SUZUKI(スズキ)といえば、日本を代表する自動車メーカーですよね。
その創業者は鈴木道雄なのですが、スズキを飛躍的に成長させた立役者が鈴木修(すずきおさむ)です。
鈴木修は、2代目社長を務めていた鈴木俊三の娘婿になり、その流れで1954年に鈴木自動車工業(現在のスズキ)へ入社、1963年に取締役、1978年に社長就任となり、30年以上もの間、スズキのリーダーとして会社を牽引してきました。
そこで今回は、鈴木修の名言集をご紹介したいと思います。
ビジネスリーダーを目指している人、独立・起業を目指している人はぜひ参考にしてください。
鈴木修の名言集まとめ
自動車会社にとって、最も大事なのは車です。
これは当たり前の話に聞こえますが、この名言が伝えたいのは「素晴らしい経営者でも、ブランドでも、商品に魅力がなければダメだ」ということです。
自分自身が惚れ込むような商材(製品・サービス)が創れなければ、その会社に未来はないということですね。
杉の木は折れるが、竹は折れない。
鈴木修の出身地は、飛騨の下呂温泉なので、いわゆる豪雪地帯となります。
その土地では木に雪が積もるのですが、成長の早い”杉の木”は雪の重さに耐えられず、よく折れていたそうです。
しかし一定間隔で節のある竹は雪の重さに耐えて、折れることもなかったので、「あまりに急速な成長はリスクが伴う」ことを自然から学んだそうです。
アルトといえば乗用車のイメージがあるかもしれませんが、初代アルトの法律的な位置づけは、実は商用車だったのです。
初代アルトは1979年に発売されましたが、今でもスズキを代表する車種ですよね。
アルトは荷物を置くスペースを広くしていることが特徴なので、実は商用車としてデビューさせました。
その結果、乗用車では20%ほどかかる”物品税”がゼロになったので、販売価格も50万円を切る(全国統一で47万円)ことができたそうですが、この価格は当時革新的だったようで、ライバル会社の経営者から「なぜ赤字で売るんだ?」と疑問に思われていたそうです。
ちなみに、この時のアルトの原価は35万円だったので、しっかり利益が出ていますね。
「安くするために軽くする」という考え方は、スズキのクルマづくりの原点です。
車体が1割軽くなると、感覚的にはコストも1割安くなるそうです。
さらに燃費も良くなるので、「車を軽くする」ことは自動車会社にとって重要なポイントだと語っています。
本当に売れるかどうかは蓋を開けてみないと分かりません。
これは”経営の不明確性”について語った名言ですが、本当にこの通りだと思います。
ビジネスにおいて「絶対確実」ということは無いのですが、リスクを取った分だけリターンが得られるので、そのバランス感覚が重要なのだと思います。
「これだけは絶対よそに負けない、という特長のある会社にしたい」と私は常々思っていました。
これは「リスクが大きい」と言われていたインド市場へ飛び込んだ理由について語った名言です。
巨大なライバル企業と対等に戦うには、どこか秀でた部分がなければいけません。
この考え方は「ブルー・オーシャン戦略」と呼ばれているので、気になる人は下の本を読んでみてください。
できない理由を言うな。
新しい試みに対して、保守的な人はとにかくあれやこれや理由付けして抵抗しますが、本来ホワイトカラーがやるべき仕事とは「どうすれば実現できるか?」というのを前向きに考えることです。
もちろん管理職の人は、自分の仕事が増えてしまうので気軽に「できます!」と言えないはずですが、この考え方だけは間違えないようにしましょう。
営業マンに常々言うのは「セールスは断られてから始まる」ということです。
鈴木修は『昔ながらのドブ板営業』を好んでいるみたいですね。
それと同時に「社内外の競争関係が営業力アップに繋がる」と語っています。
もうすぐ日本にもモータリゼーションの波が来るぞ。
スズキの主力は二輪車でしたが、少しずつ四輪車が売れ始めたそうです。
このような環境の変化を素早く感じ取って、すぐに四輪車の量産化へと動いたそうです。
私は販売会社の社長に「会計の基本は2つのポケットだ」とよく言いました。
スズキにはたくさんの販売代理店がありますが、「売上と儲け(利益)は違う」ということを教えるために、鈴木修はこの話をよくしていたそうです。
例えば、原価10万円の商品を販売する際、2つ(左右)のポケットがあるエプロンをして、10万円の売り上げになるまでは右のポケットに入れ続け、10万円を超えた時から左のポケットに入れ始めるとします。
