目次
成果主義の仕組みを考える
成果主義をこれから取り入れようと考えている人は、「どのような仕組みにすればいいのか?」と悩んでいるはずです。
ここでは、そのような悩みを持つ経営者やマネージャーを支援するアイデアをご紹介していきたいと思います。
あくまでも一つの事例やアイデアとして参考にしてください。
なお、営業職向けの仕組みにフォーカスしているので、全ての職種に当てはまるものではありません。
何を基準にすべきなのか?
成果主義というネーミングの通りですが、必ず「何か?」を基準にして成果としなければいけません。
この「何か?」は定量的に導き出せるモノでなければいけないので、
- 意欲
- 情熱
- 努力
などの抽象的なものではダメです。
売上を基準にするとどうなる?
ある意味では一番わかりやすいのが「売上」を基準にすることです。
営業職の仕事は「売上」を持ってくることなので、とてもシンプルですよね。
ただ、これを指標にしてしまうと、一つ問題が出てきます。
それは粗利率の問題です。
粗利とは「売上-原価」で計算することができますが、粗利率は商材によって全く異なってきます。
例えば、自社商材であれば粗利率80%なんてこともありますが、他社商材を代理販売しているケースでは、粗利率20%なんてことも珍しくありません。
なので「売上は多いのに、実際は全然稼いでいない…」なんてケースが起こり得るのが、売上を基準にした場合の問題なのです。
粗利を基準にするとどうなる?
それでは粗利を基準にすれば、先程の問題は解決するので一見すると良さそうに見えます。
ただ、実は別の問題が発生してしまうのです。
それは売る商材が偏るということです。
粗利を基準にするということは、「粗利率の高い、儲かる商材だけを売るべき」ということを暗示することになります。
この商材が自社商材なら良いですが、もし他社商材(代理店として販売)だった場合、大きな経営リスクを抱えることになります。
もしそのメーカーから代理店契約の解除を通達された場合、それ以外の商材を売ってこなかった営業マンは何も売れなくなりますし、これまで築き上げた顧客網もリセットされてしまいます。
販売数量を基準にするとどうなる?
定量的に表せる数字としては「販売数量」があると思います。
10個売っている人より、100個売っている人に多く還元するという考え方なので、シンプルでわかりやすいですよね。
ただ、これも売上や粗利と同様に問題が出てきます。
例えば、
- 売上1万円の商材を10件受注した場合
- 売上10万円の商材を1件受注した場合
ではどちらも売上10万円ですが、営業効率が良いのは2番目の方ですよね。
本来なら2番目の方が評価されるべきなのに、販売数量を基準にしてしまうと、営業効率が悪い1番目の方が評価されてしまうのです。
新規受注数を基準にするとどうなる?
よくあるケースですが「新規受注数」を基準にするというケースがあります。
企業にとって新規開拓は必要不可欠なので、そこにフォーカスすること自体は良いと思います。
ただ、営業マンが新規開拓だけに注力すると、既存顧客のフォローアップ営業が疎かになってしまうリスクがあります。
実は、企業に利益をもたらす構図は「新規顧客:既存顧客=2:8」とも言われているので、新規開拓だけに注力すると先細りする可能性があります。
この辺りは十分注意しましょう。
一つの基準では限界がある
ここまで読んだ人は気付いたと思いますが、成果のポイントを「一つの基準だけにすることは無理」だと思います。
どれを選んだとしても、その弊害が出てきてしまうので、どうしても上手くいきません。
なので、複数の成果ポイントをミックスさせるやり方に落とし込みましょう。
この時の考え方は「成果ポイントとは会社の意思である」ということをきちんと理解しておくことです。
先程も解説しましたが、粗利を基準にするということは、「粗利率の高い商材だけを売ってこい!」ということを暗示することになります。
これは経営者からのメッセージであり、会社の意思だと受け取ることができます。
つまり、「営業マンがどのように動くと理想的なのか?」ということを追求することこそが、成果ポイントを決める重要な思考術になるのです。