稲盛和夫といえば、グローバル企業である「京セラの創業者」ですよね。
日本を代表する名経営者の一人ですが、惜しくも2022年に逝去しました。
これは日本にとって大きな痛手であり損失だと言えますが、稲森和夫の経営哲学はたくさんの書物として出版されており、数多くの名言も語り継がれています。
そこで、今回は稲盛和夫の名言集をご紹介したいと思います。
稲盛和夫の仕事観&人生観がわかる言葉ばかりなので、ぜひ最後までご覧ください。
稲盛和夫の略歴
稲盛和夫は、1932年に鹿児島県で生まれます。
地元の鹿児島大学工学部を卒業し、1959年に京都セラミック株式会社(現在の京セラ)を設立、その後に社長へ就任します。
1971年には大阪証券取引所に株式を上場させ、翌年の1972年には東京証券取引所へも株式を上場させます。
1983年には「盛和塾」を開塾し、若手経営者へ自身の経営ノウハウを提供し始めました。
通信の自由化に伴い1984年には第二電電(現在のKDDI)を設立し会長に就任、同年には稲盛財団を設立し、毎年「人類社会の進歩発展に貢献した人々」を表彰しています。
1997年には京セラの名誉会長となり、実質的に経営の第一線から退きます。
その後2010年には、経営破綻した日本航空(JAL)の再建を任され、代表取締役会長に就任します。
見事にJALを復活させ、再び東証1部(現在のプライム市場)へと上場させ、改めて稲森式の経営手腕を見せつけました。
2019年に「盛和塾」を閉塾し、2022年には惜しまれつつ逝去。
稲盛和夫の名言集
なぜ働くのか?
何のために働くのか?
多くの人が今、働くことの意義やその目的を見失っているようです。
稲盛和夫は「多くの人が働くことの根源的な意味を見失い、”働くこと”そのものに真正面から向き合っていない」と語っています。
人生の中で最も多くの時間を費やす「働く」ということに対して、あなたはどれだけ真剣に向き合えているでしょうか?
仕事に対する心構えがあるのと無いのとでは、仕事の成果はもちろんですが、生き方にも大きな違いが出てきます。
それであれば、ポジティブ(前向き)な働き方をおすすめします。
働くことは万病に効く薬。
人生には様々な苦難が待ち受けていますが、「働くこと」でそれらを克服できると稲盛和夫は語っています。
私は一生一つの職業に捧げ、地道な労働を営々と重ねてきた人物に強く魅了されます。
1つの仕事をやり遂げる過程には、たくさんの辛いことや多くの苦労があったはずです。
それらを乗り越えてきた人の言葉には重みがあり、揺るぎない存在感を発揮する、と稲盛和夫は語っています。
もし今「真面目に働く」ことしか自分には脳がないと嘆くような人がいたら、その「愚直さ」こそを喜べと言いたい。
真面目のコツコツと努力をすることが、長い期間で「平凡」を「非凡」に変えます。
稲盛和夫は「継続する力」の凄さを伝えたいそうです。
元々人間は、働くことが嫌いです。
働くのが嫌な人は多いと思いますが、それはとても自然なことです。
なので、それ自体は問題ないのですが、どうせ働くなら楽しんだ方がトクだと思います。
楽しく働けるやり方を考えましょう!
一日のうちに、最低限、一歩だけは前に出よう。
若い頃の稲盛和夫は長期的な視野を持っていなかったので、「とりあえず昨日より1cmでも前進しよう」と考えていたそうです。
これは私も新入社員の頃から実践している考え方なので、とてもおすすめします。
上場はゴールではなく、あくまでも新たなスタート地点であり、企業はその後もさらに発展していかなければなりません。
これは京セラが上場した時、稲盛和夫が思ったことです。
「上場ゴール」という言葉もありますが、稲盛和夫はアーリーリタイアを考えることがなく、「これまで以上にひたむきに働こう!」と考えたそうです。
非上場企業のステークホルダーは少ないですが、上場企業の場合には一般投資家もいるので、より責任が重くなると考えたようです。
「できない」ものを「できる」と引き受けて、実際に「できる」までやり続ける。
