
個人向け営業は多くの業種業態で実施されていると思いますが、法人向け営業とやり方が違うので、独特のコツがあるとも言われています。
そこで今回は、個人宅向け営業のコツやB2C営業に向いている人について解説していきたいと思います。
個人向け営業とは?
個人向け営業とは、その名の通り「個人顧客に対して商品やサービスを売り込む仕事」のことを言います。
一般的に個人宅向け営業のことを「B2C営業」とか「BtoCセールス」と呼ぶこともありますが、それらは全て同じ意味になります。
最もイメージしやすいのが、戸建住宅に訪問して商品説明して、受注につなげていくやり方になります。
自宅でくつろいでいた時に、いきなり飛び込み訪問のセールスマンがやってきた経験がある人は多いと思います。
「このようなやり方で契約が取れるのか?」と疑問になるかもしれませんが、実際の営業現場では確率論で受注できてしまうのです。
もちろんニーズが無い場合には契約成立とはなりませんが、それは仕方がありません。
飛び込み営業の場合には、99%の確率で失注するため、受注できないのがむしろ当たり前なのです。
逆にそれを見越してアタックする訪問数を増やす必要があります。
飛び込み営業の場合には、たとえ魅力的な商品サービスでも抵抗感が出てしまうため、それでもクロージングする話術が求められます。
個人営業の種類
個人営業のやり方には様々な種類があります。
例えば、飛び込み営業で訪問する場合もありますし、先に電話でテレアポしてから向かう場合もあります。
このような訪問営業意外にも、店舗型の個人向け営業もあります。
街中にある保険ショップのように、お客様が店舗にやってきて相談をする中で、商品やサービスを売り込んでいく営業スタイルが店舗型営業になりますが、店舗へ来店するお客様は「顕在顧客」なので、成約率が高いことが特徴的です。
つまり、来店する前にある程度調べてからやって来るので、既にある程度購入する商品が決まっているのです。
その商品を素直に提案しても良いですし、顧客ニーズに合わせて別商品を提案したり、クロスセルすることもできます。
どちらにしても成約へと持ち込みやすいというメリットがあります。
このような店舗スタイルのインバウンド営業は理想的ですが、そのぶんマーケティングコストが掛かってしまいます。
お店の存在を認知してもらわなければ来店が見込めませんし、競合他社と比較して選んでもらうための工夫なども必要になります。
どんなに素晴らしい製品サービスであっても、「マーケティング×セールス」がセットにならなければ上手くいかないのです。
ほとんどのお客様は「自分の欲しいものは何なのか?」ということを理解していません。
つまり「潜在ニーズ」の状況にあるので、そこに刺さるようなマーケティングを実施しなければいけません。
この辺りについては下の記事で詳しく解説しているので、後でご覧ください。
個人営業の業種とは?
個人営業はあらゆる業種で必要となる仕事だと思います。
企業は何らかの製品サービスを販売していますが、お客様が来るのを待っているだけでは決して売れません。
なので、自分から積極的にセールスしていかなければいけないのです。
企業が売っている商材は、世の中の誰かにニーズがあるモノだと思います。
そのようなお客様を特定して、その人に対してセールスしていくので、それら全てが個人営業に該当してきます。
例えば街中にあるコンビニエンスストアやスーパーマーケットは典型的なコンシューマービジネスだと思います。
しかし、それらの業種業態は、お客様に対して積極的に営業を仕掛けるようなスタイルではありません。
どちらかと言うと「販売店」という営業スタイルなので、店頭に並べた商品をお客様が自分で選んで購入するというやり方になります。
つまりそこには「営業力」が関係しておらず、「商品の品揃え」や「接客(サービス)」などが重要になるのです。
そういった観点では、販売店と「本質的な個人営業」は別のビジネススキームだと思われます。
一般的な個人営業とは、個人顧客に対してソリューションを提供するようなやり方を言います。
例えば以下のようなビジネスモデルになります。
- 来店型の保険ショップ
- 大手携帯キャリアの携帯ショップ
- 街中にある不動産屋さん
- 銀行の窓口営業
- 証券会社のリテール営業
- 戸建住宅向けのハウスクリーニング
- 中古車ディーラー
- 住宅のリフォーム営業
- ある程度大きな金額のもの
- 継続的に購入するもの
- 専門知識が必要な商品
などはしっかり説明を受けて選びたいので、そのような場面で営業スタッフが重宝されます。
例えば、銀行、証券、保険などの分野は難しい知識が求められるので、素人が商品選定するのはハードルが高すぎます。
金融商品はある程度大きなお金を動かすので、不安感がより一層大きくなりがちです。
その他にも、教育商材、貴金属、不動産などは個人営業の典型例だと思います。
学習教材は、結果が目に見える商品サービスではないので、どれが良いのか選ぶのは大変だと思います。
なので、お子様の学習レベルを把握したり、必修科目をピックアップしたりすることも大切なのです。
貴金属は高額取引になりやすいですし、不動産は契約周りが複雑なので、専門家に相談した方が安心感があります。
そのほか、電気ガス、通信など、生活に密着したインフラサービスも個人営業に該当すると思います。
このように様々な分野で個人営業が活躍しているのです。
個人営業と法人営業の違いとは?
