クロネコヤマトの宅急便は、個人向け輸送に革新をもたらしました。
その第一任者と言える人物が、ヤマト運輸元・会長の「小倉昌男(おぐらまさお)」です。
日本を代表する「イノベーター」と言える人物ですが、今回は小倉昌男の名言集をご紹介したいと思います。
小倉昌男の略歴
小倉昌男は1924年に東京で生まれました。
東京大学経済学部を卒業した後、家業である大和運輸へ1948年に入社しますが、大和運輸は商業貨物を取り扱う、ある意味では一般的な運送業者でした。
1971年、創業者である父親の跡を継いで社長に就任して、1974年に役員会で宅急便の構想を大胆にも提案します。
しかし、全役員から反対を受けることになり、一旦は挫折します。
そのような逆境をなんとか克服し、1976年にはそれまで本業であった商業貨物から撤退し、個人向けの宅急便事業を創業することになったのです。
運輸省や郵政省などと規制緩和に向けて度重なる折衝を行い、なんとか宅配便事業を軌道に乗せたのです。
1987年にはヤマト運輸の会長職へ就任し、1995年に退任します。
その後は社会貢献活動に専念し、2005年に享年80歳で逝去しました。
小倉昌男の名言集まとめ
「光陰矢のごとし」という言葉があるように、人生は思いのほか早く過ぎていくものである。
この言葉は「悔いのない人生を送る」ことを伝えた名言です。
20歳~60歳まで40年働くとした場合、わずか14,600日しかありません。
1年はあっという間ですが、それを40回繰り返しただけで、もう引退となってしまうのです。
その時に思い残すことがないようにしましょう!
誰でも若い頃に描いた夢を全て叶えられるものではない。
夢を叶えられる人は少ないと思います。
それでも、自分がやりたいことにチャレンジしていれば、きっと悔いはないですよね。
そのような生き方をすることが大切なのだと思います。
正しい心を持つことが一番大事だと思っている。
会社経営はもちろんですが、法律や社会のルールを守るのは当然のことです。
何が正しくて、何が間違っているのか、ビジネスパーソンはそれらが判断できる倫理観を持ちましょう。
人は何歳になっても未完成のままである。
「この世に完璧な人間などいない」というのが小倉昌男の持論です。
しかし「それで良い」とも語っています。
なぜかといえば「完成すれば、それ以上進歩する余地がなくなってしまうから」だと小倉昌男は語っています。
常に謙虚さをもって生きることが、自分の成長へと繋がるのです。
仕事もある意味では真剣勝負である。
竹刀で殴り合うのと、真剣で斬り合うのとでは、本気度が違いますよね。
どちらが仕事で成果を出せるかは、一目瞭然だと思います。
社会に多くの人々がいることでニーズが発生し、ニーズに応えるために様々な事業が生まれる。
ビジネスはニーズに基づいて生まれてきます。
- 出産祝いを友達にプレゼントしたい
- 畑で獲れた野菜を息子に送りたい
このようなニーズに応えるため『クロネコヤマトの宅急便』は誕生したのです。
個人の人柄に相当する「会社の人格」なるものがあるとしたら、それを私は「社格」と呼びたいと思う。
社格は『会社の格付け』ではなく『会社の品格』と呼ぶべきものです。
社会に役立つことを第一優先とし、人に迷惑をかけることは絶対にしないのが『社格の高い企業』だと言えます。
どうせ死んだら終わる一生だ。
小銭稼ぎよりも、良心に従って生きるほうを選びたいものだ。
相手を騙して稼ぐのは簡単ですが、それでは信用が蓄積されていきません。
そのような人はずっとラットレースを続けることになるので、いつまで経っても苦しいままです。
そこから抜け出すためには『誠実な心』を持つ必要があるでしょう。
お客様との約束は必ず守る。
1976年に宅急便の本格営業を始めた小倉昌男は「日本全国どこへでも翌日に配達する」というキャッチコピーを打ち出しました。
当時の輸送システムでは「小包が届くのは数日後」というのが当たり前だったので、これはかなり大胆な方針だったと言えます。
どんな困難な状況だとしても、一切言い訳をせずに、それをやり遂げたことが今の宅急便に繋がっているのです。
誠意ある説明と言い訳との違いは、「自らの非を認めているかどうか」にある。
お客様に対して言い訳をしたくなる場面はありますが、そのやり方には注意するべきだと思います。
NG行為と言えるのは、謝るべき相手に謝罪せず、つらつらと言い訳を並べることです。
まずは誠意をもって一生懸命謝ることが先決だと思います。
