これから新卒社員として就職活動する場合や、営業職以外からの転職を考える場合、「セールスにはどのような職種があるのか?」というのは気になりますよね。
その種類は様々なので、情報収集するだけでも大変だと思います。
そこで今回は、代表的な”営業職種の種類”について解説したいと思います。
営業職をエンパワーメントしているside bizz(サイドビズ)運営事務局が監修するので、これから営業職への就職を考えている場合には、きっと参考になるはずです。
各業界ごとに解説していきますが、ほぼ全職種・全業界を網羅した内容となりますので、これで就職対策はバッチリだと思います。
目次
そもそも営業職の仕事とは?
営業職と聞くと、なんとなく「製品サービスを売り込む仕事」というイメージがありますよね。
しかし実際には様々な営業職があるので、一概に「セールス職である」と言い切ることはできません。
例えば「代理店営業」という職種は、販売パートナーとなり得る代理店開拓を担っているので、押し売り営業をするわけではありませんし、「ルート営業」という職種は既存顧客の対応がメインになるため、どちらかと言えばフォローアップに専念する営業職です。
これ以外にもカスタマーサクセスという伴走型の営業職もあり、様々な営業職種が存在していますが、それらを一括りにして世の中では「営業職」と呼んでいるのです。
そして、各業界ごとにも営業職の役割は変わってきます。
この記事では「業界毎の営業職」という部分にフォーカスして、その役割や仕事内容について触れていきたいと思います。
営業職の種類一覧
ここから各業界ごとの営業職について解説していきたいと思います。
業界ごとの仕事内容にも触れていくので、営業職にとっては非常に意義深い内容だと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
1:家電業界の営業職
家電業界の製品は「白物家電」と呼ばれて、これまで日本の主軸産業として成長してきましたが、家電業界の有名企業には以下のような会社があります。
- 日立製作所
- パナソニック
- ソニー
- 東芝
- 三菱電機
- NEC
- 富士通
- シャープ など
現代の家電販売は「インターネット販売」が台頭してきていますが、やはりヤマダ電機などの家電量販店が主力バイヤーになっています。
なので、家電業界の営業マンは量販店に出向いて、「自社製品の取り扱い枠」を決めてもらう商談を行います。
量販店の出店場所によって売れ筋商品も変わるので、それらをデータ分析しながら、各店舗に合わせた販売方針を提案しなければいけません。
それだけでなく、時には商品搬入の手伝いをしたり、商品陳列の支援、POPなどの販促支援まで、「どうすれば自社製品が売れるのか?」を量販店と一緒になって考えるのです。
それをするためには、もちろん他社製品についても詳しくなければいけません。
ここまでは個人向けの営業戦略ですが、法人向けの営業部隊も存在しています。
例えば空調機器を販売する場合には、取引金額が大きくなるため、きっと相見積もりされるはずです。
そのような場面ではプレゼンスキルが求められますし、もし万が一の時には迅速なクレーム対応も必要だと思います。
なので、家電業界の営業に向いている人は「家電製品が好きな人」が前提になると思います。
2:食品業界の営業職
食品業界は「衣食住」に該当するため、かなりディフェンシブな業界だと思われがちですが、競争が激しいので、浮き沈みのある業界だと言われています。
そして「食べ物」というくくりが広いので、肉、魚、野菜、牛乳、お菓子、デザート、缶詰など、会社の数が多いことも特徴的です。
ちなみに食品業界の代表企業といえば以下のような会社があります。
- 日清食品
- ロッテ
- 明治
- 森永乳業
- 山崎製パン
- マルハニチロ
- 丸大食品
- ニッスイ など
日本国内に限って言えば「少子高齢化」の流れがあるので、今後は売上減少が見込まれる業界だと思います。
なので、各社は海外への販路開拓を重視している傾向があります。
気になる営業職の仕事内容は、主に小売店やスーパーなどを回るようなルート営業になります。
