ダイキン(DAIKIN)といえば「エアコン&空調の会社」というイメージだと思いますが、実はダイキンを”空調業界における世界No.1”にした立役者が井上礼之(いのうえのりゆき)だと言われています。
そのやり方は『人のポテンシャルを最大限に活かす』というやり方なので、今回は井上礼之の名言から”人材活用の極意”を学びたいと思います。
ビジネスリーダーを目指す人、実績を出したいビジネスパーソンなどはぜひご覧ください!
井上礼之の略歴
井上礼之は、1935年に京都府で生まれました。
1957年に同志社大学経済学部を卒業し、大阪金属工業(現在のダイキン工業)へ入社。
主に総務・人事畑を歩み、1979年に取締役就任、1994年には社長に就任、2002年には会長兼CEOとなり、グループ全体を強烈なリーダーシップで導きながら、空調業界では世界一を達成しました。
井上礼之のビジネス名言まとめ
メンバー一人一人の成長の総和が、組織の成長の基盤になる。
これは井上礼之が”信念”としている人材マネジメントに対する考え方です。
井上礼之は人事畑を歩んだ『人材活用のプロフェッショナル』なのですが、その極意を理解したい人は最後までご覧ください。
良いリーダーは、「正面の理(理屈)、側面の情(ぬくもり)、背面の恐怖(厳しさ)」を備えています。
- 正面の理:論理的に説明しなさい。
- 側面の情:愛情をかけてフォローしなさい。
- 背面の恐怖:緊張感を持たせなさい。
これは弁護士として活躍した中坊公平の言葉なのですが、井上礼之も同じように考えている為、良く引用しているそうです。
私が組織の長として常に意識してきたことは、メンバーの資質や適正、潜在能力や個性をできる限り把握すること。
これはつまり、メンバー全員に興味・関心を持ち、深く知ろうとすることです。
これができなければ、ビジネスリーダーとして成果を出すことは難しいそうです。
人は理知的である以上に、感情に支配される生き物でもあります。
恋人と破局したり、大事な人に何かあったりすると、人間はどうしても動揺しますよね。
部下がそのような状態に陥った場合、精神的には不安定となるので、きっと仕事のパフォーマンスが低下するはずです。
そんな時、一方的に部下を叱咤激励するのではなく、「落ち着くまで待つことも重要」だと井上礼之は語っています。
会社を辞める最大の理由は、仕事の難しさや厳しさよりも、人間関係の悩みが多いと聞きます。
ということは、職場の人間関係を円滑にすれば、離職率は下がるということですね。
給料を上げたり、福利厚生を充実させるよりも、職場の人間関係を円滑にする方が『優先度が高い』ということです。
メンバーの成長を大きく左右するのはリーダーである。
メンバーの成長のために「自分には一体何ができるのか?」を考えない人は、そもそもリーダーに向いていないそうです。
ほとんどの部下は「成長したい!」と考えているはずなので、それをバックアップしてあげるのもリーダーの役目だと思います。
組織に貢献するという視点から見れば、人の能力にはほとんど差がない。
これは井上礼之の基本姿勢について語った名言です。
人事畑出身のビジネスパーソンっぽい言葉ですが、人間には短所がある一方で、必ず長所もあるということを伝えている言葉です。
つまり、各メンバーの長所となる部分にフォーカスして、『その人が組織へ貢献できる場所に配置する』というのがビジネスリーダーには求められるのです。
人は心の持ち方一つで、とんでもない力を発揮する。
井上礼之は「人間の可能性は無限大」と考えているそうです。
人は成長する生き物なので、正しい努力さえすれば大化けする可能性を秘めているということです。
早咲きの人もいれば、遅咲きの人もいる。
人によって成長度合いは違うので、個々人の能力を見極めながら、ビジネスリーダーは温かい目で見守ってあげる必要があるのでしょう。
多くのライバル企業がひしめく中国で成功すれば、世界ナンバーワンの空調メーカーになれる可能性があると考えていました。
日本の人口は1億人ほどなので、そのマーケットでは限界があります。
その一方で中国は10億人を超える人口を有しており、もし中国への進出が成功すれば、マーケット規模は10倍に拡大する可能性を秘めています。
そのようなチャレンジを通じて、現在のダイキンの海外売上比率は8割以上になっているのです。
まさにグローバル企業ですよね。
同じような考え方で、インドへ進出して大成功を収めたのが自動車メーカーのスズキです。
その経営ノウハウを知りたい人は下の記事を参考にしてください。
人の成長曲線は一本調子ではなく凸凹があります。
これは「人間にはムラがある」ということを伝えている名言です。
人間は失敗しながら成長するので、100%合理的な成長などないということですね。
スペシャリストと言われる人は、一般的に、1つの会社で働き続けるという意識は希薄です。
スペシャリストに対しては「成果だけを求めて、会社への帰属意識を求めない」というのが正しい、と井上礼之は語っています。
一人一人に関心を持ちなさい。
先ほどもお伝えしましたが、井上礼之は「ビジネスリーダーは、メンバー一人一人に関心を持つべき」だと語っています。
その上で「忙しくて時間がない」というのは単なる言い訳だと一刀両断しています。
どれだけ時間がかかっても良いので、積極的なコミュニケーションを実施して、メンバーと丁寧な意思疎通をすれば、必ずその組織は強固になるそうです。
デジタルの時代こそ「face to face」で対話する機会を大切にすべきです。
コロナ禍において、テレワークやリモートワークが進みましたよね。
それはデジタル化の恩恵だと言えますが、そのような時代こそアナログなコミュニケーションをするべきだと井上礼之は語っています。
なぜかといえば、対面の方が心の奥にある本音や気持ちを感じ取りやすいからです。
「困ったことはないか?」どストレートに聞いたところで、本音で答えてくれる部下はほとんどいないでしょう。
もしメンバーの悩みや困っていることを聞き出したい場合、まず上手くできた仕事や、直近の成功事例について話した方がいいそうです。
「いきなりネガティブな話をすると怒られてしまうのではないか…」と躊躇するのが人間なので、まず上手くできたことについて話して、その後に「他に困りごとはないか?」と聞けば、「実はその案件は上手くいったのですが、別の案件で悩んでおりまして…」と相談してくれるそうです。
これは人心掌握術とも言えるので、ビジネスリーダーは覚えておきましょう!
