
営業職の人は毎日お客様と接する機会があると思います。
その時にお客様の課題を聞いたり、何かアイデアを求められる場面があるはずです。
しかし、良い改善提案ができずに、悩んでしまう人が少なくないと聞きます。
そこで今回は、お客様に最適な改善提案をするやり方について解説していきたいと思います。
目次
改善提案とは?
営業職はお客様に対して改善提案を提示します。
改善提案とはお客様の業務を洗い出して、時間短縮できる部分や省略できる部分を見つけて、より効率的な仕事ができるお手伝いをすることです。
その為には、お客様の業務内容を深く理解して、常にアイデアを出し続けなければいけません。
既存のビジネスモデルを変えることもあるので、お客様が渋い顔をする時もあります。
しかし、お客様のためであれば、そこは情熱をもって押し切らなければいけません。
より効率的な仕事ができるようになった結果、「助かったよ、ありがとう!」と感謝の言葉をもらったときは、大きなやりがいを感じることでしょう。
しかし、頑張って改善提案をしても、それが採用されるかわかりません。
時には「順調に回っている仕事なのにどうして変えるのか?」とお客様から反対されることもあります。
そんな時には辛抱強く説明するのですが、業務改善の必要性を分かってもらえないことも多いのです。
単純作業はできるだけ排除して、よりクリエイティブな仕事をした方が、会社の発展につながります。
そのため、改善提案を行うのはとても大切な業務の一つなのです。
改善提案が出ない!
改善提案をする為には、「クリエイティブ」と「洞察力」が求められます。
なので誰もができることではないと思います。
これができる人は、いわゆるコンサルティング営業に従事している人だと思います。
コンサルティング営業として活躍している人は、総じて優秀な営業パーソンだと思いますが、そのような人でも改善提案が枯渇してしまうことがあります。
最初のうちはアイデアが出てきますが、長い付き合いになってしまうと「もう改善提案がない!」という状況に陥るのです。
確かに最初のうちは大きな改善が見込めると思いますが、年月が経つにつれて、その改善率が10%になり、5%になり、最終的には1%程度しか影響しないような改善提案になってしまうのです。
その程度しか改善しないのであれば「そもそもやる意味があるのか?」という疑問すら湧いてきます。
その結果「もう改善提案がない!」と頭を抱えてしまう営業職が多いのです。
改善提案の考え方
改善提案を考え出すのに一番重要なのは顧客を知ることです。
お客様を理解しなければ、良い改善提案はできません。
- 顧客の考え方や感じ方
- 業務に対する姿勢
- どのような仕事をしているのか?
- 将来的にどこを目指すのか?
- 何に困っているのか?
このようなことを知れば、何かしら改善提案のアイデアが出てくるはずです。
自分の考え方と他人の考え方には違いがあることを忘れてはいけません。
なので、改善提案をする場合には、出来る限り様々な角度から意見をもらいましょう。
自分一人で考えるようなことはせず、多様性を重視することが大切です。
そして、顧客のことが理解できたら、顧客の立場になって考えてみます。
業務改善の目的は質の高い仕事をすることです。
顧客にとっての質の高い仕事とは何か考えましょう。
それはスピード感のある仕事かもしれませんし、少々時間がかかっても正確性の高い仕事を求めているのかもしれません。
スピード感を求める顧客に「時間はかかるけれど正確性の高い仕事ができる」ような改善提案をしても意味がありません。
あくまで「顧客が何を求めているのか?」を把握して改善提案することが大切なのです。
プレスリリースを利用する
改善提案をする場合、顧客を知ることはもちろんですが、それと同時に情報収集をしなければいけません。
例えば、世の中で効果が良いと言われている製品サービスについて調べたり、お客様の競合他社は「どんな業務フローで回しているか?」などを知れば、改善提案のヒントがあるはずです。
そんな時に便利なのがプレスリリースです。
プレスリリースは世の中に発信したい情報などを持っている企業が配信しています。
世の中に発信したい情報なので、
- 革新的な情報
- 競合他社よりも優れたデータ
- まだ世の中に知られていない情報
などが紛れ込んでいるのです。
これらの情報を丁寧に調べることで、お客様の改善提案に役立つモノが見つかるかもしれません。
ぜひこまめにチェックしてみましょう。
リファラル営業サイトを活用する
リファラル営業サイトとは、世の中にある製品サービスが集まってくるプラットフォームです。
このサイトに掲載している商材は、
- お客様の売上アップ
- お客様のコストダウン
に繋がるようなものばかりなので、お客様への改善提案に使えると思います。
掲載企業に質問したり問い合わせをすることも簡単にできる機能が備わっています。
もし気に入った商材があれば、それを改善提案に組み込んで収益化することも簡単です。
つまり、リファラル営業サイトとはコンサルティング営業マンの心強い味方なのです。
改善提案を強制しない
いくら「お客様の役に立つ」と思っても、絶対に改善提案を強制してはいけません。
なぜかと言うと、自分が良いと思っていても、それがお客様の求めているものとは限らないからです。