食品業界では季節によって新商品がリリースされたり、イベント(ハロウィンやバレンタインなど)ごとによっても小売店のニーズが変化するので、それにプロダクトを合わせなければいけません。
例えばハロウィンやクリスマスが近い時期であれば、大人数で食べれるパーティーパックを用意したり、イベント用の特別パッケージに変更するだけでも売り上げは変わってきます。
しかし、店舗ビジネスにおいては「売れるものを優先的に置く」という考え方になるので、この辺りに食品営業の難しさがあります。
というのも「売れるもの=ロングセラー商品」なので、なかなか新商品を置いてもらえないのです。
そして食品は体の中に入るので、品質管理を徹底しなければいけません。
このあたりは常に責任感がついて回る話なので、「休日でも緊急対応ということもやむなし」という感覚でしょう。
また、市場ニーズの変化を読み切らなければいけないという側面もあります。
ふとしたことで大流行するケースもあれば、「これは大ヒット間違いなし!」と言われてた商品が大ゴケしたり、会社内では「こんなの売れないよ」と言われてたのが大ブレイクすることもあるようです。
3:アルコール・清涼飲料の業界の営業職
食品の中でも、いわゆる「飲み物業界」ですが、大きくは「お酒を提供するアルコール業界」と「ジュースなどの清涼飲料水の業界」に分かれます。
- キリンホールディングス
- アサヒビール
- サントリー
- サッポロホールディングス
- オリオンビール
- オエノンホールディングス
- 宝酒造 など
- コカ・コーラジャパン
- キリンビバレッジ
- 伊藤園
- サントリーフーズ
- ヤクルト
- カルピス
- 大塚製薬 など
ビール業界は、キリンホールディングス、アサヒビール、サントリー、サッポロホールディングスの4社が寡占している状態(4社のシェアで日本のビール市場の99%)なので、この4社以外は戦いづらい状態が続いています。
それと比較して、清涼飲料水の業界は、各社力が拮抗しているような状態なので、ヤクルトやカルピスなど「特徴的な製品」を持っている会社は、それだけでも戦えるような市場となっています。
しかし近年は、この業界の垣根を超える動きも出てきており、サントリーがアメリカのジムビームを買収したり、コカ・コーラが檸檬堂(レモンサワー)をヒットさせたりしています。
お酒を販売する営業職は「酒販営業」と呼ばれており、とにかくアルコールが出てくる場所であればどこでも営業対象となり得ます。
例えば小売店に対して商品を卸す問屋や、街中にあるカクヤスなどの酒屋、スーパーマーケット、飲食店など、ほぼ全てをカバーするイメージです。
ちなみにそれは清涼飲料水も同じだと思っていいです。
しかしアルコールの場合には、繁忙期と呼ばれる年末年始や、春の入社シーズン、クリスマスなどのパーティーシーズンがあるので、そこに合わせて新商品を投入したりします。
酒販営業ではただお酒を販売するだけでなく、お店の売り場面積や客層などを考慮して、売り場のレイアウトや商品ラインナップのバランスを提案するのも大きな仕事になっています。
テレビCMと連動させるようなプロモーションも効果を発揮するので、このあたりは営業マンの腕の見せ所だと思います。
飲み物はとにかく重いので大変ですが、それだけでなく朝から晩まで歩き続ける酒販営業は「体力的にきつい」と言われています。
4:製薬・医薬品業界の営業職
医薬品業界は、伝統的に外資系企業の存在が大きい業界ですが、例えば以下のような企業があります。
- 武田薬品工業
- 第一三共製薬
- アステラス製薬
- 大塚製薬
- エーザイ
- ファイザー
- 中外製薬
- 大正製薬 など
日本を代表する製薬会社といえば「武田薬品工業」ですが、そのトップは既に外国人です。
なので、やはり外資が強いという感覚は否めないでしょう。
ちなみに、医薬品メーカーの営業職は「MR(Medical Representative)」と呼ばれています。
日本語では「医薬情報担当者」という意味になるので、セールスというよりは情報提供者としての役割の方が大きくなっています。
MRの営業先はドクターと卸が中心になりますが、自社開発した医薬品の情報を提供することまでが役割となります。
そのためにはMR資格試験に合格して、まずは資格を取得しなければいけません。