ヤマト運輸では、ドライバーのことを「セールスドライバー」と呼んでいる。
なぜこのように言われるのかというと、ただ荷物を運ぶだけではなく、営業活動や集金、コンピューター入力、その他経理的な処理など、幅広い業務をこなすからです。
小倉昌男は「ヤマト運輸でドライバーの仕事しようと思ったら、商店主のごとく自分で物事を判断する能力が求められる」と語っています。
どんなジャンルの職業にも共通して言えることだが、会社に所属しているからといって、会社から給料をもらっていると考えるべきではない。
給料はお客様が支払った料金から必要経費を差し引いて分配されます。
そう考えた場合、実質的に給料を支払っているのは『お客様』ですよね。
このような感覚がないサラリーマンは考えを改めるべきでしょう。
たとえあなたが今、好きではない仕事、意に染まない仕事をしていたとしても、ただ不満を感じながら生活するのは建設的ではない。
これは仕事の取り組み方に関する名言です。
サラリーマンであれば、自分の望まない部署に配属されるケースもあるでしょう。
それでも、目標達成するために知恵を絞ったり、試行錯誤すれば「自分らしさ」が発揮できると小倉昌男は語っています。
つまり、自分の取り組み方次第で有益にもなるし、無益にもなるということです。
今担当している仕事の意味や自分自身の役割を、しっかりと自分の頭で考えてみてほしい。
大企業には役割分担があるので、自分の居場所だけで仕事を見がちですよね。
全体の動きを把握することは求められないので、とにかく自分の役割をこなせばOKというロジックになってしまうのです。
そうすると「自分は一体何をやっているのか?」と先が見えなくなってきます。
このような状況は決して良くないので、仕事全体の流れを把握するように努めましょう。
いくら都合が悪いからといって隠し事をしても、いつか必ずバレてしまう。
ビジネスでの隠し事はご法度です。
最初から正直に報告して、悪いことは早めに修正するようにしましょう。
たとえ他社への苦情であっても、余所事だと思ったりせず、謙虚に受け止めることが大切だ。
同業他社の失態や不祥事が明るみになった時、「ウチの会社じゃなくて良かった」と思うビジネスパーソンは二流です。
一流のビジネスパーソンは「次はウチの会社かもしれない…」と危機感を募らせるのです。
決して他人事だと思わないようにしましょう。
何らかの提案や新しいアイデアを検討するとき、「Yes,but…」で考えるか、「No,but…」で考えるかによって、後々得られる結果に大きな隔たりがあるのではないだろうか。
これは宅急便という『全く新しいビジネスモデル』を創造した小倉昌男らしい名言ですよね。
何事も前向きに取り組まなければ、ビジネスシードを育てることはできません。
経営者や事業責任者は肝に銘じておきましょう。
現場第一主義
ヤマト運輸は組織が大きくなるにつれ、現場を知らない事務職が多くなったそうです。
その結果、不必要な業務が出てきたり、現場と本社の間で意識の乖離が発生したそうです。
先ほどもお伝えした通り、給料はお客様が支払うものなので、一番重要なのは『現場』ということになります。
中央集権的な組織になっている場合には、今一度「現場第一主義」に戻ることを小倉昌男は推奨しています。
「大企業病」は、総じてお客様のためにならない。
- 何でも上司の決裁が必要になる
- 現場が臨機応変に対応できない
- 他人の仕事には無関心
このような状態を「大企業病」と呼んでいます。
大企業病はお客様目線ではないので、お客様にとってデメリットしかないのです。
ヤマト運輸には「ヤマトは我なり」という社訓がある。
この社訓は1931年に制定された「自分とヤマトとは一体であるという意識を持とう」という意味の言葉です。
「自分は雇われているだけ」という感覚では会社に一体感が出ませんし、勤めている社員も不幸ですよね。
この社訓の本質は「仕事を楽しもう!」という意味なのだと思います。
サービスの基本は、まず自分が「惚れる」ことから始まる。
これは営業活動も一緒ですよね。
自分が販売する製品・サービスに惚れこまなければ、決してトップセールスになることはできません。
運送業も「荷主さんに惚れて、荷主さんの荷物に惚れる」必要があるそうです。
満足感=価格
商品やサービスには料金を支払いますよね。
その時に「高い!」と感じるか「安い!」と感じるかは人によって分かれるはずです。
それでは、その料金判断の基準は一体何なのでしょうか?
