業や、車のディーラー営業などでも訪問販売が実施されています。
「買取り訪問」のスキームもある
また、やや傾向が違う訪問営業として挙げられるのが、貴金属などの買取りビジネスです。
お客様の自宅や会社を訪問して買い取るというビジネス形態は、販売(セールス)とは少し違った印象を受けますが、訪問営業するという点では同じといえます。
訪問買取りには家電製品などの不用品処分から、遺品整理、アクセサリー、貴金属、ブランド品など様々なものがあります。
大型家電など、モノによっては「粗大ごみ(不用品処分)」として扱われるのでリサイクル料が必要な時代です。
なので、お金を払って捨てるぐらいなら、タダ同然でも人にあげた方がマシと考える人が多いのです。
お客様に「売る」というより、相手から「買う」という逆の発想に興味を示す人も多く、時代のニーズに合った訪問ビジネスかもしれません。
訪問販売はきつい…
営業職の中でも、
- きつい
- 大変
- しんどい
と言われているのが訪問販売です。
訪問営業は電話営業と違って、消費者となる個人宅や会社などを訪問するところから始めるため、営業パーソンによって向き不向きが大きく分かれます。
訪問先は全く面識がない初対面の人ばかりなので、「人と接するのがそもそも苦手…」という人には辛い仕事かもしれませんね。
訪問販売では、まず商談セッティングしなければいけないので、相手が嫌がる要素を全て排除しなければいけません。
例えば、下記のようなことになります。
- 清潔感のある服装をする
- 頭髪は整髪料でセットする
- 丁寧な言葉遣いをする
一見すると何気ないことでも、お客様は良くチェックしています。
もし「どんな服装をすればいいかわからない!」という場合には、ぜひ下の記事をご覧ください。
誰でも同じだと思いますが、突然知らない人が訪ねてきたら、少なからず警戒心を持ちますよね。
玄関先で手厳しい対応をされるケースも多いので、多くの営業パーソンから「訪問販売はきつい…」と言われているのです。
ノルマやプレッシャーがストレスになる
訪問販売では「100件訪問してそのうち1件が成約」というのが一般的な話しです。
つまり、99%の確率で必ず無駄が発生するので、営業マンとしてはなかなかモチベーションが上がらないことでしょう。
とはいえ、99件に断わられたとしても「1件売ることができた!」という達成感を得ることはできます。
ところが、100件すべてに断られたばかりか、話もまったく聞いてもらえない状態で終わってしまったらメンタルがズタボロです。
このような状態が続くと徐々にやる気を失って、次第に「辞めたい…」「転職したい…」という考えになってしまいます。
また、営業職はノルマがきついので、そのプレッシャーに耐えられないというケースもあります。
訪問先での厳しい対応に加え、ノルマが達成できない焦りも加わると、大きなストレスを抱えてしまうことになります。
せっかくなのでお伝えしておきますが、ノルマ達成するにはコツがあります。
営業職というのはクリエイティブの仕事なので、ただがむしゃらに行動してもほとんど成果に結びつきません。
この辺りを知りたい人は、ぜひ下の記事をご覧ください。
訪問販売を上達させるコツ
前述したように、訪問販売を成功させるコツは、まず相手に話を聞いてもらうことです。
つまり、まず玄関のドアを開けてもらうことが買ってもらう為の第一歩といえます。
通常、インターホンのある建物なら、興味がなければドアを開けてもらうことすらできないので、ほとんどのケースではドア越しで断られてしまいます。
なので、まずはお客様に「この人の話を聞いてみたい!」と感じてもらうことが重要なのです。
怪しまれないことが重要
ドアを開けてもらうには、まず警戒心を解いてもらうことが大切です。
多くの人は訪問販売のセールスマンが来ると、
- 何か買わされるのではないか?
- 詐欺なのではないか?
- 騙されるのではないか?
といった警戒心を持ちます。
むしろ、これは一般的な感覚といえます。
つまり、心理的な側面で考えた場合、訪問した時点で警戒されていると心得た方が良いでしょう。
そのためには、まず丁寧な挨拶をきちんと口にするようにしましょう。
そして、会社名と訪問の目的を明確に伝えることです。
これは訪問販売をする時のルールなので、必ず実施しなければいけません。
本題の入り方にも注意しましょう。
相手の警戒心を解くには、決してたたみかけるようなセールストークで話さないことが望ましいと思います。
すでに何軒か断られた後でも、一旦気分をリセットして、明るくポジティブな話し方を心掛けます。
そして、たとえドア越しであっても笑顔を忘れてはいけません。
モニター越しに雰囲気を見られているということも念頭に置き、常にお客さまと対面していると考えて、丁寧に接することが心を開いてもらうコツになります。
即決営業を実践しよう!
