
鳥羽博道(とばひろみち)は、皆さんご存知「ドトールコーヒー」の創業者です。
個人的には【起業家らしい起業家】だと思っているので、その軌跡にはたくさんのビジネス格言が隠れているはずです。
そこで今回は、鳥羽博道の名言集をご紹介したいと思います。
鳥羽博道の名言まとめ
フランスや西ドイツに見られる立ち飲みコーヒー店を、なんとか日本でも実現したいと思っていたが、時期尚早ではないかというためらいが長くあった。
創業当初のドトールコーヒーは、実は『コーヒーの立ち飲み専門店』だったそうです。
そのような工夫によって、贅沢な嗜好品と言われていたコーヒーを1杯150円(昭和55年当時)という驚異的な低価格にできたのです。
ドトールコーヒーショップのストア・コンセプトは「さりげなく小粋」。
ドトールのことを「ありきたりなコーヒーショップ」だと認識している人は多いかもしれませんが、高級志向の喫茶店にも負けないコーヒーとフードメニュー、サービスの提供を目指していました。
そしてドトールコーヒーは、これまで「コーヒーは座って飲むもの」という常識を覆し、「立って飲むコーヒーがお洒落」という文化を創造したのです。
ちなみに社名の由来は、鳥羽博道がブラジルのサンパウロで住んでいた「ドトールピントフェライス通り」から拝借したそうです。
私は新しく事業を起こす時には、「時」と「機」が一致しなければならないと考えている。
「時」とは時代の流れのことであり、「機」はことを起こす機会(チャンス)という意味です。
「良い時機」を選ばなければ、どんなビジネスでも成功しないと考えているそうです。
パリでは出勤前のコーヒーを楽しむのが習慣になっているのだ。
フランスのシャンゼリゼ通りを歩いている時、ビジネスマンが出勤前にカフェテラスでコーヒーを飲んでいる姿に鳥羽博道は驚いたそうです。
日本では見かけない珍しい光景でしたが、コーヒーを立ち飲みながらクロワッサンを食べる姿を見て、「この文化を日本で創造したい!」と思ったそうです。
インスタントの次には、必ず豆を挽いたレギュラーの時代が来る。
当時、家庭用のコーヒーといえば”インスタント”でしたが、現代のようなコーヒーミルが普及し、一般家庭でも挽いた豆でコーヒーを淹れる時代が必ずやってくると感じたそうです。
本物の粗挽き手作りソーセージと美味しいパンを組み合わせた。
鳥羽博道は、この料理を「ジャーマンドッグ」と名付けました。
西ドイツへ行った時に食べたソーセージの味が忘れられなかったので、ハムメーカーと共同開発した完全オリジナルのソーセージを作り、新しい食べ物として創造したのです。
つまりドトールコーヒーは『ジャーマンドッグの生みの親』ということになりますが、今でもソーセージには強いこだわりを持っているそうです。
それだけでなく、パンとマスタードもオリジナル製造しているので、ドトールのジャーマンドックはまさに「お店の看板メニュー」と言えるでしょう。
ドトールへ行ったら「ジャーマンドック+コーヒー」をぜひ注文してみてください。
私たちがお客様にお出しするのは製品ではない。
あくまでも商品である。
ジャーマンドックをメーカーと共同開発する際、必ず店舗へ来てもらい、メーカーの人にお客様が購買する様子や食べている様子を見てもらったそうです。
具体的なお客様(ペルソナ)がイメージできなければ、共同開発はうまくいかないと語っています。
ドトールコーヒーショップは、第1号店の原宿店以来、一等地を選んで出店していった。
コーヒー1杯150円だったので、採算ラインを超えるためには、たくさん集客しなければいけません。
なので必然的に一等地にお店を構える必要が出てくるのですが、鳥羽博道が思い描いていたのは『出勤前にビジネスマンが立ち寄るコーヒーショップ』というビジネスモデルなので、そもそも一等地との相性が良かったそうです。
儲け第一主義ではなく、顧客第一主義からのスタート。
これは商売の基本とも言える格言ですが、鳥羽博道は「この考え実践したからこそ成功できた」と語っています。
綺麗な並べ方というのは、売ろうとする側の自己満足にすぎない。
重要なことは、お客様から見やすくて、選びやすくて、手に取りやすいレイアウトなので、何事も購入者の目線になって考えることが重要だと語っています。
これと真逆のことを実践したのがドン・キホーテです。
お客様から見えづらくて、選びにくくて、取りにくいレイアウトを求めたのです。
ドン・キホーテ創業者「安田隆夫」の名言集は下の記事をご覧ください。
私は連日、眠れない夜を過ごし、一時は本気で自殺することまで考えた。
2号店として出店したドトールコーヒー青山店が大失敗し、事業計画は大きく狂いました。
その原因は後々判明するのですが、それが分からない間は大きなストレスを抱えることになり、夜も眠れなかったそうです。
事業は常に順風満帆というわけにはいかず、山あり谷ありの連続なので、起業家には”ストレス耐性”が求められると思います。
苦肉の策で、ポテト・チップスの販売を試みたこともあった。
これはドトールコーヒーが迷走していた頃の話です。
なんとかして事業を黒字化するために、ポテトチップスやカレーの缶詰、ゆで卵など、ありとあらゆる様々な商品を販売してみたそうですが、結果的にどれも上手くいきませんでした。
その時「食料品ならスーパーマーケットで良いのでは?」という考えに至り、原点回帰して「コーヒーの味で勝負する!」と決めたそうです。
機械ができるところは機械に任せて、人間は人間にしかできないサービスを担当する。
これによってサービスレベルが上がるので、顧客満足度も向上すると考えたそうです。
いわゆる適材適所という考え方ですね。
もし気に入ったものがなければ、安心して出て行けることがお客様には必要なのである。
活気がない店は店員も暇なので、お客様は「店に入ると、何か売りつけられるのではないか…」と不安になってしまいます。
なので商品棚を綺麗にしたり、清掃作業をしたり、とにかく忙しそうにすることが『活気のあるお店作り』に繋がっていくそうです。
一番大切なことは、「売上は結果だ」ということを本当に知ることだと思う。
結果よりも”過程”の方が大事だと言われますが、本当にその通りだと思います。
結果よりも過程から学べることの方が多いので、ビジネスパーソンは過程を重視しましょう!
