対面営業は古くからある営業スタイルですが、現代では「時代遅れ」と言われることもあります。
その一方、コロナパンデミックによって”非対面営業”というやり方が主流になり、もはやZoomなどを活用したオンライン商談が一般化しました。
つまり”営業環境が大きく変化(パラダイムシフト)した”のです。
そこで今回は、対面営業と非対面営業のメリット&デメリットについて解説したいと思います。
結局は「どのような営業スタイルが最も効率的なのか?」という部分まで踏み込んでいくので、営業活動に携わる人はぜひご覧ください。
目次
対面営業とは?
対面営業とは、「お客様と面と向かって商談する」営業形態のことを意味します。
例えば会社や個人宅を、自分の足で一軒一軒回る”訪問営業”や”飛び込み営業”などがそれに当たります。
1980~90年代には、今ほどインターネット環境が整備されていなかったので、直接顔を合わせる『訪問型の営業スタイル』が一般的でした。
その理由は単純で、自分たちの商品を知ってもらう手段が他に無かったからです。
大企業であれば、新聞やテレビ、雑誌など、マスメディアを使って全国的に公告を出すことができますが、莫大な広告予算がかかるため、中小企業や個人事業主には真似できません。
そこで、営業マンが地域密着型のセールスを実施し、靴底をすり減らしながら訪問営業をしていたのです。
対面営業のメリットとは?
訪問営業するメリットは、お客様と対面で話ができるため、商品の良さが伝わりやすく、信頼関係を築きやすいことにあります。
さらに五感全てをフル活用して情報収集する為、目の前の相手から商品ニーズを的確に引き出すことができます。
やはり非対面の営業活動と違って、じっくりコミュニケーションができるので、顧客ニーズを的確に把握できるのでしょう。
これは電話営業やオンライン商談にはない強みであり、大きなメリットだと思います。
顧客ニーズが把握できたら、今度は製品サービスを提案していく段階となります。
その時にはお客様をワクワクさせたり、購入した後のイメージを持ってもらう必要があります。
例えば、問題解決型(ソリューション型)の商品なら、第三者の失敗談などを具体的にお伝えして、このまま問題を放置した場合のリスクをイメージしてもらいましょう。
そうすることで、問題を甘く見ているお客様の背中を押し、課題解決に向かってスタートさせることができます。
逆に、他人事のようにお客様のご機嫌を取るだけでは商品が売れず、お客様の問題も解決しないため、お互いにとって全く意味がありません。
面と向かって顔を合わせるからこそ厳しい意見も言えて、それが結果的に信頼関係の構築へと繋がっていくのです。
飛び込み営業はもう古い?
訪問型営業のデメリットといえば、ズバリ『効率の悪さ』ですよね。
昔は各営業マンが、リストで割り当てられたエリア内の会社やご家庭を、一軒ずつ訪問していくという”ローラー営業”が主流でした。
中でも、飛び込み営業は「根性営業」ともいわれ、営業マンの体力や精神力を消耗させるわりには、成果が出にくい営業手法として知られています。
昔のように地域社会のつながりがあった時代であれば、御用聞きのように何度も足を運んで、情に訴えかける営業手法でも効果が良かったのかも知れません。
なぜかと言えば、地元有力者からの紹介等で、顧客がどんどん広がる可能性があったからです。
しかし昨今は、見知らぬ人が家に訪ねてくるだけで「不審者」として警戒される時代です。
まれに気さくな人と会話が弾んだとしても、商品の購買ニーズがなく、決済者でもないケースがほとんどでしょう。
いくらこまめに足を運んでも、飛び込み営業で契約してくれるお客様を探し当てることは、容易ではないのです。
営業スタイルが激変中
飛び込み営業に限らず、事前に電話でアポを取ったとしても、訪問営業には移動時間やコストが掛かってしまいます。
加えて、1度の商談でプレゼンテーション~クロージングまで行う場合、平均でも2時間ほど掛かるので、営業マン1人の訪問件数は、1日あたり最大でも3件ほどが限界になるでしょう。
ましてや商談後に「検討します」とか「考えます」と言われると、後日、同じ相手に再訪問しなければなりません。
このようなやり方で、一体、1か月に何人と会い、何件の契約が取れるのでしょうか?
