
営業現場では「自爆営業」という事象が起こることがあります。それは様々な理由で起こりますが、決して好ましいことではありません。
そこで今回は、自爆営業が起こる理由や、その違法性について徹底解説していきたいと思います。
概要
自爆営業の意味とは?
自爆営業とは企業勤めの営業マンが、本来ならばお客さんに販売するはずの商品を自己負担で購入することを言います。
従来であれば、売るはずの商品が売れずに在庫として残ってしまっても、自己負担で購入することはありませんでした。
しかし、不動産バブルの崩壊により不景気な世の中になってから、営業マンに対する流れが変わってきています。
不景気な世の中になり、会社の売り上げが伸びなければ、会社の資金繰りも苦しくなるため営業マンに責任を押しつけようと会社の上司が自爆営業をさせるように促すか、営業マンが自ら自爆営業をする動きが広まっていったのです。
営業マンは、自らの営業成績(ノルマ)を伸ばすために身銭を切ることになりますが、これが自爆行為に似ているため自爆営業と呼ばれるようになりました。
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自爆営業は誰がやっている?
自爆営業は、会社員として雇われている営業マンが行うのが一般的でした。
しかし最近では、会社員以外でも次第に自爆営業をしなければいけないような風潮が強くなり、パートやアルバイトでも自爆営業が行われています。
例えば、コンビニエンスストアのアルバイトがクリスマスケーキを売らなければいけない場合、ノルマが課されることがあります。
結果的に誰も購入してくれなかった場合、ノルマを達成させる為に自分で購入するケースがあります。
このように、近年では正社員に限らず派遣社員やアルバイト、そしてパートタイマーで働いている人達まで自爆営業をしているのが特徴です。
様々な業界で自爆営業が頻発していることから、社会問題にまで発展してきています。
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自爆営業はなぜ起こる?
自爆営業が増えていますが、そもそも自爆営業が起こる理由は一体何なのでしょうか。
その理由の一つは、ノルマがとても厳しいからです。
例えば、1か月のうちに年賀はがき1,000枚を売らなければいけないとします。
ですが、周りにお客様や知り合いが少なく、飛び込み営業などをかけても購入してくれる人が少なかったとすれば、1,000枚どころか100枚程度しか売れないこともあります。
自分で使う分や自分の家族で使う分などを含めても100枚程度しかさばけないとすれば、残りの900枚分に関してはノルマ未達成になってしまいます。
この場合、会社の上司に相談しても、「絶対にノルマ達成するまで帰って来るな!」などと言われるようなこともあるでしょう。
そうすると、最終的にはノルマ達成する為に、残りの900枚を自腹で購入することになります。
自爆営業は値引きにも繋がる
せっかくボーナスをもらったとしても、そのボーナスの大半をノルマ達成のために使ってしまうこともあり得るでしょう。
また、すべて自分で購入するのではなく、顧客に格安で売却するパターンもあります。
例えば、販売価格が60円の商品を売る場合、これを40円で売却します。
当然定価より20円安くなりますが、その20円分を自分で負担するような方法を編み出す人も出てきたのです。
確かに、すべて自分で購入するよりも金銭的な負担は減りますが、根本的な解決が実現したわけではありません。
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自爆営業は借金と同じ
自爆営業をすることになった場合、すべて自分のポケットマネーで行うだけでも金銭的な負担が大きくなりますので、かなり厳しい資金繰りを強いられます。
ですが、自分の手持ち資金が少ない時に、自爆営業をしなければいけない局面が無いわけではありません。
そのような場合には、資金繰りが大きな問題になります。
横領や自己破産する可能性もある
自爆営業は自腹を切るだけでなく、サラ金などからお金を借りてまで自爆営業する人も出てきます。
たまたま一回だけ借金をしたならば返済できる可能性は高いですが、これを毎月のように何度も繰り返してしまうと借金が返せない状態にもなり得ます。
最悪のパターンでは、借金地獄から抜け出せなくなってしまうパターンもあり得るでしょう。
本来、営業マンとして会社に入った目的の一つは、お金を稼ぐことだったはずです。
お金を稼いでそれを生活費等に充てるはずなのに、自爆営業を強いられた結果、生活費を稼ぐどころか借金が増えてしまうとすれば本末転倒になるでしょう。
