
営業職であれば様々な営業スタイルを知っていると思いますが、「インサイト営業」をご存じでしょうか?
日々進化する営業スタイルを把握するのは大変ですが、これからの時代、必ず押さえておきたい営業手法といえます。
そこで今回は、「インサイトセールス」について解説していきたいと思います。
概要
インサイト営業の意味とは?
インサイトは英語の「insight」のことで、「洞察」「見通し」「見識」などと訳されています。
そしてインサイト営業の意味とは、「洞察力や深い見識を売りモノ」にした営業スタイルということになります。
つまり、
- 顧客が気づけていない
- 明確化できていない
- 分析できていない
課題を見極め、クライアントとの話し合いを進めながら解決に導く営業手法になります。
そのような点から、インサイト営業は「次世代型の営業」とも呼ばれ、「従来型」として馴染み深いソリューション営業のポジションを脅かし、主流になっていくことが期待されています。
関連記事:トップ営業の意味と心得|見込顧客をトスアップするセールスの秘訣
インサイト営業が注目される理由
インサイト営業が注目され出した背後にあるのが、世界中から情報収集することができるインターネット環境の整備です。
お客様は日常的に様々な情報に触れていて、社内業務で問題が発生すれば、何より先にネット検索を使って解決策を探し出そうとします。
よって、見込顧客は問題に気づいているだけでなく、既にその解決策さえ知っている可能性が高くなっています。
なので、その情報を活用して、お客様自身で解決に乗り出してしまう可能性があり、その後で営業マンが訪問したところで、提案する解決策の価値はなくなっている可能性が高いということです。
故に、解決策がインターネットで探せるレベルのものであれば、価格がつく商材にはなり得ません。
本当にお客様を満足させるためには、顧客が自力で見つけ出せないくらいの価値(解決策)を提供するしかないという、難しい時代に突入してきています。
そのようなセールスを目指すのがインサイト営業最大の特徴であり、携わる営業マンの使命にもなります。
関連記事:見込み客とは潜在顧客(リード)|優良な見込顧客の見つけ方&集め方
営業スタイルが変化してきている
これまで、営業スタイルは「顧客が何を望んでいるか?」というニーズに合わせて、営業プロセスを大きく変化させてきました。
それは時代の要望だと言えますし、高度なセールステクニックや思考方法に提案を進化させていかないと、競合他社に勝てないからだとも言えます。
例えば、代表的でクラシックな営業スタイルには「御用聞き営業」や「プロダクトセールス」があります。
「御用聞き営業」とは、新規のお客様はもちろん、既存顧客にとって「必要なものは何か?」と聞いて回る営業手法を指します。
つまり、地域密着型のルート営業になりますが、人材難の現代では存続させるのがなかなか難しい営業スタイルになります。
それに比べて「プロダクト営業」は直販営業とも言えますが、メーカー型の営業スタイルを言います。
こちらは、顧客のニーズを先読みして、購買欲を高める営業戦術を駆使して売り込みを仕掛けていきます。
どちらも競合他社と熾烈な販売合戦になることは想像に値すると思いますが、次第にサービス内容に差がなくなっていく為、価格競争(体力勝負)へと推移する傾向にあります。
関連記事:営業スタイルが劇的に進化!最新の営業手法&営業種類を徹底解説
新時代の営業スタイル”インサイト営業”
そのような営業スタイルと異なるのが「ソリューション営業」や「インサイト営業」というセールス手法になります。
「ソリューションセールス」とは、名前の通り、お客様が抱えている課題の解決策を提案するような営業スタイルをいいます。
なので、顧客目線に立って行う営業スタイルがウリで、問題解決型営業として、これまで一時代を築いてきました。
それに対して、新しい時代をけん引する営業スタイルとして、注目を集めているのが「インサイト営業」になります。
もはや、見込み客がインターネットを使っても発見することができない&気づけないような解決策を提案し、顧客の課題解決を行うという、ソリューション営業よりも一歩先を行くスタイルのことをいいます。
関連記事:口コミ営業は最強の営業スタイル|新規開拓を加速させる紹介営業のコツ
インサイトセールスとインサイドセールスの違い
ここまでインサイト営業について解説してきましたが、似た言葉に「インサイドセールス」というのがありますので、ここで解説しておきたいと思います。
近年、インターネットを中心にコンテンツマーケティングが拡大してきており、顧客獲得競争の形も大きく変わってきました。
世の中に価値があると認められるようなコンテンツを、原則無料で発信することで、コンバージョン(CV)を目指す手法が「インバウンド営業」になります。
