働く上での報酬は最も気になる部分であり、最も重要な部分だと思います。
もちろん報酬が高い方が良いですし、たくさん貰えるに越したことはありません。
そんな時に選択肢に上がるのがフルコミッションという働き方です。
フルコミッションという制度は、やればやった分だけ稼げる仕組みなので、腕に自信がある人には大人気の働き方です。
そこで今回は完全歩合制とも呼ばれる「フルコミッション制度」について触れていきたいと思っています。
これから独立開業しようと思っている方や、転職を検討している営業職の方はぜひご覧ください。
>>フルコミッションのお仕事情報サイト|side bizz(サイドビズ)
フルコミッション制の意味とは?
あまり馴染みが無い人もいると思いますが、フルコミッション制度は様々な業種業態で導入されている仕組みです。
そもそも、フルコミッションとは「完全出来高制」や「完全歩合制」を意味する言葉で、成果を出した分だけ報酬がもらえる契約形態のことを言います。
よって、成果ポイントが積み上げ式の「営業職」で多く導入されている制度で「フルコミッション=営業職」くらいの認識が普通だと思います。
これだけ聞くと営業インセンティブの事だと誤解する人がいますが、フルコミッションとインセンティブはその性質が全く異なります。
実は、フルコミッションの契約形態は業務委託契約になるので、正社員などの雇用契約にはあたりません。
業務委託とは、特定の業務を外部委託することを言います。
例えばデータ入力作業や検品業務などの単純作業、軽貨物運送のドライバー、ホームページ制作や営業代行などクリエイティブな仕事まで様々です。
また、契約内容も当事者間の相対契約になるので、高い自由度が特徴です。
つまり、フルコミッションで働く場合には、サラリーマンやアルバイトには当たらないのです。
よって、給与のような固定給や最低賃金を気にする必要がありません。
また、インセンティブとは正社員などに対して支給する歩合給を指すので、業務委託契約のフルコミ営業に支給するものではありません。
フルコミッションは稼げる?
フルコミッションは一般的にきついと言われる働き方です。
それは当たり前の話で、フルコミッションで働くということは個人事業主になることを意味し、事実上の経営者になるからです。
よって「経営者はきつい」と聞けばしっくりくるのではないでしょうか。
それだけきついと言われることが多いフルコミッション制ですが、その反面メリットが大きいのでフルコミで働く人がいるという側面もあります。
そのメリットとは、ズバリ収入が増えることです。
フルコミッションでの働き方は業務委託契約になりますので、月給のような固定給がありません。
そのような不安定な状態ですが、そのぶん歩合金額が大きく、サラリーマンの月給を大きく上回る年収を得ることもできるのです。
フルコミッションの収入例
例えば、通信回線で毎月50本を売っている会社員の営業マンがいたとします。
光回線は1本あたり大体3万円ほどの代理店マージンが獲れますので、その場合には50本×3万円=150万円が所属している会社に入ります。
しかし、会社に入ったお金がそのまま収入になる訳ではなく、会社員なので給与30万円+インセンティブ5万円といったところが無難でしょう。
しかし、フルコミッションで働くと固定費が掛からなくなり、会社がノーリスクになるので3万円の半分である1.5万円を出来高報酬として設定することもできます。
すると、同じ50本を売っただけで、身入りが50本×1.5万円=75万円になります。
よって、正社員であれば50本の販売で35万円に対して、フルコミ営業では同じ労力なのに75万円も稼げることになります。
これはあくまで一例として記載しましたが、イメージはこのような感じになります。
フルコミッションで働くことにはリスクがありますが、その分の見返りも大きいことが判ります。
会社側のメリット
その一方で、会社としては支払いが増えているので損していると思われがちですが、実はそうでもありません。
会社経営を行う上で、最も大きなコストは人件費になります。
この人件費を抑制できるというメリットがあるのです。
例えば、不況がきて売り上げが減少した時に人員整理をしようとしても、日本の法律ではそんな簡単にレイオフできる環境がありません。
これでは経営リスクを抱えたままになってしまうので、組織構造を変えなければいけません。
よって、ある程度は外部リソースで売上を確保しつつ、不況になった際にも耐えられる組織構造をつくることが求められるのです。
そんな時に便利な仕組みがフルコミッションセールスなのです。
つまり、フルコミという制度は雇用主と労働者双方にとってメリットがある仕組みという訳です。
フルコミッションの違法性
ここまでフルコミッション制についてご説明してきましたが、そもそもフルコミッションに違法性は無いのでしょうか?
フルコミを理解する上で欠かせない法解釈についても触れてみたいと思います。
まず結論から申し上げるとフルコミッション自体は違法ではありません。
しかし、使い方によっては違法と判断されるケースもあります。
例えば、業務委託は正社員ではないのでフルコミでも問題ありませんが、正社員なのにフルコミにしてしまうと、それはコンプライアンス違反となります。
その理由は、最低賃金制度が存在するからです。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
引用元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-10.htm)
このような要件が存在するので、フルコミッション制度を導入する際には、弁護士に相談するなり、法令違反にならないように十分注意しましょう。
まとめ
ここまでフルコミッション制度について解説してきました。
フルコミッションを導入している企業では、そのメリットが十分理解できていると思いますが、これから導入する場合には法律違反にならないように注意しなければいけません。
フルコミッション制は双方にメリットがあるので成り立っている仕組みですが、例えお互いが同意していたとしても契約自体が無効となるケースもあるのです。
せっかく良い取り組みができているのに、違法行為では本末転倒です。
きちんと調べた上で、自社にあったフルコミッション制度を構築しましょう。