借金の返済ができなくなれば、会社のお金を横領したり、自己破産をしなければ助からないこともあります。
長期的に借金の返済が滞れば、自己破産が決定し家や車をはじめとする私物が差し押さえられるだけでなく、信用情報に傷がついてしまいます。
その段階まで行くと、その後の人生が大きく狂ってしまうことになりかねません。
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自爆営業はバレる
自爆営業をする人の中には、上司から命令されて行う人もいますが、自分の意志で行う人も少なくありません。
会社の上司としても、自爆営業させることはコンプライアンスに反しますので、「自分で購入してでもノルマを達成してこい」などと直接的に言うわけにはいきません。
もし営業マンがそのようなことを上司から言われた場合には、直ちにコンプライアンス違反として会社に訴えましょう。
ですが、そこまで命令されなかった場合には、最終的に自爆営業をするかどうかは営業マンの判断になります。
会社側としては自主的に自爆営業してもらいたいので、「どんな手を使ってでも必ずノルマ達成しろ!」と遠回しな言い方をしてきます。
このプレッシャーに耐えられずに、自爆営業が自主的に行われているのです。
自爆営業をしている最初のうちは会社にバレませんが、時間の問題で会社にばれることでしょう。
会社はとても身勝手なので、自爆営業を示唆する割に、自爆営業していることが明確になった営業マンを守ることは決してしません。
会社にばれた場合には、厳重な注意を受けるか、場合によっては退職を促されることもあります。
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自爆営業を回避する方法
自爆営業を避けるための方法は、営業スキルやセールスノウハウを高めることです。
営業マンの中には生まれつき天才的なスキルを持っている人もいますが、必ずしも才能のある人ばかりが良い成績を出しているわけではありません。
実は、努力&勉強すればするほど営業の能力は高まる傾向にあります。
そのため、自爆営業を避けたければ、積極的に営業やセールスに関する勉強をすることが良いでしょう。
営業職の勉強方法は、本を購入して読んだり売り上げを伸ばすセミナーなどに参加したりすることです。
あとはトップセールスに話を聞いたり、インタビューして回ることも良いでしょう。
さらに、実際に勉強したことを試してみることが大切です。
インプットしたらアウトプットすることが重要なのです。
当然この時も、すぐに結果が出るとは限りませんので、何度か試してみることで自爆営業を避けることが出来るようになるかもしれません。
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自爆営業は違法?
今まで自爆営業をした経験があるか、これから自爆営業をしようとしている人が最低限理解をしておきたいことは、そもそも自爆営業自体に違法性があるか否かということです。
まず、会社が売り上げを伸ばすためにノルマを課すこと自体に違法性はありませんので、厳しめのノルマが設定されたとしてもそれ自体は問題ありません。
しかし、会社が自爆営業を強要して営業マンに商品の全部ないしは一部を購入させたとしたら、その会社の行為は法律違反に該当する可能性が高いです。
法律では「賃金全額支払いの原則」を定めている労働基準法24条1項がありますので、その原則に抵触する可能性が濃厚です。
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ケースバイケースで処理される
一方で、会社の命令ではなく社員が自分の営業成績を上げるために行った場合はどうでしょうか。
昇進・昇給のために自ら進んで自爆営業した場合、誰の意思だったかが焦点になります。
この場合は従業員が自ら購入したとみなされるので、法律違反に該当するケースは少ないでしょう。
また、会社の責任はどうかと言えば、会社が命令したわけではありませんので、責任はないと考えて良いでしょう。
しかし、会社としては自爆営業を「完全禁止」にする方が無用なトラブルが無くなるので安全です。
自爆営業が大きな問題になった事例の一つに、郵便局の営業マンが売れ残った年賀はがきを自腹で購入したというものがあります。
中には借金をして購入した人もいました。
この問題に関しては、一時国会で討論されるほどにまで問題が発展し、法律に違反するのではないかとの意見も多く見受けられました。
どちらにしても自爆営業が正しい営業スタイルということはあり得ませんので、トップセールスを目指すのであれば絶対に避けるようにしましょう。
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