そしてほとんどの企業では、6か月間程度の新入社員研修を実施し、人体や薬品、薬学について勉強するのです。
そのような基礎知識はもちろんですが、競合他社の製品情報も知らなければ戦うことができません。
その上、商談相手はドクターなので、かなり専門的な話になってきます。
もし難しい質問が出た場合には、適当に堪えることをせず、一度持ち帰って回答した方が無難でしょう。
とにかくドクターとの信頼関係が重要な仕事なので、コミュニケーションスキルに自信がある人は向いているかもしれません。
5:化粧品・日用品業界の営業職
化粧品や日用品業界の企業は以下のような会社となります。
- 花王
- 資生堂
- ライオン
- ユニ・チャーム
- 小林製薬
- コーセー
- ファンケル
- ポーラ など
女性営業であれば化粧品に馴染みがあるので、営業ウーマンにおすすめしたい業界です。
逆に男性の営業マンは、そもそも化粧品自体に興味がないかもしれないので、このような営業職種は向かないかもしれません。
しかし日用品であれば生活密着型なので、きっと誰でも馴染みがあると思います。
とにかく日用品業界は価格破壊が起こりやすいので、低価格競争に巻き込まれがちです。
しかしそれでは体力勝負になってしまうので、「いかにして競合他社と差別化するのか?」という視点が大切だと思います。
それをうまく体現しているのが小林製薬でしょう。
「ブルーレットおくだけ」など、変わったネーミングや商品コンセプトの製品を続々と投入し、多くのファンを獲得しています。
この業界の営業パーソンは、担当地域のスーパーマーケットや小売店、ドラッグストア、ホームセンターなどのバイヤーに対して営業していきます。
お店の商圏は決まっているので、そのエリアごとのお客様に合った提案をしなければいけません。
例えば学生外であれば学生向けの商品を多くして、ファミリー層が多いエリアであれば”ファミリーパック”を多くするなど、売れやすい商品を提案しなくてはいけません。
担当営業マンとしては「出来る限りウチの商品を全面に押し出してください!」とお願いしたいところですが、売り場全体のバランスも考えなければいけないため、自分本位な提案ができないもどかしさもあります。
なので、自社の売上だけを考えるのではなく「どうすればお客様(店舗)の売り上げに貢献できるのか?」という視点を持つのが大切になるはずです。
6:半導体・電子部品業界の営業職
半導体は電子機器の心臓部になるので、現代社会にとってもならない存在だと思います。
この業界は、どちらかといえば日本は負けていて、外資系が強い業界だと思います。
- インテル
- TSMC(台湾積体電路製造)
- サムスン電子
- テキサス・インスツルメンツ
- ルネサステクノロジー
- エルピーダメモリ など
これらの業界はパソコンやスマートフォンの普及とともに伸びてきた会社ばかりです。
なので、しばらくは需要の方が大きくなりますが、ある意味では安定している業界だと思います。
そう考えると簡単そうな営業ですが、実は意外と苦労が多い仕事だと言われています。
というのも、取引先のメーカーから出てくる要望は千差万別なので、様々な側面からヒアリングしながら、じっくりと仕様を詰めなければいけないからです。
そしていざ発注してもらった後にも、「○○工場で生産するから」と海外の工場を指定されるケースもあり、意外と語学力が役立つ業界でもあります。
その上、変化が激しい業界としても有名なので、とにかくたくさんの情報を収集して、常に勉強し続けるような姿勢が求められます。
7:OA機器業界の営業職
OA機器の代表格といえば「コピー機」ですよね。
その主だった企業は以下の通りです。
- キャノン
- リコー
- 京セラ
- セイコーエプソン
- 富士ゼロックス
- ブラザー工業 など
コロナパンデミックによってリモートワークが普及したため、コピー機や複合機の需要は激減しました。
オフィスを縮小する企業も増えたので、OA機器業界には大打撃だったと思います。
さらにコスト削減の流れもあるので、無駄な印刷を控えるように指示も出ていて、業界全体に逆風が吹いているような状態です。
このような環境の変化は辛いですが、それでもOA機器の需要がなくなるようなことはないでしょう。
