成果主義は人件費削減になる?
バブル崩壊後、日本で成果主義を取り入れる会社が増えてきたことにはいくつか理由があります。
その中で大きな理由は、人件費(コスト)を減らせる可能性があるということです。
成果主義を取り入れている多くの会社は基本給を低めに設定する傾向があるので、ほとんどの場合は成果報酬(インセンティブ)でその人の実績に見合った給与を支給しています。
なので、「基本給よりもインセンティブの方が多い」なんてケースはよくある話で、決して珍しくありません。
つまり、会社側としては基本給が少なくて済むので、その分たくさんの社員を雇用したとしても「人件費は最小限」で済んでしまいます。
成果を上げた一部の優秀な社員への支払いが発生したとしても、その分「売上は増えている」ので、会社側は喜んで支払うことでしょう。
結果的に基本給を減らした分だけ、全体コストが抑えられる可能性があるわけです。
また、賞与は基本給をベースに計算することが多いため、基本給が減ると定期的に社員に支給するボーナスの金額も抑えることができます。
このように、コスト(人件費)を抑えることができることは経営者にとって大きなメリットだと言えます。
成果主義は失敗する可能性がある
成果主義を取り入れたい会社は増えていますが、その反面「失敗した!」という会社が多いことも事実です。
つまり成果主義を取り入れるときには、注意すべきことがあるということになります。
それは、社内の不満が高まることです。
会社にとってコストメリットのある成果主義ですが、社員にとっては不満の種になってしまうケースが少なくありません。
なぜかと言うと、社員側の目線に立ってみれば理解できると思います。
成果主義の会社では、その会社の社員に求める仕事は比較的高いレベルの成果だと思います。
それにも関わらず、支給される給料が少ない場合、給料体系に不満を抱える社員が出てきてしまう可能性が高まってきます。
もちろん出来ない営業マンが悪いんですが、それでもほとんどの人が安月給になってしまうので、不満が出てきてもおかしくありません。
成果の評価基準に納得ができなかったり、努力が報われなかった時は、成果主義そのものに疑問を持つ人もいるでしょう。
なので、会社として人件費の削減に繋がったとしても、大切な社員を失ってしまっては、また採用コストが掛かるので、何の為に成果主義を取り入れたのかわからなくなってしまいます。
成果主義にはメリットもあればデメリットもあるので、気軽に取り入れることは愚策になる可能性があります。
十分注意しましょう。
成果主義は日本人に合わない?
成果主義はもともとアメリカ発祥の仕組みなので、「日本の会社には合わないのではないか?」という意見も多数あります。
日本人はもともと横並び教育なので、競争意識が薄くて、職場で目立つことに抵抗感を持つ人も多いのです。
日本人には”良い人”が多いので、先輩を差し置いて自分が評価されたりすると、なんとなく居心地の悪さを覚えてしまう人も多いと思います。
一方で競争することに抵抗を感じなかったり、賞賛されることを良しとする欧米社会では、仕事でも能力やスキルなどを社員同士で競い合う成果主義のスタイルが浸透しています。
アメリカの場合、学業など仕事以外のシーンでも実力主義や結果主義の考え方をする人が多く、成果主義での働き方に抵抗を感じる人が少ない傾向にあります。
例えば、事業を成功させて大金を稼いだ人は、年齢などに関係なく周囲から賞賛されるのがアメリカ文化です。
このようなアメリカと同じ仕事のスタイルをいきなり取り入れると、日本の職場ではちょっとした混乱が生じる可能性があります。
アメリカと日本では背景にある社会文化が違うため、アメリカ式の成果主義が思うように職場に馴染まないということは十分あり得ます。
実際、成果主義を取り入れた日本の会社には、途中で他のスタイルに方向転換している企業も少なくありません。
成果主義が日本人に合うかどうかは、慎重に判断していく必要があると思いますので、これから成果主義を取り入れようと考えている場合には十分注意しましょう。