目次
11:ガラス業界の営業職
ガラス業界は地味ですが、縁の下の力持ちといった感じです。
主力製品は板ガラスで、大手企業が寡占している状態です。
- 旭硝子
- 日本板硝子
- セントラル硝子
- HOYA
- 日本電気硝子 など
ガラスは様々な製品に使われていますが、大口の取引先は既に決まっています。
建設用の窓ガラスはもちろんですが、自動車や電車などの乗り物、テレビやパソコンなどの家電製品、メガネやカメラのレンズ、この辺りが大口の取引先となります。
営業やりがいとしては、顧客ニーズに対応することでしょう。
例えば、一口に「車両用ガラス」と言っても、業務用の車両なのか、一般客が利用する車両なのか、によっても最適なガラスは変わってきます。
要求されるガラスの強度や安全性、1枚あたりのコストも全く違うのです。
この辺りを密に詰めて、最終的に納品まで行うのが、ガラス業界の営業職です。
12:紙・パルプ業界の営業職
- 王子製紙
- 日本製紙グループ本社
- 大王製紙
- レンゴー
- 中越パルプ工業 など
製紙業界は「王子製紙」「日本製紙グループ」「大王製紙」などの大手企業で市場を寡占している状況です。
国内の紙需要は飽和していると言っても過言ではないので、今後の成長性はあまり見込めないかもしれません。
IT化、DX化の流れもあり、このあたりも製紙業界には逆風だと言えます。
なので、単純に紙を作るというよりは、それを製品化して販売したり、少し工夫するなどのアイデアが必要でしょう。
例えば、王子製紙が開発した「鼻セレブ」は、業界に革命を起こしました。
これまでと同じティッシュなのですが、柔らかく肌触りの良い紙にすることで、新たな市場を開拓したのです。
このような製品開発をやりつつ、環境負荷にも配慮しなければいけない業界なので、意外とビジネスのしがらみは多いかもしれません。
気になる営業職の仕事ですが、基本的には顧客ニーズに応じた紙を用意するというのが役割になります。
例えば「出版物に使う紙」といっても、実に様々な種類があります。
なので本を出す企画の段階から一緒に考えていけるのは、製紙業界の営業職として働く醍醐味かもしれません。
ダンボールなども同様に、顧客ニーズに応じた様々な素材や形、サイズを用意しなければいけません。
しかし紙という製品の特性上、とにかく利益が少ないので、大量に売るか、高付加価値の製品を売るかの二択に絞られてきます。
薄利多売商品の代表格なので、この辺りは営業職として苦しい部分かもしれません。
13:印刷業界の営業職
- 凸版印刷
- 大日本印刷
- トッパン・フォームズ
- 共同印刷
- 日本写真印刷
- 図書印刷 など
印刷業界は中小零細企業の数が多いと言われる業界です。
その中でも突出しているのが「凸版印刷」と「大日本印刷」で、この2社だけで業界売上全体の半分近くを占めています。
そこに目をつけたのはIT企業のラクスルです。
1万社を超えると言われている零細印刷会社をプラットフォームで束ねて、規模の経済によって圧倒的に印刷価格を下げたのです。
今後は紙の冊子が減少していく傾向にあるので、電子媒体の市場が伸びていくことでしょう。
気になる営業の仕事は、顧客ニーズに基づいたソリューション営業となります。
お客様は「少しでも目を引くようなデザインにしたい!」という曖昧なニーズや、「表紙に特殊な加工をしてみたい!」という要望を出してきます。
それを実現できるような製品を提案し、お客様と膝を突き合わせながら一緒に考えるのです。
そのようなやり取りを経て、晴れて出版へと漕ぎ着けるのですが、とにかく締め切りを意識した営業になってきます。
印刷業界の営業マンは、基本的に依頼主であるクライアントと印刷工場の板挟みに合うのがあるある話です。
余裕のあるスケジュールで進められることは珍しく、夜中まで原稿待ちすることもしばしば。
このような印刷業界で活躍する人は、ポジティブ思考で大胆さがあり、八方美人に振る舞うことができるタイプだと言われています。
14:鉄鋼業界の営業職