つまり、訪問型営業だけでトップセールスマンになるには、とにかく根性で長時間働くか、もしくは月に数件売ればいいような「商材単価の高い商品」を売らなければいけません。
しかしありがたいことに、現代の営業マンには訪問活動を減らすための多種多様な方法が与えられています。
その代表格が、Zoomなどのオンライン商談ツールを活用したり、facebookやLINEなどのSNSなどを使ったWebマーケティングとなります。
インサイドセールスが主流になりつつある
根性営業の全盛期は、インターネットの爆発的な普及により、終焉を迎えました。
なぜなら、今はWebマーケティング等の活用で、零細企業や個人でも、商品の存在を市場に広め、さらに商品に興味がある人を引き寄せられるからです。
つまり、営業マンが自ら足を運んで、一方的に商品を売り込まなくても、ある程度、見込み顧客を集められる時代になったのです。
そこで一気に注目を集めたのが、アメリカで発祥した「インサイドセールス」でした。
インサイドセールスのメリットとは?
インサイドセールスは「内勤営業」とも呼ばれています。
様々なやり方で集めた見込み客に対して、電話やWebなどを使って、遠隔で営業活動を行うのです。
従来の『足で稼ぐフィールドセールス』に比べて、インサイドセールスのメリットは”効率の良さ”です。
内勤営業なので移動にかかる時間や準備をセールス活動に当てることができ、短時間かつ少人数で、多くの見込み客をさばくことができます。
商談数の多い会社では、一人の営業マンが一日に10商談をこなしていると聞きます。
この数字は対面型営業で実現できないので、非対面型営業の凄みが伝わるはずです。
そして第二のメリットは、「ハードルの低さ」です。
根性営業の時代は「営業は辛い」「しんどい」というイメージが浸透していましたが、オフィス勤務でOKなインサイドセールスが、それらのイメージを払拭しました。
おしゃれなオフィスで働くので、むしろ「快適」とか「素敵」というイメージすらついたのです。
さらに、商品にある程度興味を持っている見込み客を相手にするため、交渉力が高い営業マンだけではなく、アポインターや事務職の人にも新たな扉が開かれることになりました。
第三のメリットは、「再現性の高さ」です。
特定の商品に引き寄せられてきた見込顧客であれば、相手によって細かくトーク内容を変える必要がなく、同じトークスクリプトが使用できます。
そのため、新人営業とベテラン営業のクオリティがあまり変わらず、同じような成果を出すことができるのです。
このような仕組みになっているため、インサイドセールスは「営業初心者でもやりがいを感じやすい職種」だといえるでしょう。
非対面営業の罠(ワナ)
インサイドセールスは効率によって営業コストが抑えられる反面、幾つかのデメリットが浮き彫りになってきました。
第一のデメリットは、非対面コミュニケーションだけでは、お客様との信頼関係が築きにくいことです。
その結果、高単価商品を売ることが難しくなりました。
第二のデメリットは、複雑な商品説明ができないことです。
目の前でデモンストレーションを行ったり、商品に触れたり、試してもらうことができないため、お客様の購買意欲も上がりにくくなります。
第三のデメリットは、お客様対応の質が下がることです。
限られた時間内で大人数を相手にするため、マニュアル対応になりやすく、個々のお客様への臨機応変な対応が難しくなります。
このような状況では、お客様にとって担当者の存在感が薄くなり、見込み客の紹介(リファラル)にも結び付きにくくなります。
非対面はコミュニケーションが難しい
高額な商品であるほど、何か起こった時に「特定の担当者からフォローしてもらいたい」と思うものですが、担当が都度変わることも多い非対面営業では、お客様の不安感が拭い去れません。
それはお客様とのコミュニケーション不足から生じますが、もしコミュニケーションスキルに課題感がある場合には下の記事をご覧ください。
つまりインサイドセールスには、それ相応のデメリットがあるということです。
特に「致命的」とも言えるデメリットは、フィールドセールスに比べて、商談パワーが格段に弱くなってしまうことです。
いくらマーケティングしても、全然見込み客が集められなくなった場合、インサイドセールスの技術だけでは解決することができません。
その覚悟なく起業し、Web上のつながり(例えばSNSなど)だけで高額商品を売ろうとして挫折する人が増えています。
苦境に負けない強い営業力は、フィールドセールスによって育ちます。
生産性を追求するあまり、営業の本質を見失わないようにしましょう。
対面営業と非対面営業はどっちがいいの?