考え方が違う人にこそ多くの学びや気づきがある。
これはまさに『ダイバーシティの重要性』を語った名言ですね。
企業を成長させるためには多様性が重要なのですが、特に業界未経験者の意見(又は視点)はとても参考になると言われています。
セブンイレブン創業者である鈴木敏文は「業界未経験」の人材ほど積極採用していたそうなので、そのビジネスロジックを知りたい人は下の記事をご覧ください。
成長する人は、挑戦し続ける人です。
挑戦すればするほど失敗の数は多くなるはずです。
しかし、その失敗から学び、改善すれば、成長できますよね。
だからこそ「挑戦し続ける」ことが重要なのです。
出る杭は打たない。
出る杭を作る。
大企業になればなるほどリスクを恐れるので、横並び精神を重要視してしまいます。
しかしどうやらダイキン工業は違うようですね。
叱っていい。
ただし怒らない。
これは”叱り方”について語った名言です。
基本的な叱り方は「時間を置かずに」「端的な言葉で」「後を引かないように」というのが鉄則だそうです。
その中でも絶対やってはいけないのは「相手の尊厳や人格を傷つけること」「感情的に怒ること」なので、ビジネスリーダーは覚えておきましょう!
自分や組織の価値観を押し付けてはいけません。
ビジョンや会社の存在意義を共有するのは重要ですが、価値観を一方的に押し付けてはいけないということです。
これは特に、海外に子会社を作った時、会社を買収した時に必要となる考え方みたいです。
同じことを大王製紙元会長の井川意髙も語っているので、下の名言集も参考にしてください。
フランスでは、一流のシェフと優秀なリーダーとは定義が同じだそうです。
なぜかといえば、一流のシェフは「そこにある食材で最高の料理を作ります」が、一流のリーダーも「与えられたメンバーで最高のチームを作る」からです。
この両者に共通していることは、素材(人材)の持ち味を最大限に引き出して、1つの料理(チーム)に仕上げることでしょう。
一流の戦略より一流の実行力。
これは「とにかく行動する重要性」について語った名言です。
ビジネスを成長させるためには、時に思い切った行動も必要でしょう。
リーダーは「今のままではダメだ」と常にメンバーに健全な危機意識を持たせておくことが必要なのです。
現状維持は”衰退”を意味するので、常に”前進”する意識を持ちましょう!
強い組織には、良好なチームワークの中にもピリッとした緊張感があるものです。
ただ仲の良いチームでは意味がありません。
本気で話し合い、時にはぶつかり合うことも必要なので、そういった意味ではベンチャー精神が必要でしょう。
ベンチャー精神を知りたい人は下の記事を参考にしてください。
経営とは人の営みです。
法人とは、あくまでも『法律によって規定された人格』に過ぎません。
その実態は「個人の集まり」なので、結局は個々人の働きに成果が比例するということです。
リーダーの思いや熱がメンバーに伝われば、一人一人が組織のために何ができるかを考え、実行するようになります。
大人気漫画のワンピースに登場するトニー・トニー・チョッパーは「自分には何ができるか?」というのが口癖になっていますよね。
このようなマネジメントができれば、きっと強い組織になるはずです。
モンキー・ D ・ルフィのリーダーシップを学びたい人は、下の記事を参考にしてください。
同じ色の絵の具を混ぜても一つの色しか出ませんが、いろんな色の絵の具を混ぜると、時にはとんでもない素晴らしい色が出たりします。
そう考えるとワクワクします。
これは多様性について語った名言ですが、とても素敵な比喩ですよね。
多様性について語る時、ぜひ職場でも使ってみましょう!
答えのないところに答えを出すのがリーダーの役割。
ビジネスは不確実性の塊なので、答えがなくて当たり前です。
それでも論理的に考えて、できる限り成功確率を高くして、後は勇気を持ってそれを実行することが『リーダーの役割』だと言えるでしょう。
常識や過去の成功体験を否定する。
ビジネス環境は常に変化しているので、常識も変化するということです。
それとともに昔のやり方が通用するとは限らないので、過去の成功体験も捨て去った方が良いと思います。
重要なことは、外部環境を分析しながら「これからはどうするべきか?」という先見性を持つことだと思います。
メンバーの話に頷き、相槌をうちながら、丁寧に聞く。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」という名言に似ていますよね。
この名言を残したのは、連合艦隊司令長官の山本五十六(やまもといそろく)ですが、山本五十六は徳の高い人物として知られています。
ビジネスリーダーが見習うべき偉人だと思うので、山本五十六の名言集もぜひご覧ください。