クロスセル営業は一般的に行われている営業手法です。
しかし、一般的過ぎるが故に、あまり深く考えて実践している人は少ないと思います。
そこで今回は、クロスセル営業に焦点を当て、顧客単価アップの戦略や、その効果について解説していきたいと思います。
クロスセル営業とは?
クロスセルとは、本来買う予定の製品とは別の関連製品を顧客にお勧めして購入してもらうことをいいます。
ある商品の購入を検討している顧客に対して関連商材を勧めることによって、顧客単価を上げるセールステクニックなので、日常的にクロスセールスをやっている営業パーソンは多いでしょう。
ただし、クロスセル営業の正確な知識を持っていないと、ただの”押し売り”になってしまう恐れがあるので注意が必要です。
クロスセル営業は、顧客単価を上げる効果的な方法として知られています。
最近はインターネット通販が一般的ですが、WEBサイト上で表示される「関連商品」「こちらもおすすめ」もクロスセル戦略の一つです。
クロスセルを活用すると、顧客数を増やさなくても売り上げアップが期待できるので、商品の分野に関係なく、ECサイト上で広く利用されています。
例えば、Amazonのレコメンド機能がそれに当たります。
Amazonの製品ページには「よく一緒に購入されている商品」というレコメンド機能が実装されていますよね。
クロスセルを成功させるポイントは、顧客情報をしっかり集めて分析することで、情報収集と分析によって、リピーターになるような顧客を見つけ出すことがポイントになります。
他にもリードナーチャリングで顧客を獲得することも大切です。
見込み顧客にいきなりクロスセルを行うのではなく、まずは顧客のためになるような情報や無料サービスを提供することによって、信頼感を得るようにしましょう。
クロスセル営業の効果
クロスセル営業の効果とは、関連商品の購入を促すことによって購入商品数が増え、顧客単価が上がるということです。
お客様の好みや、どのようなものを必要としているかを理解して、その嗜好やニーズに合った関連商品を勧めれば顧客単価は上がっていきます。
それによって新規顧客を開拓しなくても、売上をアップさせることができるのです。
他にも、クロスセルを利用して関連商品を購入した顧客は、本来自分が認識していなかった潜在ニーズを引き出してくれたことに感動し、リピーターになってくれる可能性もあります。
このようにクロスセルは、顧客単価を上げ、リピーターを増やしてくれるという効果があるのです。
それによって商品全体の売上げアップにも繋がるので、クロスセル営業は収益アップを図るために無くてはならない営業手法だといえます。
クロスセル営業で収益アップしたいのであれば、正しいデータ分析や営業戦略が必要です。
段階に沿って分析や戦略を行わないと、その効果が半減してしまう場合もあるので十分注意しましょう。
クロスセル営業の方法
クロスセル営業は自社製品にシナジーがある商材を売る方法と、顧客満足度を高める方法の2種類が大枠となっています。
- 自社製品にシナジーがある商材を売る方法
- 顧客満足度を高める方法
自社製品にシナジーがある商材を売る方法については、先ほどから解説している通りなので、ここでは「顧客満足度を高める方法」について解説したいと思います。
顧客満足度を高める方法は、3つの段階に分けて行う必要があります。
まず始めに行うことは、アソシエーション分析です。
アソシエーション分析とは、同時に買う傾向が高い商品同士の法則を見つけることをいいます。
アソシエーション・ルールを分析するためには、POSシステムなどで集められたビッグデータを用いることが多いです。
アソシエーション・ルールの分析ができたら、次はその結果を戦略に活かしていきましょう。
例えばA商品とB商品が分析によって同時に買う傾向が高いと判断されたら、両方を並べて陳列するなど、分析結果に基づいたアクションを実行します。
それによってA商品とB商品の両方の売り上げを伸ばすことができ、顧客単価を上げることにつながるのです。
この作業はスーパーなどの小売店に限らず、BtoBやECサイトにおいても、活用することができます。
