改善提案を強制しない
いくら「お客様の役に立つ」と思っても、絶対に改善提案を強制してはいけません。
なぜかと言うと、自分が良いと思っていても、それがお客様の求めているものとは限らないからです。
どんなに良いアイデアでも拒否されてしまうことがあることは念頭に入れておきましょう。
改善の主導者は決して営業パーソンではありません。
もちろん改善提案するのは営業職の役目ですが、意思決定するのはお客様自身です。
つまり導入を決めた結果、その責任を被るのはお客様なのです。
なので「絶対に役に立つ」という主張をゴリ押するような、自分目線の営業をしてはいけないのです。
あまりに強制的な改善提案を行うと、お客様が「うざい」と感じてしまうかもしれません。
人は感情の生き物です。
一度悪印象を与えてしまえば、評価を上げることが難しくなってしまいます。
かといって、改善提案を出さないとお客様は怒ります。
つまり、お客様はとてもわがままなのです。
そこで理解しておくべきことは、改善提案をする場合、その内容を理解してもらうことが重要なのです。
きちんとロジックを組み立てて、「なぜそれをしなければいけないのか?」ということを丁寧に説明します。
その時には、出来る限り数値に落とし込んで、定量的に示した方が良いでしょう。
そしてお客様が腑に落ちたタイミングで「絶対にこれを導入したほうが良いです」ではなく、「これを導入するのがベストだと思います」と柔らかい言い回しで伝えます。
そうすれば、仮にお客様が提案を受け入れなかったとしても、険悪な雰囲気にならずに済むでしょう。
トヨタの改善事例を勉強する
改善といえば「トヨタ」ですよね。
大手自動車メーカーである「トヨタ」は改善提案のプロといっても良いでしょう。
トヨタ式の改善方法は、ビジネス現場のお手本として頻繁に取り上げられています。
たくさん書籍にもなっていますし、インターネットや大学の講義、セミナーや研修など様々な場所で聞いたことがあるかもしれません。
「トヨタ」のビジネスモデルを知れば、改善提案の基礎が学べるはずです。
基礎が固まれば、それを応用して仕事に使うこともできるでしょう。
なのでトヨタの事例を勉強することはとても大切なのです。
事例とは「エピソード」です。
具体的な問題点や改善方法を知れば、自分の中の引き出しがどんどん増えていきます。
実はビジネスの現場では、同じような課題や問題点に直面している企業がとても多いのです。
そんな時に多くの知識を持っていれば、同じような状況の企業に対してすぐに改善提案できるでしょう。
さらに、顧客に対する説得力も増していきます。
人はストーリーで心を動かすのです。
「改善提案をしたら、どんなメリットがあるか?」を論理的に話すのも良いですが、「トヨタではこのような事例があって」とストーリーを交えると、「あのトヨタが使っていた方法なら」とか「なるほど…、具体的なイメージがわいたぞ」と納得してもらえるかもしれません。
そうすれば、結果的に改善提案の導入率が高まります。
それでは「トヨタのカイゼン」について、少し触れておきたいと思います。
「トヨタのカイゼン」とは?
「カイゼン」とは業務の無駄を省いて効率的に仕事ができるようにすることです。
トヨタ式の改善方法は「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」です。
「自動化」は機械に仕事をさせることではありません。
不良品などの問題があれば、機械を止めて、問題の原因を追求して改善するのです。
つまり、人間の知恵を利用するということです。
「ジャスト・イン・タイム」は「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」手に入れる考え方です。
在庫がなければ、無駄な製品を作ることもなく、結果として生産効率が上がるという考え方です。
そこで有名なのは「カンバン方式」です。
部品一つ一つに「カンバン」を導入して、部品を使うと「カンバン」を抜いていき、定期的に次の行程に送り込みます。
つまり「カンバンの数=作ればいい部品の数」ということになるのです。
この方法なら、在庫を作らずに効率的な作業が実現するはずです。
これは人の知恵をつかった、効率的な業務改善の好例といえるでしょう。
改善提案こそが営業の仕事
営業の仕事は何ですか?
そう聞かれて「製品サービスを売ること」とか「売上を作ること」と返答しているようでは、まだまだ三流の営業パーソンです。
本質的な営業の仕事とは、お客様に対して「改善提案」することなのです。
しかし「改善提案」と聞いて身構えることはありません。
どんなに簡単なことでも良いのです。
例えば、あなたが売っている製品サービスは「売上アップに貢献する」か「コスト削減に貢献する」ものだと思います。
ほとんどの製品サービスは、上記二つのどちらかに該当します。
なので、そのような改善提案の視点で営業してみることをお勧めします。
単に製品サービスを売り込むのではなく、お客様にとってどんなメリットがあって、何が改善されるのかを訴求してみてください。
少しでも業務が効率化できれば、それで良いのです。
まとめ
あなたは製品サービスを売り込むことばかり考えているかもしれませんが、お客様は営業マンからの改善提案を待っています。
このギャップが埋まらない限り、トップセールスになれることはありません。
法人営業に必要なスキルや能力はコミュニケーション力や傾聴力もありますが、改善提案できることは頭ひとつ抜けることに繋がるでしょう。