新規開拓営業はとても大変ですが、もし見込み顧客を知人・友人から紹介してもらえるなら、とても楽ですよね。
そのようなやり方は「紹介営業」「リファラル営業」と呼ばれており、トップセールスが実践している営業スタイルだと言われています。
そこで今回は、紹介営業を実践するための具体的なフローを解説したいと思います。
セールスに携わる人はぜひご覧ください!
目次
ステップ1:紹介パートナーを探す
紹介営業をする場合、まずは紹介者となり得る「紹介パートナー」を探さなければいけません。
その探し方は様々ですが、とりあえず身近な知り合い、友人、既存顧客などに依頼するのが良いでしょう。
そのような親しい人たちであれば”善意”で動いてくれるので、ビジネスの仕組み作りをする為にもそこでいくつかテストしてみましょう。
もし紹介者となり得る人が少ない場合、十分なテストができないので、紹介者の数を積極的に増やさなければいけません。
その場合には異業種交流会へ参加してみたり、ビジネスマッチングアプリを活用するのがおすすめです。
そのような場所で出会った人たちが善意で動いてくれるケースは少ないかもしれませんが、多少なりとも紹介報酬(金銭など)を提示すれば協力してくれるかもしれません。
ステップ2:紹介報酬を設定しよう!
紹介営業を仕組み化するためには、あらかじめ紹介報酬を設定しておくのが無難だと思います。
紹介報酬は「紹介フィー」「紹介マージン」「紹介コミッション」などとも呼ばれていますが、基本的にはどれも同じ意味となります。
この報酬を設定しておけば、親しい間柄でなくてもビジネス関係が成り立つため、紹介営業がきっとはかどるはずです。
その金額目安は『売上の10%~20%』だと言われていますが、あくまでもこれは目安でしかありません。
例えば、売上100万円の商材であれば、10万円~20万円の紹介報酬をショットで支払っても良いと思いますが、売上1億円だった場合、紹介報酬が1000万円~2000万円と高額になってしまうので、これではあまりに払いすぎですよね。
紹介報酬の金額は自由設定なのですが、自分たちが儲かる分(粗利)から支払うというのが基本設計になるので、紹介フィーは無理のない範囲で設定しましょう!
ステップ3:仕事への情熱や大義を伝える
紹介営業は良くも悪くも”人”に依存します。
これは「紹介パートナー」はもちろんですが、営業マン自身もコンテンツになるということです。
例えば、見た目が不潔で、セールスが下手で、やる気のない営業マンを、取引先に紹介(おすすめ)したいとは思いませんよね。
逆に、見た目が清潔で、セールスが上手で、情熱的な営業マンであれば、人に紹介(おすすめ)したいと思うはずです。
なので、紹介営業を成功させるためには、自分自身のブランディングが必要不可欠なのです。
- なぜこの仕事をしているのか?
- この仕事を通じて社会にどう貢献したいのか?
- この仕事にどれだけ情熱を傾けているか?
このような『人間味のある部分』をお客様に伝えれば、相手はそれを理解してくれるので、きっとあなたの営業活動に協力してくれるはずです。
ここでポイントとなるのは、ビジネス的な部分ではなく、泥臭い”人間味”あふれる部分です。
「紹介報酬が高額なので~」とかではなく、素の自分をさらけ出しましょう!
ステップ4:紹介営業を実践する
ここから具体的なやり方について解説しますが、パターンが多すぎると説明しづらくなるので、今回は「既存顧客へ紹介依頼する」というシチュエーションに限定したいと思っています。
既存顧客は既にあなたの製品・サービスを利用している個人・法人なので、紹介パートナーには一番最適な人物像だと思います。
まずはその理由について触れたいと思います。
例えば、あなたがとても美味しいラーメンを作っているお店の店長だった場合、お店に来たことがない友人へも「ラーメン好きの人がいたらウチのお店を口コミしてよ」と依頼することでしょう。
そのやり方自体は悪くありませんが、もっと効果的なのは「お店で実際に食事してくれたお客様へ口コミを依頼する」というやり方です。
やっぱり「ラーメンを食べたことがない人」よりも「実際にラーメンを食べてくれた人」の口コミの方がリアルですし、信憑性も高まるはずです。
人間というのは「信頼している人がフィルターとなった情報」だった場合、それを無条件で信頼してしまうという性質があります。
- ○○さんが言う情報だから間違いない!
- ▲▲の味覚は信頼できる!
このような信頼関係に基づく口コミというのは非常に強力です。
なので、既存顧客から案件紹介してもらう為にやるべきことは『利用している製品・サービスの感想を聞く』という作業です。
その感想が好印象なのであれば、その相手は紹介パートナーになり得るということです。
- 価格が安くていいね!
- ユーザビリティが良くて使いやすいね!
- 業務効率が上がった!
このような感想が出てきた場合、その部分をもっと深掘りしてみましょう。
例えば「業務効率が上がった!」という感想なのであれば、「どれぐらい業務改善できましたか?」と聞いてみるのです。
するとお客様は「3人でやっていた業務が1人でできるようになった」とか「毎月100時間かかっている業務が、10時間でできるようになった」などを教えてくれるはずです。
そのようにヒアリングした内容を、今度はセールストークに応用してみましょう!