創業当時の京セラは新参者なので、営業に行くと必ず”無理難題”といえるような要求ばかりをされたそうです。
つまり相手には既存の取引先があるので、そこが「そんな無茶な要求は受けられない」と断った”高い水準の要求”だけをされるのです。
それに対して稲森和夫は、いつも「はい、できます!」と答えていたそうです。
もちろん会社内では大反発を喰らうのですが、それを乗り越え続けた結果が京セラの技術力向上に繋がったと、語っています。
同じく、無理難題に対して「はい、できます!」と答え続けていた人が、日本電産(現・Nidec)創業者の永守重信です。
やっぱり名経営者の言動は似ているみたいですね。
永守重信の名言集は下の記事をご覧ください。
順調なら「よし」。
逆境なら「なおよし」。
「逆境こそが人間を成長させてくれる」という稲盛和夫の格言です。
思いは必ず実現する。
なぜ思いが実現するのかといえば、人が「どうしてもこうありたい」と強く願えば、その思いが必ずその人の行動となって現れ、実現する方向に自ずと向かうからです。
しかしここで重要なのは「強い思いでなければいけない」ということです。
漠然とした考え方や、「こうだったらいい」という程度の思いでは実現しないので注意しましょう。
ちなみに、これと同じ考え方を持っていたのが、あらゆる自己啓発系の元祖と言われている「ナポレオン・ヒル」です。
ナポレオン・ヒルの名言集は下の記事をご覧ください。
「もうダメだ」というときが仕事の始まり。
稲盛和夫の信念は「手掛けた研究開発は100%成功させる」というものです。
もちろんそんなことはあり得ないのですが、「成功するまでやり続けるので、失敗することがない」という持論みたいです。
これと同じことを語っていたのが、「発明王」と呼ばれたトーマス・エジソンです。
エジソンの名言集は下の記事をご覧ください。
働くということの最大の目的は、労働に従事する私たち自身の心を練磨し、人間性を高めることにある。
働く上で一番の目的は「収入を得ること」かもしれませんが、それは表面的な目的だと思います。
本質的な目的は「個人の内的完成」にあると、稲森和夫は考えているようです。
つまり働けば働くほど、自己が確立していき、人間としての”完成形”に近づいていくそうです。
人生や仕事におけるどんな困難な山も、安易に妥協することなく、垂直に登り続けていくことが大切です。
安全第一を考えるなら、そびえ立つ岩山を垂直に登るのではなく、迂回しながらゆっくり緩やかに登っていく方がいいと思います。
しかしそのような安全策で、ゆっくり時間をかけて登っていくと、心の中にスキ(油断)ができてしまいます。
そして「ほどほどにしておこう」とか「これくらいで良しとするか」という妥協になっていくのです。
会社を辞めて転職したからと言って、必ずしも新しい職場で成功するとは限りません。
今勤めている会社に嫌気がさすと「もう転職しよう!」と考えますよね。
その時の発想は「もっと自分に合う会社があるはずだから、そのような会社を探そう!」という自分主体なのですが、このような考え方で転職活動すると必ず失敗します。
そうではなくて「自分が合わせられる会社を探そう!」という発想が重要なのです。
「完成形が見える」なら必ず成功する。
何か物事を成し遂げようとする場合、ビジョンを描く必要があります。
それが具体的であればあるほど、成功する確率は高まると思います。
自分から積極的に仕事へ向き合い、周囲に働きかけ、仕事をダイナミックに進めていける人を、私は「渦の中心で仕事をしている人」と表現しています。
自分が渦の中心となって、積極的に周りを巻き込んでこそ”仕事の醍醐味”を味わうことができます。
渦の中心で仕事をする人になりましょう!
この西ノ京原町で一番の会社になろう。
西ノ京原町で一番になったら、中京区で一番の会社を目指そう。
中京区で一番になったら、次は京都で一番。
京都で一番が実現したら、日本一になろう。
日本一になったら、もちろん世界一だ!
