営業マンが初対面のお客様と会う時には、まず挨拶から始めますよね。
この時の第一印象は、その後の取引にも影響してくるのでとても重要です。
そこで今回は、営業職の挨拶や挨拶回りについて解説していきたいと思います。
やりがちな失敗例についてもご紹介するので、営業職として内定が出ている人や、新卒営業の人もぜひご覧ください。
目次
営業挨拶のマナーとは?
営業職は、取引先の会社に訪問することが多い仕事です。
なので、適切なビジネスマナーを理解していないと、営業成績にも影響してしまうことがあります。
つまり、基本的な営業マナーは「絶対に身に付けるべき必須項目」だと言えるのです。
なので、まずはビジネスの基本とも言える「名刺交換」について触れていきたいと思います。
名刺交換のやり方
まずは名刺交換のマナーを押さえていきましょう。
これは営業職というよりも、ビジネス全般における基本事項とも言えるので、絶対に理解しておいてください。
名刺交換は初対面の相手と挨拶を交わす場面なので、ここでの第一印象はとても大切です。
まず、名刺はすぐに取り出せるように内ポケットや、取り出しやすい鞄の外ポケットにしまっておき、目下、あるいは訪問した側から相手に歩みよって名刺を差し出すのが基本になります。
つまり営業職として相手の会社に訪問する場合は、常に自分の方から名刺を差し出すことになるのです。
自分の名刺は必ず両手で持って、相手の差し出した名刺よりも低い位置になるようにしましょう。
これは日本の商習慣なのですが、名刺の位置が高いと「身分が上」で、名刺の位置が低いと「身分が下」ということを暗示しているのです。
なので、お客様よりも名刺を下に差し出すことで、「謙虚な姿勢」をアピールできます。
そして、「●●●株式会社の×××と申します。」という具合に、会社名と自分の名前を名乗りながら名刺を渡します。
相手の名刺を受け取ったら「頂戴します。本日はよろしくお願いします。」などと一言挨拶しましょう。
この時に、「珍しいお名前ですね。ご出身はどちらですか?」などと話を膨らませることができれば、アイスブレイクとしては大成功ですが、受け取った名刺はすぐに仕舞わないようにしましょう。
打ち合わせや商談の間は、自分の名刺入れを座布団にして、そのまま机の上に置いておきます。
相手が複数の場合には顔と名前が一致するように、席順と同じように名刺を並べましょう。
ちなみに受付がある場合には、約束時間の5分前には到着して受付を済ませておくと、非常にスマートだと思います。
営業挨拶回りのやり方
新人が配属された時に行うのは「新規開拓営業」ですよね。
この新規営業は「絶好の挨拶回り」の機会になるので、うまく活用していきましょう。
例えば、「このエリアの担当になった×××です!」と言って挨拶する新人の飛び込み営業は、もはや毎年の恒例行事みたいになっています。
飛び込み営業はとても辛いセールス手法なので、営業初心者や若手社員が苦手意識を持ったとしても無理はありません。
もし飛び込み営業のノウハウが知りたい場合には、下の記事をご覧ください。
しかし、挨拶回りは営業職としてのストレス耐性を得る機会にもなっているので、これを克服しなければ今後も成果が出せないと思います。
なので、腐ったり諦めずに挑戦していきましょう。
苦手意識のある人は、効果的な挨拶文を1つ用意しておくだけでも、気分がだいぶ楽になります。
ちなみに、挨拶でよくあるセリフが、「今回は、まずご挨拶だけに伺いました。」というものです。
このように「気軽な雰囲気を演出して、応対する側の心理的なハードルを下げる」という意味では良い施策だと思いますが、使い方によってはマイナス効果もあり得るので注意が必要です。
営業挨拶の失敗例
営業挨拶に慣れていない新人や未経験者の人は、せっかく飛び込み営業したのに、自分が宣言した通り「本当に挨拶だけで帰ってしまう…」というケースがあります。