どんなに良いアイデアでも拒否されてしまうことがあることは念頭に入れておきましょう。
改善の主導者は決して営業パーソンではありません。
もちろん改善提案するのは営業職の役目ですが、意思決定するのはお客様自身です。
つまり導入を決めた結果、その責任を被るのはお客様なのです。
なので「絶対に役に立つ」という主張をゴリ押するような、自分目線の営業をしてはいけないのです。
あまりに強制的な改善提案を行うと、お客様が「うざい」と感じてしまうかもしれません。
人は感情の生き物です。
一度悪印象を与えてしまえば、評価を上げることが難しくなってしまいます。
かといって、改善提案を出さないとお客様は怒ります。
つまり、お客様はとてもわがままなのです。
そこで理解しておくべきことは、改善提案をする場合、その内容を理解してもらうことが重要なのです。
きちんとロジックを組み立てて、「なぜそれをしなければいけないのか?」ということを丁寧に説明します。
その時には、出来る限り数値に落とし込んで、定量的に示した方が良いでしょう。
そしてお客様が腑に落ちたタイミングで「絶対にこれを導入したほうが良いです」ではなく、「これを導入するのがベストだと思います」と柔らかい言い回しで伝えます。
そうすれば、仮にお客様が提案を受け入れなかったとしても、険悪な雰囲気にならずに済むでしょう。
トヨタの改善事例を勉強する
改善といえば「トヨタ」ですよね。
大手自動車メーカーである「トヨタ」は改善提案のプロといっても良いでしょう。
トヨタ式の改善方法は、ビジネス現場のお手本として頻繁に取り上げられています。
たくさん書籍にもなっていますし、インターネットや大学の講義、セミナーや研修など様々な場所で聞いたことがあるかもしれません。
「トヨタ」のビジネスモデルを知れば、改善提案の基礎が学べるはずです。
基礎が固まれば、それを応用して仕事に使うこともできるでしょう。
なのでトヨタの事例を勉強することはとても大切なのです。
事例とは「エピソード」です。
具体的な問題点や改善方法を知れば、自分の中の引き出しがどんどん増えていきます。
実はビジネスの現場では、同じような課題や問題点に直面している企業がとても多いのです。
そんな時に多くの知識を持っていれば、同じような状況の企業に対してすぐに改善提案できるでしょう。
さらに、顧客に対する説得力も増していきます。
人はストーリーで心を動かすのです。
「改善提案をしたら、どんなメリットがあるか?」を論理的に話すのも良いですが、「トヨタではこのような事例があって」とストーリーを交えると、「あのトヨタが使っていた方法なら」とか「なるほど…、具体的なイメージがわいたぞ」と納得してもらえるかもしれません。
そうすれば、結果的に改善提案の導入率が高まります。
それでは「トヨタのカイゼン」について、少し触れておきたいと思います。

「トヨタのカイゼン」とは?
「カイゼン」とは業務の無駄を省いて効率的に仕事ができるようにすることです。
トヨタ式の改善方法は「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」です。
「自動化」は機械に仕事をさせることではありません。
不良品などの問題があれば、機械を止めて、問題の原因を追求して改善するのです。
つまり、人間の知恵を利用するということです。
「ジャスト・イン・タイム」は「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」手に入れる考え方です。
在庫がなければ、無駄な製品を作ることもなく、結果として生産効率が上がるという考え方です。
そこで有名なのは「カンバン方式」です。
部品一つ一つに「カンバン」を導入して、部品を使うと「カンバン」を抜いていき、定期的に次の行程に送り込みます。
つまり「カンバンの数=作ればいい部品の数」ということになるのです。
この方法なら、在庫を作らずに効率的な作業が実現するはずです。
これは人の知恵をつかった、効率的な業務改善の好例といえるでしょう。

改善提案こそが営業の仕事
営業の仕事は何ですか?
そう聞かれて「製品サービスを売ること」とか「売上を作ること」と返答しているようでは、まだまだ三流の営業パーソンです。
本質的な営業の仕事とは、お客様に対して「改善提案」することなのです。
しかし「改善提案」と聞いて身構えることはありません。
どんなに簡単なことでも良いのです。
例えば、あなたが売っている製品サービスは「売上アップに貢献する」か「コスト削減に貢献する」ものだと思います。
ほとんどの製品サービスは、上記二つのどちらかに該当します。
なので、そのような改善提案の視点で営業してみることをお勧めします。
単に製品サービスを売り込むのではなく、お客様にとってどんなメリットがあって、何が改善されるのかを訴求してみてください。
少しでも業務が効率化できれば、それで良いのです。
まとめ
あなたは製品サービスを売り込むことばかり考えているかもしれませんが、お客様は営業マンからの改善提案を待っています。
このギャップが埋まらない限り、トップセールスになれることはありません。
法人営業に必要なスキルや能力はコミュニケーション力や傾聴力もありますが、改善提案できることは頭ひとつ抜けることに繋がるでしょう。