
営業パーソンが異動や退職することに伴う「顧客の引き継ぎ」はとても重要な仕事ですよね。
その後の売り上げにも多大なる影響をもたらすので、決して中途半端にしてはいけません。
もしあなたが去る側だった場合でも、引継ぎを完璧にこなしてから異動&転職をすべきだと思います。
そこで今回は、将来の売上にも直結する「営業職の引き継ぎ」について解説したいと思います。
目次
営業職が”引き継ぎ”する意味
営業の引継ぎは、人事異動の季節になると頻繁に行われています。
営業の引き継ぎをする主な目的とは、
- 将来の売上を確保すること
- 現在の取引を維持すること
の2つになります。
既存顧客を上手く引き継ぎできれば、今後の営業活動がラクになるだけでなく、将来の売上アップを見込むこともできるので、それであればきちんと引き継ぎしない理由などありませんよね。
また、引き継ぎをする理由の中には、新しい営業担当者が円滑に業務遂行できるようにするという意味合いも含まれています。
新しいお客様と関係性構築するには、どうしても時間が掛かりますよね。
ちなみに、そのような関係性の構築作業を「カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)」と呼んでいます。
CRMを行うことで売上アップが期待できるので、営業職の人は押さえておきましょう。
引き継ぎ業務にはCRMの時間を短縮させるという効果もあるのですが、そのような様々な期待感があって引き継ぎは実施されています。
引き継ぎの種類
営業の引き継ぎという部分にフォーカスすると、大きく分けて2種類があります。
1つ目は「見込顧客の引き継ぎ」です。
見込顧客を引き継ぐ理由は、その後の新規開拓をやり易くする為です。
もうすぐ契約できそうな新規見込み客がいたとしても、対応していた営業担当者が退職してしまえば、全てリセットされてしまいます。
それであれば、きちんと引き継ぎをして、新規開拓に費やす時間を短縮させた方が得策ですよね。
2つ目は「既存顧客の引き継ぎ」です。
既存顧客とは関係性ができているはずなので、新規の見込顧客を引き継ぐほど大変ではありません。
転勤の挨拶やアポイントセッティングも容易だと思いますが、もし既存顧客の引き継ぎが上手くできなかった場合、その後の収益に大きく影響するので、気を抜かず丁寧に対応しましょう。
引き継ぎ挨拶のやり方
営業職の引き継ぎにはやり方があるのですが、それはあくまで一般的な方法(セオリー)なので、他の方法でも全然構いません。
ここではシチュエーション別の”挨拶方法”をご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
新人営業マンから引き継ぐケース
入社したての新人社員から顧客を引き継ぐ時は注意が必要です。
色々な事情があると思いますが、入社してすぐに退職する人は一定数います。
ベテラン営業マンの異動にあたって「顧客を引き継ぐ」という場合は別なのですが、入社したての新人なのにすぐ辞めてしまう人は、仕事に対する取り組み方が甘いというケースが往々にしてあるので注意しましょう。
そのような人は「きちんと仕事を全うする」という意識が欠如している可能性もある為、思っていたような引き継ぎがされないことが多々あります。
よって、新人営業マンからの引き継ぎ案件には、「情報漏れがあって当たり前」だと認識した上で、それを前提にチェックシートなどを書かせ、引き継ぎ漏れが起きないような仕組みを構築しておきましょう。
ルート営業マンから引き継ぐケース
ルート営業とは同じ顧客を定期的に訪問して、フォロー&サポートする営業スタイルを言います。
このルート営業では、定期的に同じ顧客(担当者)と顔合わせをする為、前任者とお客様の仲が良いことが特徴的です。
それ自体は良いことなのですが、後任者としては若干やりづらい感じがありますよね。
そのような状況でもスムーズな仕事をするため、
- 相手の趣味、趣向
- 必要なルーティン業務
- 顧客と飲みに行く回数
- 特別なサポート内容
など漏れが無いように細かくヒアリングしておきましょう。
訪問で引き継ぎするケース
引き継ぎの王道は、ズバり”訪問する”ことです。
前任者はこれまでの感謝の気持ちを直接伝えることができますし、後任者との顔合わせもできるので、その後の業務を円滑に進めることができるようになります。
また、後任者からすると、前任者とお客様との関係性を直接感じ取れる良い機会になるので、未来の自分とお客様との関係をイメージするのにも役立ちます。
もし時間が許すのであれば、極力訪問での引き継ぎを実施しましょう。
メールで引き継ぎするケース
営業の引き継ぎはメールでも大丈夫です。
もちろん訪問した方が理想的なのですが、件数が多い場合や、時間が無い時にはある程度やむをえません。
ただしメールでの引き継ぎには注意すべき点があります。
それは、必ずネクストアクションを設定しておくことです。
例えば、メールでの引き継ぎでは、以下のような具合になります。
- 送信者(From)が前任者
- Toがお客様
- Ccが後任者