京セラは京都の西ノ京原町で創業しました。
その時、従業員28名での創業だったそうですが、稲盛和夫はこの言葉(夢)を社員に伝えていたそうです。
シンプルですがワクワクする言葉ですよね。
舗装された道を、人の後から歩いて行っても意味はありません。
これは歩くべき道について語った比喩です。
本気で「世の中を変えたい!」と思うのであれば、誰も歩いていない未到の道を歩かなければいけません。
そのような道は足元が悪いので苦労を伴いますが、得られるものはきっと大きいはずです。
神様が手を差し伸べたくなるほどに、一途に仕事に打ち込め。
そうすれば、どんな困難な局面でも、きっと神の助けがあり、成功することができる。
若い頃の稲盛和夫は、とにかく猛烈に働いて、日本で初めてU字ケルシマの成形に成功しました。
これはいくつかの偶然が積み重なった結果なのですが、そのような実体験があったので、社員達にはこの言葉を伝えていたそうです。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。
これは新しいテーマに挑戦する時の方法について語った名言です。
とてもバランスが良いので、座右の銘にもぴったりだと思います。
「不燃性」の人は会社にいてもらわなくても結構だ。
私が近づかなくても勝手に燃えてくれる「自然性」の人であってほしい。
「不燃性」の人とは、常に冷め切った態度をしていて、全く熱くならない人のことを言います。
このような人が組織にいると、周りにも悪影響を及ぼすので、稲盛和夫は「不燃性の人はいらない」と一刀両断しています。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
これは有名な「稲森式の方程式」と呼ばれているものです。
- 能力:知能や体力、又は健康など
- 熱意:仕事に対する熱意(努力とも言える)
- 考え方:ポジティブとネガティブがあるので、マイナスがあり得る
この中で稲森和夫は「考え方」が最も重要だと語っています。
考え方が悪ければ、どんなに熱意や能力があったとしても、マイナスになってしまうので、結果を出すことができません。
なので絶対にポジティブシンキングを心掛けましょう。
人生で起ってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。
稲盛和夫は「人生での出来事は全て自分が引き寄せたもの」だと語っています。
自分の考えや生きる姿勢などが複雑に絡まり合って、結果的にそれが現実の出来事として起こるそうです。
「天職」とは出会うものではなく、自ら作り出すものなのです。
一生懸命に打ち込んでいけば、いずれその仕事が「天職」になると稲盛和夫は語っています。
仕事が好きになれば、あるいは自分の作っている「もの」を好きになることができれば、何か問題が発生した時でも、必ず解決方法は見えてくるものです。
これはつまり「仕事が好き⇒続けられる⇒解決方法が見つかる」ということだと思います。
逆だった場合には「仕事が嫌い⇒続けられない⇒解決方法も見つからない」ということになるでしょう。
事業を興す時でも、新しい仕事に携わる時でも、私はそれが人のためになるか、他を利するものであるかをまず考えます。
稲盛和夫は第二電電(現在のKDDI)を創業する時、ただひたすら毎日「自分の利益のために創業するのか?」「世の中を良くするために起業するのか?」を自問自答していたそうです。
その結論として「自分には確かに私心がない(=自分の利益のためではない)、動機は善ある」という確認ができたので、第二電電を創業したそうです。
なぜかといえば「利他」を動機とした場合、その事業の成功確率は飛躍的に高まるからだそうです。
仕事に行き詰まったり、やり方に迷ったりしたら、愛情を持って、現場に行き、あらゆることを素直な目で見つめ直すことです。
「初心に帰る」とは、まさにこのことだと思います。
問題の解決策は意外とシンプルなケースが多いので、あまり複雑に考えない方が良いかもしれません。
人間は、好きな仕事ならば、どんな苦労も厭いません。
そして、どんな苦労も厭わず、努力を続けることができれば、たいていのことは成功するはずです。
これはつまり成功するための方程式だと思います。
仕事を好きになる⇒苦労を感じなくなる⇒嫌じゃないので続けられる⇒続けるから成功する
この方程式を確立させるためには、まず「仕事を好きになる」必要があります。
ビジネスパーソンは肝に銘じておきましょう!
いい仕事をするためには、仕事と自分の距離をなくして、「自分は仕事、仕事は自分」というくらいの不可分の状態を経験してみることが必要です。
サラリーマンとして働いている人の中には、「自分は自分、仕事は仕事」と割り切っている人が多いはずです。
しかしそれでは「仕事で良い結果が出せるはずない」と稲盛和夫は言い切っています。
純粋で美しい心を持って生きる人には、それにふさわしい、豊かで素晴らしい人生が拓けてくるものです。
これと逆に、自分だけが良ければOKという考え方や、人を蹴落としてでも自分だけ利益を得ようとするよこしまな心を持つ人は、一時的な成功を収めることはあっても、やがて没落することになります。
充実した人生を送るには、「好きな仕事をするか」「仕事を好きになるか」のどちらかしかないのです。
「好きな仕事」に就ける人は、ほとんどいません。
そう考えた場合「仕事を好きになる」しかありませんよね。
最も崇高で美しい心。
それは他者を思いやる優しい心、時に自らを犠牲にしても他のために尽くそうと願う心です。
これは宗教的な考え方で言えば「隣人愛」だと思います。
隣人愛といえばイエス・キリストですよね。
キリストの名言集は下の記事をご覧ください。
稲盛和夫は偉大な経営者
ここまで稲森和夫の名言集をご紹介してきました。
稲盛和夫の実績を鑑みれば、偉大な経営者であることは言うまでもありませんが、それだけに限らず人格者であることも理解できたはずです。
やはり人格者であることと経営実績は比例するので、これは非常に重要なポイントだと思っています。
具体的には、渋沢栄一が書いた「論語と算盤」という名著がありますが、この本はまさにそのことを語った本です。
「論語と算盤」はビジネスパーソンの必読書と言われているので、まだ読んだことのない人は、ぜひ読むことをおすすめします。
他にも、読むべきビジネス書を探している人は、下の記事を参考にしてください。