OA機器の販売は直販でも行われていますが、販売代理店も多いので、かなり熾烈な営業争いになると思います。
扱っている商品も似通っているため、殆どがリースの満期を待たずにリプレイスを行い、ぐるぐると顧客資産を回転させ、新たな契約縛りによって解約できないように顧客の囲い込みを行っています。
このような現実からも分かる通り、OA機器の営業会社は体育会系で、「昔ながらの営業会社」というイメージだと思います。
8:自動車業界の営業職
自動車は日本のお家芸なので、サプライチェーンも多いですよね。
- トヨタ自動車
- 本田技研工業
- 日産自動車
- マツダ
- スズキ
- 三菱自動車
- いすゞ自動車
- 富士重工業
- ダイハツ工業
- 日野自動車 など
この業界には世界的なEV開発の波や、自動運転技術の向上など、日進月歩でイノベーションが起こっており、今後激変することが予想されています。
そのように変化の激しい業界ですが、車の営業職といえば「カーディーラー」ですよね。
基本的にはショールームへ勤務して、そこに来店したお客様へ自動車をご案内したり、接客するのが仕事です。
ただしカーディーラーは販売目標が高く、それをプレッシャーに感じている営業マンは多いようです。
また、車は5年~10年と、比較的長期にわたって使用するので、販売した後のアフターケアも重要となります。
個人のお客様を相手にするケースが多いので、自動車が好きな人はもちろんですが、ストレスを溜めにくい人の方が向いていると思います。
9:繊維業界の営業職
「繊維」と聞くと衣料品を思い浮かべますが、その界隈は低迷が続いています。
その一方、伸びているのは自動車用や航空機用などの産業用繊維で、これらは今後も拡大が予想されています。
- 東レ
- 帝人
- 東洋紡
- クラレ
- ユニチカ
- 旭化成
- 日清紡
- ダイワボウ など
産業用繊維以外にも、合成繊維、包装材、自動車や飛行機の内装、建築材料、医療用素材など、繊維が活躍する場は年々広がっています。
気になる営業職の仕事は、生産や販売、価格交渉などの売買に関する業務から、新商品の開発、設備投資や業務提携の提案など、とても幅広いことが特徴的です。
素材メーカーは特定のお客様と長期取引することが多く、お客様とのコミュニケーションが重視されることでしょう。
そして、社内の関係者、サプライヤー、外注先、お客様などを巻き込んで、ひとつのビジネスを完成させるスキルが求められます。
10:アパレル業界の営業職
アパレル業界も「衣食住」なので、安定したニーズが見込める業界です。
しかし、メルカリやセカンドストリートなどの二次流通市場が整備されるに伴い、販売不振に陥っている企業も多いと聞きます。
- 三陽商会
- オンワード樫山
- グンゼ
- ワコール
- TSIインターナショナル
- ユナイテッドアローズ
- ユニクロ など
アパレル産業は業界低迷を回避するために、ユニクロのようなSPA方式に切り替える企業出てきています。
SPAは企画から生産、卸売、小売まで全て系列企業を行う方式なので利益率は高まりますが、より一層高度な生産管理や在庫管理が求められるので、おいそれと取り入れることができません。
なので、そもそも消費者の購買力が強い”海外”に活路を見出す企業が多くなっているのです。
気になるアパレル業界の営業職ですが、その実態は販売部、商事部などに分かれており、それぞれ仕事が異なっています。
ちなみに販売部は別名「百貨店部隊」と呼ばれており、百貨店へのルートセールスが主な業務となります。
そして商事部は、店舗経営している企業に対して制服を提案したり、ノベルティグッズの提案などを行うのです。
新規開拓では「飛び込み営業」も実施されているので、昔ながらの根性論が残っている業界でもあります。
そしてこれは有名な話ですが、アパレル業界は意外なことに「体力勝負の仕事」だと言われています。
一見すると華やかそうな業界ですが、現実は販売促進のために大声を出し続けたり、倉庫に入って品物を選んだり、重い段ボールを運ぶなど、かなり身体を使う肉体仕事の側面があります。
このような仕事なので、とにかく明るくて前向きな人でなければ務まらないかもしれません。