分析した結果に基づいた戦略だったとしても、あまり上手くいかないケースもあります。
もし上手くいかなかった場合は、ルールの最適化を実施することが大切です。
ルールの最適化を実施する場合には、クロスセルを行うタイミングや顧客ニーズを再度確認してみましょう。
もしデータが足りないのであれば、集客数を上げてデータ分析に利用している顧客の母数を増やすことも大切だと思います。
ここまで、クロスセル営業で顧客満足度を高めるためには、以下の三つが必要だと解説しました。
- アソシエーション・ルールの分析する
- 分析結果を戦略に活かす
- ルールの最適化を実施する
常にPDCAを回しながら、最も効果的なクロスセル方法を探してみてください。
クロスセルとアップセルの違い
クロスセルに似た言葉で「アップセル」という言葉があります。
クロスセルは、ある商品を買おうとしている顧客に対して別の商品も同時に買わせようとする販売手法のことを言いますよね。
クロスセルを行うことによって、顧客一人当たりの購入商品を増やし、売り上げ増加につなげるのですが、もう一方のアップセルとは、ある商品を買おうとしている顧客に向けて、その商品よりも高い商品を勧める販売手法のことをいいます。
例えばマクドナルドでポテトMを買おうとしているお客様に対して、ポテトのLサイズをお勧めするようなやり方を言います。
このようにアップセルは、顧客一人当たりの購入商品を増やすクロスセルとは違い、一人当たりの購入点数を増やさないで売り上げを上げるやり方なのです。
実行するタイミングとは?
クロスセルやアップセルを実行する際、効果的と言われているタイミングがあります。
そのタイミングはそれぞれ異なりますが、クロスセルする効果的なタイミングは、顧客が商品を買おうと決めた後だと言われています。
そのように言われている理由とは、商品購入の意思決定をした後が、一番ついで買いしやすいからです。
それと比較して、アップセルは顧客が商品を買おうと前向きに考えている時に行うのが、一番効果的だと言われています。
確かに散々迷った挙句「このパソコンを買おう!」と決めた後に、「それよりもグレードの高いあっちのパソコンの方が…」と言われたら面倒に感じますよね。
顧客が商品購入を決めた後にアップセルしてしまうと、押し売り感も出るので逆効果になってしまいます。
このようにクロスセルやアップセルを行う際はタイミングが重要であり、それぞれのタイミングは異なるという特徴があります。
この辺りはセールスパーソンが理解しておくべきポイントだと思います。
どちらも売り上げアップに繋がることは間違いないので、積極的に取り入れたい営業手法になります。
クロスセル商材の探し方
クロスセル商材は、WEBで探す方法が一般的です。
とにかくクロスセル商材を仕入れる時のポイントは、自分たちの顧客層と合っている商材を探すことです。
例えば、法人携帯を取り扱っているのであれば、法人向けのOA機器や、ホームページ制作などをクロスセルするのが良いでしょう。
逆に個人向けの学習教材を販売しているのであれば、個人宅向けの新電力やウォーターサーバーをクロスセルするのも良いと思います。
これらの商材を一つにまとめているリファラル営業サイトというのもあります。
リファラル営業サイトでは、トスアップ型の代理店商材を多数掲載しているので、クロスセルするための商材も見つけやすいと思います。
まとめ
ここまでクロスセルについて解説してきました。
クロスセルは効率よく売上アップが図れるので、営業現場では重宝されるはずです。
そもそもクロスセルする理由とは、お客様の課題を解決するためです。
例えば、ラジコンを買うお客様に乾電池を提案することは、典型的なクロスセルになります。
しかし、もし乾電池を提案しなければ、ラジコンだけ買って帰ったお客様は乾電池を買い忘れたことを後悔することでしょう。
このような状態を未然に防げるのが、クロスセル営業なのです。
そう考えた場合、クロスセルの役割は非常に重要だと言えます。
全てのセールスパーソンはクロスセル営業の重要性を理解した上で、お客様の課題に対して積極的に提案するようにしましょう。