昔は「鉄は国家」と言われるほど重要な産業でしたが、今ではかなりマイナーなイメージがありますよね。
それでも鉄がなければ建物はできず、自動車も作れません。
それ程重要な産業であることは変わりないのですが、大手の寡占が起きている業界でもあります。
- 日本製鉄
- JFEホールディングス
- 神戸製鋼所
- プロテリアル(日立金属)
- 大同特殊鋼 など
鉄鋼業界の営業職は、お客様に「どんな鉄が欲しいのか?」をヒアリングすることから仕事が始まっていきます。
同じ鉄でも「何に使うのか?」という用途によって適切な製品があるからです。
軽量化を重視したり、強度や安全性を重視するなど、取引先の要望に応じた商品を提案するのです。
しかし商品が「鉄」なので、その勉強に文系出身者はとても苦戦すると言われています。
例えば相手が不動産デベロッパーであれば、ビル建築に関する用語が出てきたり、造船業界であれば船づくりに関する専門用語が飛び交うような中で、自社製品である「鉄」をプレゼンしなければいけません。
そして中国や韓国を中心とする海外メーカーも強くなっており、決して胡坐をかけるような状態ではないのです。
このような苦戦を強いられる鉄鋼業ですが、縁の下の力持ちなので、日本経済を支えているという自負は持てると思います。
15:造船・重機械業界の営業職
個人的に、造船・重機械業界は「今後の成長性がある有望な業界」だと思っています。
なぜかといえば自衛が求められる時代だからです。
これまでの日本は「アメリカにおんぶに抱っこでもOK」という状況でしたが、ロシア・ウクライナ紛争によって状況は一変しました。
国内で兵器製造をする必要性が出てきたため、この業界は今後ますます必要性がアップしていくでしょう。
また宇宙産業にも期待ができます。
重機械業界ではロケットの製造なども行っているため、今後長期的なニーズが期待出来ると思います。
- 三菱重工業
- 川崎重工業
- IHI
- 三井E&Sホールディングス
- 住友重機械工業 など
この業界は文字通り”重い製品”が売り物です。
巨大なタンカーから発電施設まで、億単位の取引が日常茶飯時に行われているのが特徴的です。
他の業界でもあるある話ですが、依頼主であるクライアントと製造工場の真ん中に挟まれる営業マンは、常にストレス満載です。
製品が完成して、無事に納品するまで板挟みの苦労は続くので、それに長期間耐えられるだけのストレス耐性が必要となります。
しかし苦労した分、自分が納品したモノを見た時の感動は計り知れないでしょう。
16:工作機械業界の営業職
景気の変動指数としても見られている工作機械業界です。
- ファナック
- ジェイテクト
- 安川電機
- アマダ
- DMG森精機 など
工作機械と聞いても、あまりピンと来ませんよね。
あまり知られていない業界ですが、工作機械業界は日本の中でも「競争力の高い産業」だと言われています。
工作機械とは「機械を作る機械(マザーマシン)」と呼ばれており、工場などにある作業機械のことです。
ベルトコンベアで流れている自動車を組み立てている機械をテレビなどで見たことがあるはずですが、あの機械が工作機械です。
見た目通りに大きい機械なので、簡単に発注をもらえるわけもなく、複数回の商談やプレゼン、提案を経て、ようやく発注へとたどり着きます。
基本的に工業用ロボットは既製品でのオーダーを受けますが、お客様の要望によっては新しく金型を起こすケースもあります。
その時には「どうすれば採算が合うのか?」を計算するのも営業の仕事です。
また、日本の技術力は世界的なニーズがあり、海外出張が多い業界でもあります。
扱う製品によっては「日本にいるより海外生活の方が長い」というケースもあり得るので、そのような環境でも頑張れる人に向いている仕事だと思います。
17:銀行業界の営業職
一昔前まで銀行は最も人気のある業界でした。
しかしネットバンクの台頭や、少子高齢化による顧客の減少に伴い、今では斜陽産業だと言われています。
- 三菱UFJ銀行
- みずほフィナンシャル
- 三井住友フィナンシャル
- りそなホールディングス
