
AI(人工知能)やロボットが進化する一方で、無くなっていく仕事もたくさんあるはずです。
過去の歴史を振り返っても、技術の進歩と共に働き方は大きく変わってきました。
そこで今回は、「AIの進歩によって営業職の仕事や働き方はどう変わっていくのか?」という部分にフォーカスしてみたいと思います。
目次
営業職は将来が不安…
AIの進化によって「将来的に人間がする仕事の多くが奪われてしまう…」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。
日本の野村総合研究所と米国大学との共同研究によると、将来的に日本国内の600を超える職業がAIに代替されてしまう可能性があるそうです。
総務省ホームページ:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd145210.html
野村総研資料:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
この調査で示された、AIによる代替の可能性が高い職業とは、以下のような単純労働でした。
- 駅務員
- 電車運転手
- 一般事務員
- タクシー運転手
- 給食調理人 etc.
これらの仕事は比較的容易に置き換えられてしまうそうですが、営業職の中にも「いづれ営業職もなくなってしまうのではないか?」と危惧している人がいるかもしれません。
実際に、先進的なITベンチャー企業の中には「営業マンほぼゼロ」という会社すらあります。
これは、反響営業と言われる”インバウンドマーケティング”が上手くいっている結果なので、一概に「営業マンはいらない!」とも言い切れませんが、ある程度は仕組みでカバーできることが証明された結果だと思います。
もしまだインバウンド営業の仕組みが構築できていない場合には、ぜひ下の記事を参考にしてください。
営業スタイルは大きく変化する
営業職のイメージといえば、「お客様のもとを訪ねて、売り込みして、契約を獲ってくる仕事」という感じかもしれませんね。
でも、このような押し売り的なセールスを望んでいるお客様はいませんし、情報(選択肢)が少なかった時代だからこそ成立した古臭い時代遅れの営業手法だと思います。
しかし現代は情報過多(情報が溢れている)の時代だと言われているので、顧客を騙すような情弱商売はできませんし、今後ますます難しくなっていきます。
このようにテクノロジーの進化に応じて、営業スタイルも大きく変わっていくはずです。
まだ自社に合った営業スタイルが見つかっていない場合は、下の記事を参考にしてください。
営業職の需要は無くなるの?
営業として働いている人や、営業職への就職を目指している人にとって気になるのは、AIの普及によって「いずれは営業職のニーズが無くなってしまうのではないか?」ということだと思います。
しかし結論から言ってしまうと、営業の需要が下がる可能性はとても低いと考えています。
なぜなら、営業とはお客様との人間関係が重視される職業だからです。
一般消費者を対象としたセールス(BtoC)はもちろん、法人を対象としたセールス(BtoB)でもそれは同じです。
現代は「モノ余りの時代」なので、商材で差別化することが難しくなっていて、自社も競合他社も同じレベルの製品・サービスを提案している「どんぐりの背比べ状態」です。
そのような状況で、自社を選んでもらう為には、
- 営業マン自身を気に入ってもらったり
- 人間味のある柔軟な対応をしたり
- お客様を気遣ってフォローアップする
ことが必要になってきます。
このような感情はとても”人間的な部分”なので、AIで代替することは難しいと思います。
なので、営業マンが差別化する為のポイントとは、如何にして「人間らしい感情を持つか?」という部分に集約されていくはずです。
いらなくなる営業マンとは?
しかしながら、「感受性豊かな営業マンであれば安泰…」という訳でもありません。
AIは顧客の行動分析をして、データに基づいた合理的で最適な提案ができる為、ミスが少ないことも特徴的です。
そのため、あまり頭の回転が速くない人や気が利かないタイプの営業マンであれば、AIにとって代わられる可能性が十分ありえます。
つまり「顧客にストレスを与えるような営業パーソンなら、いない方がマシ」ということです。
また、お客様一人ひとりに合わせた柔軟な対応ができなくて、マニュアル化されたトークを繰り返すようなロボット営業マンも、いずれ求められなくなることでしょう。
よって、これからの時代に求められる営業パーソンとは以下のような人物だと思います。
- 自分自身で考えて行動できる人
- 自分の力で課題解決できる人
- 常に自己研鑽をする人
- 感情が豊かな人
- 相手を気遣える人
技術職と営業職はどっちを選ぶべきか?
