尽く書を信ずれば、則ち書なきに如かず。
訳)書経に書かれている全てを信じるならば、書経などないほうが良い。
これは書かれていることを鵜呑みにするリスクについて語った名言です。
もちろん書かれているものに関わらず、人から聞いたもの、自分で経験していないものを鵜呑みにするのはリスクがあります。
中には偽りの情報もあるので、自らの責任で真贋判定するべきだと思います。
已むべからざるにおいて已むる者は、已まざる所なし。厚くする所の者において薄くするは、薄くせざる所なし。その進むこと鋭き者は、その退くこと速やかなり。
訳)やめてはならない時にやめる人は、何をやっても中途半端である。念を入れてやらなければならない時に手を抜く人は、何をやってもいい加減だ。せっかちに進む人は、退くのもまた早い。
これは仕事で成果を出すための”コツ”とも言える名言だと思います。
退くタイミングを見定めるのは難しいですが、基本的にはじっくり長期的に取り組むのが正解だと思います。
そうでなければ、得られるものが少なくなってしまうからです。
命に非ざるなし。その正を順受すべし。この故に命を知る者は、巌しょうの下に立たず。
訳)人間の一生は天命が司っている。天命は甘んじて受け入れなければならない。天命を自覚している人間は、崩れ落ちそうな塀の側には近寄らないものである。
「天命」とは天の意思です。
天命に対して無自覚な人間は、「君子(リーダー)としての資格にかけている」と孟子は語っています。
憂患に生き、安楽に死す。
訳)心配や悩みがあるからこそ生き残ることができる。安楽な生活に浸っていたのでは破滅を免れない。
なんとなく「逆じゃないか?」と感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
悩みや心配事がある時には、謙虚さが芽生えて、慎重に生きることができます。
そこから学ぶこともできるはずです。
しかし一方で、安楽な生活をしていると、その生活には特に目的がなく、漫然とした一生を送ってしまいます。
心配や悩み事は自分を成長させてくれる糧なのだと理解しましょう!
為さざるなり。能わざるには非ざるなり。
訳)仕事ができないのは、しようとする気がないからである。もともとできないわけではないのだ。
これはとても勇気をくれる名言ですよね。
「人間には能力差がある」と思い込むと、勝手に自分の限界値を設定してしまい、自分の能力を抑制するハメになります。
腹をくくってやる気さえ出せば、誰だって偉業を成し遂げることができるはずです。
勇気をくれる名言は下の記事をご覧ください。
生もまた我が欲する所なれど、欲する所生より甚だしきものあり。故に苟(いやしく)も得るを為さざるなり。
訳)私だって命は惜しい。しかし命より大切なものがある。だから、その大切なものを捨ててまで生きようとは思わない。
孟子にとって命より大切なものは「義」だそうです。
- 「義」:人として行うべき正しい道
義を念頭に置いて行動できる人が「賢人」なのだと孟子は語っています。
自ら暴う者は、与に言うあるべからざるなり。自ら棄つる者は、与に為すあるべからざるなり。
訳)自暴の者とは、共に語り合うことはできない。自棄の者とは共に仕事をすることはできない。
この名言が「自暴自棄」という四字熟語の由来になりました。
元々は「口を開けば礼や義を批判する=自暴」で、「何をするにしても仁や義を守ろうとしない=自棄」という意味だったのですが、現代ではもう少し広い意味で解釈されています。
君子に三楽あり、而して天下に王たるは与り存せず。父母倶に存し、兄弟故なきは一の楽しみなり。仰いで天に愧じず、俯して人にはじざるは、二の楽しみなり。天下の英才を得てこれを教育するは、三の楽しみなり。
訳)君子には3つの楽しみがある。天下の王者となることは、それとは関係がない。1つ目は父母が健在で兄弟も元気なこと。2つ目は天にも人にも恥じるような行いがないこと。3つ目は天下の英才を見出して教育することである。
とても人間味深い名言ですよね。
ビジネスパーソンはどうしても出世を目指してしまいますが、プライベートが充実してこそ仕事に集中できます。
そして仕事の中に楽しみを見つけることも大切だと思います。
この考え方はリーダーが身につけるべき金言となるでしょう。
為すことある者は、辟えば井を掘るが若し。井を掘ること九軔(きゅうじん)、而も泉に及ばざれば、猶お井を棄つとなすなり。
訳)仕事を成し遂げるのは、井戸を掘るのと同じようなもの。いくら深く掘り下げても、水脈に達しないうちにやめてしまったのでは、井戸を捨てたのも同然である。
発明家のトーマス・エジソンは「やり続ければ失敗することなどない」と語っています。
失敗する原因は「途中で諦めてしまうから」だと言われているので、エジソンの名言集もご覧ください。
天下を以って人に与うるは易く、天下の為に人を得るは難し。
訳)天下を人に譲るのはまだやさしい。天下を治めるのに値する人物を見い出すのが難しいのである。
後継者探しは一流経営者であるほど難しいと言われています。
ソフトバンクの孫正義や、ニデック(元・日本電産)の永守重信も後継者探しに大変苦労しているそうです。
2人の名言集は下の記事をご覧ください。