これによって潜在的な見込み顧客を育成したり獲得することができるので、結果的に問い合わせの数(インバウンド数)を増やすことができるようになります。
インサイドセールスは、このような新規リード(見込み顧客)に対して、電話営業を仕掛けていく営業スタイルになります。
関連記事:インバウンド営業とは最強の営業手法|見込み客を増やすノウハウ&コツ
インサイドセールスは営業効率が良い
営業活動と言えば、先ず頭に浮かぶのが、旧来型のフィールドセールスになります。
いわゆる外勤営業のことで、お客様の元に訪問して、製品サービスや商材を売り込みします。
フィールドセールスでは電車や営業車を使い、実際に顧客を訪問する外勤営業になります。
これでは交通費(営業経費)がかかりますし、自社を離れるので、人的なリソースも割かなければいけないというデメリットがあります。
しかも、営業マンの力量が如実に現れる属人的なセールスなので、担当者が異動(転勤)したり退職すると、クライアントとの関係を堅持できない恐れもあります。
これに対し、インサイドセールスは内勤営業のことで、電話やメールはもちろん、オンライン商談ツール、ネット会議システムなどを活用します。
足を使ったフィールドセールスと違い、インサイドセールスはPDCAの回転数が高く、営業コストは低いという特徴があります。
また、内勤のため、時間や場所に縛られずに営業でき、営業マンの心理的な負担も軽くなります。
しかし、顧客との信頼関係が希薄になりがちですし、言葉のニュアンスや意味といった細かいやり取りが要る場合には不向きな営業スタイルになります。
一方のフィールドセールスは、お客様と対面で顔を合わせて、心を通わせることからスタートしていきます。
この営業スタイルでは、より親密な信頼関係になることが特徴的で、ソリューションセールスやインサイトセールスもこの形態に含まれます。
関連記事:対面営業と非対面営業のメリット&デメリット|効率的な営業スタイルとは?
インサイト営業マンの役割とは?
インサイト営業に携わる場合、スキルアップに努めなければいけません。
これは営業部としても、営業部長などの管理者もしっかりと認識しておくべきことです。
優秀な営業マンのパーソナリティや経験、勘、テクニックなどは、自社で作成する営業マニュアルや教育制度だけでは完全に再現することができないので、普段から社員育成に力を入れておかなければいけません。
実際、フィールドセールスに含まれるインサイト営業では、顧客がどんな悩みや問題を抱えているのかを調べ上げて、解決策を提案しなければいけません。
これは新人営業マンがすぐにできるようなシロモノではなくて、ある程度の経験も必要になってきます。
インサイト営業では、ソリューション営業を超えた内容が求められるので、顧客が自力で探し出せる解決策以上のものを提供しなければいけません。
それ故、インサイト営業では問題レベルによっては、自社ソリューション以上の提案になるケースもあります。
しかし、お客様とより密接なパートナーシップを築きたいのであれば、積極的に攻めていかなければなりません。
顧客以上に顧客の商材を知り、自社のプロフィットを度外視しする態度を示してこそ、真の信頼関係は達成されるのです。
ソリューション営業で実現できなかったレベルのプロフィットがもたらされるのは、「お客様第一主義」というスタンスが確立されたときだと言えます。
関連記事:営業部長の役割りとは?部長に昇進する為のチェック項目5選
インサイト営業に必要なスキル
いまや顧客は商材の問題点を自覚しているだけでなく、「その問題をどう解決すればいいのか?」という手法にも通じています。
Google検索を活用すれば、似たような問題を抱えている企業がどう解決してきたのかを疑似体験できるからです。
インターネット上に溢れる解決策と差別化を図る為には、顧客が見逃している方法、つまり、他社が経験していない方法を提案するしかありません。
このインサイト営業は新時代のセールススタイルとして期待が高まっていますが、まだまだ理解していない企業が多いことも事実です。
「自社で採用できるのか?」と二の足を踏んでいる会社もあり、まだまだソリューション営業にこだわらざるを得ないケースも多くあります。
そのような企業は、インサイトセールスができる「営業マンの育成」からスタートしなければなりません。
インサイト営業マンには高いヒアリング力や話法が求められますが、それを支えているのは顧客とのコミュニケーションです。
質疑応答の中から顧客の悩みを見つけ出し、課題解決をするのが本当のプロフェッショナル営業です。
その為には、ある程度の営業スキルやコミュニケーション能力を身につける必要があります。
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