会社には、営業職のほかに技術職、経理職、企画職、マーケティング職など様々な職種があります。
その中でもエンジニアリングなどの技術系と営業系では、
- どちらが将来的に有利なのか?
- どちらが大変な仕事なのか?
といったことがしばしば議論されています。
しかし、これは「どちらの職業に就いたほうが良い」と一概に言えるものではありません。
というのも、現在は引手数多のシステムエンジニア職ですら「AIに代替される可能性が高い」と言われているのです。
既にノーコード(NoCode)開発という概念が出てきているので、エンジニア職ですら将来的にどうなるのか全く未知数だと思います。
なにより本人の適性や資質による向き不向きもあり、たとえ向いていたとしても、どちらの仕事も納期や売上に対するプレッシャーが強く大変な仕事だと思います。
また、それぞれの将来性を考えた場合でも、人によって、キャリアプランによってもどちらが良いと言うのは難しい話になります。
技術職の将来はどうなる?
技術の進歩によって工場労働者が減ったように、エンジニアなどの技術職にも同じことが起こる可能性があります。
これは技術進化によるパラダイムシフトなので、どうにも防ぎようがありません。
webプログラマーやwebデザイナーの需要は安定していますが、プログラマーやデザイナーの仕事の中でも、一部の単純な作業はAIに代替されてしまう可能性が高いと思います。
そのため、基本的な作業しかできない低スキルのプログラマーやデザイナーであれば、AIによって仕事を失う可能性は大いにあり得るでしょう。
生き残るために重要なことは、どのような職種だったとしても、上位2割に食い込めるほどのスキルや能力を身につけておくことです。
どんなにAIが発達したとしても、それを作ったり管理する人間が絶対必要になります。
そちら側に回ることが、唯一技術職の生き残る道だと思います。
営業職の将来はどうなる?
営業職も技術職と同じで、AIができるような単純作業しかできないのであれば、将来的なキャリアは厳しいと思います。
例えば、営業の仕事の中にも単純作業はたくさんありますよね。
- リスト作成
- アポイント獲得
- 契約手続き
- フォローアップメール etc.
このような仕事は「クリエイティブじゃない作業」なので、「自分にはアポイント獲得に強みがある!」といってもAIに取って代わられる可能性が高いでしょう。
それよりは、ソリューション営業としての価値を高めたり、コンサルティング営業としてスキルを伸ばす方が無難だと思います。
伝統工芸品の職人(人間国宝)みたいに「誰も真似できない価値ある仕事」ができる人なら、セールス職として存続できるかも知れません。
営業マンは今のうちに転職すべき?
営業マンとして働いている人に対しては、今のうちに「将来性のある他の仕事に転職すべき!」という意見もあります。
実際、営業職というのは、
- 向いている人
- 向いていない人
がはっきり分かれやすい職業です。
営業職に向いている優秀な営業マンとは、お客様とのコミュニケーションからニーズを的確に汲み取って、適切な提案をしたり、重要な情報を提供したりして、人間関係を深く構築することができる人です。
その結果、大きな売上に繋げることができるので、企業にとって価値のある人財に成長していきます。
営業職に向いていない人はどうする?
一方、営業職に向いていない人というのは、プレゼン資料を作成したり、営業メールを送ったりする単純作業はできても、臨機応変に対応することが得意ではない人だと思います。
このような人は、AIが台頭するのに従って、営業職としての仕事を失う可能性が高いでしょう。
そのため、早い段階で見切りをつけて、他の職種に転職するというのも一つの選択肢だと思います。
対人コミュニケーションが苦手だったり、顧客との関係構築が不得意な場合、営業職を続けていても苦しいだけです。
将来的に、
- どの程度の仕事がAIにとって代わられるか?
- どのように市場や環境が変化するか?
ということを正確に見通すことは誰にもできません。
なので、あらゆる状況に対応できるようになるためには、自分自身の市場価値を高めることしかないでしょう。
営業が好きでやりがいを感じていたとしても、転職して他の分野のスキルを身につけてることも決して悪くありません。
それでも「前向きに営業頑張りたい!」という場合には、ぜひ下の記事をご覧ください。
営業は本当にAI化するのか?