いくら形だけ真似ても、決して「ドトールコーヒーショップ」にはならない。
ドトールコーヒーが順調に拡大していくと、ビジネスモデルを真似する企業がたくさん出てきたそうです。
しかし鳥羽博道は「全く脅威に感じない」と思っていました。
なぜかといえば、外見を真似できたとしても、中身が伴っていないので、他社を真似したビジネスモデルには『崇高な理念』が抜け落ちているからです。
JINS創業者である田中仁も同じことを言っていたので、気になる人は下の記事をご覧ください。
値引き販売は、自ら商品価値を落とす行為である。
安易に値引き販売することは要注意です。
本当の商売とは『良い商品なのであれば、どこよりも高く売る』ということです。
店を動かすのは人である。
人が命を吹き込むからこそ、店が生きてくる。
これぞまさに店舗経営の金言ですよね。
店舗経営者はこの格言を覚えておきましょう!
お客様に喜んでいただくことが、すなわち自分の喜びである。
ビジネスを突き詰めると、実はこの名言にたどり着きます。
つまり【他者へ貢献する】ということを愚直に続けていけば、必ずビジネスでは成功できるのです。
自分なりの商道を見つけ出すまで、数多くの経営者の著書を、手当たり次第に読破した。
色々な経営者の考え方を吸収することは、これから独立起業する人にはきっと役立ちます。
その場合には経営者の著書を読むのがベストですが、時間がない人は名著と呼ばれるビジネス本だけでも読んでおきましょう!
絶対に人を騙してはいけない。
これは当たり前の話なのですが、ビジネスで嘘をついたり相手を騙す人もいますよね。
例えば営業マンであれば、多少は効果を大げさに伝えたり、実績をでっち上げた経験が一度くらいはあるかもしれませんが、そのような行為は絶対にやってはいけません。
嘘は嘘を生み出すことでしか維持できないので、いずれ自分が苦しくなるだけです。
たとえネガティブな情報だったとしても、見せ方次第でポジティブに変える方法はいくらでもあります。
それを知りたい人は下の記事をご覧ください。
人間の本質は変わらないが環境は変わる。
ビジネスでは「人間を軸に据えるべきだ」と鳥羽博道は語っています。
なぜかといえば、ビジネス環境は変化しますが、人間の本質は変化しないからです。
軸となる部分がブレると、色々な誤算が生まれてしまうので注意しましょう。
私が独立してドトールコーヒーを作ってから、常に考えてきたことは、自分の信念と商売を一致させることだった。
これはつまり「自然体で経営する」ということです。
このやり方は『経営が最大合理化する』はずなので、自分がやりたいこと、楽しいことだけを追求しましょう!
商売には「原価病」という大きな罠がある。
ビジネスをする場合、売上から粗利を計算して、販管費を差し引き、営業利益を導き出しますよね。
このような作業は重要なのですが、ここには”お客様の都合”が入っていないので、その部分を注意しなければいけません。
このような話をすると「そんなことをしたら店が儲からないのでは…」どう思われがちですが、決してそんなことはありません。
会社の利益と顧客の利益は一致するポイントが必ずあるので、それを見つけ出すのがPMFなのだと思います。
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態のことを指します。 ソフトウェア開発者のマーク・アンドリーセンが広めた概念と言われ、ベンチャー企業や新規事業を始める際によく聞く言葉です。
私たちの経営の判断基準は、常にお客様が喜ぶか否かである。
これが絶対の基準だ。
「お客様が喜ぶか否か」が第一優先で、他は二の次が正解だと思います。
とにかく顧客主体で物事を考えましょう!
現状が苦しいからと言って一つの妥協を図ると、あとは歯止めがなくなるのだ。
「ビジネスでは絶対に妥協してはいけない」と鳥羽博道は語っています。
それを体現していたのが、Apple創業者のスティーブ・ジョブズです。
ジョブズは「頭が狂っている」と言われるほど、とにかく自分の思い描く”完璧”を追い求めました。
それが結果として現在の Appleを形作ったのですが、ジョブズの名言集は下の記事をご覧ください。