通常はメール送信をすることで引き継ぎ完了になりますが、後任者が動きやすいように「後任者が後日挨拶にお伺いさせて頂きます…」というようなネクストアクションをメールに記載しておくと、その後の営業活動がスムーズになるでしょう。
退職する時にやるべきこと
会社を退職をする際には、やるべきことがたくさんあります。
今回はその中でも、引き継ぎ業務にフォーカスした「すべきこと」をご紹介したいと思います。
これは「引き継ぎの業務フロー」とも言えるので、これから引き継ぎする人や、営業マネージャーはぜひ押さえておきましょう。
①引き継ぎリストを作成する
まず、引き継ぎをする時には、既存顧客や休眠顧客、新規見込み客をリストアップした「引き継ぎリスト」を作成しましょう。
そのリストには、
- 企業名
- 所在地
- 担当者名
- 電話番号
- メールアドレス
など、名刺に記載されている基本情報に加えて、必要な情報を全て記載していきます。
例えば、お客様の社内決済フローや、SNSの利用有無などは大切なポイントです。
最近のビジネス界隈では、電子メールではなく、LINEやfacebookでメッセージをやり取りをするケースが増えているので、そのあたりも抜かりなく記載しましょう。
引き継ぎリストは形式(フォーマット)が決まっている訳ではありませんが、考え方としては「後任者が知っておくべき情報は全て記載する」くらいの感覚で作成することが基本になります。
エクセル管理するのも良いですが、引き継ぎは継続業務となるため、できればGoogleスプレッドシートなどのクラウド環境に保存するのが良いと思います。
②訪問するorしない人を選定する
担当している顧客数が少ない場合には問題ありませんが、100を超える顧客数になると、全て訪問することは現実的に考えて不可能だと思います。
よって、訪問すべき顧客と、そうでないお客様を選定する必要があります。
基本的には”取引量”で選定して構いませんが、中には礼儀を重んじる担当者もいるので、その辺りを加味しておかないと取り返しがつかないことにもなり得ます。
この選別作業は前任者に一任されるケースが多いのですが、失敗しないように十分に注意しましょう。
前任者が軽んじた顧客でも、会社にとっては大口顧客というケースも十分あり得るからです。
③訪問するスケジュールを決める
基本的に引き継ぎ業務は、限られた時間内で行われます。
具体的には1ヶ月程度の期間が普通だと思いますが、人事異動など突発的な場合には1週間ほどで引き継ぎするケースもあります。
このような限られた時間の中で、引継ぎ業務を最大効率化する為には、効率的に訪問できるスケジュールを事前に組み立てておきましょう。
これをやっておかないと、大変非効率な引き継ぎ作業になってしまいます。
挨拶&面談時間も1件あたり30分以内に設定し、移動時間を減らしながら訪問営業を実施していけば、きっと引き継ぎ業務が最大効率化できるはずです。
④メールを送信する
「訪問して挨拶したから引き継ぎ完了」というのでも良いですが、基本的にはお礼のメールをしておくのが一般的です。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざもありますが、礼儀を尽くして失敗することはありません。
それだけの意味にとどまらず、後任者をCcに入れることで、リマインドの役割にもなるのです。
後任者は忙しい業務の中で引き継ぎを行うため、後になって「このお客様は会ったことがあるんだっけ?」となることが多いので、そのリマインドとしてメールを送信しておくという役割もあるのだと理解しておきましょう。
引継書や資料を用意する
引き継ぎ作業は、良くも悪くも会社運営をする上で、必ず発生する業務になります。
それであれば、業務を滞らせない為に、
- 引継書や資料
- 業務フォーマット
などを事前に用意しておいた方が無難でしょう。
そのように『引き継ぎ作業を仕組み化する』ことは、引き継ぎ漏れを根絶するための施策にもなります。
引き継ぎという作業の特性上、どうしても前任者に依存する仕組みになりがちなので、ある程度の仕組み化が重要だということです。
引き継ぎにおいては、前任者が出してきた情報を「正」として引き継ぎすることになるので、日頃から顧客データや対応履歴を保存すること、引継ぎ作業を仕組み化することで円滑な業務連絡ができるようにしておきましょう。
そのようなニーズにぴったりなのがSFAやCRMです。
これらはクラウド型のWebツールなので、気軽に導入することができると思います。
もし気になる人は下の記事をご覧ください。
引継書の雛形やテンプレートなどの作り方は自由ですが、webからダウンロードできるケースもありますので、一度探してみることをおすすめします。
まとめ
ここまで、営業職の引き継ぎについて詳しく解説してきました。
引き継ぎはやり方を間違えると企業の売り上げを大きく減らす可能性があるので、本当に注意が必要です。
会社としてのリスク要因にもなり得るので、引き継ぎ作業を仕組み化することも重要でしょう。
その一方、上手く引き継ぎできれば、今後の売上アップの要因にも十分なり得るので、会社としてはぜひ前向きに引き継ぎ作業を行っていきましょう!