代理店制度の一種に「施工代理店」という仕組みがあります。
建設業の人は馴染みのある言葉ですが、それ以外の業界に勤めている人は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。
そこで今回は、施工代理店にフォーカスして、その仕組みや役割について解説したいと思います。
施工代理店とは?
どの業種・業界においても、代理店を利用した営業方法が一定の成果を収めています。
代理店制度といえば、販売&セールスが主な業務だと思われがちですが、建設業や工事業などが活躍する施工代理店という制度もあるのです。
代理店という仕組みには馴染みがあると思いますが、施工代理店についてはあまり知られていないため、ここから解説していきたいと思います。
施工代理店とは、メーカーから商材を仕入れて、現場で施工する立場にある代理店のことを言います。
一般的な販売代理店は、メーカーから商材を仕入れて、その商材を販売するだけなので、セールスとしての役割が強くなっています。
施工代理店の業務内容
施工代理店の場合には、販売した商材を現場で施工することまでが業務内容なので、ある程度の建設知識や施工する道具などが必要になります。
例えば、施工代理店の代表例として挙げられるのが、抗菌コーティングの施工代理店や、光触媒の施工代理店、ガラスコーティングの施工代理店などです。
施工代理店はビジネスモデルによって仕組みが異なりますが、噴霧器などを用いて壁やガラスなどにコーティングしていくような商材が多い傾向にあります。
技術を必要とする商材や大掛かりな工具が必要になってしまうと、代理店希望者が減ってしまうので、簡単に施工できる仕組みにするケースが多いはずです。
各社は施工技術が習得できる講習会(研修会)などを開いて、一定程度の技術を身につけた業者を施工代理店と認定しています。
施工代理店になると、これまでと違った角度で顧客に提案できるので、収益機会が増えるだけでなく、新規開拓営業にも使うことができます。
そのようなメリットを感じて、自分たちの本業とシナジーの高い商材を施工代理店として仕入れるのです。
光触媒のケースで考えると、施工代理店として認定された業者だけが、独占的にそのメーカーの建材を使用できるか、低価格で購入できる仕組みになっているようです。
建材などを使用できるだけでなく、ブランド使用料を無料にしたり、集客支援をしたり、ホームページ制作まで協力する特典を設けているメーカーもあります。
そのような取り組みからも理解できると思いますが、施行代理店を増やすということは、メーカー側にとって販売機会を増やすことに繋がるのです。
つまり、施工代理店は販売代理店の役割も担っているので、メーカーとしては増やせば増やすほどメリットが大きくなるのです。
施工代理店のニーズとは?
施工代理店の仕組みは、メーカーにとってメリットが大きいことをお伝えしましたが、今一度、施工代理店の立場から考えたメリットについて考えていきたいと思います。
端的に言ってしまうと、施工代理店を希望する人のニーズとは「収益機会を増やしたい!」ということです。
つまり、クロスセルやアップセルのニーズということになります。
クロスセルとは、本来売り込みたい製品サービス以外のものを顧客に購入してもらうことを指します。
クロスセルがよく利用されているのは、通販サイトだと思います。
通販サイトを利用すると、おすすめ商品が自動的に表示されますよね。
これはレコメンド機能と言って、過去に購入した商品の傾向などから通販サイトがデータを分析し、買ってくれそうな関連商品を表示する仕組みになります。
これをすることで「ついで買い」を狙っているのです。
顧客単価アップに繋がる
施工代理店としては、すでに窓ガラスを購入した顧客に、ガラスコーティングも任せてもらえれば、顧客単価アップにつながるので、簡単に売上を増やすことができます。
新規顧客を開拓するのではなく、複数の商材を購入してもらうことで、顧客単価アップを目指す戦略がクロスセルなのです。
クロスセルと同様に「アップセル」も顧客単価アップの施策だと言えます。
クロスセルと同じようにアプローチしていきますが、別商材を提案するというよりは、より高額な商品サービスを購入してもらうやり方がアップセールスと呼ばれています。
例えば、マクドナルドでハンバーガーを買おうとしているお客様に、チーズバーガーを提案するようなイメージがアップセルです。
同じ種類の商材でも、グレードが高く値が張るものを購入してもらえば、簡単に顧客単価を上げることができます。
クロスセルとアップセルについて詳しく知りたい場合には、下の記事をご覧ください。