個人営業を理解するためには、その対極にある法人営業についても知らなければいけません
法人営業とは、会社などの事業法人、医療法人、社会福祉法人、社団法人などに対して営業する仕事です。
法人営業は企業に対して売り込みをするため、動かす金額も個人営業と比べて大きくなる傾向があります。
新聞に載るようなディールができることも特徴的で、それがやりがいに繋がりますが、そのぶん責任も重大な仕事です。
法人営業の特徴といえば、受注するのが難しいことです。
会社同士の取引になるので、一度の売り込みで成果が出ることは極めて稀です。
相手は会社組織なので、正式な契約に至るまでは多くの人(部署や役職)が関わることになります。
一人の心を動かせば良い個人営業と比べると、全員が納得しなければいけない点は大きな違いといえるでしょう。
また、仕事の休日も個人向け営業とは真逆になっているケースが多いです。
個人営業の場合には、多くの人が休みになっている土日祝日が稼ぎ時なのですが、法人営業の場合には多くの会社が休業している土日祝日は営業しません。
法人営業の場合には、平日中心の勤務になりやすいです。
その他の違いとしては、金銭のやり取りが挙げられます。
法人営業の場合には「売掛(うりかけ)取引」が一般的なので、料金の支払いは30日サイクルで行われることが多いはずです。
なので、相手企業の信用状況を確認したり、経営状態を見極める必要もあります。
そのため、会社経営に関する知識(PL、BS、CSなどの会計知識)があれば役立つでしょう。

個人営業は感情論で売れる
個人営業と法人営業において、一番大きな違いはセールスに関することだと思います。
具体的に言ってしまうと以下のような違いがあります。
個人営業:なんとなくの感情論でも売れる
法人営業:客観的な合理性を求められる
個人顧客は感情的なので、その時の気分で契約するのか、しないかをコロコロ変えます。
このような感情に振り回される営業マンは疲れてしまいますが、逆に言ってしまうとそれを利用することもできるのです。
例えば個人のお客様の場合、「この営業マンを応援したい!」とか「頑張ってるから買ってあげたい!」という感情ありきの購入をします。
なので、お客様に気に入ってもらえれば、それだけで受注することができるのです。
そういった意味では「人懐っこい営業マン」「愛嬌のある営業マン」などの方が実績を出しやすいのが個人向け営業だと言えるでしょう。
しかし、法人取引の場合にはこのような感情取引は起こりえません。
法人の場合には、会社のお金を使うことになります。
なので、たとえ担当者が「この営業マンを応援したい!」と思ったとしても、社長が決済してくれなければ購入には至りません。
逆に社長が「この営業マンを応援したい!」と思っても、従業員の反対にあってしまえば、基本的に導入は見送られます。
つまり、法人の購買活動に関しては客観的な合理性が求められるのです。
個人営業はきついの?
個人営業は一般的に「きつい営業スタイル」だと言われています。
その理由は先ほども解説した通りですが、個人顧客は感情論で物事を考えるからです。
例えば、営業店に来る約束をしていたのに、「今日は天気が悪いからやっぱり行かない」とか平気で言ってくるのです。
法人取引の場合、その時の気分でアポイントを断るなんてあり得ませんよね?
たとえ訪問するアポイントを獲得していたとしても、「約束の時間に行ったら留守だった…」なんてことが当たり前に起こるのが個人向け営業です。
他にも、「なんとなく気が乗らないから」とか「もっと良い商品がありそうだから」とか、その時の気分や勝手な妄想で意思決定してしまうのです。
つまりどんなに素晴らしい営業プレゼンをしても、相手が面倒なお客様だった場合、その営業スキルは全く意味をなさないのです。
なので、個人向け営業の場合には、臨機応変に対応できるスキルが必要不可欠だと思います。
お客様と雑談したり、楽しくコミュニケーションできる人なら良いですが、合理的な考え方の人や細かい性格の人にとってはストレスが溜まるはずです。
もし仕事を選ぶ際には、「自分の性格はどんな営業スタイルが合っているのか?」を考えてみるのが良いでしょう。
個人営業に向いている人
個人営業に向いている人は、
- 人から可愛がられる
- 愛嬌がある
ような人だと思います。
何も特別な営業スキルは求められません。
先ほども解説したように、個人営業の場合には「素晴らしいプレゼンスキル」や「優れた営業テクニック」は無くても大丈夫なのです。
一番大切なことは「お客様に気に入られる能力」です。
これはつまり人としての接しやすさ、その人が醸し出す雰囲気とも言い換えられます。
そのような人であれば、誰でも個人向け営業で結果を出すことができると思います。
個人向け営業では、お客様を言いくるめようとか、お客様を論破しようとか思ってはいけません。
とにかく真摯に顧客の話を聞いて、お悩みの相談相手になれば良いだけなのです。
もちろん話術の巧みさや商品知識の多さなども必要ですが、それは後付でも構いません。
自分自身が個人営業に向いているかどうかの判断材料は「先輩に可愛がられたことがあるか?」というポイントになると思います。
先輩に可愛がられる人は、基本的に愛嬌があったり、話しやすい人のはずです。
そのような人であれば、きっと個人向け営業で活躍することができるでしょう。