「営業は本当にAI化するのか?」というのはとても興味深い話題であり、疑問も尽きません。
しかし、これまで見てきたように営業活動の全てをAIが担えることは無いので、全てを取って代わられることはないでしょう。
これは、日本の営業職が担当する職務範囲が非常に幅広いことも関わってきます。
日本の会社では、
- 新規見込案件の開拓
- 顧客ニーズのヒアリング
- ソリューション提案やコンサルティング
- 受注後の納品
- 顧客のフォローアップ
まで、一人の営業スタッフが担っていることも珍しくありません。
欧米のセールスマンはコンサルティング担当やフォロー担当など、細分化された職能に特化していることが多いため、このような営業スタイルは日本独自の特徴だと言えるでしょう。
なので、業務効率化が図られたとしても、すべてをAIやシステムで担うということは現実的に難しいはずです。
営業は”人と人の信頼関係”が必要
どんなに技術が進歩したとしても、結局ビジネスの中身は人になります。
個人はもちろんですが、法人も中身は人で成り立っており、全く人間が必要ないという状況には絶対なり得ません。
ホームページなどの公式サイトは「24時間休まず働く営業マン」ともいえますが、このような合理化を追求すればするほど、お客様は不合理性を欲しがるものです。
これは一見すると矛盾しているように感じますが、例えばホームページからの手続きで申し込み~契約までが全て完結するサービスがあったとします。
実際にそのようなサービスは今でもたくさんありますが、そういったサービスが増えれば増えるほど「人が対応することを価値とする」ようなサービスが出てくるのです。
このような価値感は一見不合理に見えますが、実は顧客ニーズがあると言われています。
特に高額商材や説得商材などでは、営業スタッフが対応すること自体が価値になるのです。
つまり、ビジネスの基本が「市場原理に基づく」「人と人との信頼関係で成り立つ」という2つの前提に立つ限り、営業マンの存在価値がゼロになることは無いのです。
特に、法人営業(B2B)では担当者が頻繁に電話やメールで連絡をして、人間関係を構築することが欠かせませんよね。
なので、「自分自身の価値を如何に高められるか?」ということが、今後の営業職に求められるテーマになってきそうです。
人工知能(AI)やロボットで代替可能な職業100選
ここでは「AIに代替される可能性が高い」と言われている100の職業を一覧にしています。
ビジネスマンであれば「自分の仕事は該当しているのか?」ということを、ぜひチェックしてみてください。
- IC生産オペレーター
- 一般事務員
- 鋳物工
- 医療事務員
- 受付係
- AV・通信機器組立・修理工
- 駅務員
- NC研削盤工
- NC施盤工
- 会計監査係員
- 加工紙製造工
- 貸付係事務員
- 学校事務員
- カメラ組立工
- 機械木工
- 寄宿舎・寮・マンション管理人
- CADオペレーター
- 給食調理人
- 教育・研修事務員
- 行政事務員(国)
- 行政事務員(県市町村)
- 銀行窓口係
- 金属加工・金属製品検査工
- 金属研磨工
- 金属材料製造検査工
- 金属熱処理工
- 金属プレス工
- クリーニング取次店
- 計器組立工
- 警備員
- 経理事務員
- 検収・検品係員
- 検針員
- 建設作業員
- ゴム製品成形工
- こん包工
- サッシ工
- 産業廃棄物収集運搬作業員
- 紙器製造工
- 自動車組立工
- 自動車塗装工
- 出荷・発送係員
- じんかい収集作業員
- 人事係事務員
- 新聞配達員
- 診療情報管理士
- 水産ねり製品製造工
- スーパー店員
- 生産現場事務員
- 製パン工
- 製粉工
- 製本作業員
- 清涼飲料水ルートセールス
- 石油精製オペレーター
- セメント生産オペレーター
- 繊維製品検査工
- 倉庫作業員
- 惣菜製造工
- 測量士
- 宝くじ販売人
- タクシー運転手
- 宅配便配達員
- 鍛造工
- 駐車場管理人
- 通関士
- 通信販売受付事務員
- 積卸作業員
- データ入力員
- 電気通信技術者
- 電算写植オペレーター