ここまで対面営業と非対面営業のメリット&デメリットについて触れてきましたが、結局どちらの営業スタイルがいいのでしょうか?
その答えは、「両方とも活用するべき」という回答になります。
対面営業も非対面営業も”一長一短”なので、シチュエーションに応じた営業スタイルを選ぶべきだと思います。
非対面営業を活用するシチュエーション
例えば非対面営業に最適なのは、リードジェネレーションやリードナーチャリングをする時だと思います。
web経由で集めた見込み顧客に対して、メールを送信し、その文章の中に日程調整ツールを活用したURLを添付しておきます。
※以下、弊社(WEBX Inc.)が実際に送信しているメール内容です。
このメールの「https://・・・」という黄色背景の部分が『日程調整ツールを活用したURL』になるので、そこから面談日程が設定されることになります。
日程調整ツールはGoogleカレンダーなどと自動連動してくれるITツールですが、日程調整ツールは無料(0円)でも使えるので、とりあえず登録しておきましょう。
Zoomなどを活用した非対面営業であれば、相手のハードルが下がるためCVR(商談率)が高まります。
もし対面営業であれば『直接会う』ということになるので、それを面倒に感じれば商談機会を失うことになるでしょう。
また昨今はリモートワークが当たり前なので、「直接会うのはNG」というケースが少なくありません。
このような環境の変化に対応するためには、どうしても非対面営業を活用するシチュエーションが出てくるはずです。
対面営業を活用するべきシチュエーション
対面営業の強みは、先ほどから解説している通り『直接コミュニケーションできる』という点だと思います。
営業とは、つまり「商談であり交渉事」です。
電話やWebをいくら使いこなせても、営業に携わる限り、対面での人間関係やコミュニケーションを避けては通れません。
逆に言えば、人と会うことは「ビジネスチャンスの宝庫」とも言えます。
例えば、すぐには成果がでなくても、営業マンが一軒一軒訪問することが、結果として新規開拓に繋がることがあります。
また、高額商品を売るには、お客様の背中をしっかりと押す必要がありますが、それも直接会って心を通わせるからこそ、相手の心に響くのです。
対面型営業のメリットをもう一度まとめると、以下の通りになります。
- お客様との信頼関係が築けること
- 的確な情報収集ができること
- 相手に合わせて商品説明ができること
- 高単価商品が売りやすいこと
逆に、最大のデメリットは時間効率の悪さですが、それをカバーしきれるだけのメリットが対面営業にはあると言えます。
対面営業でクロージングするコツ
対面営業で成果を出す為には、1度目の商談で、お客様に「YES」か「NO」かの答えを出してもらうことが重要です。
そのためには、必ずアポを事前に入れ、決裁者同席の約束を取り付けましょう。
貴重な時間を使って訪問するからには、絶対その日に返事をもらう!
このような心構えが大切なのです。
このような営業スタイルを「即決型の営業」または「即決営業」と呼んでいます。
トップ営業マンのほとんどが、この即決型の営業スタイルを実践しています。
なぜなら、お客様の「考えます」や「検討します」を1度でも受け入れて契約が保留になると、成約率が大きく下がってしまうからです。
もし即決営業を学びたい場合には、下の本をご覧ください。
教育業界の商材を販売した時のデータでは、1度目を保留にすると成約率が13%ほどになると言われます。
実は、2度目、3度目に取れる契約であれば、1度目の商談でも決まるというのが定説です。
断られることを恐れずに、最後は対面で、はっきりと決断を迫りましょう。
目の前のお客様から逃げない姿勢が、営業を成功させるカギとなるのです。