ミシェル・ド・モンテーニュといえば「エセー」の著者として有名な偉人ですよね。
エセーは『エッセイ』の語源にもなった名著なのですが、その中身を知っている人は少ないかもしれません。
そこで今回は、「エセー」に書かれた名言集をご紹介したいと思います。
モンテーニュという名前やエセーは歴史の教科書にも出てくるので、ビジネスパーソンの基礎知識として学んでおきましょう!
モンテーニュとは?
ミシェル・ド・モンテーニュは、フランス・ルネサンス期を代表する16世紀の思想家です。
モンテーニュは貴族の家柄だったので、幼少期から古典文学を愛読して、24歳という若さでボルドー高等法院の裁判官になりました。
そして37歳の時に官職から引退し、1580年に「エセー」を出版、1581年~85年まではボルドー市長を務めた地元の名主となります。
その後も「エセー」の執筆をやめることはなく、初版に続いて第2巻、及び第3巻も刊行され、一生涯執筆活動に専念し続けたそうです。
エセー(随想録)とは?
モンテーニュが残したエセーには、教育、恋愛、軍事、感情、学問、宗教、生と死、人間関係まで、様々な話題が取り上げられています。
「ある話題について自分がどこまで考えて判断できるかを試す」という内容だったため、『試し』や『試み』という意味の”エセー”をタイトルにしたのですが、それを語源として『エッセイ』という言葉が誕生しました。
エセーでは、常にモンテーニュの中立&中庸の意見が述べられているため、それがこの本の魅力の一つにもなっています。
モンテーニュの名言集まとめ
自分のなすべきことに取り掛かろうとする人間は、自分が何者であって、何が自分本来のものなのかを知ることを、最初に学ぶ必要がある。
何かを成し遂げたい場合、まず自己分析しましょう。
自分の強みや弱みはもちろんですが、「自分は一体何がしたいのか?」という根本的な部分を見つめ直さなければいけません。
心から”ワクワク”することだけに集中しましょう!
他人に奉仕するために、自分個人の健全にして愉快な生き方を捨ててしまうのは、私の流儀からすると、不自然な悪しき方針を取ったことになる。
この考え方を理解するためには「主体性」について学ばなければいけません。
結論から言ってしまうと、「他人に奉仕する」ということは善であり、推奨されるべきことです。
しかし「本当はやりたくないのに他人に奉仕する」という姿勢は主体的でないため、それは問題となります。
つまり「相手に喜んでもらいたいから他人に奉仕する」のはOKということです。
あなたが臆病で残酷なのか、あるいは忠実で献身的なのかを知っているのは、あなたしかいない。
この言葉の通りですが、他人はあなたのことを十分理解していません。
なのでモンテーニュは「他人の憶測など気にせず、自分の判断だけにこだわれば良い」と語っています。
世界で一番高い玉座の上にあがったとしても、我々はやはり、自分のお尻の上に座るしかない。
ちょっと分かりづらい表現ですが、この名言が伝えたいのは「どこまで昇り詰めたとしても、自分は自分」だということです。
奢らず謙虚に生きましょう!
他人に自分の金を分け与える人などいないのに、みんな、自分の時間と生命を他人に分け与えている。
労働をすると対価(お金)がもらえますよね。
それは自分の時間&生命(=労働)を提供しているからです。
ということは、「時間と生命=お金」という方程式が成り立ちます。
そう考えた場合「時間を無駄にするのは惜しい」と誰もが感じ始めるはずです。
人は自分の仕事よりも、他人の仕事のことをあれこれ話したがる。
そうすれば、その分評判が上がると思っているからだ。
これは虚しい人ですが、そのような人は会社内に何人かいますよね。
ビジネスパーソンは、自分の仕事に100%集中しましょう!
世の中には愚かさの極みと言えるようなことがたくさんあるけれど、その中でも、最も広く行き渡っているのが、名声や栄光への関心である。
この言葉を聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは『SNS映えを狙った事故』です。
野生の鹿を撮影しようとして橋から転落したり、ナイアガラの滝を撮影しようとして滝壺に落ちたり、SNS映えを狙った事故が絶えません。
そのような人達は”結果(フォロワーやいいね)”だけを求めているので、とても心が貧しいと思います。
名声や栄光はあくまでも”結果”でしかないので、有意義な人生を過ごす為には、もっと過程を重視するべきだと思います。
善行が全て名声をもたらすわけではなく、困難さとか異例であることが付け加わらないとダメなのである。
単に「ゴミ拾いをする」のではなく、雨の日も風の日も『365日ゴミ拾いをする』という方が尊いですよね。
そしてそれを10年間続けると”名声”が得られます。
『皆勤賞』が賞賛されているのは、単なる善行なのではなく、困難さとか異例が加わっているからだと思います。
我々が馬を褒めるのは、逞しくて、早いからに他ならない。
つまり馬具ゆえではない。
グレーハウンド犬にしても、そのスピードゆえであって、首輪ゆえではない。
これも分かりにくい表現ですが、この言葉が伝えたいのは『人間の価値は内面に宿る』ということです。
会社名や肩書き、収入などで判断されるのではなく、どのようなスキルを持っていて、どれだけ徳を積んでいて、どのような偉業を成し遂げられるのか、という内面的な部分が重要なのです。
人間はとかく、他人の発言を、自分に都合のいいように曲げて解釈したがる。
これは裁判官だったモンテーニュらしい名言ですよね。
先入観は事実を捻じ曲げてしまうので、できるだけフラットな視点で物事を見るべきだと思います。
人間の思考の最も普遍的な性質とは、多様性に他ならないのである。
現代社会には多様性が求められていますが、16世紀の段階で、この高みにまで達しているのには恐れ入ります…
色々な意見や価値観を取り入れて、さらなる高みを目指しましょう!