営業挨拶とは「あくまでも営業行為(セールス)」なので、トップセールスを目指すのであれば、この辺りを肝に銘じておきましょう。
ダメなやり方は、以下のような例(やりとり)になります。
あなた:「初めまして、今日はご挨拶に伺いしたのですが●●●のご担当者様はいらっしゃいますか?」
お客様:「いえ、いません」
あなた:「そうですか…かしこまりました。ではまたお伺いいたします。」
あなた:「初めまして、今日はご挨拶に伺いしたのですが●●●のご担当者様はいらっしゃいますか?」
お客様:「はい私です。」
あなた:「初めまして▲▲▲商事の×××と申します。本日はご挨拶にお伺いしたので、お名刺交換だけさせてください。」
お客様:「わかりました。」
<名刺交換をする>
あなた:「どうもありがとうございました!またご連絡しますので、今後ともよろしくお願い致します。」
このようなやり取りをして、本当に帰ってしまうのではダメ営業マンと言わざるを得ません。
これでは本当に挨拶しただけなので、こんな無駄なことをやっていては、いつまで経っても受注できないと思います。
本当にやるべき営業の挨拶回りとは、以下のようなイメージになります。
あなた:「初めまして、今日はご挨拶に伺いしたのですが●●●のご担当者様はいらっしゃいますか?」
受付:「少々お待ちください…。あいにく外出しております。」
あなた:「そうですか…、それではお帰りになったタイミングにお電話しますので、いつ頃お戻りでしょうか?」
受付:「本日の18時過ぎだと思います。」
あなた:「ありがとうございます。それではその時間にお電話するので、▲▲▲商事の×××からご連絡しますとお伝えください。」
受付:「かしこまりました。お伝えしておきます。」
<18時過ぎに電話してアポイント獲得を目指す>
あなた:「初めまして、今日はご挨拶に伺いしたのですが●●●のご担当者様はいらっしゃいますか?」
お客様:「はい私です。」
あなた:「初めまして▲▲▲商事の×××と申します。本日は初めてのご挨拶にお伺いしたので、ぜひお名刺交換だけさせて頂けないでしょうか?」
お客様:「わかりました。」
<名刺交換をする>
あなた:「どうもありがとうございます!お名刺の部署名が●●●ですが、この御部署は何名で運営されているんですか?」
お客様:「ウチの部署は5名になります。」
あなた:「これだけの事業を5名で運営されるなんて凄いですね!ぜひ今度部長様にもご挨拶したいのですが、少しだけお時間を頂けませんか?実は売上アップに繋がるご提案があるんです。」
お客様:「そうなんですか、それはありがとうございます!ちょうど来季の売上予算を作っていたところなので、ぜひ一度お話を聞いてみたいです。」
あなた:「では部長様が御同席の時にお伺いしますので、直近でお二人がご都合の良い日時をお教えください。例えば来週ではご都合いかがでしょうか?」
お客様:「来週であれば…、火曜日と水曜日の午後であれば大丈夫です。」
あなた:「それでは火曜日の午後1時にまたお邪魔します。当社は私と事業部長の2名でお伺いしますので、当日は宜しくお願い致します。」
お客様:「かしこまりました。お待ちしております。」
営業の挨拶回りとは、あくまでも「形式上の言葉」なので、絶対に挨拶だけで終わらなければいけないというルールはないのです。
つまり「挨拶だけ…」と言いながら、そのまま図々しく会話を続けて、徐々に本題へ入っていくことが大切なのです。
この本題とは「狙ったキーマンにアプローチできるきっかけを見つける」ことを意味しています。
例えば、一次対応してくれたのが受付だった場合、
- そこからキーマンに繋げるにはどうすればいいか?
- どうすればセールス機会がもらえるのか?