それは「お客様が満足感を得られたかどうか」だと小倉昌男は語っています。
満足してもらえる商品やサービスを提供できなかったら、お金をお返しするくらいの覚悟が必要だ。
これはかなり極端な考え方ですが、商売の真理を突いている気がします。
これぐらいの緊張感があれば、きっと良いサービスを提供できるはずです。
一期一会の精神を持って毎日真剣に取り組むべきである。
一期一会の精神がなければ、仕事は単純作業になってしまいます。
たった一個の荷物の仕分けだったとしても、その仕事を大切にして、丁寧に心を込めれば、その仕事には『やりがい』が生まれてくるのです。
自分がお客様になったつもりで、日頃行っている業務を全て見直してみよう。
これはIT業界でも「グロースハック」と呼ばれています。
顧客目線になってプロダクトを改善したり、顧客心理に基づいたマーケティングを行うのです。
とにかく重要なことは「顧客目線に立つこと」だと思います。
ニーズは時代とともに変化し続ける。
これはビジネス環境の変化について語った名言です。
去年まで通用していたやり方が、今年は全く通用しないというのがビジネスだと思います。
なぜこのような現象が起こるのかと言えば、ビジネスの現場は資本主義経済だからです。
すべての企業は顧客ニーズに応えようと必死に努力しています。
そして、ライバル(競合他社)は勝つために一生懸命努力しています。
そのような複合的な環境の中、1年前と同じやり方が通用するわけありませんよね。
昨今は変化が激しいので、刻一刻とビジネス環境は変化しているのだと理解しておきましょう。
サービスの見直しは常に行わなければならない。
事業がある程度軌道に乗ると、その状態に安住してしまうケースが散見されます。
しかし前述したように「顧客ニーズは常に変化し続けている」ので、その場に甘んじてはいけません。
小倉昌男は「主婦の就業率が50%を超えた」というニュースを見て、夜間配達サービスを始めたそうです。
核家族化が進んで、専業主婦が少なくなった場合、配達先の半分以上は留守である可能性が高いことになります。
このような時代の変化にいち早く対応したのです。
クロネコヤマトの宅急便も、ある意味、逆転の発想から生まれたようなものだ。
旧来の運送業務では「大口の荷物を大型トラックで遠くまで運ぶ方が儲かる」と考えられていました。
その固定概念を覆し、「個人の家から出る一個のダンボールを集めて配送する」という考え方から宅急便は立ち上がったのです。
固定概念に縛られるとイノベーションが起こせないので注意しましょう。
一人ひとりの仕事を「単純化」させるほど、お客様がやらなければいけないことは「複雑化」する。
これはビジネスモデルを設計するときに注意したいポイントだと思います。
サービス提供者の労働量と、顧客の快適性は比例していきます。
とにかく泥臭く、裏方であるサービス提供者が動き回るほど、お客様とっては良いサービスとなるのです。
一番大切なのは「お客様に感動を与える」ということである。
やっぱりサービス業の真髄はこれに限りますよね。
感動を与えるというのは「顧客の期待値を上回る」ということです。
お客様の考えていた期待値よりも『上質なサービス』を提供すれば、お客様は感動してくれるのです。
宣伝広告よりも、ユーザーの皆様の「口コミ」のほうが、より大きな効果を発揮すると言われている。
最も効果的かつ、効率的な宣伝広告手法は「口コミ」です。
営業活動においては「リファラル営業」というやり方もありますが、営業責任者は理解しておくべきだと思います。
嫌なことを探す。
これは業務改善のコツについて語った名言です。