女性の場合、世の中に導入されている生活のルールを拒否しても、いささかも非はない。
なぜならば、そのようなルールは、男たちが女性の同意なしに決めたのだから。
これはモンテーニュ特有の『中立&中庸』という立場がよく表された金言だと思います。
16世紀に男女平等を掲げるあたりは、とても先進的だと思います。
賢い人間は、結婚の苦さも、甘さと同じく秘密にしておくものだ。
「良い結婚とは、目の見えない妻と、耳の聞こえない夫の間で成立する」という格言があります。
たとえパートナーに不満があったとしても、知人・友人に愚痴をこぼしたり、周りに言いふらすことは賛同できません。
それは自分の評価を下げることにもつながるので、十分注意しましょう!
人間の理性とは、両刃の剣、それも危険な剣である。
尖った理性は相手を傷つけるだけでなく、自分を傷つけてしまう可能性もあります。
それを理解していれば、防衛策を講じることができるでしょう。
怒りという感情ほど、健全な判断をかき乱すものはない。
怒りをコントロールする技術は「アンガーマネジメント」と呼ばれています。
そのやり方を知りたい人は下の記事をご覧ください。
快楽であれ、富や権力であれ、人間はつかみきれないほどのものを抱えようとする。
人間の貪欲さに、節度はありえない。
欲望は底知れないので、自分でコントロールしなければいけません。
その時のポイントは「欲しいものなのか?」or「必要なものなのか?」を判断することです。
これができれば、欲望もコントロールできると思います。
人生は、それ自体は善でもなければ、悪でもない。
お前のやり方次第で、それが善の場ともなれば、悪の場ともなるのだ。
この言葉にあるように、「どのように生きるのか?」が重要なのだと思います。
人生の有用性とは、その長さにではなく、使い方にある。
長く生きたとしても、ダラダラと過ごしていたなら意味がありません。
モンテーニュはそのような人のことを「長く生きても、少しだけしか生きなかった者」と辛辣に表現しています。
目的地の港がないならば、いかなる風も役立たずでしかない。
これは目標を持つ大切さを伝えた名言です。
きちんとした目標を設定すれば、きっと充実した人生になるでしょう。
金をたくさん身につければ、それだけ、不安も募る。
身の丈に余るお金は、余計なトラブルや不安を引き起こします。
「自分にはいくらの資産が必要なのか?」という具体的な金額を考えて、それを稼ぐ為の逆算式で計画するのがおすすめです。
豊かさも、貧しさも、各人の心の持ち方次第である。
気の持ちようで、その人は幸福にも、不幸にもなる。
何事もポジティブに考えた方が良いと思います。
ポジティブになれる名言集は下の記事をご覧ください。
お前は病気だから死ぬのではなくて、生きているからこそ、死ぬんだよ。
病気という手助けがなくたって、死は、お前をしっかりと殺すんだぞ。
この言葉を絶望的と捉えるか、前向きに捉えられるかはその人次第だと思います。
個人的には、避けようがない”死”を迎え入れる”勇気”をくれる名言だと感じます。
学問というのは、確かに良薬だ。
しかし、どんな薬といえども、それを入れる容器が悪ければ、変質や腐敗を被らずに保存することは無理である。
勉強よりもまず重要なのは”徳”です。
徳がなければ人間は大成しないのですが、それを知りたい人は下の記事をご覧ください。
我々は他人の知識で物知りにはなれるかもしれないが、賢くなるには、自分自身の英知によるしかない。
現代はインターネットや読書でいくらでも知識を増やすことができますが、それでは単なる頭でっかちです。
一番重要な”経験値”が抜けてしまうので、学習(インプット)しながら、とにかく行動(アウトプット)して、たくさん失敗しましょう!
自分に対する率直な判断に耳を傾けるには、強靭な耳を必要とする。
誰でも耳の痛い話は嫌ですよね。
でもそのアドバイスがあなたを成長させてくれるので、じっと我慢して素直に受け入れましょう。
自分の記憶力がしっかりしていると思えないような人間は、嘘をつこうなどとわざわざすべきではない。
嘘をついた場合、「誰にどのような嘘をついたのか?」ということを覚えていなければいけません。
そんなのいちいち覚えていられないので、嘘をつくことはやめた方が良いと思います。
旅をすることは、私からすると、有益な訓練・実践に思われる。
モンテーニュは旅することを推奨しています。
座学も必要なのですが、見識を広げることも必要なので、それに最適なのが”旅”だと語っています。
人間は良き時代を懐かしむことはできるが、今を逃れることはできない。
過去を懐かしんだところで、今が変わるわけではありません。
過去の失敗から学ぶのは良いですが、ただひたすら前を向いて歩きましょう!
まとめ
ここまでフランスが生んだ偉人『モンテーニュ』の名言集をご紹介してきました。
モンテーニュが書いたエセーには、幅広いジャンルの考察が記されているので、物事を考える上でとても参考になると思います。
哲学的な要素もある本なので、ぜひ手元において、ちょこちょこ読み返してみてください。