というきっかけ(糸口)を見つけなければ、全く前進しない営業活動になってしまいます。
大きく前進しなくても、一日一歩だけ、少しだけでも前進すれば良いのです。
とにかく前に進まなければ現状は変わりません。
営業職として結果を出したいのであれば、「昨日(前回)よりも受注に近づいたのか?」ということを、常に自問自答するようにしましょう。
挨拶メールの送り方
近年では、取引先とのやり取りもほとんどメールで済ませるようになってきました。
Slack(スラック)やChatwork(チャットワーク)のようなチャットツールが浸透してきましたが、まだまだEメールはビジネスの主軸と言って良いでしょう。
なので、ビジネスメールの基本マナーを備えておくことは、営業パーソンに必要な要件だと思います。
特に挨拶メールの送り方くらいは最低限おさえておきたいところですよね。
挨拶メールとは、年末年始や人事異動、退職などのタイミングで取引先に出すメールのことです。
新規取引の開始時に相手に出すメールや、誰かから紹介された時のメールなども「挨拶メールの一種」だと言えるでしょう。
挨拶メールを書くコツ
全てのメールに言えることですが、挨拶メールでは「用件を簡潔に、わかりやすく伝える」ということが肝心です。
そのために「メールの件名」が果たす役割はとても大きく、「読んだだけで相手に内容が伝わる」ような件名にすることが重要です。
例えば、退職時に送るメールでは、以下のようなものを送信します。
件名:退職のご挨拶
本文:この度、〇月〇日を持ちまして、○○を退職することとなりました。○○様には長い間お付き合いをいただき、誠にありがとうございます。私の退職後は後任の○○が担当させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
このような内容であれば、言いたいことがしっかりと相手方に伝わると思います。
挨拶メールでは、
- 簡潔に書く
- 結論を最初に書く
というのがポイントなのです。
挨拶文や手紙の書き方
前述したように、メールで済ませてしまうことが増えたとはいえ、少し改まった場面では手紙で挨拶した方が好印象なこともあります。
例えば、お中元やお歳暮を頂いた時のお礼状や、取引先担当者の昇進祝いなどがそれに該当してきます。
こうした場面でサラッと手紙を送ることができるとスマートに見えるので、手紙の書き方を覚えておくことは大事だと思います。
まず、縦書きと横書きがありますが、手紙の場合には縦書きで書く方が一般的です。
そしてまず「拝啓」という頭語から書き始めます。
続いて季節の挨拶、そして本文と続きます。
本文の最後は「敬具」で結びます。
以下でお礼状の例文を紹介しておくので、気になる人は押さえておきましょう。
お礼状の例文
こちらのお礼状は横書きになりますが、取引先からお中元を頂いた時のお礼状になります。
拝啓
盛夏の候、いかがお過ごしでしょうか。
この度は丁寧なお中元のお品をいただき、誠にありがとうございました。
従業員一同、美味しく頂戴いたしました。
まだまだ暑い日が続きます。
皆さまご自愛くださいませ。
取り急ぎ、書中を持ちましてお礼申し上げます。
敬具
食べた感想は、相手によって記載しなくても大丈夫です。
また、拝啓と敬具は必ずセットで用います。
拝啓・敬具の代わりに、「謹啓と謹白」を使うこともありますが、謹啓は拝啓よりもさらに丁寧になります。
なので、初めての相手には謹啓を使うと良いでしょう。
営業挨拶の例文まとめ
最後に、営業で用いる挨拶の例文をいくつか紹介します。
商談のお礼やアポイントなど、ビジネスに直接関わる用件は、メールや電話でやり取りする方が向いています。
アナログな手紙は郵送する手間があるので、どうしてもタイムラグが発生してしまいます。
臨機応変に伝達手段を使い分けることも、営業のコツなのでぜひ参考にしてください。
メール:「○○様先日はありがとうございました。ご満足いただけるようなサービスの提供に努めますので、今後ともよろしくお願いします。何かございましたらお気軽にご連絡ください。」
電話:「先日はありがとうございました。先ほどメールでファイルを送りましたので、ご確認をお願いします。何かあればいつでもご連絡ください。」
メール:「アポイント日時のメールを拝見しました。ご調整ありがとうございます。〇月〇日の〇時にお伺いしますので、当日はよろしくお願いいたします。」
電話:「〇月〇日の〇時でお約束いただきまして、ありがとうございます。ではその日時にお伺いしますので、よろしくお願いします。」
メール:「この度営業部に配属されました田中と申します。今後、製品に関してご不明な点がありましたら私までお気軽にご連絡ください。」
電話:「お忙しいところ申し訳ございません。新たに営業に配属されました田中と申しまして、ご挨拶させていただいております。今後何かご不明点ありましたら私までご連絡ください。」
お中元時期:「盛夏の候」「暑さ厳しき折り」
お歳暮時期:「歳末ご多忙の折り」「寒さ厳しき折り」
まとめサイトを活用しよう!
ここまで営業職が知っておくべき挨拶について解説してきました。
これがきちんと理解できていないと、商談はおろか、受注することなんて夢物語です。
なので、全ての営業職が完璧に把握しておくべき必須事項と言えます。
末尾に挨拶文や退職文などをまとめたサイトURLも記載しておくので、ぜひこちらも参考にしてみてください。