紹介営業は”口コミ営業”だと言えるので、「どのように口コミすればいいのか?」というやり方を相手に伝授しなければいけません。
お客様は「なぜこの製品・サービスを利用しているのか?」という部分を言語化できていないので、感想をヒアリングすることによってその理由を言語化し、セールストークとして落とし込んでいくのです。
例えば以下のようなイメージです。
このように「どうやって口コミすればいいのか?」というやり方まで指南すれば、それはお客様の”生の声”になるので、当たり前の話ですが”信憑性”も増してきます。
このような土台を作れば、紹介営業は勝手に動き出すでしょう。
ステップ5:アプローチ対象を伝える
紹介営業は”営業活動”なので、アプローチ対象を絞らなければいけません。
例えば、あなたが取引先から「誰かいい人を紹介してください!」と言われても困りますよね。
それと同じなので、お客様に「どのような課題感のある相手を紹介して欲しいのか?」という部分を具体的に伝える必要があるのです。
例えば営業支援サービスなのであれば、以下のようなペルソナを伝えるのが良いと思います。
- 営業代行サービスを検討している、又は利用している企業
- 販路拡大に悩んでいる企業
- 代理店展開している企業
- 新規リードを増やしたい企業
- 営業マンの採用に苦戦している企業
これらは全て”営業にまつわるお困りごと”なのですが、このような具体的なシチュエーションを伝えることで、紹介パートナーはさらに動きやすくなるはずです。
ステップ6:見込み顧客をイメージしてもらう
これはステップ5とセットなのですが、アプローチ対象を伝えた時に、見込み顧客を頭の中でイメージしてもらいましょう!
例えば「営業マンの採用に苦戦している企業」と伝えた場合、相手は頭の中で「あの企業と合うかな…」と少なからずイメージするはずです。
そこですかさず「思い浮かぶ会社がありますか?」と突っ込んだ質問をして、その見込み顧客の情報を聞き出してしまいましょう。
この作業は「ネクストアクションを決める」という重要なステップです。
紹介営業が失敗する”あるあるパターン”として有名なのが、「ニーズがありそうな企業がいれば、ぜひご紹介ください!」とネクストアクションをぼやかしてしまうことです。
このようなやり方で案件紹介が起こるとは思えないので、きちんとネクストアクションを決めましょう。
複数の紹介候補をもらう
「見込み顧客を一つ出してもらったらおしまい」というのはリスクが高いです。
なぜかといえば、百発百中で受注することはないからです。
一般的な商材の受注率は10%~20%と言われていますが、紹介営業の場合には40%~50%に高まるのですが、それでも100%には遠く及びません。
つまり見込み案件を1つ紹介してもらったとしても、それが受注になるとは限らないということです。
ここでイメージしてほしいのですが、せっかく案件紹介したのに失注してしまった場合、その紹介者(紹介パートナー)は「仕方がないな…、じゃあ別案件を紹介してあげよう!」と考えるでしょうか。
答えはもちろん「No」です。
紹介パートナーの動機としては「相手が喜んでくれるから」という部分なので、無事に受注へ至って紹介先(エンドユーザー)が喜んでくれなければ、「別の案件も紹介してあげよう!」という動きにはならないのです。
ということは一番最初の段階で、できれば5件ほどの案件紹介をもらい、そこから1件~2件くらいは受注を出さないとマズいことが理解できますよね。
そこで受注が出せれば紹介先(エンドユーザー)は紹介パートナー(既存顧客)にお礼を言うと思いますし、お礼を言われた紹介パートナーは「喜んでもらえた!」ことを実感するので、「また別の案件も紹介してあげよう!」という動きに繋がっていくのです。
そんな時に便利な営業テクニックが「ドアインザフェイス」というやり方です。
これは先に高い要求を出しておき、それが断られた後に低い要求を出すというやり方なのですが、使い方は以下のようなイメージです。
このような具合で最初に”大きな要求”を出しておき、その後に”低めの要求”を出すと、人間には「さっきは断ったから…」という心理が働くので、その要求を受け入れてくれる傾向が高まるのです。
このような心理テクニックをセールスパーソンは覚えておくべきなので、下の記事も参考にしてください。
ステップ7:紹介パートナーに動いてもらう
実際に紹介パートナーが動き出すと、どんどん案件紹介が起こり始めます。
その紹介案件を順次捌いていくのですが、その時にはクイックレスポンスが基本となります。
そして最低でも受注率10%~20%は維持したいので、5件の案件紹介であれば、多少無理してでも1件は受注しましょう。
つまり、最初は多少損してでも、紹介された見込み案件を拾うべきということです。
これをやらないと紹介パートナーは無駄働きになってしまうので、決して面白いと感じてくれません。
あとこれは覚えておいて欲しいことなのですが、紹介パートナーが要望通りの見込み案件をトスアップしてくれるケースは非常に稀です。
というよりも「最初の5件ぐらいは全てミスマッチしている」くらいの心構えでいた方がいいと思います。
「営業活動をアウトソーシングできているから全然OK!」 という、広い視野で物事を見なければ、決して良い協業などできません。
このような判断ができるのは”事業責任者”だけなので、紹介営業はトップダウンで仕組み作りをするべきだと思います。
定期報告を怠らない
案件紹介を貰うのは良いですが、その後の定期報告も怠らないようにしましょう。
紹介パートナーは自分のお客様や取引先を紹介するので「ちゃんと対応してくれるか?」という部分をとても気にしています。
なので、最低でも以下のステップでは進捗共有しましょう。
- 案件紹介された後、電話・メールで対応した旨の報告
- 商談ができた後のお礼報告
- 受注した時のお礼報告
とりあえずこの3つの報告は、必要最低限のビジネスマナーだと覚えておきましょう!
まとめ
ここまで「営業マンに教えたい紹介依頼のやり方」について解説してきました。
具体例を交えながら解説したので、リファラル営業の動き方がクリアになったはずです。
ここで身につけた知識を、ぜひ明日からの営業活動に活かしてください!