- 電算計算機保守員
- 電子部品製造工
- 電車運転手
- 道路パトロール隊員
- 日用品修理ショップ店員
- バイク便配達員
- 発電員
- 非破壊検査員
- ビル施設管理技術者
- ビル清掃員
- 物品購買事務員
- プラスチック製品成形工
- プロセス製版オペレーター
- ボイラーオペレーター
- 貿易事務員
- 包装作業員
- 保管・管理員
- 保険事務員
- ホテル客室係
- マシニングセンターオペレーター
- ミシン縫製工
- めっき工
- めん類製造工
- 郵便外務員
- 郵便事務員
- 有料道路料金収受員
- レジ係
- 列車清掃員
- レンタカー営業所員
- 路線バス運転手
人工知能(AI)やロボットで代替できない職業100選
AIに代替される可能性が高いと言われている職業がある一方で、「ロボットでは代替できない」と言われている仕事もたくさんあります。
ここでは人工知能(AI)やロボットで代替できない職業を一覧にしているので、ぜひチェックしてみてください。
- アートディレクター
- アウトドアインストラクター
- アナウンサー
- アロマテラピスト
- 犬訓練士
- 医療ソーシャルワーカー
- インテリアコーディネーター
- インテリアデザイナー
- 映画カメラマン
- 映画監督
- エコノミスト
- 音楽教室講師
- 学芸員
- 学校カウンセラー
- 観光バスガイド
- 教育カウンセラー
- クラシック演奏家
- グラフィックデザイナー
- ケアマネジャー
- 経営コンサルタント
- 芸能マネージャー
- ゲームクリエイター
- 外科医
- 言語聴覚士
- 工業デザイナー
- 広告ディレクター
- 国際協力専門家
- コピーライター
- 作業療法士
- 作詞家
- 作曲家
- 雑誌編集者
- 産業カウンセラー
- 産婦人科医
- 歯科医師
- 児童厚生員
- シナリオライター
- 社会学研究者
- 社会教育主事
- 社会福祉施設介護職員
- 社会福祉施設指導員
- 獣医師
- 柔道整復師
- ジュエリーデザイナー
- 小学校教員
- 商業カメラマン
- 小児科医
- 商品開発部員
- 助産師
- 心理学研究者
- 人類学者
- スタイリスト
- スポーツインストラクター
- スポーツライター
- 声楽家
- 精神科医
- ソムリエ
- 大学・短期大学教員
- 中学校教員
- 中小企業診断士
- ツアーコンダクター
- ディスクジョッキー
- ディスプレイデザイナー
- デスク
- テレビカメラマン
- テレビタレント
- 図書編集者
- 内科医
- 日本語教師
- ネイル・アーティスト
- バーテンダー
- 俳優・女優
- はり師・きゅう師
- 美容師
- 評論家
- ファッションデザイナー
- フードコーディネーター
- 舞台演出家
- 舞台技術家
- フラワーデザイナー
- フリーライター
- プロデューサー
- 経営者
- 保育士
- 放送記者
- 放送ディレクター
- 報道カメラマン
- 法務教官
- マーケティング・リサーチ
- 漫画家
- ミュージシャン
- メイクアップアーティスト
- 盲・ろう・養護学校職員
- 幼稚園教員
- 理学療法士
- 料理研究家
- 旅行会社カウンター係
- レコードプロデューサー
- レストラン支配人
- 録音エンジニア
まとめ
AIをはじめとした技術の進歩は誰にも止めることができません。
一方的に進化していくので、その流れを予測しながら「人間としてどうあるべきか?」を考えなければいけないのです。
現代は高度経済成長期のように「黙っていても儲かるような時代」ではありません。
これから時代は知識労働者(ナレッジワーカー)が活躍する時代になる。
これは有名な経営学者であるピーター・ドラッカーの言葉です。
これからの時代は、「いかに自分に価値を付けられるか?」ということがテーマになるので、それを考えながら自分自身のキャリアプランを描いていきましょう。
もし良ければ、参考までにピーター・ドラッカーの著書を読んでみてください。
ドラッカーは現代社会を見事に言い当てた”経営学の父”なので、何か新しい気づきがあるかもしれません。
