武士は、仮にも弱気なことを云うまじ、すまじ。
<現代語訳>
武士は、かりそめにも弱気なことを言わない、しない。
心が負けてしまっては、何事もうまくいきません。
常に前向き思考で生きましょう!
初めより思ひはまりて濡るる時、心に苦しみなし。
<現代語訳>
初めから覚悟を決めて濡れた時、不愉快な思いはしない。
雨が降っている時、傘を忘れてしまったら「濡れたくないなぁ…」と思って帰るよりも、「まー、濡れてもいいか!」と考えた方が不快感は少ないですよね。
人生には、自分の力ではどうにもできないことが度々起こります。
そんな時には、この言葉のように覚悟を決めた方が良いでしょう。
内側には智仁勇(ちじんゆう)を備ふる事なり。
<現代語訳>
身を修めて智仁勇の三徳を備えることだ。
智仁勇とは、論語で語られている「人間が持つべき三徳」です。
- 智:知恵
- 仁:優しさ
- 勇:勇気
これと逆に貪瞋痴(とんじんち)と呼ばれる、人間が持ってはいけない”三毒”というのもあります。
- 貪:貪欲
- 瞋:怒り
- 痴:愚かさ
それぞれ覚えておきましょう!
始末心これある者は義理欠き申し候。
義理なき者はすくたれなり。
<現代語訳>
倹約家は、しばしば世間の義理を欠く。義理にかける者は、卑劣な人間だ。
倹約するのは構いませんが、度が過ぎるケチは良くありません。
もちろん浪費家もよくありませんが、基本的には「気前よく対応する」のがベストだと思います。
なぜかといえば、相手に対してGiveすることになるので、それは結果的に人間関係を円滑にしていきます。
この辺りについて知りたい人は、下の記事もご覧ください。
徳ある人は、胸中にゆるりとしたる所がありて、物毎(ものごと)いそがしきことなし。
小人は、静かなる所なく當(あた)り合ひ候て、がたつき廻り候なり。
<現代語訳>
徳のある人は、心の中にゆとりがあって、物事を進めるにも急ぐところがない。徳のない人間は、落ち着いたところがなくて、衝突ばかりを繰り返し、いつも争っているものだ。
これはつまり、「胸を落ち着かせてゆったりと構える方がいい」という武士の姿勢について語った名言です。
忙しくしていると、焦って失敗したり、イライラしたり、心身ともに疲れやすくなります。
つまり全てが悪循環になっていくのです。
一呼吸の中に邪を含まぬ所が、則ち道なり。
<現代語訳>
一呼吸の間にも、邪念を含まないのが道である。
これは集中力について語った名言です。
”道”というのは概念で、物事に集中することを指しています。
何かを極めようとした場合、一心不乱に取り組むと思いますが、その時は集中しているので時間が早く過ぎますよね。
決して「次のチャンスがある」と考えず、その時一瞬に集中することが大切なのだと思います。
昔は疝気(せんき)のことを臆病草と申し候。
<現代語訳>
昔は腹痛のことを臆病草と言った。
腹痛で動けないことを伝えると、「それは臆病である」と切腹を命じられることがあったそうです。
本当にお腹が痛かったのかもしれませんが、病気を防ぐことも武士(仕事人)の務めということです。
手本作りて習ひたるがよし。
<現代語訳>
良い手本を真似して一生懸命習うのがいい。
見習うべき人を見つけたり、尊敬できる人を見つけて、その人を真似するのが一番早い上達方法だと思います。
昨日よりは上手になり、今日よりは上手になりして、一生日々仕上ぐる事なり。
<現代語訳>
今日は昨日より上手になって、明日は今日よりも上手になるというように、一生かかって日々仕上げるのが道というもので、それには終わりがないものである。
これは日々努力する大切さを伝えている名言です。
一流の人ほどハングリーなので、そのような心意気で取り組みましょう!
紙一ぱいに一文字書くと思ひ、紙を書き破ると思うて書くべし。
よしあしはそれしやの仕事なり。
武士はあぐまぬ一種にて済むなり。
<現代語訳>
この紙いっぱいに、ただ1文字を書くと思い、まだ勢いで紙が破れてもいいと思って書くのが良い。上手下手を言うのは書道家の仕事だ。武士は思い切りよくやるべきなのだ。
これは武士の精神について語った名言です。
「思い切りがよく迷いがない」というのが武士道精神なので、ここで理解しておきましょう!