- 横浜銀行
- ふくおかフィナンシャルグループ
- 千葉銀行 など
銀行業界は都心部を中心とする「メガバンク」と地方都市を主軸とする「地方銀行」の2種類に分かれますが、主な業務内容はほぼ同じです。
その内容とは「融資業務」と「資産運用業務」になります。
融資業務では個人への住宅ローンや法人への資金貸付などを行って、金利収入を得る仕事です。
そして資産運用業務では、定期預金や投資信託、個人向け国債の販売など、様々な投資商品を提案してきます。
金融という大きな枠組みの中での仕事なので、とにかく勉強が必要で、地頭の良さも求められます。
特に経営者相手の場合は、経営相談を受けるケースもあるので、ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士などの資格を持っていた方が有利かもしれません。
18:証券業界の営業職
証券業界は長らく4大証券でしたが、山一證券が破綻した後に3大証券となり、今では独立系の2大証券(野村證券、大和証券)という状態になっています。
- 野村ホールディングス
- 大和証券グループ本社
- SMBC日興証券
- 三菱UFJ証券
- 岡三証券
- マネックス証券
- 松井証券
- SBI証券 など
証券会社の仕事は、企業の資金調達ニーズに対応した株式発行や社債の発行を支援し、それを投資家へ販売する一連の流れを担っています。
証券業界では、個人投資家向けの営業職を「リテール営業」と呼んでおり、機関投資家などの法人投資家向けの営業職を「ホールセール営業」と呼んでいます。
「貯蓄から投資へ」という国策の中で、少しずつ資産運用の重要性が伝わっていって、株式市場は活性化していますが、その多くはネット証券へと流れています。
大手証券と言われている野村證券や大和証券などの顧客層は高齢化しており、テコ入れしなければいづれネット証券に負けてしまうことでしょう。
一般的に「証券営業=リテール営業」なので、経営者や医者など、一般的に「富裕層」と呼ばれる人たちを相手にする営業となります。
なので取引金額が数百万円は少ない方で、数千万円、数億円という金額のディールを経験することになりますが、命の次に大事なお金を扱う仕事なので、その責任は重大だと言われています。
19:生命保険業界の営業職
生命保険といえば、昔ながらの「保険のおばちゃん」という印象もありますが、男性の営業マンもたくさん活躍している業界です。
- 日本生命保険
- 第一生命保険
- 明治安田生命保険
- 住友生命保険
- T&Dホールディングス
- アリコジャパン
- アメリカンファミリー生命保険
- プルデンシャル生命保険 など
これは業界全体の話ですが、営業力のあるセールスパーソンは外資系の保険会社に流れる傾向があります。
なぜかと言えば、外資系の生命保険会社の方が同じ仕事なのに稼げるからです。
一般的な生命保険会社の営業マンは、数ある営業所の所長として配属されます。
一つの営業所での任期は約3年程度ですが、そこで月々のノルマをこなしつつ、営業職員の採用など、セールスレディのマネジメントをこなすのです。
この辺は人によって成果が分かれるところですが、そこで結果が出せなければ出世の道もなくなるということです。
20:損害保険業界の営業職
- 東京海上ホールディングス
- 三井住友海上火災保険
- SOMPOホールディングス
- あいおいニッセイ同和損害保険 など
損害保険業界のマーケットは飽和状態なので、かなり再編が進んだような印象があります。
損害保険業界の営業職は、主に代理店営業を行なっています。
商品である自動車保険や火災保険、海外旅行保険などを損保会社の営業マンが直接販売するというよりは、自動車保険であればカーディーラー、火災保険であれば不動産会社、海外旅行保険であれば旅行代理店などを窓口にした方が効率が良いからです。
なので、実際の販売はそれらの業者が担っています。
よって損害保険業界の営業職に就職する人は、「パートナーセールスを経験したい!という人がピッタリだと思います。