仕事は常に改善していかなければいけませんが、その時のポイントは「嫌なことを探す」のだと小倉昌男は語っています。
日々の業務から嫌なことを一つずつ減らしていきましょう。
いいものを作りさえすれば、必ず売れるというわけではない。
いいものを作るというのは、売れるための必要条件ですが、それだけでは不十分です。
例えば、日本一美味しいラーメンを作るお店があったとしても、そのお店の半径10 km以内に誰も住んでいなければ、認知すらされませんよね。
つまりセールス(良い商品)×マーケティング(集客)がセットになった『売れるための仕組み』が必要なのです。
これを世の中では「ビジネスモデル」と呼んでいます。
業績が伸びている時には、誰もが気が大きくなり、経費の使い方がだんだん荒くなっていくものである。
売上絶好調の時には、些細なことを気にしないので、コストが増えてしまう傾向にあると小倉昌男は語っています。
そうすると「思ったよりも利益が増えない…」という状況に陥るので注意しましょう。
商品に付加価値を付けるのは、商売の基本であるといえよう。
一番手っ取り早い付加価値は『サービスの向上』だと思います。
サービスを向上させれば、競合他社との差別化にも繋がるのでおすすめです。
宅急便の発想の原点は「牛丼専門店」である。
今ではバラエティに富んだメニューになっていますが、もともと牛丼専門店では牛丼以外のメニューを扱っていませんでした。
それによって作業が単純化し、素人のアルバイトだったとしてもお店を切り盛りできるようになっていたのです。
このような発想から、小さな荷物&小規模な運送に絞り込んだ「宅急便」が誕生していったのです。
不況時こそ会社を大きく改善していくチャンス。
不況期には、売り上げが下がり、利益が減り、資金繰りも苦しくなります。
そのような時に萎縮するのではなく、無駄な日常業務を徹底的に洗い出して、経営の合理化を進めましょう!
不況時こそ合理化のチャンスだと思えば、前向きに取り組めるはずです。
そもそも社員がどれくらい働いたかを、時間で計算することには大きな矛盾がある。
効率よくこなせば1時間で済む仕事を、残業代欲しさに2時間、3時間もかけてやる人がいます。
小倉昌男は、この問題を解決するために「この量の仕事をしたら、かかった時間とは関係なく、1時間半の賃金を支払う」という仕組みを作ったそうです。
金額が同じであれば、働く時間は短いほうがいいですよね。
この仕組みによってダラダラ仕事する人がいなくなったそうです。
筋道の通った理論を考えた上で、その裏付けのもとに行動するほうが、何事も成功率は高まるはずだ。
これは理想的な社員について語った小倉昌男の名言です。
最も理想的なのは、論理的に考える思考があり、さらに行動することを優先する「知性的行動派」だと語っています。
何も考えずに猪突猛進するだけでは足りないのです。
納得できない人事異動をさせられたからといって、上司や人事担当者を逆恨みするようなことがあってはいけない。
自分にマイナス点がないと思っていても、それは独りよがりかもしれません。
他人からどう見られているのかを、今一度自己反省してみましょう。
リーダーは部下に仕事を任せなければならない。
仕事を任せることによって、部下は自分の頭で考えるようになります。
「自分は信頼されている」と感じれば、仕事への取り組み方やモチベーションもアップするはずです。
しかし、ただ任せっぱなしにするのではなく、状況に応じて適切なサポートをしてあげることも大切です。
『任せて育てる』やり方について知りたい人は、連合国軍司令長官 山本五十六の名言集をご覧ください。