そうすれば『右のポケットは原価』となり、『左のポケットは利益』になるので、明確に区別できますよね。
これはつまり”キャッシュフロー経営”を教えてくれる逸話なのですが、この概念を理解したい人は下の記事をご覧ください。
「住宅は3回建て直すと、自分の気に入った家ができる」と言いますが、工場もまったく同じです。
これは全く知らなかった事実なのですが、製造メーカーの経営者が言う話なので本当なのだと思います。
工場建設には、意外と「しまった!」というミスが多いみたいですね。
「売れる」と思って出した車が売れない、逆に思わぬ車が売れる。
これは販売見通しの難しさについて語った名言です。
ユーザーニーズを正確に読み取って、それを販売計画へ落とし込み、完璧に売りさばくのはほぼ不可能だと思います。
それを実現するためには完全受注生産方式にするしかありませんが、それを実現したのがアメリカのテスラモーターです。
テスラモーターCEOであるイーロン・マスクの名言集は下の記事をご覧ください。
自分のところの商品の良さを誠心誠意説明し、お客さんのハートを掴むのがセールスの真髄です。
セールスには絶対的な成功法則などありません。
営業マンによっても個性が違うので、自分なりの営業スタイルを確立しなければ売れないということです。
セールスの本質が知りたい人は下の記事をご覧ください。
一旦規則ができると、自分の頭で考えずにそれに従う人が出てきます。
このような人たちは「大企業病にかかっている人たち」だと言えますが、鈴木修は「このような姿勢の社員が一番頭にくる」と語っています。
もしダメな部分を発見したら、それを改善するようにしなければ、きっとその企業は徐々に衰退していきます。
それは自分たちの生活をも不幸にするので、会社員の人でも経営者と同じような危機意識を持つべきだと思います。
会社のトップが会長、社長なら、そのうち1人は技術者であるべきだ。
これはメーカーの経営者らしい金言ですよね。
自動車を作るのはエンジニアであって、彼らに対して本当に寄り添えるのは技術者出身の経営者だけだということです。
クルマづくりはGMから学んだ。
スズキは1981年にアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と資本業務提携しました。
当時のGMは世界最大の自動車会社であり、スズキとは雲泥の差だったのですが、お互いの強みを生かせるということで資本提携に至ったのです。
結果的にスズキはGMから多くのことを学んで、その後飛躍するのですが、この名言にはアライアンスの重要性が隠されているように感じます。
「製造業は1円のコストダウンが生死を分ける」と言われます。
スズキは日本を代表する大企業なので、「1円くらい気にしなくても良くない?」と思いますよね。
しかし、スズキのビジネスモデルを紐解いてみると、一部品あたり1円50銭を積み重ねた結果が利益になっているそうです。
なので一部品あたりのコストは、文字通り「生死を分ける」ということです。
工場にはカネが落ちている。
これは言葉の通りではなく、あくまでも比喩表現です。
工場の無駄を省けば、それが会社の利益を押し上げて、社員や株主へ還元される原資が増えることを「カネが落ちている」と表現したのです。
自動車メーカーにとって「生産」と並ぶ二本柱は「開発」です。
自動車メーカーにとっての「開発」は進歩を意味します。
これがなければ存続することすら危ういので、研究開発費というモノの重要性が理解できる名言だと思います。
「死に金は一銭たりとも使わない」というのが私のポリシーです。
鈴木修はコスト意識の高い経営者として有名です。
よく言えば庶民派なのですが、同じくコスト意識の高い経営者と言われているのが、Amazon創業者であるジェフ・ベゾスです。
大金持ちでも飛行機はエコノミークラスに乗ったり、使わなくなったドアをテーブルにしたり、ドケチな逸話は数多く残されています。
ジェフ・ベゾスの名言集は下の記事をご覧ください。
会社というのは、色々手間がかかってもイチから自分で作り上げた方が、いい結果が出る。
これはM&Aについて語った名言です。
できる限りM&Aをせずに、とにかく自社開発にこだわり続けている企業といえば、サイバーエージェントですよね。
その経営精神を知りたい人は、藤田晋の名言集をご覧ください。