訪問販売ではお客様と商談する機会が与えられるはずです。
そのような機会は決して多くなく、1回きり、もしくは2回程度までだと思います。
なので、このチャンスを活かして受注までもっていかなければなりません。
この時に重要となる考え方が「即決営業」なのです。
即決営業とは文字通りその場で決断してもらって、契約手続きまで行う営業スタイルの事を言います。
この即決営業実践するためにはいくつかのポイントがあります。
まず第一に「種まきをきちんとする」ことです。
即決営業で重要なことは全体のセールスストーリーです。
つまりテレアポの日程調整する段階で、「訪問当日に契約することができるか?」ということを必ず確認するのです。
この段階で「契約するために必要な用件」も聞いておきます。
例えばこの要件に「主人がOKといえば契約します」というのがあったとします。
それなのに、「訪問当日には奥様しかおらずご主人は不在…」という状況であれば即決営業が実現しません。
なので、このようなケースでは必ずご主人が同席できる日に訪問するようにしましょう。
そして二つ目に重要なことが論理的なロジックです。
営業活動とはお客様からYESを取っていく行為だと言えます。
例えば、学習教材の訪問販売だった場合、以下のような質問をしてYESを獲得していくのです。
- 日本人は英語が話せないと思いませんか?
- お子様の将来のために、今から一生懸命勉強してもらいたくないですか?
- これから求められる知識は、英語のスキルだと思いませんか?
これらの質問に対してYESが取れれば、「お客様は学習教材を欲している」と自分で認めたことになります。
つまり潜在ニーズを顕在化したことになります。
このあたりについて詳しく知りたい場合は、下の記事をご覧ください。
このように外堀から徐々にロジックで埋めていき、お客様の退路を断っていきます。
そして導き出される答えは「契約します!」という回答になっていくのです。
これが即決営業のロジックになります。
訪問販売はクーリングオフされる!?
お客様に興味を持ってもらい、実際に契約書に署名捺印してもらうことができたとしても、決して安心できません。
その理由は、訪問販売では契約書面を締結した後でも、クーリングオフができるからです。
クーリングオフ制度とは、契約書を取り交わしてから一定の期間内であれば、契約内容の見直しや解約を可能にした法律をいいます。
クーリングオフは「特定商取引法」という法律で定められているもので、対象となる取引と期間は業種ごとで異なります。
この法律は、訪問販売している営業パーソンであれば、絶対に理解しておくべき知識になります。
クーリングオフの詳細を理解する
訪問販売にもクーリングオフは適用されており、その期間は8日間と定められています。
つまり契約を締結しても、8日間を過ぎるまでの間に顧客から契約内容の変更や解約を求められたら、必ず応じなければいけないのです。
仮に応じない場合には違法行為とみなされ、会社が責任を負う事態に発展するでしょう。
このような事態を回避するためには、売上を伸ばすことだけにとらわれることなく、お客様に向けて商品や契約についてきちんと説明することが重要です。
結局、契約解除が出るということは「お客様は契約内容に納得していない」ということを意味するので、それは事前にある程度把握できているはずです。
一方的に売り上げだけを追うのではなく、あくまでも顧客目線で対応する必要があります。
例えば、製品サービスのメリットばかりを強調するのではなく、きちんとデメリットを説明したり、解約方法についても触れておくべきです。
全てがクリアになって、お客様が納得しているのであればクーリングオフは起こり得ないはずです。
通常、クーリングオフの期間は申込書か契約書のいずれか先に受け取った方の日から起算されます。
また、書面に不備がある場合には期間を過ぎてもクーリングオフが認められるため、契約時の説明には注意するようにしましょう。
訪問販売は再勧誘が禁止
特定商取引法では、訪問販売の他にも営業に関するさまざまなことが決められています。
特定商取引法は営業をするうえで重要な法律なので、営業業務に従事する人はしっかり把握しておいた方がいいでしょう。
実は、訪問販売を行う際に意外と知らない人が多いのが、特定商取引法第3条の2で定めている「再勧誘の禁止」です。
これは、一度勧誘を断られた人に対して再び同じ業者が勧誘することを禁じたもので、同じ会社であれば営業担当者を変えても該当します。
相手が明確に断っているのに、再度訪問することは違法行為になりますので十分注意しましょう。
訪問販売を行う場合、会社の方針やキャンペーンなど複数人で同じ地域を訪問するということもあるでしょう。
その場合、自分の前に訪問した営業ですでに断られていれば、同じ場所を訪問して勧誘することはできません。
この法律のことを知らないお客様もいますが、知らない人だからといって何度も訪問し、繰り返し勧誘を行う行為はやめましょう。
訪問販売とは、お客さまにとって役立つ商品やサービスを知ってもらい、実際に利用することで生活を便利で快適にしてもらうことが目的になります。
まずは気持ちの良い対応と誠実な説明を心掛け、できるだけ長くお付き合いしてもらうための正しい関係づくりを目指すことが大切なのです。